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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-15 次の依頼は...森での討伐依頼!

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 鉱石の採掘依頼を無事に終わらせた私達は、街に再度戻ってギルドへ直行した。

お兄ちゃんとアサくんが代表で採掘した鉱石をカイムさんとお父さんとドムじぃーちゃんに見てもらっている間、私と残りのメンバーで次の依頼を何にするか掲示板を眺めて待つことにした。

ソロとパーティーと両方探してみていると、いくつか気になるものが。

今日向かった森での魔物の素材集めの依頼と鉱山荒野での魔物素材集めの依頼が新たに出ていたのだ。

素材に関しては集める制限はパーティー一つに対して、最大三十までと決まっている。

そして、素材集めの依頼は一度受けたら同じ依頼を受けるのには二週間ほど間隔を空けないと受けられない仕組みになっている。
これは乱獲防止対応のためだ。

たいしたレベル上げにはならないが、収入を増やすにはうってつけの内容となっている。

私は一緒に掲示板を見ているメンバーに声をかけた。

「ねぇー、今度この依頼はどう?」

「えっ?どれだ?」

「あっ!素材集めですか?」

「魔物の素材集めてですか?いいんじゃないですか?」

「私達の訓練にもなっていいですね。戦闘がないと身体がなまってしまうからね。」

「じゃーこれにしてもいい?」

「いいんでないか?」

「僕もいいですよ。」

「私もいいですよ。一度行った場所ですから迷子にはならないと思いますし。」

「私も問題ないです。」

私達がそう話ししていると、聞き耳を立てていた保護者二人が会話に割って入ってきた。

「この程度の魔物でしたら、王子達でも問題ないでしょう。いざとなったら餌ぐらいにはなってくれそうですし。」

『お嬢様は決して先頭切って魔物に挑んではいけませんよ?危なくなったらそこのバカ二人を餌にして逃げるのですよ!』

保護者ふたりの言葉に言われている王子ふたりもそうだが、私達もギョッとした。

「ちょっと待て!なんで俺達が餌にならんといかんのだ!」

「えっ?!嫌ですよ!」

王子二人が必死にドラしゃんとセバしゃんに食ってかがるが、無駄な抵抗状態に見える...のは気のせい??

王子二人の言葉に対してセバしゃんとドラしゃんは平然と言い返す。

「何を言ってるですか?良いところを見せるところですよ?
ピンチになったら自分の身を挺して女性を守ってこその男です!」

『そうだ。普段対して役に立たないんだから、そういう時ぐらい役に立たないでいつ役に立つですか?』

セバしゃんとドラしゃんの言い分では、私が何かをやらかしてピンチになる前提で話をしている。

さすがにそこまで私も無茶はしないと言いたいところだが...自信がないのでひたすら黙っていた。

「といいますか、あの二人はずっとバカ呼ばわりされている事に関してはなんともないのですね。」

「たしかに。ずっとバカ呼ばわりされているのに...一応一国の王子ですよね?」

セバしゃん達のやり取りを聞きながら、レビレットとライルネが不思議そうに私に質問してきたので、私はそれこそ平然と答える。

「えっ?本当の(バカ)事だからいいんじゃない?セバしゃんなんか世話かがりだよ?その人が言ってるんだから問題ないよ。」

私の答えに二人は苦笑いを浮かべる。

「そんなものなんですね。」

「わかりました。」

そんな感じの会話んわいわいしているとお兄ちゃんとアサくんが戻ってきた。

どうやら採掘した鉱石は問題なかったようだ。

「依頼は完了したよ。明日、今日受けた依頼の報酬を受け取りに行ったら完全に終わりだよ。」

「どうした?次の依頼にいいのはあったか?」

お兄ちゃんとアサくんに声をかけられて私は二人に駆け寄り答える。

「お兄ちゃん、アサくん。今度この依頼はどう?」

私はそう言って、先程まで皆で話していた依頼の書類を二人に見せる。

「へぇー魔物の素材集めか。いいね。」

「ああ。魔物のレベルと丁度いいし、場所も今日行った所ばかりだからな。」

お兄ちゃんもアサくんも良い反応を示してくれたので、この依頼を受ける事にした。

私は早速依頼の紙を受付に持って行く。

「コイムさん!明日、この依頼を受けたいです!」

私がそう言って受付にいるコイムさんに声をかけると、作業の手を止めて私が持って来た依頼書に目を通してくれた。

「これですね。わかりました。受理しておきます。
一応明日、こちらに寄ってから依頼に行ってくださいね。」

「わかりました。」

私はそう言って受理サインの付いた依頼書をコイムさんから受け取り、お兄ちゃん達の元へ戻って明日の段取りを決めた。

セバしゃんは王様もこの街に暫く滞在すると言うことで明日も私達に同行するという。
もちろん手出しはしない条件でだ。
ドラしゃんも同じ条件でついてくる。
(こちらは条件なしでも付いてくるだろうけどね。)

今日と同じ時間にギルドで待ち合わせにして本日は解散する事にした。

私とお兄ちゃん、アサくんはドラしゃんと一緒に、それ以外のメンバーはセバしゃんと一緒にそれぞれの家に戻って行く。

途中アサくんとは分かれ、家までの道中お兄ちゃんとドラしゃんと【聖獣】達とで明日の段取りを話した。

次の依頼も【大聖霊】の召喚、使用は禁止となっているからだ。

そこで上空からスカイとフウちゃんで魔物を探してもらって、他の【聖獣】達で陽動して私他の所まで誘き寄せて一気に狩とる作戦でどうかと提案してみた。

もちろん他のメンバーにも確認はしてからとなるが...。

するとドラしゃんから意外な注意と指摘を受けた。

『アキラ様はともかく、お嬢様は魔物と闘うのは初めてです。相手がもふもふしていても油断しないでくださいね。』

「そうそう。魔物って一見動物に見えるやつもいるから、リン油断は駄目だよ?可愛いなりして凶暴なのもいるから。」

「えっ?そうなの?もふもふは正義だよ?そんな凶暴なんて...。」

『どう言う理論ですか?もふもふしていても魔物は魔物です。むやみやたらに抱きついたりしないようにして下さいね。』

お兄ちゃんとドラしゃんから意外な注意を受けた私。

「はーい。」

不服そうに返事をすると二人は心配そうに見つめてくる。

「明日は僕がしっかりリンを見張ってます。」

『その方がよろしいでしょう。下手したら魔物に飛びつく恐れがありますからね。』

とても失礼な話をする二人。

その会話を【聖獣】達も笑いながら聞いていた。

『主人は本当に生き物がすきですよね?』

『そうそう。よく"ブラッシング"って言うのをしてくれるから、自分で毛繕いしなくてもサラサラですよ。』

『主人は撫で方もいいんですよね。』

『あの手捌きはヤバいですよ!』

【聖獣】達は【聖獣】達で楽しそうに私の話をする。

(だって、もふもふする生き物は全て可愛くて、私中では正義なんですから!)
私は心の中でそう呟きながら目の前のもふもふ達の会話を聞きながら歩くのだった。


 次の日。いつものようにギルドへ向かうと丁度皆がギルドに到着するというナイスなタイミングだった。

ギルドの入り口で合流して中に入って行くと、いつもながら盛況の状態。
色んな冒険者や商人でひしめいていた。

この国のギルドは冒険者と商業が一体型だからなお人が多くいるように感じる。

でも、一体型にしているためかなり空間的にはゆとりある設計で、ちゃんと案内掲示板を出してあり、わかりやすくしている。

何回か改装と増築を繰り返して今のギルドになっているんだよね。

最初はホテルのような感じのギルドだったのに、いまや大型ショッピングセンターの様なギルドになっているのだから。

建物をやり直すたびにお父さんとドムじぃーちゃんの技術が格段に上がっているのが分かる。

建物の構造もそうだが、細かい飾り細工まで全て二人で創り上げているのだから凄いものだ。

その技術力の高さでお父さんはこの世界に来て数年で建築・鍛治・工芸の工房主の仲間入りを果たし、マスターの称号を得ている。

そのお陰でお父さんはここ数年ひっきりになしに依頼が来て、各地へと私達兄妹を差し置いて旅をしながら仕事をしていたこともあるのだ。

今はなるべく家族と過ごす様にする為に街から出る仕事は制限してくれている。

その分朝早くから夜遅くまで仕事をしているため、ほとんど一緒に食事をとれていない。

それはお父さんだけでなくお母さんもだ。

お母さんはこのギルドにいる人々が着ている服や装備品ならびにアクセリーを作成しているこの世界ではすでになの知れた職人の一人となっている。

最初は私やルミばぁーちゃん達など街の人達の衣服や小物品などを作って提供していたのが、同盟国の王様達の目に留まり依頼して来たのが始まりだ。

私が5歳頃まではなるべく仕事を制限して側にいる様にしてくれていたが、年々依頼の数が多くなってくるため6歳になって学童所(学校みたいな所で、ルミばぁーちゃんが発案して街に作った)に通い出したのをきっかけに仕事幅を広げて行った。

両親が生き生きとして仕事をしている姿を見るのは嬉しかったが、寂しくはないと言ったら嘘になる。

でも、両親が側にいない分ドラしゃんや他の人達ご常に側にいてくれたのでそこまで凹む事もなかった。

何より両親は必ず週末は一緒にいてくれたから、それで十分だった。

一緒にご飯を食べれなくなっても、朝起きたら必ずテーブルには両親からの手紙があったしね。

何より私達家族がこの世界の人達の役に立つ事ができていることが何より嬉しかったからね。

私はギルドの建物を見ながら物思いに耽っているとお兄ちゃんに声をかけられた。

「リン!何してるの!受付頼むよ!」

私はハッとして、慌てて受付へと向かった。

「ごめん!コイムさんお願いします!」

私は昨日受理印を貰った依頼書をコイムさんに見せる。

「確かに確認しました。では、本日も気を付けて頑張って下さいね。」

コイムさんは笑顔で私に依頼書を渡してくれた。

「もちろんです!終わったら直ぐに来ますね!」

私は依頼書をコイムさんから受け取りお兄ちゃん達の元へとかけて行く。

「では、行くか?」

アサくんが皆の顔を見て声をかける。

皆で頷いてギルドを出た。
もちろん保護者付きだ。

本来ならあり得ないが、暗黙の了解の様な状態だった。

他の冒険者やギルドの職員さん達は私達を温かい目で送り出してくれる。

門へ行くと今日はラディじぃーちゃんと見習いの兵士の人がいた。

あれからこの街の兵士の人達の人数も格段に増えた。

ムキじぃーちゃんやラディじぃーちゃん達に憧れて冒険者達が兵士に転職したり、引き取った孤児院の子達が兵士に志願したりとしたからだ。

もちろんそんな人達を鍛えるのはラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃん。

そして、依頼がない時はムキじぃーちゃんも指導に加わっていた。

「おっ!リン、アキラ達じゃないか?!今日はどこに行くんだ?」

私達の存在に気付いたラディじぃーちゃんが声をかけてくれたので、私達も元気よく返事を返す。

「森に魔物の素材集めに行くの!」

私がそう答えるとラディじぃーちゃんの尻尾が揺れ出す。

「何!ならじぃーちゃんも行こうか?」

「えっ!?大丈夫よ!お兄ちゃん達が居るし、ほら、後ろ見て!ちゃんと居るから大丈夫よ!」

私がそう言うとラディじぃーちゃんは私達の後ろを見る。

「お前ら...なんで当然の様に居るんだ?」

呆れ顔でラディじぃーちゃんは私達の背後で当然のようにいる二人に声をかける。

「えっ?何を言っているのですか?リン様が居るのですよ?居るのは当たり前でしょう?」

『そうだ。お嬢様が居るのに側に居るのは当たり前だろう。』

セバしゃんとドラしゃんの返答にため息をつきながらラディじぃーちゃんは言い返す。

「いやぁー...。フレアはともかくよ、セバス。お前はせめて王子達が居るからにしてやれよ。」

「あー。居ましたね。この二人は親に似てしぶといですから大丈夫です。」

「...。そうですか。」

ラディじぃーちゃんはもうこの二人に何かを言うのを諦めた感じだった。

そんな大人達の会話にバカ二人が割り込み声を上げるが、誰も相手にしていなかった。

私とお兄ちゃんは苦笑いをするしかなく、アサくんは呆れ顔。
王子二人はセバしゃんに泣きついていた。

レビレットとライネルはセバしゃんの言葉に驚いた表情をしていた。

見習い兵士は一人オロオロしていたのだった。

「リン。アキラ。森の魔物は弱いのがお多いのが油断はするな。
危険を感じたなら王子を盾にして帰って来いよ。」

ラディじぃーちゃんはそう言って私とお兄ちゃんの肩をしっかり抱えて説明して来た。

「どこかで聞いた台詞...。」

「デジャヴ?」

そんなこんなでどうにか街から出て、依頼地の森へと向う私達。

森に入る前に陣形の確認をした。
お兄ちゃんとアサくんが先頭を言って私が真ん中に。

両サイドを王子二人が後方をレビレットとライネルが...あと保護者二人が担当する事になった。

私は陣形の真ん中にいながらも探索(サーチ)というスキルを使って魔物の位置や数を確認する役割をになった。

ちなみに私の会得しているスキルや魔法は数知れず。
幼い頃から無自覚に使用して会得したものが大半です。

だから私のステータスを本気で見ようとしたらとてつもない事になっているらしい。
(私は自分で確認したことないからあまり詳しくは知らないんだよね。)

冒険者登録をする時は能力の一部を伏せて登録してあるのだ。
そうでもしないとコイムさんが倒れてしまうからね...。

ちなみに保護者二人は私達に命の危険が生じない限りは手出しをしないと約束してくれた。

さて陣形も決まったので早速森に入っていく。

今回の依頼の魔物の素材は指定はされていない。
この森にいる魔物ならなんでも可能となっていた。

なので、森に入って直ぐに反応した昆虫型魔物キャタピラー(あおむしみたいな奴)5匹を討伐する事にした。

「お兄ちゃん。あと数本歩いたところに昆虫型の魔物が5匹いるよ!気をつけて!」

私がそういうとお兄ちゃんとアサくんをはじめとして、皆が武器を構える。

目の前の茂みを数本歩いたところに居ましたよ。
昆虫型魔物キャタピラーが5匹。

お兄ちゃんとアサくんは魔物の姿を見ると一度私を見る。

私は首を傾げならお兄ちゃんとアサくんを見ると、二人は"よし!"と言ってキャタピラーの討伐を開始した。

お兄ちゃんとアサくんがキャタピラーの討伐をしている間に私は、他の魔物の探索をする。

王子二人やレビレットとライネルは周りを警戒しつつお兄ちゃん達の戦闘を観察していた。

右側の茂みの奥約三メートル先に魔物を三匹確認。

姿ははっきりわからないがまぁーまぁー大きそうな魔物だ。

それ以外は今の所魔物の姿は確認できなかった。

私達のそんな様子を保護者二人はしっかり見守っていた。

「リン様の探索はどの程度いけるのですか?」

『はっきりした事は言えないが...やろうと思えば同盟国全てあの街でいながら調べる事は可能だ。』

「はい?」

『お嬢様が6歳の頃旦那様と奥様が各地に仕事で出かけていた時に、寂しいからと探索を使って動向を調べていたみたいなんだ。それで判明したのがそれだ。』

「嘘でしょ?」

『本当だ。それでもまだまだ余力はありましたから、本気を出したらこの世界全てを調べる事は可能なのかも知れませんね。』

「....。」

そんな会話をされている事にも気付かず私達は集中していた。

なんなくキャタピラーを討伐して、《真白の糸》を二つ得る事ができた。

《真白の糸》ましろのいとと呼ばれ、この森にいるキャタピラーのみが生み出す真っ白な糸の素材。

キャタピラーを十匹倒して一つ得る事ができたら良い品物。

この糸で作られるものは丈夫で長持ちするのだ。


出だしにして上乗だ!

「お兄ちゃん。少し離れた所にも魔物がいるよ。どうする?
魔物の正体まではわからないけど...。」

私の言葉にお兄ちゃんとアサくんは話し合っていた。

私達はお兄ちゃんとアサくんの話し合いの結果を待つ事にした。
その間も周囲への警戒はぬからず行った。

すると先程まで少し遠くに感じていた魔物の気配を若干近くに感じた。

なんと離れた場所にいた魔物がこちらに向かって来ているのだ。

私達の存在がわかったのか、それともたまたまなのかはわからない。

私は急ぎ皆に伝える。

「大変!魔物が三体こっちに向かってきていわ?!スピードはゆっくりだから私達の存在に気付いているのかはわからないけど...どうする?」

私の言葉にお兄ちゃんとアサくんはこの場から直ぐに離れる様に決めた。

私達はなるべく物音を立てない様にその場から離れた。

もちろん私は探索をしながら移動した。
近寄ってくる魔物の進行先も確認しながらも他に魔物がいないかもだ。

先程の場所から数キロ離れて小高い山の様な所まで来て一度後ろを振り返った。

すると数分前まで私達がいた場所に大型の熊みたいな姿をした魔物が三頭いた。

「あんの見た事ないぞ!」

「僕もだよ。」

「てか、あんなのが森にいるのか?!」

「えっ!嫌ですよ!」

「おかしくないか?」

「本来この程度の森ならいたとしても昆虫系の魔物か中型の動物系魔物ぐらいでしょう?どこからどう見てもあの魔物大型ですよ?!」

「あんなの知らないわ。なんなの?もふもふしてないし!可愛くない!!」

「「「「「「えっ?!そこ?」」」」」」

私の言葉に皆は唖然。

パーティーメンバーとは正反対に保護者二人はかなり冷静に状況を判断していた。

「確かにおかしいですね。あんなのがいたらギルドに報告があるのでは?」

『ああ。どうやらあの魔物は他所から来た可能性がありますね。ここらでは見ない魔物ですから。あの場所から離れて正解ですね。』

保護者二名もあの魔物の存在には驚いている様子だった。

どうやら本来この森には存在しない魔物らしい。

「ここからだとはっきり分かりませんが、あの大きさならAランクパーティーだとなんとか討伐できるレベルだと思いますね。」

『低く見積もってBランク程度あればなんとかなるでしょう。
しかし、あくまでも"見た目"だけです。
実際に見てみないと微妙な所ですね。』

二人の言葉に私達の顔色は青ざめていく。

初めての討伐依頼で飛んだハプニングに遭遇するとは...。

私達は息を潜めて小高い山の様な所から様子を見ていたら、魔物は地面の匂いを嗅いでいた。

そして私達がいる方をじっーと見てきたのだ。
距離が離れているから大丈夫だと思ったが、そうは上手くいかなかった。

どうやら離れた場所にいた私達の存在に気付いた様で雄叫びをあげて小走りにこちらに向かって走ってくるのが分かった。

「えっ?!なんで?!!こっちにくるんだけどぉ~(泣)」

半泣きになりながらお兄ちゃん達を見ると皆は固まっていた。

これじゃーダメだ!

私は意を決して今の場所から魔物へ向かって移動した。

それに気付いたセバしゃんとドラしゃんは大慌て。

「リン様?!」

『お嬢様?!!』

二人の声にお兄ちゃん達も我に帰り私の姿を探した。

私は魔物に向かって全身中。
魔物も私達の方へ向かって小走り中。

あと少しで接触する所で私は止まり念じた。

セバしゃんとドラしゃんが攻撃しようとしたが何やらを感じて様子を見ることにした様だ。

急に止まった私に更に顔色をなくすお兄ちゃん達。

全く動こうとしない保護者二人に何かを言おうとした時だった。

上空に光輝く槍の様なものが現れ、それは私の方へ向かってくる魔物へと向けらた。

魔物はそれに気付かずにひたすら私に向かってきていた。

「ドラしゃん。あれ...なんですか?」

『分かりません。しかし、お嬢様が何かの魔法を発動させた様です。』

ドラしゃんの言葉に皆はその場から動かずに私の方を見ていた。

上空に浮かぶ光槍の様なものは段々と数を増やしていく。

そして...。

「神光の槍。」

私が一言呟くと上空に発生た大量の光の槍は魔物に向かって飛んで行ったのだった。

それと同時に魔物は私の姿を視界に収めて飛びかかってきたのだが...あと少しで魔物の爪と牙が私に届きそうな感じになった時だった。

私が作り出した魔法の槍が魔物達を貫いたのだ。
槍に貫かれた魔物は絶命した。

「...良かったぁ~。なんとかなって。」

目の前でこときれた魔物を見て私は大きく息を吐いてその場に座り込む。

地面に座り込んだ私の姿を見て皆は急いで駆け寄ってきた。

「リン!」

「リン様!」

『お嬢様?!お怪我は?!』

皆の声に私は苦笑いしながら答える。

「へへへっ。大丈夫よ。初めて使ったけど上手くいったわ。」

私の言葉に皆らホッとしていた。

「リン。いつのまにあんな魔法を覚えたんだ?」

お兄ちゃんは不思議そうに聞いてきた。

「えっとねぇ~。【大聖霊】達から教わったの。他にもいくつか教わったけど使ったのは今回初めてよ。
無事に成功して良かった。」

私の言葉に皆の目が点になっていた。

「えっ?初めて?」

アサくんがそう言ってきたので頷いた。

「マジか?」

「本当ですか?」

王子二人の言葉にも頷いた。

「リンちゃんは凄いね。」

「ええ。」

「今回上手くいったから良かったもののダメだったらどうするつもりだったのですか?」

セバしゃん達の言葉に私は平然と答えた。

「ダメだったらドラしゃんが絶対どうにかしてくれると思ったから。」

私の言葉にドラしゃん以外の頭を抱えてしまった。

『当たり前です。お嬢様には指一本触れさせまんからね。』

ドラしゃんは当然かの様に答えてくれた。

「とりあえずこの魔物どうにかしましょう。私しばらく動けないからよろしくね。」

私がそう言うとお兄ちゃん達が魔物の方へ視線を戻した。

するとセバしゃんからとんでもない言葉が飛んできた。

「えっ?!コイツはドルベアギングではないですか?!S級クラスの魔物ですよ!!本来なら標高高い山奥にいる魔物ですよ。なんでそんなものが...。」

セバしゃんの言葉に皆はえーっ!!と叫んでしまった。

「セバス本当なのか?!」

王子がセバしゃんの言葉に食いつくと、セバしゃんは頷きながら答える。

「ええ本当です。この魔物をそのまま持って帰りましょう。気になる事もありますし、本日は一旦帰りましょうか?」

セバしゃんの言葉にドラしゃんも頷いた。

『そうですね。お嬢様も動けそうにないのでその方がいいでしょう。
魔物は解体せずにこのまま持って帰りましょう。』

そう言ってお兄ちゃんに浮遊魔法を使う様に伝えた。

お兄ちゃんはドラしゃんの指示に従って浮遊魔法を使って魔物を浮かせた。

帰りはアサくんと私を抱きかかえたドラしゃんが先頭を行き真ん中を魔物を浮かせながら移動するお兄ちゃん。

右サイドを王子二人、左サイドをセバしゃんが。

一番後ろはレビレットとライネルが。

S級クラスの魔物が出たので帰りは行きよりかなり気を引き締めていた。

低級レベルの魔物はドラしゃんのオーラでビビって全く出てこなくなったのだ。

おかげでスムーズに街に帰れた。

街の門の所では私達の状況を見たラディじぃーちゃんの指示でギルドからロドじぃーちゃんが呼ばれてきていた。

ロドじぃーちゃんだけでなく、もちろんいつメン全員が集まっていたのは言うまでもない。

その為ギルドに行かず街の入り口で状況を説明することにした。

まぁ~たいした説明をしなくてもお兄ちゃんが浮かせている魔物を見れば一目瞭然だけどね。

魔物を見ていつメンは騒然としたのだった。










リン:
私頑張ったよ!

アキラ:
凄いよ!

リン:
でも魔力を使った反動が酷いのよね。

アキラ:
リンは急に動き出すから大変だよ。
無茶は駄目だよ?!











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