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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜
5-45 南側の街の大きな変革
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私がギルマス達と話をしている間お兄ちゃん達はと言うと...宿場街を見て回っていた。
私がいないので余分な買い物などがなくスムーズに調査をこなせていたのだった。
「リンがいないと不便な部分もあるけど余分な出費がなくていいよね。」
「確かに。この時間帯でも食堂なんかは開いてるからな...。」
「一軒一軒寄られたら全く進まないよね...。」
パーティーメンバーがそう私の悪口を言っていると保護者であるドラしゃんが軽く睨みを効かせると慌てて話題を変えだす。
「でもあんだけ食べて太らないのが凄いよね。」
「我が家ではリンだけだよ。あんなに食べるのは。父さんも母さんもそれなりに食べるけどリン程じゃないからね。」
「そうなんだ。それは意外だな。」
「だいたい親の誰かに似るのにね?」
「でも俺たちだって性格はセバスおじさんそっくりだって言われてるじゃない。」
「えっ?!そうなんだ。そうは思わないけどね?」
「ああ。あの人は冷静かつ気に入らない奴には容赦ない人だろう?」
「あまり関わらながないから詳しいことはわからないんだけど、母さんいわく子供の頃のセバスおじさんにそっくりらしいんだ。」
「それ、良く言われるよ。なんで私に似なかったのかしらって。知らないよって話だよ!」
そんな風に男四人で楽しそうに話をしながら依頼をこなして行っていたのだった。
そんな事なんて知らず私はギルマス達と話し合いをしていた。
私達の住んでいる街の業務体制について説明して、この街も勤務体制を変える方がいいとお説教をしていたのだ。
話を聞いたギルマス達は凍りついてしまったけどね。
あまりにも南側の街と違っていたからであろう。
そして...。
「...。」
「えっ?どうしたの?」
「...このままでは駄目だ!」
勢いよくそう言って立ち上がったギルマス。
「ヨシ!この街の改革をするぞ!!」
「はい??」
あまりの事に私はスットンキョンな声を上げてしまった。
「リン様!ありがとうございます。できれば引き続き協力をお願いしたいのですが...よろしいですか?」
どうやら私の話を聞いて街全体をよくするためにギルドや警備の業務改善を行う事を決めた様だった。
「えっ?!ああ。別に良いけど...私で良いの?」
「もちろん!!なぁー皆んな!」
ギルマスの言葉に警備隊隊長や副ギルマス達は頷いていた。
とりあえずどの様に変えていくかを更に話し合っていく。
まず先に警備隊の方から行う事にした。
変えるには、現在の警備隊の業務状況を把握することから始めないといけないので、どのような状況なのか話を聞いた。
すると意外にもずさんだった。
いつ誰が出勤してくるなんかは決めなく、その日の朝に集まった人達で対応をしていたのだ。
給料もその日払いがほとんどだった。
だから...
「実際に警備で働いている奴がどれだけ居るかはわからないんだ。
夜はギルドの方で冒険者に依頼して貰ったりしてるんだ。」
あまりの内容に私は驚いてしまい口が塞がらなかった。
「中央の街は日中も夜間もちゃんと警備隊の方で警備をしているわ。
誰が警備隊員かも隊長と副隊長で管理しているし、人によっては日払いの人もいるけど、ちゃんと"給料日"と言うのを決めていてその日に支払いをしているわ。」
今話をしている内容は、お父さんとお母さんがカシムじぃーちゃんに教えて実行に移した内容なのだが、このことはカシムじぃーちゃん達から教えて貰った事なので間違いない。
城の警備員や近衛隊の人達も給料制だったからそれはそのまま採用しているのだった。
「まずは警備隊として働いている人数をきちんと把握しましょう!
でないと人が足りているか足りてないか分からないでしょ?」
「わかった!」
そう言うと警備隊長は副隊長に連絡を取り隊員確認を行い出した。
連絡を取り終えると警備隊長は私の共へ戻ってきて他にすべき事を聞きに来た。
「あとは、賃金がいくならなのかを明確にすべきね。
中央の街みたいに街の警備全般をこなすなら人も多くないとできないからね。
人を集めるには仕事の内容、労働時間、賃金を明確に提示ができる様にしておかないと駄目よ。
皆は仕事をしてお金が欲しい人が多いと思うの。
でもどんな仕事でどれだけ働いてどれだけの賃金が貰えるか分からないと働きたくても不安で働けないわ。」
私の言葉をしっかり聞く警備隊長。
そしてギルマス達。
「私のこの知識はカシムじぃーちゃんやロドじぃーちゃん達からの受け売りだから偉そうに言うのはおかしいかもしれないけど大事な事だからね。」
私がよくルミばぁーちゃんが私達に説教をする時にするポーズをとりながら彼らに話をすると
「わかりました!ありがとうございます!」
なぜか敬礼をして私にお礼をいう。
その姿が可愛くて思わず笑いそうになったが、我慢した。
「あと、運営資金とか困る事があれば中央の街に連絡する様にしてね。この街の責任者に伝えといて...てギルマスか...。」
「ははは。そうなんじゃよ。ワシが一応この街の責任者兼ギルマスしてるからな。」
「街の運営資金とギルドなんかの運営資金は別で換算してるよね?」
「ああ。それはスティールミさんからコンコンと言われたから別にしてある。」
「皆が四方に散ってから連絡があまりなくなったからルミばぁーちゃん達も心配してるから困ったことがなくても連絡してあげて。離れていても私達は家族なんだからね!」
「ああ。そうじゃったな。わかった。」
「では、私は一度隊宿舎に戻ってこの話をしてきます。
まだこの街にいますよね?」
警備隊長は不安そうに聞いてきたので笑顔で返事をした。
「もちろん。この件が片付くまでいるわ。だからと言ってもダラダラしないでね?」
「分かりました!」
そう言って警備隊長は部屋を出て宿舎へと戻って行った。
「なるべく中央の街のコピーにはならない様にと独自の街にしようとしたのが裏目にでなのかなぁー。」
ギルマスはそう呟く。そんなギルマスに私はそっと肩に手を置いて話しかけた。
「完璧な街や国はないわ。私達がいる中央の街も日々トラブルを一つ一つ解決しながら過ごしているのよ?
それにコピーだなんて誰も思わないわ。一番大事なのはその街に住む人達が住みやすいようにしてあげる事でしょ??
ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃんは言ってなかった?」
私の言葉にギルマスは一瞬目を見開いた。
どうやら私に二人の姿が重なって見えたそうだ。
「ふふふっ。これは参ったぁー。早速二人に連絡して説教を受ける事としようかなぁー。」
ギルマスはそう言って私に小声で"ありがとう"と呟いたのだ。
お兄ちゃん達は陽が沈む頃には戻って来た。
依頼を全てこなしてだ。
ギルドに顔を出す前に宿へと戻って来て私と合流した。
私も陽が沈む前には宿に戻って来ていた。
お兄ちゃん達と合流して依頼が終わったのでギルドへと報告へと向かう。
「依頼全て終わりました。確認お願いします。」
私達は依頼書と一緒に預かっていた品を全て渡した。
「ありがとうございます。確認に数日日数を頂きますがよろしいですか?」
受付をしてくれた職員にそう言われて私達は大丈夫ですと答えてギルドを後にした。
宿泊場へ戻って今後の予定を話することに。
「あのねお兄ちゃんたちが依頼をこなしている間にねギルマスと警備隊隊長と話をしてね...。」
と、昼間あった事を話そうとしたら...?!
「今度は何をやらかした?!」
「外壁でも壊したのか?!」
「もしかして、食べ過ぎて食糧難とか?!」
「それはあり得るかも!食料が足りなくなったから調達してこいとかかも?!」
好き勝手言うパーティーメンバーの言葉に多少イラッとしながらも私は我慢して笑顔で答えた。
「ハハハ。皆が私に対する考えがわかったわ。
南側の街の警備体制とギルド職員の業務体制について話をする事があってね、あまりにもずさんだったから見直しをする事になったの。
それに付き合うことになったからしばらくこの街に滞在日数を伸ばすことになるからね。」
笑顔でも淡々と話す私に顔色をなくすお兄ちゃん達。
私が怒っている事が分かったのだろう、必死に謝ってきたが暫く許さないことにした。
『では、お嬢様。その事は私からロドムカ達に連絡してもよろしいですか?』
気配を消していたドラしゃんがそっと私に声をかけてきた。
私は"お願い"とドラしゃんに頼むとドラしゃんは"任せを"と言って伝言ドラゴンを飛ばしてくれたのだった。
この日は私はドラしゃんとラミィお兄ちゃんと一緒に寝ることにした。
機嫌が治らない私にショックを受けたお兄ちゃんはメソメソしながら一人で寝る事に。
いつもは私と一緒に寝ているからだろうか、本当に寂しそうに寝ていたのだった。
その姿があまりにも可哀想で翌朝には機嫌を直してあげたら、その日一日お兄ちゃんは私にべったりだった。
これを見たパーティーメンバーは呆れつつも私が引き受けた臨時の仕事に付き合ってくれる事となった。
翌朝から早速私の元へ警備隊隊長と副隊長が現れた。
昨日夜遅くまで現在居る警備隊員を書き出してくれた様で、二人とも目の下に薄らくまが...。
「すまない朝早くから。でも少しでも早くこの街の警備体制をどうにかしたくって...。」
申し訳なさそうにする警備隊隊長に私は大丈夫ですと言って隊長達が持って来た紙に目を通していく。
警備隊員で働いている人は総勢100人。
その半数が元冒険者。
あとは、未経験だが警備隊に憧れて入った人やとりあえず何か仕事をしたくってと言う人が半数だった。
「現状としては、元冒険者に関しては一日小金貨一枚と大銀貨一枚が賃金だ。
それ以外の奴は小金貨一枚を賃金として渡してある。」
金額としては中央の街とは大きくかけ離れてはなかった。
「金額としては問題なさそうね。でも...。」
「この人数では街全体を警備するには少な過ぎますね。」
「そうだな。これだけの規模の待ちを警備するなら最低三百は居るな。」
「三百でも少ないかもしれませんね。」
「確か中央の街が現在千人規模の人数で対応してますからね。」
私達の言葉を聞いて落ち込む隊長達。
「隊長。本当に警備隊だけで街の警備をするんなら昨日話した様に時間体制で人を雇えば良いんですよ。」
私がそう話すとお兄ちゃん達も私の言葉に賛同して警備隊長達にアドバイスを送る。
「ああ。そうだね。」
「確かにな。中央の街もそうしてるからな。」
「そうですね。皆さん他にも掛け持ちしながら警備をしている人もいましたからね。」
「人によってはこの時間なら働きやすいって人も居ますからね。」
私達がそういうと警備隊長と副隊長は首を傾げながら私達に質問してくる。
「時間帯で人を??」
そんなふたりに私達は再度説明をする。
「そう。この街を二十四時間体制で警備をしたら良いのよ。
その為に、時間帯をある程度区切ってみるの。
あと、時間帯によって賃金もかえるの。
夜や早朝は昼間より高めにしたりしてね。」
「あと、固定給制にしてもいいですよね。毎月固定して働く人には助かるかも。」
「そうだな。月の休みがこれぐらいで時間帯はこうで、給料はこれぐらいでってやってやる方が人が集まりやすしな。」
「特に家庭がある人は決まった収入が安定してもらえる方が好む人が多いですからね。」
「確かに。固定給制と日払い制のニパターンあると良いかもな。
旅で来て臨時の収入目的で警備をしたがる人も居ますしね。」
私達の言葉を全てメモっていく隊長と副隊長。
「その、考え全て貰ってもいいか?」
隊長は遠慮がちに聞いてくるので私達は思わず笑ってしまった。
「別に気にしなくていいのに。この街が良くならどんどん試して見て!」
「そうですよ!頑張って下さい!」
「宣伝係が欲しいなら手伝うぞ。」
「良いですね。」
「微力ながらお手伝いしますよ。」
隊長と副隊長は感激の涙を流していた。
こうしてその日のウチに現在仕事をしている警備隊員を全て集めて新しい警備体制と賃金などについて話をする事になった。
もちろんその場には私達も参加する。
最初話を聞いた人達は不安そうにしていたが、私達から具体的な話を聞くと新しい警備体制等に納得してくれた。
それだけでなく、
「隊長!それなら俺のダチも誘っていいですか!」
「俺も!兄貴や弟を!」
と嬉しい言葉が次々と上がったのだ。
「新しい契約書は二日後迄に作成しておくわ!だから皆んな宣伝頼むわね!」
私がそう言うと皆んなオーー!!と手を挙げて協力してくれる事となったのだった。
リン:
これで警備の方はどうにかなりそうね!
アキラ:
リンって行動力あるね。
リン:
そう??
アキラ:
そうだよ。物怖じしないし。
私がいないので余分な買い物などがなくスムーズに調査をこなせていたのだった。
「リンがいないと不便な部分もあるけど余分な出費がなくていいよね。」
「確かに。この時間帯でも食堂なんかは開いてるからな...。」
「一軒一軒寄られたら全く進まないよね...。」
パーティーメンバーがそう私の悪口を言っていると保護者であるドラしゃんが軽く睨みを効かせると慌てて話題を変えだす。
「でもあんだけ食べて太らないのが凄いよね。」
「我が家ではリンだけだよ。あんなに食べるのは。父さんも母さんもそれなりに食べるけどリン程じゃないからね。」
「そうなんだ。それは意外だな。」
「だいたい親の誰かに似るのにね?」
「でも俺たちだって性格はセバスおじさんそっくりだって言われてるじゃない。」
「えっ?!そうなんだ。そうは思わないけどね?」
「ああ。あの人は冷静かつ気に入らない奴には容赦ない人だろう?」
「あまり関わらながないから詳しいことはわからないんだけど、母さんいわく子供の頃のセバスおじさんにそっくりらしいんだ。」
「それ、良く言われるよ。なんで私に似なかったのかしらって。知らないよって話だよ!」
そんな風に男四人で楽しそうに話をしながら依頼をこなして行っていたのだった。
そんな事なんて知らず私はギルマス達と話し合いをしていた。
私達の住んでいる街の業務体制について説明して、この街も勤務体制を変える方がいいとお説教をしていたのだ。
話を聞いたギルマス達は凍りついてしまったけどね。
あまりにも南側の街と違っていたからであろう。
そして...。
「...。」
「えっ?どうしたの?」
「...このままでは駄目だ!」
勢いよくそう言って立ち上がったギルマス。
「ヨシ!この街の改革をするぞ!!」
「はい??」
あまりの事に私はスットンキョンな声を上げてしまった。
「リン様!ありがとうございます。できれば引き続き協力をお願いしたいのですが...よろしいですか?」
どうやら私の話を聞いて街全体をよくするためにギルドや警備の業務改善を行う事を決めた様だった。
「えっ?!ああ。別に良いけど...私で良いの?」
「もちろん!!なぁー皆んな!」
ギルマスの言葉に警備隊隊長や副ギルマス達は頷いていた。
とりあえずどの様に変えていくかを更に話し合っていく。
まず先に警備隊の方から行う事にした。
変えるには、現在の警備隊の業務状況を把握することから始めないといけないので、どのような状況なのか話を聞いた。
すると意外にもずさんだった。
いつ誰が出勤してくるなんかは決めなく、その日の朝に集まった人達で対応をしていたのだ。
給料もその日払いがほとんどだった。
だから...
「実際に警備で働いている奴がどれだけ居るかはわからないんだ。
夜はギルドの方で冒険者に依頼して貰ったりしてるんだ。」
あまりの内容に私は驚いてしまい口が塞がらなかった。
「中央の街は日中も夜間もちゃんと警備隊の方で警備をしているわ。
誰が警備隊員かも隊長と副隊長で管理しているし、人によっては日払いの人もいるけど、ちゃんと"給料日"と言うのを決めていてその日に支払いをしているわ。」
今話をしている内容は、お父さんとお母さんがカシムじぃーちゃんに教えて実行に移した内容なのだが、このことはカシムじぃーちゃん達から教えて貰った事なので間違いない。
城の警備員や近衛隊の人達も給料制だったからそれはそのまま採用しているのだった。
「まずは警備隊として働いている人数をきちんと把握しましょう!
でないと人が足りているか足りてないか分からないでしょ?」
「わかった!」
そう言うと警備隊長は副隊長に連絡を取り隊員確認を行い出した。
連絡を取り終えると警備隊長は私の共へ戻ってきて他にすべき事を聞きに来た。
「あとは、賃金がいくならなのかを明確にすべきね。
中央の街みたいに街の警備全般をこなすなら人も多くないとできないからね。
人を集めるには仕事の内容、労働時間、賃金を明確に提示ができる様にしておかないと駄目よ。
皆は仕事をしてお金が欲しい人が多いと思うの。
でもどんな仕事でどれだけ働いてどれだけの賃金が貰えるか分からないと働きたくても不安で働けないわ。」
私の言葉をしっかり聞く警備隊長。
そしてギルマス達。
「私のこの知識はカシムじぃーちゃんやロドじぃーちゃん達からの受け売りだから偉そうに言うのはおかしいかもしれないけど大事な事だからね。」
私がよくルミばぁーちゃんが私達に説教をする時にするポーズをとりながら彼らに話をすると
「わかりました!ありがとうございます!」
なぜか敬礼をして私にお礼をいう。
その姿が可愛くて思わず笑いそうになったが、我慢した。
「あと、運営資金とか困る事があれば中央の街に連絡する様にしてね。この街の責任者に伝えといて...てギルマスか...。」
「ははは。そうなんじゃよ。ワシが一応この街の責任者兼ギルマスしてるからな。」
「街の運営資金とギルドなんかの運営資金は別で換算してるよね?」
「ああ。それはスティールミさんからコンコンと言われたから別にしてある。」
「皆が四方に散ってから連絡があまりなくなったからルミばぁーちゃん達も心配してるから困ったことがなくても連絡してあげて。離れていても私達は家族なんだからね!」
「ああ。そうじゃったな。わかった。」
「では、私は一度隊宿舎に戻ってこの話をしてきます。
まだこの街にいますよね?」
警備隊長は不安そうに聞いてきたので笑顔で返事をした。
「もちろん。この件が片付くまでいるわ。だからと言ってもダラダラしないでね?」
「分かりました!」
そう言って警備隊長は部屋を出て宿舎へと戻って行った。
「なるべく中央の街のコピーにはならない様にと独自の街にしようとしたのが裏目にでなのかなぁー。」
ギルマスはそう呟く。そんなギルマスに私はそっと肩に手を置いて話しかけた。
「完璧な街や国はないわ。私達がいる中央の街も日々トラブルを一つ一つ解決しながら過ごしているのよ?
それにコピーだなんて誰も思わないわ。一番大事なのはその街に住む人達が住みやすいようにしてあげる事でしょ??
ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃんは言ってなかった?」
私の言葉にギルマスは一瞬目を見開いた。
どうやら私に二人の姿が重なって見えたそうだ。
「ふふふっ。これは参ったぁー。早速二人に連絡して説教を受ける事としようかなぁー。」
ギルマスはそう言って私に小声で"ありがとう"と呟いたのだ。
お兄ちゃん達は陽が沈む頃には戻って来た。
依頼を全てこなしてだ。
ギルドに顔を出す前に宿へと戻って来て私と合流した。
私も陽が沈む前には宿に戻って来ていた。
お兄ちゃん達と合流して依頼が終わったのでギルドへと報告へと向かう。
「依頼全て終わりました。確認お願いします。」
私達は依頼書と一緒に預かっていた品を全て渡した。
「ありがとうございます。確認に数日日数を頂きますがよろしいですか?」
受付をしてくれた職員にそう言われて私達は大丈夫ですと答えてギルドを後にした。
宿泊場へ戻って今後の予定を話することに。
「あのねお兄ちゃんたちが依頼をこなしている間にねギルマスと警備隊隊長と話をしてね...。」
と、昼間あった事を話そうとしたら...?!
「今度は何をやらかした?!」
「外壁でも壊したのか?!」
「もしかして、食べ過ぎて食糧難とか?!」
「それはあり得るかも!食料が足りなくなったから調達してこいとかかも?!」
好き勝手言うパーティーメンバーの言葉に多少イラッとしながらも私は我慢して笑顔で答えた。
「ハハハ。皆が私に対する考えがわかったわ。
南側の街の警備体制とギルド職員の業務体制について話をする事があってね、あまりにもずさんだったから見直しをする事になったの。
それに付き合うことになったからしばらくこの街に滞在日数を伸ばすことになるからね。」
笑顔でも淡々と話す私に顔色をなくすお兄ちゃん達。
私が怒っている事が分かったのだろう、必死に謝ってきたが暫く許さないことにした。
『では、お嬢様。その事は私からロドムカ達に連絡してもよろしいですか?』
気配を消していたドラしゃんがそっと私に声をかけてきた。
私は"お願い"とドラしゃんに頼むとドラしゃんは"任せを"と言って伝言ドラゴンを飛ばしてくれたのだった。
この日は私はドラしゃんとラミィお兄ちゃんと一緒に寝ることにした。
機嫌が治らない私にショックを受けたお兄ちゃんはメソメソしながら一人で寝る事に。
いつもは私と一緒に寝ているからだろうか、本当に寂しそうに寝ていたのだった。
その姿があまりにも可哀想で翌朝には機嫌を直してあげたら、その日一日お兄ちゃんは私にべったりだった。
これを見たパーティーメンバーは呆れつつも私が引き受けた臨時の仕事に付き合ってくれる事となった。
翌朝から早速私の元へ警備隊隊長と副隊長が現れた。
昨日夜遅くまで現在居る警備隊員を書き出してくれた様で、二人とも目の下に薄らくまが...。
「すまない朝早くから。でも少しでも早くこの街の警備体制をどうにかしたくって...。」
申し訳なさそうにする警備隊隊長に私は大丈夫ですと言って隊長達が持って来た紙に目を通していく。
警備隊員で働いている人は総勢100人。
その半数が元冒険者。
あとは、未経験だが警備隊に憧れて入った人やとりあえず何か仕事をしたくってと言う人が半数だった。
「現状としては、元冒険者に関しては一日小金貨一枚と大銀貨一枚が賃金だ。
それ以外の奴は小金貨一枚を賃金として渡してある。」
金額としては中央の街とは大きくかけ離れてはなかった。
「金額としては問題なさそうね。でも...。」
「この人数では街全体を警備するには少な過ぎますね。」
「そうだな。これだけの規模の待ちを警備するなら最低三百は居るな。」
「三百でも少ないかもしれませんね。」
「確か中央の街が現在千人規模の人数で対応してますからね。」
私達の言葉を聞いて落ち込む隊長達。
「隊長。本当に警備隊だけで街の警備をするんなら昨日話した様に時間体制で人を雇えば良いんですよ。」
私がそう話すとお兄ちゃん達も私の言葉に賛同して警備隊長達にアドバイスを送る。
「ああ。そうだね。」
「確かにな。中央の街もそうしてるからな。」
「そうですね。皆さん他にも掛け持ちしながら警備をしている人もいましたからね。」
「人によってはこの時間なら働きやすいって人も居ますからね。」
私達がそういうと警備隊長と副隊長は首を傾げながら私達に質問してくる。
「時間帯で人を??」
そんなふたりに私達は再度説明をする。
「そう。この街を二十四時間体制で警備をしたら良いのよ。
その為に、時間帯をある程度区切ってみるの。
あと、時間帯によって賃金もかえるの。
夜や早朝は昼間より高めにしたりしてね。」
「あと、固定給制にしてもいいですよね。毎月固定して働く人には助かるかも。」
「そうだな。月の休みがこれぐらいで時間帯はこうで、給料はこれぐらいでってやってやる方が人が集まりやすしな。」
「特に家庭がある人は決まった収入が安定してもらえる方が好む人が多いですからね。」
「確かに。固定給制と日払い制のニパターンあると良いかもな。
旅で来て臨時の収入目的で警備をしたがる人も居ますしね。」
私達の言葉を全てメモっていく隊長と副隊長。
「その、考え全て貰ってもいいか?」
隊長は遠慮がちに聞いてくるので私達は思わず笑ってしまった。
「別に気にしなくていいのに。この街が良くならどんどん試して見て!」
「そうですよ!頑張って下さい!」
「宣伝係が欲しいなら手伝うぞ。」
「良いですね。」
「微力ながらお手伝いしますよ。」
隊長と副隊長は感激の涙を流していた。
こうしてその日のウチに現在仕事をしている警備隊員を全て集めて新しい警備体制と賃金などについて話をする事になった。
もちろんその場には私達も参加する。
最初話を聞いた人達は不安そうにしていたが、私達から具体的な話を聞くと新しい警備体制等に納得してくれた。
それだけでなく、
「隊長!それなら俺のダチも誘っていいですか!」
「俺も!兄貴や弟を!」
と嬉しい言葉が次々と上がったのだ。
「新しい契約書は二日後迄に作成しておくわ!だから皆んな宣伝頼むわね!」
私がそう言うと皆んなオーー!!と手を挙げて協力してくれる事となったのだった。
リン:
これで警備の方はどうにかなりそうね!
アキラ:
リンって行動力あるね。
リン:
そう??
アキラ:
そうだよ。物怖じしないし。
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