前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい

のみかん

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第41話『ここを臨時の拠点にする』

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 よく考えたら地球侵略しにきた宇宙人の拠点を壊して謝るのって変だよなぁ。

 そう思いながら、ひとまず俺は今後の方針を話し合うため、江入さんを自分の部屋に連れてきていた。

「はあ……どうっすかね……」

 江入さんの宇宙船兼自宅はその機能を果たせなくなってしまった。

 とりあえずスクラップになったそれは俺の空間魔法に収納して持ち帰ったが、この後のことは何も思いつかない。

「ん?」

 ブブッとスマホがバイブで揺れる。
 メッセージが届いたようだ。
 送り主は風魔先輩だった。

 彼女はあの日連絡先を交換して以降、こうやってたびたびメッセージを送信してくるのだ。

 えーと、今日はどんな用件で……。

『新庄君、そろそろ前世の性質を取り戻しただろうか? 私はいつでも対峙する覚悟を決めて待ち望んでいる』

 望んでるの!? なんでそんなに不浄の穴に興味を示して貰いたいんだ……。

 ブブッ。あ、またメッセージが。

『打ち間違えた。まちかまえているだら!』

 誤字……。

『取り戻してないですから』

 俺はポチポチと打って返信した。

 もし返事がきてもそれは後回しでいいや……。




「おい、なにやってんだ?」

 見れば、押し入れにしまってあるものを江入さんがガサゴソと引っ張りだしていた。

 大したものは入っていないが勝手に人の部屋のもん漁るなよ。

「ここを臨時の拠点にする」

「は?」

 そこは押し入れですけど。
 そんな狭いとこで人が暮らせるかよ。
 某ドラちゃんだって寝るときだけだぞ。

「インストールできた機能で空間を拡張するから心配ない」

「心配ないって……お前そこで暮らすつもりか? 俺の部屋の押し入れに住むつもりか!?」

「そう」

 肯定する宇宙人少女。

 何を当然のように言っちゃってるの?

「ここは従姉の家なんだよ。俺は居候の立場なの。だから無理です!」

「インストールした能力があれば、この星の基準で最低限の文化的な生活を送れるだけの設備は整えられる。あなたの部屋以外に私は基本立ち入らない」

「風呂とかトイレも用意できるってこと? 台所とか洗濯機貸して~とかにもならないってこと?」

「是」

 すげえ、宇宙人パワーすげえ。

「いや、待って? そんだけ用意できるんなら別に俺の部屋じゃなくていいじゃん」

「第三者が侵入してくる危険性のある場所を不用意に改造することはできない。それに壊れた探査船だが、あなたの魔力という力を使えばどうにかなるかもしれない。そのためには様々な検証が必要で、探査船を保管して持ち運べるあなたが近くにいることが望ましい」

「…………」

 それっぽいことを言いおってからに……。

「そういえば高校の入学手続きはどうやったんだよ? ああいうのって住所必要だろ? 学校から送られる書類の送付先とかは?」

「それは偽装工作を行なうための能力があった」

「なにそれ?」

「現地に潜伏しやすいよう、現地人の認識を歪ませてこちらの意図した通りに導く力」

 やばいやつだ!
 洗脳かよ!?

「あ、でも、それがあれば賃貸とか借りられるんじゃ……」

「今はもう使えない。タグあっての力だったから」

「なんでそいつも使えるようにしなかったんだよ。いろいろ能力をゲットしたんだろ?」

「あまり頻繁に使えるものではなかったのでダウンロードの優先順位を下げていた。あくまで一時的な潜伏をスムーズに行なうための力だから。ダウンロードが行えなかったのはあなたが途中で探査船を破壊したせい」

 非難がましい目で見られた。
 うおーん、謝ったじゃん。
 振り返ると釈然としないことだったけど。

 てか、なんだか江入さんの感情が表に出やすくなっている気がする。
 主に怒りの感情が……。



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