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第2部 恋人になってからのお話
第84話 性の6時間
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12月下旬。もうすぐ2学期も終わりであり学生にとっては冬休み、世間もクリスマスムード一色で大人も子供も誰もが浮かれている時期で、
林太郎の通う高校ではクリスマスに何をするか、が話題だった。
「林太郎、どうせお前はクリスマスの時には凛香と『性の6時間』なんだろ?」
「バカ言え。家にはいつも誰かいるし外泊なんてしたらそれこそ「ソレ」目的だとバレるだろ。ホテル側も高校生の男女が一緒の部屋に泊まる。なんて絶対にさせてくれねえだろうし」
「え~? でもお前抜け道なんて探せばいくらでも出て来るものだろうが。それともお前女に興味ないとか?」
「アホか。とにかくそういうのは無しだ。そういう事しか考えられねえのか? 発情期の犬猫かよお前は」
不良仲間からクリスマスの過ごし方について「性的な話題」を振られたが、全力で否定する。
『性の6時間』
12月24日の午後9時から翌25日の午前3時までの6時間には性行為がもっとも行われる。という非モテの嫉妬と怨念が詰まった言葉だ。
1人身で性経験が出来ない事を根に持ってマウンティングされていると勘違いした連中が生み出した、くだらない言葉だ。
くだらないのは分かってはいるが、林太郎はマトモな男子高校生なので性行為には興味はあるのは確かで、言いたくなる気持ちにも一定の理解はある。
「良いよなぁ~林太郎には凛香がいて。クリスマスはやりたい放題なんだろ?」
「そんな事言ってるからお前は彼女が出来ないんだよ。いい加減気づけ」
とはいえ、それを隠すことなくボヤく友人には釘をさしておく。そうやって女を「穴」程度にしか思って無いから彼女が出来ないんだぞ、と。
その日の夜になって、林太郎は凛香の部屋へと寄った。
「凛香、その……クリスマスは、えーと、デートはするが『肉体関係』は無しだ」
「……どういう事?」
『肉体関係』は無し。その意味は彼女にも十分伝わっていた。
「だって家の中じゃ絶対バレるし、外泊しようにも高校生の男女が一緒の部屋に泊まるとかどこのホテルでも許してくれねえだろ?
そりゃ俺だって男だから興味あるけど……とにかくそっち方向の話は無しだからな」
「やっぱりお兄ちゃんも、女の子の身体には興味あるんだ」
「まぁな。一応は真っ当な男をやってるからな……幻滅したか?」
林太郎は下ネタを振ってしまったことをちょっとだけバツの悪そうな顔をしながら視線を相手から外す。
「ん~……ちょっと安心したかな。むしろ興味が無かったら私の身体じゃダメなのかな? って思っちゃうし、心配してないって言ったらウソになるわ」
凛香は姫ほどではないが一般的な女子に比べたら十分胸はある方で、ウエストも引き締まっている。一般的な男からしたら合格ラインには十分達している身体だ。
「クリスマスはデートしたらそのまま家まで帰るからな。途中の寄り道とかは無しだから、悪いな」
「うんいいよ。私とお兄ちゃんの仲でしょ? 気なんてあまり使わなくてもいいよ」
そして迎えたクリスマス・イブの夜。林太郎と凛香は電車に乗ってとある駅までやって来た。
「お兄ちゃん、良いレストランがあるって聞いたけど……この駅、まさか!」
降りた駅名で凛香はあることに気づいた。ここは彼女の本当のお父さんとお母さんが眠っている場所だ、と。
となると……彼女の予想は見事的中。駅から歩いて15分ほどの場所にある霊園近くの洋食屋にやって来た。
「あら凛香ちゃん! クリスマスに来るのは初めてね」
凛香にとっては顔なじみのウェイトレスが働く店には家族でクリスマスを過ごす客で、霊園近くにある店とは思えない程賑わっていた。
「んー、穴場スポットだと思ったんだけど結構客がいるなぁ」
林太郎が想像していた以上に客が多い。クリスマスだというのに窓の外は霊園だから客なんていない、と思っていたのだが当てが外れた。
「凛香。ちょっと騒がしいけどいいか?」
「うん大丈夫。お兄ちゃんってば、このお店のファンだったりする? あの時食べたオムレツって本当に美味しかったからなぁ」
「実を言うとクリスマスに食事するにはどこがいいかあれこれ探したんだけど結局ここしかなかったんだよなぁ」
2人にとっては思い出の味だ。あの時と同じように林太郎はハンバーグセット、凛香はオムレツを頼んだ。
林太郎の通う高校ではクリスマスに何をするか、が話題だった。
「林太郎、どうせお前はクリスマスの時には凛香と『性の6時間』なんだろ?」
「バカ言え。家にはいつも誰かいるし外泊なんてしたらそれこそ「ソレ」目的だとバレるだろ。ホテル側も高校生の男女が一緒の部屋に泊まる。なんて絶対にさせてくれねえだろうし」
「え~? でもお前抜け道なんて探せばいくらでも出て来るものだろうが。それともお前女に興味ないとか?」
「アホか。とにかくそういうのは無しだ。そういう事しか考えられねえのか? 発情期の犬猫かよお前は」
不良仲間からクリスマスの過ごし方について「性的な話題」を振られたが、全力で否定する。
『性の6時間』
12月24日の午後9時から翌25日の午前3時までの6時間には性行為がもっとも行われる。という非モテの嫉妬と怨念が詰まった言葉だ。
1人身で性経験が出来ない事を根に持ってマウンティングされていると勘違いした連中が生み出した、くだらない言葉だ。
くだらないのは分かってはいるが、林太郎はマトモな男子高校生なので性行為には興味はあるのは確かで、言いたくなる気持ちにも一定の理解はある。
「良いよなぁ~林太郎には凛香がいて。クリスマスはやりたい放題なんだろ?」
「そんな事言ってるからお前は彼女が出来ないんだよ。いい加減気づけ」
とはいえ、それを隠すことなくボヤく友人には釘をさしておく。そうやって女を「穴」程度にしか思って無いから彼女が出来ないんだぞ、と。
その日の夜になって、林太郎は凛香の部屋へと寄った。
「凛香、その……クリスマスは、えーと、デートはするが『肉体関係』は無しだ」
「……どういう事?」
『肉体関係』は無し。その意味は彼女にも十分伝わっていた。
「だって家の中じゃ絶対バレるし、外泊しようにも高校生の男女が一緒の部屋に泊まるとかどこのホテルでも許してくれねえだろ?
そりゃ俺だって男だから興味あるけど……とにかくそっち方向の話は無しだからな」
「やっぱりお兄ちゃんも、女の子の身体には興味あるんだ」
「まぁな。一応は真っ当な男をやってるからな……幻滅したか?」
林太郎は下ネタを振ってしまったことをちょっとだけバツの悪そうな顔をしながら視線を相手から外す。
「ん~……ちょっと安心したかな。むしろ興味が無かったら私の身体じゃダメなのかな? って思っちゃうし、心配してないって言ったらウソになるわ」
凛香は姫ほどではないが一般的な女子に比べたら十分胸はある方で、ウエストも引き締まっている。一般的な男からしたら合格ラインには十分達している身体だ。
「クリスマスはデートしたらそのまま家まで帰るからな。途中の寄り道とかは無しだから、悪いな」
「うんいいよ。私とお兄ちゃんの仲でしょ? 気なんてあまり使わなくてもいいよ」
そして迎えたクリスマス・イブの夜。林太郎と凛香は電車に乗ってとある駅までやって来た。
「お兄ちゃん、良いレストランがあるって聞いたけど……この駅、まさか!」
降りた駅名で凛香はあることに気づいた。ここは彼女の本当のお父さんとお母さんが眠っている場所だ、と。
となると……彼女の予想は見事的中。駅から歩いて15分ほどの場所にある霊園近くの洋食屋にやって来た。
「あら凛香ちゃん! クリスマスに来るのは初めてね」
凛香にとっては顔なじみのウェイトレスが働く店には家族でクリスマスを過ごす客で、霊園近くにある店とは思えない程賑わっていた。
「んー、穴場スポットだと思ったんだけど結構客がいるなぁ」
林太郎が想像していた以上に客が多い。クリスマスだというのに窓の外は霊園だから客なんていない、と思っていたのだが当てが外れた。
「凛香。ちょっと騒がしいけどいいか?」
「うん大丈夫。お兄ちゃんってば、このお店のファンだったりする? あの時食べたオムレツって本当に美味しかったからなぁ」
「実を言うとクリスマスに食事するにはどこがいいかあれこれ探したんだけど結局ここしかなかったんだよなぁ」
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