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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-14 お腹がすいたのでちょっと一休みして次の依頼へ

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 まず一つ目の依頼を完了して森から出て街に戻り、真っ先にギルドへ向かった私達。

街に入っても私の肩に乗っているもふもふは消えなかった。
どうやら森の中だけの存在ではなかったみたい。

街に着く頃には驚きも薄れたようで私の服はしっかり掴んだまま周囲をキョロキョロと見回していた。

よくよく見ると私の肩に乗っているもふもふは羊にも見えて、ウサギにも見えるなんとも不思議なもふもふした生き物だ。

大きさは少し大きめのうさぎサイズ。
肩に乗っているけどさほど重くは感じない。心地いい重さだ。

毛は羊のような毛質をしている。
くるくるしているのにふわふわ。

尻尾は小さく、毛に埋もれている。
手足も小さいが指はしっかり物を掴める形状をしているようだ。

目はあるようだが、もふもふの毛に覆われていてぱっと見わからない。
とにかく全ての仕草がとても可愛い。

そんなこんなを考えているうちに気付いたらギルドに着いていた。

ギルドにはロドじぃーちゃん達が待っていた。

お兄ちゃんが受付に採取した素材を提出して確認をしてもらっていた。

気付けばギルドには見送りしてくれたメンバーが集まっていた。

約一名(王様が)ボコボコになっていたのはきっと気のせいだと思いスルーした。

受付では、コイムさんと一緒にルミばぁーちゃんとお母さんが素材の確認をしている。

やはりあの依頼主はお母さんとルミばぁーちゃんのようだ。

「やるじゃないか。これらの薬草や木のみに関してはまだ教えてなかったのに、全部正解だね。」

「正解の上に質もいいものばかり。とてもいい色が出そうよ。」

ルミばぁーちゃんとお母さんは嬉しそうに採ってきた素材を確認する。

「いやぁー、全く誰も知らない物だったからかなり焦りました。」

そう話すお兄ちゃん。

「ならどうしてとってこれたんだい?まさか?!」

ルミばぁーちゃんはお兄ちゃんに詰め寄ってきた。

「大丈夫よ!【大聖霊】は召喚してないから。依頼書にも【大聖霊】の使用は不可となっていたから代わりに【聖獣】に協力してもらったの。
【大聖霊】の加護を受けている彼らに協力してもらったからなんとかなったの。でも、今回の依頼で知った植物は鑑定で記録したから大丈夫よ。」

私が笑顔で話すとルミばぁーちゃんは納得してくれたようだ。

「それなら問題ないね。いいだろう。今回の依頼は完了だね。
質もいいからそれなりに上乗せしてやろう。お金は明日取りにおいで。
次の依頼をこなしておいで。」

ルミばぁーちゃんから依頼書にサインを貰って私達は次の依頼をこなす事にした。

しかし...この肩のはどうしようかと思っているが、やはり私以外のものには肩の生き物が見えてないようだ。

仕方がないからこのまま次の依頼を受けることにした。

が、その前にお昼ご飯を食べる事にした。

「お腹すいたからナナばぁーちゃんの食堂に行かない?」

私がそういうとお兄ちゃん達も賛同してくれた。

「ルミばぁーちゃん。私達ご飯食べてから次の依頼に行ってくるね。」

「わかったよ。しっかり食べるものは食べて行くんだよ。」

「「「「「はーい!」」」」」

私達はルミばぁーちゃん達に別れを告げて、ご飯を食べに街一番の食堂へ向かった。

食堂に行くと相変わらずの行列が。
私達もその列に並んで待つ事にした。
列に並んでいる間に何を食べるか話し合った。

「支払いは私がするわ。」

「何言ってんだ?!」

「そうだぞ!我々も金は持っている!」

「そうですよ!」

「ここは私が支払いますよ。」

「いいえ。私が支払いますよ。」

「そうですね。それなら私が出しましょう。」

『いいえ。それなら私が出しますよ。』

「えっ?!」

なんと当然のようにセバしゃんとドラしゃんまでいる。
なによりなんで皆んなして支払いをしたがるのだろうか?

「いやいや。私が言い出しっぺだから、私が出すよ!」

私が強気でそう言うと男性陣がいっせいに首を横に振る。

「「「「「「いいや。女の子に出してもらうはちょっと。」」」」」」

「えっ?」

「そうですよ。」

『お嬢様が出さなくても大丈夫です。支払いはこの私にお任せ下さい。』

困惑する私の様子を見かねたお兄ちゃんが助け船を出してくれた。

「えっ?でも...。あっ!なら皆で出し合いましょう!」

私の言葉に驚く一同。

「「「「「「え?」」」」」」

「ほう?」

『それは..どう言う事ですか?』

なんとも言えない視線を浴びながら私は必死に訴える。

「合計を人数で割って出し合うの!それならいいでしょう?私だって食べるんだから!それじゃないと皆とはご飯だはない!!」

私がそう言うとなんとか皆納得してくれた。

あーだこーだと話しているうちに私達の順番が来た。

「おや?お前さん達かい?たくさん食べていきな。」

「ナナばぁーちゃん!もちろんよ!次の依頼もこなさないと行けないから、たくさん食べさせて貰うね!」

呼びに来てくれたナナばぁーちゃんにそう笑顔で私は返事をして案内してくれた席に向かう。

もちろんセバしゃんやドラしゃんも一緒だ。

「今日のお勧めは"酢豚"と"餃子"だよ。」

この食堂のメニューはこの街でしか食べれないものばかり。

そのため各国から色んな人が訪れる名店となった。

何せそのメニューというのが、殆どが異世界の料理ばかりだからだ。

その料理をナナばぁーちゃん達に教えたのはお母さん。

元々料理付きのナナばぁーちゃんとロナばぁーちゃんが街でお祭りやお祝いで振る舞うお母さんの異世界の料理に気に留めるのは自然のこと。

日々お母さんから異国の料理を習い、あっという間に取得して兵士達の食堂で振る舞うようになったのがきっかけだ。

その料理が街の人から徐々に冒険者にも広まっていき、気づいたら世界中に広まって行ったのだ。

異国の料理のため他には絶対レシピを教えない。

ひつこく聞いてくる人達もいたが、そこはラディじぃーちゃんやカシムじぃーちゃんがコテンパンに追い払っていた。

その甲斐もあってか料理のレシピはこの街いがいにはないのだ。

食べたかったらこの街へ。
こうしてこの店は繁盛して行った。

そのかわりと言ってはなんだが、必要な材料は他国から輸入している。

そうする事により他の国にも利益が生じるようにしているのだ。

「じゃぁー、酢豚と餃子を10人前だね。それと、このロールキャベツを10人前!」

「リン?一人で食べるのか?」

「何言ってんの?皆で食べるのよ!」

「びっくりした。リンなら一人でも食べれそうだから焦ったわ。」

「ちょっと!アサくん!失礼ね!」

「リン...そんなに食べれたのか?」

「凄いです...。」

「私はこの魚の塩焼きというのが気になります。」

「私はこのお勧め肉の岩塩焼きというのが良いです。」

「では、私はこの色取り野菜のサラダが良いですね。」

『私はお嬢様にしっかりお野菜もとってほしいので、こちらの一口サイズの丸ごと野菜串セットでお願いします。』

「はいよ。追加はいくらでも言っておくれ。」

ひとしきり注文して料理が来るまでの間、次の依頼について話し合った。

次の依頼場所は北門からでて少し北東に向かって歩いて行った場所に新しくできた小規模の鉱山になる。

荒野の中にぽつりとできた鉱山だという。

もちろん低級の魔物もいる場所で、新人冒険者の訓練場所にも使われる場所の一つ。

この国は北に行くけば行くほど鉱山が多くあり、南に行けば行くほど森や草原が多い環境になっている。

西や東はちょうど中間のような環境なんだけどね。
とにかく資源が豊富な国なのだ。

「この鉱山と荒野に行かないといけないのよね?」

私がそういうとお兄ちゃんが頷く。

「そうだね。水場が少ないから水分は多めに持っていかないとね。」

お兄ちゃんはそう言いながら手元のグラスを持ち上げる。
皆の視線がグラスに集まる。

「アキラの言う通りだ。近くには水場がないからな。飲水はしっかり用意していかないとな。」

アサくんもお兄ちゃんの言葉に賛同する。

「他には何が必要なものはあるのか?」

王子一号がアサくんに質問すると、アサくんは考えながら答える。

「そうだな...あと、日が暮れると肌寒くなるから防寒具も必要だ。案外夜は冷え込むからな。」

「そうなのですね。」

「あとは、採掘道具いりそうですね。」

「誰かもってますか?」

「僕は持ってます。昔から父さんやドムじぃーちゃんと採掘に行ったりしてたんで。」

「私も持ってるよ!ドムじぃーちゃんに作ってもらったから。使ったことはないけどね。」

私が元気に笑顔で答えるとお兄ちゃん達は苦笑いを浮かべ

『当たり前ですよ。お嬢様が怪我をしたら困りますからね。』

ドラしゃんはマジの表情で真剣に答える。

「「「「「「...ですよね。」」」」」」

そんな会話をしていると美味しそうな匂いが近寄ってきた。

「はいよ!料理お待ち!」

皆が唖然としていると、ナナばぁーちゃんが作った料理を持ってきてくれたので、ひとまず話は中断して運ばれてきた料理を食べる事にした。

 ナナばぁーちゃんとロナばぁーちゃんの運営する食堂でお腹いっぱい食べ尽くしていく私達。

だが、ほぼ私一人でだ。
てへ。

ある時から気づいたのだけど、どうやら私は"痩せの大食い"と言う分類に入るみたい。

食べても食べても太らないし、食べる量も周りが吐き気を覚える量を食べるらしい。

幼い時はそこまで食べてない気もしたが、そうでもなかったよう。

同い年の子が周りにいなかったから中々気づかなかったけど、年の近い子の食事量をある時両親が聞いて愕然としたそうだ。

なんと、当時五歳の私が一回に食べていた量は七歳児の子供が食べる二倍の量を食べていたという。

両親的にはうちの子よく食べるわねっていう軽いノリで見守っていたのだが、その事を知ってから私の食べる量を注意深く見ていたのだとか。

するとお兄ちゃんの倍食べている事に気づいたという。

それでも全く太る様子がなかったので、痩せの大食いでは?と両親が思う様になったのだとか。

その考えは当たっていた様で両親の考えていたように立派な?痩せの大食いと成長した。

私が食べ終わる頃にはお兄ちゃん達は胸焼けを起こしていた。

唯一笑顔で見守っていたのはドラしゃんのみだった。

『お嬢様。素敵です。いい食べっぷりよ。』

「お前?まじで言っているのか?」

ドラしゃんの言葉にセバしゃんは引き気味だった。

そりゃそうでしょうね。
私一人で約三十人前食べているのだから...。

「これでも腹八分目にらしてるのよ?だから私が支払うって言ったのよ。」

「忘れていた。リン、よく食べるんだった。」

私の言葉にお兄ちゃんは口元を押さえながら項垂れる。

そんなお兄ちゃんの言葉に他のメンバーが驚いた表情を浮かべてお兄ちゃんに抗議する。

「えっ?!そうなのか?!それなら早く言えよ!」

「知らなかったぞ!アキラ!!」

「僕も知りませんでした!」

「女性でここまで食べる人間は初めて見ました。」

「私もです。」

セバしゃんも含めてパーティーメンバーが呟くとお兄ちゃんは苦笑いを浮かべながら

「普段は抑えてるだよね。食費が嵩むとお母さんが悲しむからって。
でも外で食べると...ね。」

そう私の横で呟くものだから私はへへっと頭をかきながら

「そう。ついつい食べすぎてしまうのよ。ごめんね。」

皆に謝る。
私の言葉と目の前のテーブルの光景を見ながらアサくんが呆れ顔で

「食べすぎる量ではないだろう...大丈夫なのか?」

私に問いかけてきたので、私はキョトンとした表情を浮かべて返事をする。

「うん!まだ入るよ?」

満面の笑みを浮かべて答えると皆の顔が青ざめる。

「えっ?!」

「無理です!」

「凄い!」

「素晴らしいですね。」

「それはそれは...。」

『私のお嬢様ですからね。これぐらいオヤツですよ。』

それは言い過ぎでは?ドラしゃんと思いながらも、確かにまだまだ入るのは事実だから私はあえて何も反論しなかった。

「リンは相変わらず美味しそうに食べてくれるから作りがいがあるね。」

「お腹は一杯になったかい?」

私達が話していると食器を下げにナナばぁーちゃんとロナばぁーちゃんがやってきた。

「ええ。美味しかったわ。今日は皆で割り勘だから少なめに食べたの。」

私の言葉にドラしゃん以外皆は呆れ顔していた。

「そりゃそりゃありがたいだろうね。皆んな次からはお財布の中身沢山入れておいでよ。」

「支払いするかい?」

「お願いします!」

私が返事するとロナばぁーちゃんが計算した紙を持ってきてくれた。

合計金額は...?!
なんと、大金貨二枚だった。

それにはさすがに悪いと思い皆んながお金を出す前に私が全額払った。

皆には最後まで文句言われたが、次奢ってもらうで話はついた。

お腹も満たされたので、次の依頼を受けにいく事にした。

鉱石を求めて鉱山へ向かって行く私達。
もちろん保護者付き。

二回目は誰も二人を引き剥がしには来なかった。

そりゃそうだよね。
無理すると王様の二の前になるからね...。

道中魔物が現れたがお兄ちゃんとアサくんだけで退治していった。

こちらの依頼も【大聖霊】の協力不可となっている。
そこでこちらの依頼も【聖獣】の協力を得る事にした。

鉱山についても魔物はいた。
道中より鉱山の方が魔物の量が多い気がした。

魔物を倒しながら鉱石を探して回った。
見るだけでわかるものと、採掘しないとわからないものとあった。

採掘は道具を持っているメンバーで行ってそれ以外のメンバーが周りを警戒すると言う対応を取る事にした。

そのかいもあってか作業は予想以上に捗った。

植物と違い鉱石は発掘したものを鑑定を使って見たら情報が入ってくるので、一度鑑定で見たものは発掘する前に文字が浮かぶまでになった。

そして、鑑定していないものは???と出るのだ。

だから???と言うものを狙って発掘すれば良かった。

鑑定のスキルがない人達は【聖獣】が協力して発掘の手助けをしていく。

予定していたより早く依頼の品が全てとれた。

お兄ちゃん達が採掘したものを整理しながら収納鞄にしまっている時、まだ???の品がある事に気付いて私は発掘を続けた。

すると見たとこともない色の鉱石を見つけた。

鑑定してみると"神の雫の原石"とでた。

一定のスキルと能力のあるものしか採掘する事ができない鉱石。
加工は採掘したものしかできない。
と書かれていた。

???どういうこと??

採掘した鉱石を暫く見つめているとお兄ちゃんに呼ばれたので、発掘した鉱石を自分の鞄にしまい後にした。

もちろん道中ずっと私の肩にはもふもふの生き物が乗っていた。

採掘中もお兄ちゃん達には見えていない様だった。

本当に何という生き物なのか?と思っているともふもふ自ら自己紹介的なものをしてくれた。

『そんなに僕の事がきになる?僕は【聖獣】の"雛"だよ。まだ【聖獣】にはなりきれていない中途半端な存在なんだ。
【聖獣】になれば人に見える存在になれると言われたけど、まだ雛の状態で僕の存在に気付いてくれたのは君が初めてなんだよね。』

そう話すもふもふ。

私が驚きながらも話を聞いている事に気付いたもふもふは更に話を続ける。

『【聖獣】になるにはまだまだ修行をしないといけないんだけど、謎か君の側が心地よくて離れがたいんだ。
君が迷惑なら僕は君の側を離れるよ。
次会えるかはわからないけどね。』

そんな事を言われたら離れてくれ!なんて言える程私は鬼畜じゃない。

それどころかどうやったらこのもふもふを自分のものにできるのかと思っているのに...。

「離れなくていいよ。私の側に居ながら修行したらいいのよ。
私の周りには【聖獣】がたくさんいるから助けにもなると思うよ?」

私がそう言うともふもふは嬉しそうに小さな尻尾を振る。

そんな会話をしているとスカイが私の反対側の肩に止まって話しかけてきた。

『やはり"雛"だったか。主人は面白い。珍しい物を見つけて虜にする才能がありますね。』

スカイの言葉に驚く私ともふもふ。

『あんた...いやいや、あなた様は僕の事が見えてるですか?』

「スカイ!見えてるの?」

私ともふもふの言葉にスカイは愉快そうな声を上げながら答えてくれた。

『ええ。今の所は私のみが気付いている感じですね。他の【聖獣】に比べて私は古株の方ですからね。
あとフレア殿も気付いているかと思いますよ。主人に害がない様なので黙っているみたいですけどね。』

スカイの言葉を聞いて後ろにいるドラしゃんの方を見ると含みある笑みを浮かべていた。

私は苦笑いを浮かべて前を向いた。

「さすがドラしゃんだね。」

『でしょう?この者はもう半年ぐらい修行を積めば【聖獣】に昇格するでしょう。さすれば他のものにも見えるでしょう。』

「なら、私の側にいるといいよ。私最近冒険者になったばっかりだから、色んな冒険をするから一緒に頑張ろう!」

『ありがとうございます!お言葉に甘えます。』

こうして私は【聖獣】の雛を正式に手に入れた。

その様子と会話はしっかりドラしゃんに聞かれていたのはいうまでもない。

しかしドラしゃんは特に何も言わなかった。

スカイの言った通りで、私に害がないものに関してはあまり興味がないようだ。

しばらくは私とスカイ、そしてドラしゃんにしか見えないもふもふ。

得した気分になりながら私は街に向かって歩みを進めるのだった。











リン:
もふもふ♪

アキラ:
???

リン:
♪♪♪

アキラ:
ドラしゃん。最近リンが変なんだ。
何もない空間に向かって話し出したり、笑ったりしてるんだよ。
変なものでも食べたのかなぁ?

ドラしゃん:
大丈夫ですよ。
そのうちアキラ様にもわかる様になりますから。

アキラ:
へっ??

ドラしゃん:
やはりもふもふが必要なのですね。
では、今度毛刈りにでもいきましょうかね。

アキラ:
へっ?毛刈り?もふもふ?








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