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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-3 冒険者登録の許可がおりました?!そして

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 コイムさんが私とお兄ちゃんの冒険者登録をしている間、ドラしゃん達から冒険者について改めて色んなことを教わった。

もちろんギルドの会議室を貸切にしてなんだけどね。

本来ならそんな事をしないのだが、全く世間知らずの私とお兄ちゃんはそれが"普通"と思って素直にレクチャーを受けていた。

何せ誰も止める人がいないしね。
まぁ~無理ですよね。
メンバーを見て止めれる人がいるなら...お母さんぐらい?だよね。

「よし。リンとアキラの冒険者登録が無事今行われているから、改めて冒険者についておさらいだ。どれだけ冒険者について知ってるんだ?まず、アキラから言ってみろ?」

会議室に着くなり、ムキじぃーちゃんに質問された私とお兄ちゃん。

とりあえず自分の知っている冒険者について話をしていく。

「僕からですか?わかりました。冒険者は、冒険者ギルドに登録してギルドから出される依頼をこなしていきます。
依頼をこなすと報酬が貰えます。
依頼をこなす事により冒険者ランクをあげていきます。
ランクが上がる事により、得られる報酬やこなす依頼の幅が広がります。
もちろん依頼の内容もより難しくなります。」

お兄ちゃんはそうスラスラと答えていく。
お兄ちゃんの回答を聞きながら皆うんうんと頷いている。

「アキラは基礎がしっかりしているね。さすが、仮とは言え冒険者をしていただけあるね。」

ルミばぁーちゃんは関心したようにお兄ちゃんの回答を聞いて答える。

「依頼内容を受けてこなせなかった場合はペナルティがあります。罰金だったり、冒険者ランクが下がったりします。なかには、暫く活動禁止になる場合もあったはずです。」

「よし。それだけわかっているならよし。次はリンだ。リン。お前さんの知っている冒険者について話してみな。」

私はお兄ちゃんの話を驚きながら聞いていた。

しかも、ドラしゃんの膝の上でだ。
幼い頃からの定位置なので、今更誰も何も言わなかったので、そのままの状況で私は答えた。

「私の知っている冒険者について?
えっと、ムキじぃーちゃんやドムじぃーちゃんみたいにカッコいい人の事。」

私がそう言うと、ムキじぃーちゃんとドムじぃーちゃんは嬉しそうな表情をする反面ドラしゃんがムスッとした表情をする。

それを他の人達は呆れた顔をして見つめている。
私はお構いなしに話を続けた。

「あとね、冒険者は世界を自分の足で歩いて旅をしながら見て回るの。
もちろん道のりは困難なのも知ってるわ。でも、色んなことを見て回りたいの。知らないことばかりは損でしょう?ルミばぁーちゃんやラミィお兄ちゃんもよく言ってたでしょ?
分からない事は、自分で調べなさいって。それでも分からなかったら、教えてあげるからって。
今の私は、本当にこの世界について全く知らないことばかりよ。
 だから、何をどう皆に聞いたらいいのかなお分からないの。
それは、人として恥ずかしいと思うの。
だからね、私は知りたいの。自分の目で見て体験して学びたいの。それでも分からなかったら、改めて皆に教えて貰いたいの。それが出来るのが冒険者だと私は思ってるの。」

私の言葉に皆は普通に驚いていた。
きっとムキじぃーちゃんが言った冒険者についてって言うのは、お兄ちゃんが答えた事のような事だと思う。

しかし、私の思う冒険者と言ったらこの答えしかでなかったのだ。

「こりゃたまげたね。リンがそんな事を考えているとは...。」

「本当に子供の成長は恐ろしいですね。」

ルミばぁーちゃんとラミィお兄ちゃんはそう呟く。

『お嬢様。そんな風に考えてらっしゃったんですね。知りませんでした。』

「えへへ。」

ドラしゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。

「リンはリンなりに冒険者について考えてたんだなぁー。」

「しかし、変わった発想だな。」

「こりゃ~たまげたわ。」

「さすが、リンちゃんですなぁ~。」

皆から一気に温かい視線を送られてくる。少し居た堪れなくなるのはなぜ?

そう思っていると、ムキじぃーちゃんが咳払いをして話し出す。

「よし!それぞれの冒険者についての考えは分かった。
基本的な事を今からおさらいするぞ。
冒険者になるには、冒険者ギルドで登録が必要だ。登録するには、今日体験したような事をする。
他には、古参の冒険者からの紹介で冒険者登録をする事もあるが、これはお勧めしない。
冒険者として、基礎ができてないと直ぐに命を落とす事になるからな。
それだけ危険と隣り合わせの仕事だ。」

ムキじぃーちゃんはいつもと違った真剣な表情で話出した。
私とお兄ちゃんも真剣な表情でその話を聞く。
さながら学校の授業を受けているような感じだった。

「冒険者登録をしたらランクが振り分けられる。
そのランクなんだが、ちとワシらの頃とは変わったんだよな?」

ムキじぃーちゃんはそう言ってロドじぃーちゃんに話を振る。

ムキじぃーちゃんから話を振られたロドじぃーちゃんは頷きながら答えてくれた。

「あー。同盟国との兼ね合いでな、ランクをより細かくしたんだ。
何せ、国よってランクのレベルが異なるからな。」

??? ??? ??? ???
不思議そうな表情をする私とお兄ちゃんにロドじぃーちゃんはわかりやすく説明してくれた。

「国よって環境や生息する魔物か異なるのはわかるよな?」

「「はい。」」

「たとえば、この国でCランクの魔物でも、ファイン国王の居る国ではAランクだったりするだ。」

「「えっ?!!」」

「だから、そこまでランクの違いがあると冒険者の命がいくつあっても足りないんだ。リスクが大きすぎるという事がわかったんでな、この前同盟国の国王様達と各国の冒険者ギルドのギルマスが集まって話し合いをしたんだ。」

まさかそんなに国よって魔物のランクに違いがあるとは知らなかった。
何よりそんな話し合いが持たれていることすら知らなかった。
(ちゃんと皆仕事してるんだ。)
少しだけ失礼なことを心の中で思いながら私は話の続きを聞く。

「話し合いの結果、全国共通してランクを細かくする事にして、依頼書にも細かく記載する事にしたんだ。
それぞれの国ならランクがこの程度のランクが必要ですとな。
冒険者の命を護るのがギルマスとしての役目だし、なにより無駄死にだけは避けたいかなら。」

ロドじぃーちゃんの顔はいつのまにかギルマスの顔付きとなっていた。

それだけ国よって冒険者としてのランクの違いがある事を知って、私もお兄ちゃんも気を引き締め直す。

「で、今のランクなんだが...。」

そう言ってロドじぃーちゃんは会議室の棚を開けて何やら板を取り出してきた。

そこには同盟国全てのランクが細かく記載されていた。
それを私達に見せながらロドじぃーちゃんは説明を続ける。

「これを見ながら説明するぞ。
まず、最初冒険者登録したものはここだ。"Gランク"になる。」

そう言って指で指した所に書かれている文字を見ると、確かに"Gランク"と書かれている。

「これは、どの国共通のレベルの内容となっている。
ここから先が、今回から少し変わったランク編成になるからな。
新しい方を覚えとくように!」

そう言ってロドじぃーちゃんは新しくランクを決め直して書き記した所を指差しながら説明していく。

「初回のGランクの次がこっちになる。Fランク。その次がE2ランクになる。
本来ならFランクの次はEランクになるんだが、違うんだなぁー。
E2ランクの次は、E1ランク、Eランクになる。
そして、昇格試験をクリアして晴れてD2ランクに上がるんだ。
そんでもって、DランクもD2ランク、D1ランク、Dランクと分かれていて、上に上がるのに昇格試験を受けてもらう。
それが合格してやっとこさC2ランクになる。
そのCランクもC2ランク、C1ランク、Cランクと分かれている。
ちゃんと依頼をこなして、Cランクになると昇格試験を受けれる。そして受かればB2ランクになる。
そのBランクもこれたB2ランク、B1ランク、Bランクと分かれている。もちろんAランクもだ。A2ランク、A1ランク、Aランクと分かれていて、そこから上は従来通りAAランク、AAAランク、Sランク、SSランク、SSSランク、特SSSランクとなる。ここまでは理解できたか?」

板から顔を上げて私達に確認をとるロドじぃーちゃん。
私とお兄ちゃんは初めて聞く話なので目を輝かせてうんうんと相槌を打ちながらしっかりメモも取りながら聞いていた。

が、ムキじぃーちゃんとドムじぃーちゃんは目を豆のように小さくしてキョトンとした表情を浮かべて首を傾げていた。

どうやら新しいランクの話の内容に頭が追いついていないようだ。
そんなふたりの反応を見てロドじぃーちゃんは溜息を吐きながら分かりやすくかつ、補足をしながら話を続ける。

「従来というか、ムキファーやドムの時代ならG.F.E.D.C.B.Aと順当にランクがあがってたよな?しかも、それぞれこなす依頼内容数や期限が違っていて、それをこなせてようやく昇格試験が受けられて、ランクを上げていただろう?」

そういうロドじぃーちゃんの言葉にふたりは当たり前だと言って頷く。

「その仕組みに関しては他の国も同じだったんだが、内容の濃さが違ったんだ。まぁ~それは仕方がないと言ったら仕方がないんだ。国ごとに生息する魔物の種類や強さが異なるから、それに合わせたものになるからな。
 だが、これからは同盟国全てを自由に行き来ができるからそれぞれの国にいる冒険者の実力に差がありすぎると下手したら国際問題になりかねないんだ。」

そう話しをするとふたりはなるほどなぁーと納得し出す。
ここからようやく新しいランクの細かい説明に移れるようになったロドじぃーちゃんはやれやれと言った表情を浮かべながら、改めて板を指差しながら説明しだす。

「じゃー続きを言うぞ。ランクがどう違うのかと言うと、E2ランクより、E1ランクの方が強く、E1ランクよりEランクの方が強いんだ。ここまではわかるか?」

ロドじぃーちゃんの説明に、私とお兄ちゃんは頷く。しかし、知らないことばかりで大焦りだった。

「わかった!」

「わかりました。」

私とお兄ちゃんの返事を確認してからロドじぃーちゃんは説明をさらに続ける。

「ちなみにランクを上げるたびにギルマスが用意した試験を受けて、合格してはれてランクが上がる仕組みなのは昔から変わらない。
でだ。見てもわかるように、ランクはE2ランクあたりから各国によって依頼の内容が変わってくる。
だから、依頼書は隅から隅まで読んでから受けないととんでもない事になる。
もちろんギルドの受付でも気をつける様にはしているがな。」

そう言って説明にしてくれるロドじぃーちゃん。
確かに、説明しながら見本の依頼書の一部を見せてもらったが、E2ランク辺りから各国によってE2ランクでもEランクの内容が可能だったり、C2ランクが必要だったりしていた。

「なかには、依頼を受けてから実際の依頼の内容と受けた内容のランクの差がありすぎる場合が発生することもある。
内容が自分のランクより下の内容ならそのまま受けてもいいが...ランクが上の内容ならすぐに依頼を破棄してギルドに戻って受付に報告する事だ!
それができない奴は冒険者辞めることだ!」

そう話すロドじぃーちゃんの顔付きはいつも以上に真剣で、畏怖さえ感じ取れた。

それだけ大事な事だと私もお兄ちゃんも理解できた。

「「わかりました。」」

私とお兄ちゃんも真剣な表情で返事をすると、ロドじぃーちゃんはニカッて笑う。

「いいか。冒険者は命あってのものだ。命を粗末にする奴は、冒険者の資格はない。もしお前達が自分達の命を粗末にするような事があれば...」

『即監禁です!』

ロドじぃーちゃんが何かを言う前に、私の背後から恐ろしい気配と共にとんでもない言葉が聞こえて来た。

私もお兄ちゃんも怖くて後ろを振り向けなかった。

『安心してください。そんな事をすれば、二度と太陽は拝めませんからね。
わかりました?』

「「は、はい。」」

私とお兄ちゃんは身体を小さくして、かぼそく返事をする。

なにせ、ロドじぃーちゃんや他の人達も引くぐらい本気の声でドラしゃんは話しているからだ。

絶対監禁は阻止しなければ。
私とお兄ちゃんはそう決心した。

 ギルドの会議室で皆から冒険者についての説明を受けている中、受付奥ではコイムさんが必至に私とお兄ちゃんの情報を纏めて、登録作業に勤しんでいた。

本来なら複数人で行う作業をコイムさん1人で行っていたからだ。
それは私達の情報漏洩を防ぐ為だった。

私達の情報はコイムさんの手によって纏められて、コイムさんとギルマスしか解除が出来ない金庫にそっとしまわれた。

書類が出来上がればあとはギルドカードを発行して登録するのみ。
登録するには、登録する相手の血が必要となる。

その為コイムさんはギルドカードを持って私達のいる会議室へと向かった。

そしてどのタイミングでこの部屋へ入ろうかと扉の前で悩んでいるコイムさんの耳にも、ドラしゃんの"監禁です"と言う発言が聞こえて来たのだった。

その言葉を聞いたコイムさんの胃は一気にキュッと痛くなった。

もしこのまま私とお兄ちゃんを冒険者として送り出し、何かあれば...。
そう考えるとコイムさんはこのまま登録をしていいのか悩み出した。

しかし、幼い頃の私とお兄ちゃんを知っているコイムさんはハッと我にかえる。
自分達が生きるのに困っていた時、手を差し伸べたのは私達家族だたことを思い出す。

今もこうしてギルド職員として生活ができるのはら私達家族の存在あってなのだ。

それは、コイムさんだけではなかった。
他のギルド職員や街の人達と同じだった。

だから少しでも恩返しができる様にと頑張って来た。

自分達の保身も大事だが、未来ある若者が夢を抱いて一歩を踏み出そうとしているのを邪魔する訳にはいかない...。

そう考え直し覚悟を決めて扉をノックしようとしたコイムさんの耳に、今度は私とお兄ちゃんの声が聞こえて来た。

コイムさんは扉をノックするのをやめ、私とお兄ちゃんの言葉に聞き耳を立てる。

「大丈夫です。無理はしません。先輩達の意見は素直に聞きます。
僕とリンで、たくさんの素材をこのギルドに持って帰って来ます!」

「私とお兄ちゃんで、もっともっとこのギルドを大きくするからね!
皆が仕事に困らないように!」

そんな事を元気よく話す私とお兄ちゃんの言葉にコイムさんは、目に涙を浮かべていた。

「ほう。それはありがたいなぁー。しかし、お前さん達が無理をするとギルド職員の胃に穴があくからほどほどにおしよ。」

「そうだな。特にコイムなんか直ぐに胃に穴があきそうだからな。」

「それは仕方がないのでは?上司が上司ですからね...。」

「はっ!!なんだと?!俺のせいか?!」

「だって、ギルドのほぼ書類関係はコイムがしているだろう?お前、書類系苦手だからなぁ~。」

「グッ。た、たまには俺だって..。」

「たまにはだろう?コイムなんかほぼ毎日だよ?だーれーかーさんの尻拭いをしているだからねぇー。」

「うぐっ。」

「ロドじぃーちゃん?!仕事サボってるの?だめだよ?」

「リン?!」

「そうですよ?コイムさんだって家庭があるんですから。」

「アキラまでぇー。」

『では、お嬢様、アキラ様。高ランクになった暁には、ギルマスでないと処理しきれない素材やお仕事をバンバン持って帰ってきましょうね。』

「「賛成?!」」

「お前らぁ~?!」

部屋の中から聞こえてくる話に涙を浮かべながら微笑むコイムさん。

いつのまにか胃の痛みも、日頃の疲れもふっと消えていた。

そして、目に浮かんでいた涙をそっと拭い改めて息を正して、目の前の扉をノックするのだった。

コンコン。

扉がノックされて、それに気付いたルミばぁーちゃんが入る様に促す。

すると、コイムさんが入ってきた。

「失礼します。お2人の情報登録が完了致しました。
あとは、このカードに血を少し垂らして頂けたら全ての登録が完了致します。」

そう言って、真新しいギルドカードをテーブルの上に置いた。

置かれたギルドカードには、私とお兄ちゃんの名前など基本情報が書かれていた。

「ありがとうな。コイム。」

「いいえ。これも、私の仕事ですから。」

「上司のできが悪いと、部下は優秀にぬなるのですね。」

ラミィお兄ちゃんの言葉に、ムスッとするロドじぃーちゃん。

私とお兄ちゃんはテーブルに置かれたカードをそれぞれ手にした。

カードには、私達の街のシンボルのお城の絵が刻印されていた。

「綺麗。」

「リアルな絵ですね。」

私とお兄ちゃんがカードを見て、刻印されているお城を見て感激しているとルミばぁーちゃんがそっと小ネタを教えてくれた。

「リアルだろう?それは、魔法ですカードに転写しているのさ。ちなみに、ギルドカードはギルドごとでデザインが異なるのさ。
その国や街のシンボルが必ずカードに刻印されているさ。
カードを見れば、どの国や街で作られたかわかる様になっているのさ。」

全く知らなかった情報に驚く私とお兄ちゃん。

ちなみに、北側の街で作るとレンガ様式の街並みが。
西側なら海の街が。
南側なら高床の建物が。
東側ならかまくら風の建物がそれぞれ刻印されているのだとか。

ちなみに、ムキじぃーちゃんやドムじぃーちゃんの冒険者カードには王様の横顔が刻印されていた。

知らなかった。
問題はここからだった。

カードには持ち主を認識させるために、血を一滴垂らさないといけないのだが...。

「私、痛いのやだ。お兄ちゃんして?」

「やだよ。」

「なら、じぃーちゃん達お願い。」

私は自分の指を突くのが怖くってできずにいた。
そして、その場に居る皆にお願いするのだが...。

「すまん。無理だ。」

「無理だ。」

「無理だね。」

「それは、あきまへんわ。」

「できん!」

「できないなぁー。」

「無理だ!」

「それは難題だね。」

『申し訳ないですが、...無理ですね。』

と言って誰もがしてくれないのだ。
でも、これをしなかったら登録ができないのだ。

困り果て私はじぃーっとコイムさんを見つめた。

しかし、コイムさんも何故か拒否をされた。

このままでは、私は冒険者登録ができないと思った時だった。

パタパタと羽音が聞こえてきた。
それと同時に...。

「あっ?!ここに居たの?探したよ!父上、リン!アキラ、皆んな。ご飯だって!」

なんとタイミングよく、ドラしゃんの娘の"ユキちゃん"が来たのだ。

ちなみに"ユキちゃん"って名前は私が付けた。

本来別の名前があったのだが、せっかく生まれ変わったのだから名前も新しくしたい、私に付けて欲しいと本人に頼まれて"ユキちゃん"って名前を付けたのだ。

「あっ!ユキちゃん!良いところに!お願いがあるの!」

「何?」

ユキちゃんは、私の元へそのまま飛んできてくれた。

「あのね、私の指をちょっとツンツンして欲しいの。このカートに血を一滴垂らさないといけないんだけどね、誰もしてくれないの。」

私がそう言うとユキちゃんは笑顔で了承してくれた。

「いいよ。ハイ。」

そう言って、ユキちゃんは自分の爪で私の指をツンツンすると血が出た。

その血はギルドカードに吸い込まれていった。
カードは光輝き、名前の横にGランクと表記された。

「これで...登録完了です。」

コイムさんの言葉に私は喜んだ...のも束の間私の指からはだらだら血が滴り落ちていた。

焦るドラしゃん達。

「ありゃ?手加減したのに...。ごめん!リン!」

ユキちゃんも慌てふためく。
ドラしゃんが瞬時に回復魔法をかけてくれて傷口は閉じて血も止まった。

「大丈夫よ。無理言ってごめんね。でも助かった。ありがとう、ユキちゃん!」

私は頭完了したカードを握りしめて笑顔でユキちゃんにお礼を言った。

人騒動が落ち着き、お兄ちゃんも指をついてカードに登録を済ませた。

これで晴れて私とお兄ちゃんは冒険者の仲間入りを果たしたのだ。

「これで、本日よりお2人は冒険者です。これから冒険者として頑張って下さい。ギルド職員一同、お2人の活躍を願ってます。」

コイムさんはそう言って一礼して部屋を後にしたのだった。

「あーあー。とうとうなっちまったか。」

「なったね。」

「なりましたね。」

「なりはったで。」

「なってしまったな。」

「なっちまったなぁー。」

少しずつ物寂しいそうに呟く一同。
そんな中、昔と変わらず私とお兄ちゃんのお腹の虫が空腹をお知らせする。

盛大に鳴り響くお腹の虫。
一同キョトンしたと思ったら大笑いする。

「リン!アキラ!ご飯の準備できてるから、一旦帰ろう!」

ユキちゃんの言葉の後押しもあり、私達は鳴り響くお腹の虫を黙らすために一度家路に着く事にしたのだった。











リン:
やったぁー!冒険者だ!

アキラ:
やったね!リン!

リン:
でも、とりあえず...ごはんだね。

アキラ:
そうだね。ご飯は...だいじだね!









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