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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-41 西側の街を大改造 ①

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 街造りの素材集めが完了していないため、出来るところから作業をしているドムじぃーちゃん達。

今この場所にあるもので活用できるものは活用しながら、予定の街の骨組みを作っていっていた。

港の桟橋はそのまま活用して、街の外壁を海の中まで延長する仕組みにすることにしたので、港側の外壁の取り壊しをおこなってきた。

そこでも活躍しているのが、【大聖霊】と【聖獣】達。

外壁の素材は、自然界にある物を活用しているため、素材の状態に戻していくのが簡単だったようで作業が早かった。

しかも、解体した素材をちゃんと種類ごとに分けて、置いていっているのがこれまた凄かった。

【大聖霊】達が外壁を素材に戻し、戻した物を【聖獣】達が素材ごとに分けて置くという連携プレーを誰かに言われてするのではなく、自分たちで考えて行っていたのだからドムじぃーちゃん達も感心していた。

そんな話を聞いて私とお兄ちゃんは嬉しくなり、彼らを褒めた。
すると...彼らは照れくさそうにしながらも喜びながら作業のスピードをあげていく。

そのおかげなのか、海側の外壁と街の半分の外壁の解体がものの数分で終わったのだった。

予定では数時間かかる作業のはずだったんだと呆気に取られながらドムじぃーちゃんが呟いていたんだけど...もう誰も気にしないことにした。

 次に行ったのは、海のどの部分まで外壁を作るのか、目印となる杭を打ち込む作業だ。
杭はあくまでも、目印とするため普通の木の幹を使うらしい。

リュモさん達に海に潜ってもらって、杭を打ち込む場所を選んでもらって、その場所に【大聖霊】達が杭を打ち込むという手筈でいくみたい。

早速、作業にとりかかるのだが...どうやら最初外壁を作っていた場所より大幅に広くなることが判明した。

灯台を設置してある丘の少し手前まで、外壁が覆う形になるみたいで、外壁の高さによっては、灯台の大きさを変えないといけないかもしれないと言う問題が浮上した。

「こりゃ~まいったなぁー。せっかく作った灯台もやり直しか?」

そう呟きながら図面と灯台を交互に見るドムじぃーちゃんに、ノームが声をかける。

『別に作り直さなくても大丈夫だよ。』

その言葉に、はい?という感じの顔をするドムじぃーちゃん。

『外壁が高くなるなら、それに合わせて丘自体を更に高くするから。
僕たちを誰だと思ってんるだい?
【大聖霊】だよ?そんなの朝飯前だよ。へへん。』

そう胸を張って自慢するノームに、ドムじぃーちゃんは目をパチクリさせると、豪快に笑い出した。

「ハァーハハッァー。そうだった。お前さん達は、そんな事朝飯前だよな。助かるぜ。じゃーそうなったら頼むぜ!」

問題が1つ解決して、ドムじぃーちゃんら嬉しそうだった。

そんなやり取りを見ていて、私は思わず呟いた。

「だいせいれいって、すごいね。リンもおなじことができたら、いいのに。」

私の呟きにお兄ちゃんも賛同する。

「そうだね。僕もそんな風に魔法が使えたら、皆の手伝いできるのに...。」

すると、離れていて聞こえてないと思っていたのに、シルフが近寄って来て私とお兄ちゃんに笑顔で話しかけてきた。

『えっ??2人とも本来なら、僕たち以上の力を使えるよ?
特に主人はね。これだけの【大聖霊】と契約してるんだよ?
 契約している【大聖霊】の力もそうだけど、使える魔法や能力は未知数だよ。
でも、今は駄目!』

そう話すシルフに、一瞬私とお兄ちゃんは目を輝かせて喜んだが、"駄目"と言われて唇をとがせ、両頬を膨らませて文句ぶーたれた。

『今は、まだ体が小さい。そして何より、膨大な魔力量に対応できる様に体を作っている段階だから、無理に魔法を使うと体の方が先に限界を迎えるよ?
 だから、今は駄目。
大丈夫。もう少ししたら、嫌だと泣き叫ぶぐらい魔法を使える様になるから。
今はもう少しの辛抱だよ。
まぁ~、たまに爆発させるのは仕方がないとしても、ちゃんと周りに僕たちか、ドラゴンがいる時にしてね。』

そう言うだけ言って、側から離れていった。

そして、その言葉は【大聖霊】達皆んなに聞こえていた様で、皆を見ると微笑みながら頷いていた。

仕方がない。
うずうずするものをグッと堪えて、過ごす事を選択した私とお兄ちゃん。

まぁ~たまに爆発するのは良いと言われたから、そうしようと心の中で思った。
それは、お兄ちゃんも同じ様だった。

何せ2人して、悪戯っ子の顔をして笑っていたからね。

そんな私とお兄ちゃんを、少し嫌そうな顔で見つめるドラしゃんだが、私とお兄ちゃんが素直に言われた事を守ろうとしているので、ひとまず様子を見る事にした様だった。

私達がそんなやり取りをしている間にも、外壁予定の場所に杭打ちは終わっていた。

海の中に造る外壁は、思ってより大きくなったが、問題なくつくれるとのこと。

杭打ちが終わると、海からリュモさん達が上がってくる。
しかし、何回見ても不思議な光景だった。

髪の色、手の構造、鰓が閉じて首に戻る瞬間や鰭から足に変わるその状況。
痛みとかないのかなぁー?と、思いながらジィーと見つめていると...。

リュモさん達がいきなり笑い出した。

「子供の目って、本当に素直ですね。
今までも、物珍しいものを見るような視線を向けられる事はあったので、慣れてはいますが...その様な可愛い視線を向けられるのには慣れてないので、くすぐったいですね。」

それは、リュモさんだけでなく他の人達も同じ様だったみたい。
思わず私とお兄ちゃんは、顔を真っ赤にして顔を伏せる。

そんなに露骨な視線を向けていたのかと思ったからだ。

しかし、彼らは怒るどころか笑っていた。

「子供の視線...特にお2人からの視線は、"嫌味"がない。
本当に純粋に、自分達が知らないものがあって、それを知りたいっていう思いが伝わる視線ですね。」

そう言いながら、人間の姿に戻り立ち上がる彼ら。

不思議と服もちゃんと戻るのだから、どんな仕組みなかのかかなり気になったが、視線を送るのを我慢した。

すると、私とお兄ちゃんの気持ちを察知した彼らが答えてくれた。

「人間から人魚の姿になる時も。その逆も、痛みはありません。
最初の頃は違和感を感じる事はありましたが、今は全然です。」

「服は、本来なら全裸となります。」

「しかし、それでは...ね。さすがに恥ずかしいので、魔法で調節してます。」

「海に入った時は、下半身が隠れた時点で服を収納してます。
逆に、人の姿に戻る時は下半身が戻るのに合わせて服を着ているって感じですかね。」

「全て魔法です。これは、我々人魚族のみが使えるものです。
代々親や年配者から教わるものです。」

その事は、ドムじぃーちゃんやムキじぃーちゃんも知らなかった様で、関心していた。

私とお兄ちゃんは、謎がわかって大喜び。

暫く談笑していると、海から。
沖の方から何かが、渡したの方へ向かって来るのが見えた。

それによって、和やかな雰囲気から一変して、警戒ムードへ。

上空から様子を見ていた【大聖霊】達は、自分達が見た内容を念話で私とお兄ちゃん、そして...ドラしゃんに伝えてきた。

"『主人たち、どうやら海から来たものは、同盟国の一つであるルファロル王国からの使者の様だぜ。
しかも、珍しい使者ですね。これは、これは。
主人たちが、喜びそうな使者だな。
 杭の手前で、とめるが..かまわねぇーなぁ?。』"

そう話すウンディーナに、ドラしゃんは頷いて答える。

私とお兄ちゃんは、どんな使者がきたのかがかなり気になって、思わず海の方へ歩いていく。

いつもなら一番最初に私達の行動を止めるドラしゃんは、あえて止めず後ろからついて歩いてきた。

桟橋ギリギリまで行くと、先程打ち込んだ杭の手前で泳いで来た何かを止めるウンディーナの姿が見えた。

そして、何か話し込んでいる???

すると、また念話が。

"『主人、ドラゴン。どうやら、サイスン国王に言われて、御所望の品を持って来たって言うんだが...どうする?
そっちまで行ってもらうか?
それなら、杭の一部を一旦のけるが...。』"

そう話すウンディーナ。

私とお兄ちゃんは、そっと後ろに居るドラしゃんを見つめた。
すると、ドラしゃんは普通に頷いた。

"『いいでしょう。入れてください。
ただ、こちらには幼児が居るのでゆっくり入って来るように伝えて下さい。』"

ドラしゃんはそう念話で答えていた。
ウンディーナはシルフとドライアドを呼び、私達の視線の真正面にある杭を3つ抜いた。

すると、ウンディーナが引き止めていた使者がゆっくりとこっちに向かってくる。

近づいてくるに連れて、その使者の姿がはっきりとわかった。
なんと、使者の姿は...一頭の大きな鯨さんと二頭のイルカさんだったのだ。

その姿を見た私とお兄ちゃんは、おもわず発狂しながら、桟橋の上をぴょんぴょんと跳ね回る。

その行動には、さすがのドラしゃんも周りで見ていた【大聖霊】や【聖獣】達やドムじぃーちゃん達も大焦りだった。

 サイスン国王からの使者は、私とお兄ちゃんにとっては、大興奮する姿をした生き物だったから仕方がない。

だってそれらはテレビや水族館でしか見る事ができないし、水族館でも見る事が出来ない生き物だからね。
それを生で、しかもこんな近くで見れるなんてまたとない機会だから興奮するなというのが無理がある。

「お兄ちゃん?!すごい!!」

「リン?!凄いね!!」

「「夢じゃないよね?!」」

私とお兄ちゃんの反応に、ドラしゃん達は大焦り。

桟橋の上を飛び跳ねるわ、走り回るわで側に居るドラしゃんは珍しくもワタワタしていた。

『ちょっ、お嬢様!!あっ、アキラ様!!危ないです。2人とも落ち着いて下さい!!』

そんな私達の様子を側で、見守る人達。
彼らも内心焦っているが...。

ドラしゃんの姿があまりにも珍しく、どう動いたらいいのか分からない感じで、見守っていた。

「わぁーい♪くじらさんだ!?」

「くじらだね。リン?!」

私とお兄ちゃんは、飛び跳ねながら喜んでいると、鯨さんが潮を吹いた。

すると鯨さんの声がした。
"クォー、クークククッー。クォーンクッ、クールクックク。クールクック。"
(あら、可愛いお嬢さんだこと。私はクラムって、言うの。よろしくね。)

「ヘェ~そうなんだ。"クラム"ってなまえなの?わたしは、リンっていうの。よろしくね。」

私がそう言うと、鯨さんは嬉しそうな表情をした。
すると、イルカさん達も私に自己紹介をしてくれた。

"クー、キュッ。クッククキュルルクココっキュ?
クククッキュ。クールクックク、クキュック。クーククッ、クールルルクック。"
(あら、あなた。私達の言葉が分かるのね?
不思議。私は、ラーム。この子の母親よ。この子は、スームって言うの。)

"クークククッ。ククキュ。"
(スームだ。よろしく)

「ヘェ~。体が少し大きいあなたが、お母さんの"スーム"で、小さい方がこどもの"ラーム"って言うの。私は、リンです。よろしくね。」

すると、二頭のイルカは嬉しそうにジャンプをする。
そんなやり取りをしている私を不思議そうに見つめる皆んな。

もちろん【大聖霊】と【聖獣】達もだ。

何より、私と一緒にさっきまではしゃいでいたお兄ちゃんなんか、驚いた顔をしたまま固まっていた。
その横では、ドラしゃんも驚いた表情を浮かべたまま固まっていた。

私が不思議そうに首を傾げると、クラム達も真似をして、首を傾げる動作をした。

とても可愛い仕草で、私が喜んでいるとお兄ちゃんがハッと我にかえり、私に話しかけて来た。

「リン?もしかして...だけど...、このクジラさん達が...何を言っているのか...わかるのか?」

お兄ちゃんは、恐る恐る私にそう質問してきたが、私はその言葉に、思わず驚いてしまった。
だって...。

「え?!!お兄ちゃん、こえきこえないの?
ずっと、この子達しゃべっていたよ?」

私には普通に皆とお喋りしているようにしか、聞こえなかったからお兄ちゃん達にも聞こえているものだと思っていたから、私もお兄ちゃんの反応にはおどろいてしまった。

どうやら、私以外の人には普通の鳴き声にしか聞こえていなかったみたい。

『凄いなぁー。主人は。
俺たちと契約しているからか?
それとも、元々の才能か?』

『契約でってなら、兄貴であるアキラも聞こえてないとおかしいだろう?』

『そうだね。』

『私たちは、自分たちの眷属の生き物や加護を与えているものに関しては、言葉が通じる様になってますが...。』

『凄いなぁー。今の状態でこれだけの能力かぁ~。
これは、将来がますます楽しみだね。』

私達の上空でそう話す【大聖霊】達。

『我らとも話せてますから、もしやとは思いましたがのう...。』

『まぁ~彼らは、ウンディーナ様の加護を受けてますからねぇ~。』

『それでも...契約をしている訳ではないのよ?凄すぎるわ。』

『凄いなぁー。こんなにチビなのに。
まぁ~おいら達も人の事は言えないけどね。』

と口々に話す【聖獣】達。

「前から、規格外的な所がちらほらあったが...ここまでとは...。」

「これは、将来が末恐ろしいですね。」

『お嬢様。言っておきますが、そちらの方々は仲間にできませんからね。
連れて帰ろうとは思わないで下さいね。』

と、ムキじぃーちゃん、リュモさん、ドラしゃんが言う。

ムキじぃーちゃんやリュモさんの言葉に関しては、私はどう反応して良いのか分からなかったが。

ドラしゃんの言葉には、いささかショックを受けた。

「えっ?つれてかえっちゃ...ダメなの?」

私がウルウル目で言うと、少しグッとなるドラしゃん。

しかし、今回のドラしゃんは負けなかった。

『私達の住む街には、海はありません。
彼らは海の生き物です。
海でないと生活できませんので、今回は諦めて下さい。』

私がショックを受けていると、クラムが慰める様に声をかけてくれた。

"ヴォクォーン、ククククッ。ヴォーンクォーンク、ヴォヴォークォーンクククククッヴォーンク。"
(今日は、お使いできたから。もう帰るけど、次はゆっくり仲間も連れて遊びにくるからね。)
  
「ほんとう?またあそびに、きてくれるの?
やくしょくだよ?」

『ちょっとお待ち下さい。いったい彼は、何と言ったんですか?』

クラムと話す私に、横槍を入れるドラしゃん。

私はキョトンとした顔をして、クラムが言ったことをそのまま伝えた。

「えっと、(今日は、お使いできたから。もう帰るけど、次はゆっくり仲間も連れて遊びにくるからね。)だって。」

それを聞いて、皆はまた目が点状態。

そんな皆を無視して、私はクラム達とお喋りをして、約束をこぎつけた。

クラム達は、"約束"と言わんばかりに、尾を海面上へとだす。

そして、サイスン国王から預かってきた物を桟橋の上に置いて、来た海を帰っていったのだった。

私は彼らの後ろ姿に向かって、ひたすら手を振った。
すると、彼らは大きくジャンプを繰り返し見せてくれた。

彼らのジャンプをしたら後には、大きな虹がかかっていた。

『これは、本当にお嬢様は言葉を理解している様ですね。
これは、【大聖霊】の加護を受けているモノのみでしょうか?
それとも...。
一度しっかり確かめておかないと、これは大変な事になるかもしれません。』

そう呟くドラしゃん。
しかし、そう考えていたのはドラしゃんだけではなかった。

離れた場所で見ていた、ドムじぃーちゃんやムキじぃーちゃんも同じ考えの様だった。

ちなみに、リュモさん達人魚族や人魚のハーフの種族は海に入れば普通に鯨さん達と話せるのだと、後日教えてくれた。

それでも、一見普通の人間の。
しかも、幼児にここまでの能力があるとは思っていなかったとも言われたのだ。











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