証なるもの

笹目いく子

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有里(一)

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 店の前で丁寧に頭を下げた紀堂は、ゆっくりと背筋を伸ばすと、両国橋へ向かって去っていく尾形と小島の背中を見送った。
 竈に放り込まれたような炎天の下、二人の姿は白く霞んで人波に溶けていく。

(……大丈夫だろうか)

 尾形の様子が気にかかっていた。怨念のはけ口を求めて煩悶する尾形が、いつ小島や紀堂の制止を振り切って暴走するか案じられてならない。
 紀堂とて、遅々として進まぬ探索など放り出し、殺意に身を委ねてしまいたいと思う誘惑と戦っている。柳井対馬守の名を頭に浮かべるだけで、こめかみは脈打ち、憎悪が思考を支配しようとする。膨れ上がる衝動が、屋敷の奥に逃げ込んだ柳井を今すぐにでも引きずり出し、血祭りにあげろと紀堂に命ずる。父や弟と同じように柳井を切り刻む、それを思い浮かべるだけで暗い武者震いが体を走った。
 だが、今仇討ちに走ったところで何ができるだろう。旧家臣に紀堂が加わったところで、柳井の屋敷の門さえ破れるか怪しいのだ。返り討ちにあい、無為に命を散らすことは目に見えていた。柳井に襲撃を命じた者に辿り着く前に死んでどうする。耐えるより他にないのだ、今は。
 陽光がずしりと重くのしかかる。
 有里の顔が見たい。往来の喧騒をどこか遠くに聞きながら、いつしかそればかりを思っていた。しかし、どうして会いにきてくれないのか、祝言は、と訊ねられるのが怖かった。何も答えられぬ紀堂を見て、娘がどんな表情を浮かべるのか、考えるだけで身が竦む。卑怯だと知りながら、逃げずにはいられなかった。
 のろのろと踵を返し、日本橋へ向かって歩きだした。
 途端、数間はなれたあたりに佇む女の姿が、目に飛び込んできた。
 濃い影を足元に落としながら、有里が凝然とこちらを見ている。額に汗を光らせて通り過ぎる人々を透かして、二人はしばし見つめ合った。
 会いたいとばかり思っているせいで幻でも見ているのだろうか、と痺れたように思っていると、

「紀堂さん」

 花びらのような唇がかすかに動くのが見えた。
 かあっと額が熱くなり、疾走したばかりのように鼓動が速くなる。紀堂は暫時逡巡した後、下腹に力を入れて娘に近づいた。

「有里さん、しばらく……」

 自分の言葉にぎくりとする。様子伺いなどする必要もないほど、以前は頻繁に顔を合わせていたことを、胸がひりひりとする感覚と共に思い出す。しばらくぶりなどという言葉は、二人の間では滅多に交わすことさえなかった。有里の単の、有松絞りのあでやかな青海波せいかいはと菊文様に視線を置いたまま、紀堂は束の間口ごもった。

「先日は、店まで来てくれたのにすまなかった。文を、ありがとう」
「……いえ」

 ぎくしゃくとした空気が漂い、顔を合わせていなかった時の長さを否応なしに意識させる。胸が板で押されているように強張っていた。何と言おう。何を話したら、と考えあぐねていると、有里が思い切ったように口を開いた。 

「……紀堂さん。今の方たちは?」

 え、と目を瞬かせると、娘は大川の方をちらりと見遣った。

「少し前にも、ご一緒なさっているのをお見かけしたものですから。お親しいのかと思って……」
  
 料理茶屋の前で、尾形らと別れた所を見ていたらしい。
 紀堂は唐突な問いを訝しみながらも、何気ない顔を装った。

「ああ、あのお二人なら、店のお客様だよ」

 お客様、と娘が口の中で呟く。 

「……紀堂さん」

 率直な光を浮かべた双眸がひたとこちらを見詰めるので、内心怯んだ。

「余計なことだとは承知しておりますけれど……あのお方たちのご様子、私なんだか気になって……失礼ですけれど、本当にお客様なんですか?」

 紀堂は動揺をそっと押し隠した。そこまで見抜いたのかと肝が冷える心地がする。だが無理もない話かもしれなかった。
 小島も尾形も武術に長けていて、体つきも町人のそれではないし、ふとした拍子に武家特有の動きが顔を出す。尾形などは片手を失っているから余計に人目を引くだろう。紀堂が衣食住不自由のないように目を配っているとはいえ、大鳥屋に出入りするような富裕な顧客とも見えない。その上、花筏の若女将である有里は人を見る目が肥えている。町人に身をやつし、内心に殺気を漲らせる男たちの異様な雰囲気を察したのかもしれなかった。そんな男たちが紀堂に何の用向きかと、怪しく思うのも道理だった。

「お仕事なんでしょうから、私がとやかく申し上げることではありませんけれど……このところ、紀堂さんは何だかご様子がいつもと違っているような。何だかお痩せになったし……あの方達とお見かけしたのも、近頃のことですし」
「そんなことはないよ。有里さんが案じるようなことは何もない」
「……本当に?」

 即座に否定すると、珍しく有里が食い下がった。
 つやつやと澄んだ瞳にひたと見据えられると、後ろめたさが刺のように胸を苛み、思わず目を逸らしそうになった。
 花筏に何かと顔を出していた足が遠のいた。祝言の話も宙に浮いたままになっている。代わりに、取り繕えぬように思い詰めた表情で、得体の知れぬ男たちと密談を繰り返している。何が起きているのかと有里が案ずるのも当然なのだ。

「何か……お困りではありませんか? 藤五郎さんは、ご承知でいらっしゃるんですか?」
「……これでも俺は店主なんだがね。いちいち大番頭にお伺いを立てることもないさ」

 そう嘯いて冗談に紛らわせようとしたが、有里は白い額をますます翳らせる。

「紀堂さん。大鳥屋のご店主に申し上げるのもおこがましいでしょうけれど、私どうしても気がかりなんです。紀堂さんはご聡明でいらっしゃるけど、お一人で何もかも背負い込もうとするでしょう。腹を括ると梃子でも動かないところがおありだし……」

 そう呟いて、不安を隠そうともせずに紀堂を見詰めた。

「ご自分だけで大事をなさろうなんていけませんよ。そんなこと、周りの人は悲しみこそすれ喜んじゃくれませんよ」

 次第に頬に血がのぼり、両目がかすかに潤んでくる。

「……私だって、悲しくなります」

 尋ねるような、心細げな表情が娘の瞳に浮かんでいる。
 見えない拳で鳩尾のあたりを打たれた気がした。作り笑いが顔から剥がれ落ち、紀堂は咄嗟に唇を引き結ぶ。
 有里を抱き寄せたいのか、それとも、目の前から逃げ出したいのかわからない。
 体がまっぷたつに引き裂かれるような痛みに、身動きができなくなる。
 拳を握り締め、意思の力で感情を殺した。

「……有里さん、本当に何も案ずることはない。旦那さんたちにもよろしく伝えてもらえるかい。俺は立ち寄るところがあるから、ここで」

 抑揚のない自分の声を、他人の声のように聞く。
 何か言いたそうな娘を振りきるように足を踏み出し、紀堂は一瞬躊躇した。

「その……このところ、暇が作れなくてすまない。落ち着いたら、話をしよう」

 ぎこちなく言ってから、自責の念に胸が悪くなる。頭の中は仇を追うことでいっぱいだ。美貌と言われる顔の下では、悪鬼のごとく怨念と憎悪を滾らせていると知れたら、有里は何を思うだろうか。嘘に嘘を重ねる己の不実さが、身を絞られるようにいたたまれなかった。

「……ええ、お待ちしています」

 有里の傷ついたような微笑みから、目を逸らした。
 挨拶もそこそこに、何かに追われるようにその場を離れる。人をかき分けるようにして、表通りをがむしゃらに進む。
 あんなにも、会いたくてたまらなかったのに。
 ほんの少し前までは、誰よりも愛してやまない娘であったのに。今でも、そうであるのに。

 すべてが、狂ってしまった。

 あてどもなくひたすら前を向いて歩きながら、背中にいつまでも有里の視線を感じていた。

***

 有里は一つ年下だが、おっとりとした紀堂よりもよほど利発で怖いもの知らずなところがあって、子供の時分には、広之助さんは何だか危なっかしいから、と姉のようにふるまっていたものだった。武家育ちの紀堂は年若い娘と親しく口をきくことには慣れていなかったが、嫌な気はしなかった。有里といると心が和み、娘の一挙一動に鞠のように胸が弾んだ。
 有里には二つ年上の兄・友一郎がいて、こちらは江戸っ子らしい威勢のよさと、口の悪さが目立つ少年だった。友一郎は度肝を抜くような美貌の、そして堅苦しい紀堂を最初敬遠していたが、有里が間を取り持つような形で次第に打ち解け、じきに三人は仲の良い無二の友となった。
 しかし、友人であった時はそう長くは続かなかった。彼らが青年となる間に、紀堂と有里の間の心のありようは、蛹が蝶に変わるように育ち、変貌していた。
 有里と視線が絡む度、互いを見詰める眼差しがどうしようもなく切ない含羞を浮かべるのを、気付かないわけにはいかなかった。有里に懸想している男がいるらしいと聞くと、不安と嫉妬で胸がかき乱され、美しくなっていく有里をどこかに隠してしまいたいという焦燥に駆られる。そのくせ顔を合わせるとまともに話をすることも出来ず、後になってから一人自己嫌悪に苛まれ、悶々として過ごすことが増えていった。

 十八の春、大坂店へ二年修行に出ることが決まった。まっさきに感じたのは、見知らぬ土地へと赴く不安よりも、有里と二年も離ればなれになってしまうことへの痛切な悲しみだった。魂を半分もぎ取られるかのような、痛みだった。
 紀堂はようやく、己の火のような情熱を自覚した。
 有里を、愛している。もう、ずっと前から愛している。
 大鳥屋へ来てはじめて、心の底から欲しいと思った、愛し愛されたいと願ったものが、有里だった。 
 大坂へ出発する前に、自分の思いを打ち明けるべきかと散々に迷った。
 求めるということが不得手な性分だった。諦めのよさばかりが骨の髄まで染み付いていて、欲しいものを欲しいということも苦手であるし、どうしたら手に入るのかもよくわからない。大鳥屋の養子となってからも、その性格はおいそれとは変わらなかった。

「お前はわかりにくいんだよ。その顔のせいで、余計に何を考えてるんだかわからん」

 と、竹を割ったような性質の友一郎がよく漏らしたものだった。
 結局、何もできずに江戸を発つ日が来た。
 出立の朝、まだ夜も明けきらぬという時刻であるのに、友一郎と有里は紀堂を見送りにやってきてくれた。
 有里は泣き腫らしたような目で懸命に微笑んでいて、友一郎はなぜか殺気まじりの目でこちらを睨みつけている。

「有里さん。その……体に気をつけて」

 ずきずきと心が痛い。口の中がからからになるのを感じながら、言えたのはそれだけだった。

「広之助さんも、道中お気をつけてね。お帰りになるのを、楽しみにしていますから……」

 有里が、帯の前で白い両手をぎゅっと握り締める。涙を堪えているような娘の顔を薄闇越しに見ると、胸の奥深くが疼いた。
 隣の友一郎の醸し出す雰囲気が、いよいよ剣呑さを増してくる。それを訝しく思いつつ、紀堂は小脇に抱えた菅笠を握る手に力を込め、意を決して言った。

「手紙……手紙を、書くよ。大坂で、愉快な事があったら知らせるから」

 薄青く肌寒い空気が、朝焼けの色に染まっていく。
 滑らかな頬に茜色をうっすらと映し、有里は唇を噛み締めるようにして微笑んでいた。

「はい。でも、愉快な事がなくても、下さいますか」

 白玉のような露を宿した双眸が、曙光を淡く映してふるえている。紀堂はそれに見惚れながら、己はこの世でもっとも美しいものを見ているのだと、思っていた。

***

 江戸の友一郎からの文が届いたのは、大坂に到着してから二月ほどが経った頃のことだった。
 有里に、縁談が持ち上がっているという。
 慣れない大坂の、五十人もの奉公人を抱える大鳥屋支店で手代として務めはじめて、ようやく暮らしが落ち着いたところだった。懐かしい気分で、奉公人が寝静まった頃手燭の側で文を開いた紀堂は、頭の上に突然大岩を落とされた気分で呆然とした。それから、頭の中に奔馬のように激しい鼓動を聞きながら、たちまち全身に冷たい汗をかいていた。

「お前がはっきりしないからだ。この間抜け」

 友からの書き殴りのような手紙を握り締める。気づいたら、暗い帳場に駆け込んで猛然と筆を取っていた。

 俺は間抜けだ。大間抜けの、腰抜けだ。

 頭をかきむしりたかった。何を考えているのかよくわからぬ紀堂に怯むことなく、有里はいつでも、壁なぞないかのように近づいてきてくれた。だから自分から踏み出すこともせず、待つことに慣れてしまっていた。
 有里に、甘えていたのだ。
 まだ、間に合うだろうか。まだ。
 手がふるえて字が乱れる。歯を食いしばりながら、思いの丈をつたない文に認めた。

 町人が用いる手紙の配送手段では、仕立したてと呼ばれる飛脚を利用するのがもっとも早い。依頼したら即座に荷を運んでくれる上に、ほぼ確実に約束した日数で相手に届けてくれるのだ。しかし、これにはとてつもない費用がかかる。丸五日で江戸へと届く正六日限でも、金三両もかかるのだ。手代の身分の紀堂には、金三両は大金だ。
 そうでなければ幸便こうびんという飛脚が次に早い。月九回の決まった出発日があり、それに合わせて荷を預ける仕組みだ。一番早い正六日限の便では、料金は金一朱、丸五日で大坂から江戸へ荷を運んでくれることになっている。ただし、実際には十日あまりかかることも珍しくなく、仕立よりもはるかに信頼性で劣った。
 紀堂は翌朝町飛脚へ駆け込むと、有り金をはたいて正六日限の仕立を頼んだ。
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