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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-36 懐かしい家族との再会と露店の料理を満喫

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 街に入り直ぐに顔見知りと遭遇する事になったが、まだ依頼の途中な事もあり依頼完了後に伺うと言ってその場を離れた私達。

依頼主と一緒に最終目的地へと向かって荷物の積み下ろしの手伝いまで行い、依頼書に依頼達成のサインを貰う。

「今回はありがとうございました。あなた方に護衛をして貰って良かったです。
またあなた方に護衛を依頼したいと思います。その時はよろしくお願いします。」

初めましての護衛依頼で嬉しい言葉を依頼主から貰えたのは良好な事だ。

本来ならまだまだ未熟な私達の護衛にそこまで過大な評価をつけてくれるなんて思いもしなかった。

ありがたい言葉に私達は素直に御礼を伝えその場を後にする。

一つ目の依頼をこなしたので一度報告するために冒険者ギルドへと向かう事にした。

そうしないと...。

そう思って歩みを進めると...はははっ。
来ましたよ。

前方より笑顔で手を振りながら駆け足で寄ってくる顔馴染みが...?!!!

「ふ、増えてない?!!」

私達の嘆きは駆け寄って来た人たちによってかき消されてしまった。

囲まれたかと思ったら...気付いたら私達は冒険者ギルドのギルドマスターの部屋になぜか移動させられた。

私達の周りにはギルドマスターの他に顔馴染みのギルドの職員で固められているではないか。

皆は満面の笑顔で、私達の座っている席の前のテーブルには多種多様のお菓子が並べられていた。

いったいどんな状況なのか???

困惑する私達とは正反対に保護者二人は不機嫌そうな顔をしている。

「あーー。どれほど皆さんにお会いしたかったか...。
各街にそれぞれ派遣して街づくりを発展させるのに我々も色々大変だったからなぁー。」

「そうですね。それでも最初の頃は時々会いに来てくれたのに...。」

「ある日を境に...なかなか会えなくなったからね。
分かってるんだよ。でもね...。」

そう口々に皆は心の奥底に抱えていた鬱憤を吐き出し出す。

ここにいる人達はこの国の初めての街づくりから一緒に関わって来た人達ばかりだ。

中には以前住んでいた国から一緒に過ごして来た人もいる。

私やお兄ちゃんにとっては家族のような人達ばかりだ。

そんな人達がなぜここに?と思うでしょう?

四方に街を作った時、同盟国との窓口にそれぞれの街を発展させる為に何人か主力となる人達を派遣していた。

その時、南側の街へ行った初期メンバーばかりだ。

それぞれの街へ行った時は私達兄弟と両親はドラしゃんとムキじぃーちゃんの付き添いで毎週交代で各街へと顔を出していた。

それは、派遣して行った彼らに食料品などの物資を届けるためと街の発展の状況を確認する為に行っていたからだ。

しかし、ある程度それぞれの街がある程度発展しているのを確認すると訪問する回数を少しずつ減らしていき、最終的にはほとんど行かなくなったのだ。

もう大丈夫と言う安心感もあったのだが、私とお兄ちゃんが冒険者になるための勉強をするために時間が割けなくなったのだ。

それに関してはそれぞれの街へとちゃんと報告は入れていた。

報告は入れていたが...それでも寂しかったようだ。
でもそれは彼らだけでなく私達も同じだった。

皆んなあーだーこーだーと言うっているが、目はすごく嬉しそうな目をしている。

私とお兄ちゃんは互いに顔を見合わせて微笑すると皆は話をやめて私達をじーっと見つめていた。

「お前さん達がこの街へ冒険者として来ると連絡を受けた時はそれはそれは嬉しかった。よかったな。冒険者になれて。」

ギルドマスターにそう言われて私とお兄ちゃんは笑顔ではい!と返事をした。

「所で暫くはここに滞在できるのか?」

副ギルドマスターがギルマスを押しのけて質問して来た。
どうやら他の人達もそれが気になっていたようだ。

私とお兄ちゃんはパーティーメンバーと話をしてから返事を返した。

「実はもう一つ受けている依頼があるので、それが終わるまではここに滞在する予定です。」

私の言葉に皆は嬉しそうにする。

「じゃー今日は宴会だ。この街一番の食堂を貸し切ってやるぞ!!」

「あと、お前さん達に依頼したい事が幾つかあったからそれも頼めるか?」

「お金を払って頂けるなら可能です。」

私達が返事をする前にアサくんが返事を返す。

「そりゃー依頼だから金は払うって!!」

「なら受けます。」

「なんだコイツ!可愛げがないなぁー!!」

アサくんの対応に不服を言う職員の方々。

それでもアサくんは平然としていた。
そう言うアサくんの態度ってカッコいいと思う半分、怖いもの知らずでハラハラするのだ。

私達はとりあえず暫く泊まる宿を探すためにギルドを後にした。

保護者二人は職員の方々と話をする事があるそうなので後で合流すると話してくれた。

私達はこの街を散策しながら宿を探す。

街は最初の私達が作った時より遥かに建物数が増えて雰囲気がかなり変わっていた。

以前の街も良かったけど...。

「今の街もいいね。リン。」

お兄ちゃんがそう言って街を見渡す。
私はそんなお兄ちゃんの言葉に笑顔で頷く。
だって私達が住んでいる中央の街も最初の頃より遥かに変わったからね。

人が増えると建物も増えるから少しずつ雰囲気が変わる。それもいい方向へと。

「街作ってよかったな。」

黄昏ている私とお兄ちゃんにアサくんがそう声をかけてくれた。

「そうだね。」

「よかったよ。」

私とお兄ちゃんは笑顔で答える。

それからもしばらくパーティーメンバーで待ちを散策した。

露店が多いからどこを歩いてもお腹を刺激するいい匂いが...。

グーグルル~。キュルルルゥ~。グー。
とそれぞれのお腹が空腹を訴え出す。

「お兄ちゃんどうする?」

「お腹...空いたね。」

「俺もさすがに無理だ。」

「私もです。」

「私も。」

どうやら皆の気持ちは同じだった様だ。
お腹の虫のアピールが凄まじくなったので、今回は皆もお腹の虫の訴えに素直に応じる事にした。

「とりあえず皆んなで手分けして買いあさって食べない?」

「いいね。でも、リン我慢できずに先に食べるのなしだからね!」

「分かってるわよ!」

「じゃーどこに集合する?」

「あちらでどうですか?」

「あそこだとわかりやすいですね。」

「じゃー皆んな美味しいもの沢山買い漁って来てね!!」

「「「「まかせて、ろ!」」」」

集合場所は少し露店街の外れにある大きな木の側に集合となった。

それぞれ手分けして露店を回ると、この街の人達は気前がいい人が多いのか...私が買いに行くと普通に大盛りにしてくれたり、値段もかなり安くしてくれたりと私にとってはありがたい状況だ。

ソース焼き麺(焼きそば)が五人分が全て大盛りで中銀貨一枚。
(本来なら中銀貨六枚必要。)

オム焼き(お好み焼き)が五人分一人三枚(合計十五枚)で中銀貨二枚。
(本来は中銀貨十二枚必要。)

などそんな感じで安く大量に購入できて気づいたら自分一人だけでは持てないぐらいの量になったので【聖獣】達を呼び出して運ぶのを手伝ってもらった。

クラーケンソース焼き(イカ焼き)
オクト丸包み焼き(たこ焼き)
ポーク焼き(ホットドッグみたいなやつ)
など次々と購入していく私。

『主人。もう...いいのでは?』

『そ、そうですのう。他の人達も買って来るのう。』

『も、もう前が...。』

荷物持ちを手伝ってもらっている【聖獣】達も限界が来ていたので私は購入するのをやめて待ち合わせ場所へと向かった。

待ち合わせ場所へ向かうともうすでに皆が戻って来ていた。

私が一番最後だった上に一番大量に買い込んで来ていたようだ。

私が買ってきた量を見てまだ食べてもないのに皆が胸焼けを起こしかけていた。

「リン...お前どんだけ金使ったんだ?」

「買いすぎだよ。」

「これ全部食べる気ですか?」

「なんか...まだ食べてないのに...うぷっ。」

私的にはまだ少ないと思っているのだが、皆的には多いと言うので多いのだろう。

もうお腹も限界なのでここで食べる事にした。
シートを敷きそれぞれ購入して来たものを並べていく。

皆馬平均的に二品か三品しか購入していなかった。
それに比べて私は...。

「リン。お前十五品って...露店をほぼ制覇してないか??!」

「リン。さすがだね。」

皆に多少馬鹿にされたが、買ってきたものはどれも美味しくて私が食べ尽くす前に皆もしっかり食べていた。

「でも、本当にここの露店の食べ物美味しいね。」

「うん。でもどこかで食べた事ある味だよね。」

「あっ!それ私も思いました。」

「....。」

「...はは。」

そう。この露店で売られている料理は全てお母さんが考案した料理だ。

お母さんが作る料理がどれも美味しくて、レシピを売って欲しいと言う人達があとを立たなくって、ルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃんとで相談した結果、商業ギルドにてお母さんがよく料理する料理のレシピを商品登録して売ったのだ。

そうする事によって、料理をしたい人はレシピをお金払って手に入れられるし、アイデアを売ったお母さんにも利益が入るのだった。

お母さんが商品登録したレシピは数多く、今やこの世界の人達が普段食べている料理のほとんどというくらい浸透している。

しかし、それでもお母さんのお母さんやお父さんのお母さんから受け継がれている"お袋の味"レシピは門外不出だ。

こればかりはさすがにお母さんは登録しなかった。

だからそれを食べれるのは我が家のみで作れるのはお母さんと私。そしてお父さんしかいないのだ。

それを知っている私とお兄ちゃんは、多少複雑な気持ちで食べているが...皆んなが美味しそうに笑顔で食べている姿を見たら嬉しかった。

無理だと思われた料理のは全て皆の胃袋に収められた。
途中からは魔獣達も参加して食べ尽くしたのだ。

「なんかこんだけ美味しい料理だともう暫くここに居たくなるよなぁー。」

「わかるわぁー。」

「なんか、ゆっくり出来そうな感じがするしね。」

「でも、ちゃんと依頼はこなさいとね。」

「そうだな。それにあまりゆっくりしすぎると、街の皆が迎えにきそうだわ。」

私の言葉に皆は暫く考えこんで...顔を青ざめていた。

何せ本当にリアルに起こりそうな出来事だたからだ。

「それはまずい!」

「そうなる前に依頼をこなして戻ろう!」

「そうだね。」

「そうれが一番いいよ!!」

焦り出す四人。
まぁーそう言っても一番迎えにきそうな人が一緒に居るから大丈夫だとは思っていても私はあえて言わなかった。

なぜなら、買ってきた量を馬鹿にしたコイツらが悪いからだ。ふっ。

お腹も起きた事なので、片付けをして本日泊まる宿を探す事にした。

しかし、その手間は私達の知らぬ間に解決しているとはその時の私達は知るよしもなかった。







リン:
やばい。この街お母さんの料理で溢れている!!

アキラ:
すごいね。見たことあるメニューばかりだと思ったけど...。

リン:
でも。まるまるお母さんの味ではないね。
ちゃんと工夫されてる。

アキラ:
そうだね。食材も多少変えてあるしね。
でも。

リン:
でも。

リン・アキラ:
お母さんの作る料理の方が一番。
















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