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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-37 宿泊街で大事件勃発?!!

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 食べた後は速やかに片付けを終わらして宿を探しに動くため露店街ではなく宿泊街へと向かうことに。

宿泊街は露店街の裏手側にある。
飲み屋街と混合してあるので道を歩いていると酔っ払いと遭遇するのだった。

この街は飲み屋の上が宿泊費施設になっている所もあった。

できたら飲み屋がない宿泊施設がいいと思い探していると...?!

前方から見慣れた顔の集団がやってくるのが視界に入った。
思わず私達は足を止めたが...止めた先が悪かった。

なんと私達が足を止めた場所は金を払えば男なら女を、女なら男を買って上の宿施設でコトをできる店の前だったのだ。

そんな事を知らない私達は普通に目の前から知った顔が来るから足を止めただけなのに...。

足を止めた事を今凄く後悔した。

何故なら、向かってきた一行はこの街のギルドマスターと副ギルドマスター。
それに私達の保護者二名だから。

私達がいることに気付いた彼らは手を挙げたのも束の間。
私達と一緒に視界に入った店に気付き顔を青ざめた。

そしてだ。

今現在。保護者二人が意味もなく店を破壊しようとしているのを全力で皆で止めているところなのだから。

「ちょっと!ドラしゃん!!ラミィお兄ちゃん!!待って!!ギルマスと副ギルマスも!!」

「な、なんだ!!てめえーらー!!俺の店になんか文句でも...げっ!!ギルマスに副ギルマスじゃーないですか!!
な、何かご用意って!!」

「あ!!駄目です!!落ち着いてください!!」

「皆んな!!助けて!!!!!!!」

店の店主が出てきて対応するも、出てきた店主の人相が悪く更にいらぬ誤解をする保護者二名。

このままでは罪のない店と人が犠牲になると思って、私は渾身の力を絞って叫ぶ。

すると...。
四人の動きが止まったのだ。
それ以外は普通に動いている。

えっ??と思ったら目の前の空間が歪んで彼らを止めた本人が出てきたのだった。

『やれやれ。人が仕事をしているのに...余分な仕事を増やさないでくれるかなぁ?』

「オリジン!!」

そう。【時の大聖霊 オリジン】が彼らの動きを止めてくれたのだった。

『まぁ~こんな店の前に主人たちがいるからこうなったんでしょうね。
はぁー。とりあえず、アンタが店主かい?
店とアンタに被害はあるかい?』

急に空間から出てきたオリジンに驚きながらも店の店主は答えた。

「へっ?ヘェ~。何もないです。」

『ならよろしい。では、主人コイツらを連れて動きますよ。すまなかったね。店主。』

そう言うとオリジンは動きを止めた四人と私達を自分の空間に連れ込み移動をする。

移動先は...冒険者ギルドのギルマスの部屋だ。

ギルマスの部屋に移動した私達と動きを止めた四人。

部屋に全員が降り立った事を確認すると、オリジンは止めていた動きを可動させた。

「おらぁーーっ???あれ?」

「えっ??」

「ここは??」

『まさか?』

『おい!大の大人が四人も揃って子供達に迷惑をかけるとは恥を知れ!!
いいか!!私は忙しいんだ!
では、主人またな。』

オリジンはそう言うとまた時の狭間に帰って行った。

あまりのことに驚く大人四人。
しかし冷静さを取り戻したので、ちゃんと起きた状況を理解してくれた様だ。

「しかし、なんたってあの店の前にいたんだ??」

「そうです!あの店がどんな店かご存知だったのですか??」

「リンやアキラに限ってそんな事ないですよ!!」

『そうです。そもそもなんであんな店を建てる事を許可したのですか!!』

ギルマス&副ギルマスVSラミィお兄ちゃん&ドラしゃんの闘いが始まりそうになったので、私はまた大きな声を出して止めに入った。

「ちょっと!!まって!!!あの店に関しては知らないわよ!!皆が目の前からやって来るから止まっただけ!!いい加減にして!!」

私がそう叫ぶと四人は静かになった。

「もう!!本当に落ち着いてください。そもそもあの店はなんなんですか??
居酒屋なんですよね?」

お兄ちゃんのその言葉に返答に困る大人四人。

アサくんと他の二人は店の雰囲気でなんとなくどんな店かはわかったようだった。

しかし。

「えっ?あの店、居酒屋じゃないの??だったら何?なんの店??」

私とお兄ちゃんは全く分からなかったので、純粋に知りたくて質問したのだが、その質問がこの大人四人に大ダメージを与えているとは思わなかった。

本気で返答に困っている大人四人。
先程までの威勢はどこへ消えたのやら。

でかい図体が段々と小さくなっていっていくではないか。

「リン。アキラ。やめてやれ。あの店はヤバい店なんだ。リンやアキラが入ったら襲われる危険性のある店だったんだ。」

あまりにも大人四人が気の毒に思えたのでアサくんが助け舟をだす。

「えっ!そうなの!!」

「そんな危険なみせだったの??そりゃ皆んな怒るよね。知らなくてごめんね。」

アサくんの言葉を信じて謝る私とお兄ちゃん。

大人四人はなんとか落ち着きを取り戻していつもの大きさに回復した。

「いやいんだ。あんな店があるのがいかんのだ。次までには取り壊ししとくからな!」

「ええ。そうですね。そうしましょう!」

「で?なんで四人はあそこを歩いてたんだ??」

アサくんが私とお兄ちゃんの代わりに質問してくれた。

すると...。

「可愛い小柄な女の子が大量の露店の食材を買い漁っていると言う情報を小耳に挟みまして。それなら宿探しはまだしてないと思いましてね。」

『ですので、宿をこちらでは見つけてあると話に行こうとしていたらもう移動されていたので、いるならあそこらだろうと思って歩いてたんです。』

ラミィお兄ちゃんとドラしゃんの言葉に今度は私が顔を真っ赤にして小さくなった。

「小柄で可愛い女の子って言えば私達の中ではリン以外知りませんから。」

『それに何より大量の食材を買い占めているあたりそうだと確信しましたよ。』

笑顔で話すラミィお兄ちゃんとドラしゃん。

ますます私は小さくなった。
こんなんだからいつまで経っても皆んなが私を子供扱いするのだとつくずくそう感じたのだった。












リン:
恥ずかしい...。

アキラ:
いいじゃないか。
探す方はたすかるよ?

リン:
ぐっ。でもなんか...悔しい...。

アキラ:
大丈夫。リンは可愛いから^ ^
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