異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-37 同盟国の国王達と話し合い

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 同盟国の王様達から伝達が街に届いた翌日のことだった。
届いた手紙には時間に関して特に指定されていなかったが、いつものように昼前に街へ御一行様が来訪してきた。

本来なら街の皆でお出迎えするのが良いのだろうが...王様達の事だからすぐ話し合いが出来るようにと配慮して、いつメンでのお出迎えに。

どうやらそれが正解だったようで、到着して早々にギルドの会議室へ直行となった。

挨拶も早々に、ギルドの会議室へと連行されて行った私達。
 
ギルドの会議室に入ってから、直ぐにでも話し合いが行われるのかと思っていたが...全員が揃って準備万端なのにも関わらず何も言わない国王様達。

どんな話をされるのかと、様子を伺っていると王様が最初に口を開く。

「もう既に、北側と西側に街が完成して、人が住んでも問題がない状況にあると、報告を受けているが...間違い無いのか?」

王様の言葉に、その場にいるメンバーで今回の旅に同行した者のみが頷く。

その反応を見て、他の国王様達は驚き目を見開いて私達を見つめる。

「では、もし今から俺達に見せろって言った場合は...。」

『見せれますよ。なんなら、今から見に行きますか?』

王様が全てを言いきる前に、ドラしゃんがいけしゃーしゃーと答えると、国王様と側近の皆さんは大きく首を縦に振る。

ドラしゃんは大きな溜息をついてから席を立ち

『何してるんですか?見に行くのでしょう?行きますよ。』

そう言って、ドラしゃんはあたかも当然の如く私を抱えたまま会議室から出ようとする。
それを思わずドムじぃーちゃんが止めた。

「ちょっと待て!本当に今から行くのか?だれが案内するんだ?!」

ドムじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃんはしれっと答える。

『私とお嬢様。あと、ムキファーとアキラ様が居れば問題ないでしょ。
必然的に【聖獣】と【大聖霊】はついてくるのですから。』

ドラしゃんのその言葉に、ドムじぃーちゃんは呆れ返る。

こんな時のドラしゃんは誰が何を言っても、考えを変えないのは分かりきっていたから...。

ドムじぃーちゃんから、それ以上言葉が返ってこなかったので、ドラしゃんは歩みを進めた。

それに合わせて、ムキじぃーちゃんもやれやれと言った表情でお兄ちゃんを抱き抱えて、私とドラしゃんの後を追ってきて、私達が会議室から姿を消すと、国王様達は慌てて追いかけて来た。

会議室に残されたメンバーは、溜息を吐きつつも、私達が戻って来た時に色々対応がとれる様にするためにそれぞれ動き出す。

 
 会議室から出てきたドラしゃんは、後から追いかけて来る人達を横目でチラリと確認するも、歩みは緩めない。

ムキじぃーちゃんは、いつの間にかお兄ちゃんを抱えてドラしゃんの横を歩いていた。

国王様達はと言うと、小走りで後を追いかけてきている。
それを見て

「少し歩くスピード緩めてやれよ。
あくまでも、お偉いさん達だぜ?」

ムキじぃーちゃんが小声でそうドラしゃんに言うと、ドラしゃんはムスッとした表情で答える。

『早く見たいのは、彼らでしょ?だから急いであげているんですよ?何か不服でも?』

ドラしゃんの答えに、ムキじぃーちゃんは溜息を吐きつつやれやれと言った感じでそれ以上何かを言うのをやめた。

「おーい!ちょっと待ってくれ!まさか歩きで行くのか?馬は?」

後方から追いかけてくる王様が息を切らしながら叫んできた。

その声を聞いてドラしゃんは、わざとらしく大きく溜息を吐くと、何やら呪文を唱え出す。

すると...?!
王様一行が宙に浮いたではないか?!!
浮いたのと同時に、ドラしゃんの手の動きに合わせて、王様達は移動するではないか?!!

『これで文句はないですね。急ぎますよ。ムキファー。貴方は走れますか?
走れないと言っても、走ってもらいますよ。』

そう言い終わると同時に、ドラしゃんは走り出した。
ドラしゃんの問いに答えるまもなく、ドラしゃんに続いてムキじぃーちゃんも走り出す。

王様達は有無も言わされずに浮かんだまま高速移動を開始した。

私とお兄ちゃんは、不思議な姿勢で宙に浮いて、ドラしゃんによって移動させられている王様達の姿を見ながら、思もわず笑ってしまった。

あっという間に、まず最初に出来上がった街、北側の街に着いた。

王様達は、ドラしゃんの魔法から解放されて、地面に降り立つと船酔いした様な感じになっていて、まともに動けていない。

もちろんだが、【聖獣】や【大聖霊】達は、着いていくのが当然の如く、普通に側にいた。

いての間に?って聞くと、姿を消してずっといたと言うのだ。

また新たなスキル(能力)を見て、私とお兄ちゃんは、少し興奮してしまった。

ドラしゃんは、私とお兄ちゃんを【聖獣】達に預けて、へばっている国王様達を引きずって街の案内をしだす。

同盟国とはいえ、国王様達にこんな対応をとれるのはドラしゃんだからだと密かに思った。
(内緒だよ!)

私とお兄ちゃんは【聖獣】達と一緒にのんびりと後をついて行く。

すると、先ほどまでへばっていた国王様達が街を見ると一気に元気になってきたではないか。

眼を限界まで見開いて、キョロキョロ待ちを見渡す国王様達。

私とお兄ちゃんは、クスクス笑って見ているとセバしゃんが"しぃーっ"てしてきた。

私とお兄ちゃん。そして、セバしゃんで"しぃーっ"てしあいっこしていると、国王様達の大きな声が聞こえてきた。

「おい!本当にこの街、お前達でつくったのか?あんな、短期間で!」

「街だけてない!!道もなんだあれは!?俺達の国ですらあんなのないぞ!!」

「どんな技法をつかったのですか?!」

「俺達の国でもこんな街つくれるのか?!」

それぞれの国の国王様達が皆同時に一気に喋るので、とにかくうるさかった。

特にドラしゃんは、質問攻めだったからなおうるさかったのだろう。
一気に不機嫌な顔になっていた。

これはまずいと思い、私とお兄ちゃんが止めに入る前に【大聖霊】達が王様達の質問に答えてくれた。

『ほんに煩いですね。大の大人が、ギャーギャーと...。
ここまで来る道と街の大半は、我らでつくりましたよ。』

『本当だよ。主人に良いところを見て欲しくって、張り切っちゃった。』

『人間どもだけで、短期間でここまで出来るわけがない。』

『街づくりは、人間達とも協力して作ったけどなぁー。』

『大半は、僕たちが頑張ったおかげだよ。』

『...そうね。...主人も...喜んでいたし..』

『あんたらの国にも同じものは嫌だね。』

『我らが力を使うのは、主人のためですからね。』

『主人以外の者の為に、力を使うなんて...嫌ですわ。』

『そうね。』

『そうだな。』

『という事で、諦めろ。』

と、こちらも国王様達相手に一気に捲し立てていく。
さすがの王様達も【大聖霊】達には勝てないのだろう。

一気に静かになり、横目でドラしゃんの反応を伺う。
ドラしゃんが首を縦に振ると、ショックを受けた様に項垂れる。

そんな王様達に、苦笑いを浮かべながらもこの街の説明をするムキじぃーちゃん。

「そんなにしょげんなよ。まぁ~そんなもんだって、最初から分かってただろう?
 ちなみに、この街はユウダイの意見を取り入れて、どんなに雪が積もっても耐えれる様に設計されているぞ。
 薪の保存庫も多めに設置してあるし、家も保温効果のある仕組みにしてあるし...。
それに関しては、ユウダイにお願いすれば知恵ぐらいは授けてくれるだろうよ。」

その言葉に、一種希望の光を感じたのだろう、国王様達の表情が明るくなっていく。

何故そこまで、街づくりにこだわるのかと気になったが、後に国王様達が教えてくれた事を考えると納得できる。

本日中に、西側の街も案内したいドラしゃん。

『これ以上質問がない様なら、次の街へ向かいますよ。』

そう言って、再度返事を聞く前に国王様達を浮かせる。

それを見て、ムキじぃーちゃんも私達も驚いた。

「お前、まさか今日中に全部見せるのか?!」

ムキじぃーちゃんのその言葉に、なにを当たり前の事を言ってんだ??と言う表情をするドラしゃん。

私とお兄ちゃんは、今度は【聖獣】と【大聖霊】達と移動することにした。

ムキじぃーちゃんのみ単身で走る事に。

それぞれの準備が出来たことを確認したドラしゃんは、文句をいう国王様達の意見は無視して、西側の街を目指して走り出した。

案の定、また悲鳴をあげる国王様一行。

それを後ろから見つめながら追いかける私達。

 ドラしゃんの強行対応策にて、本当に半日もかからずに北側と西側の街を案内しきった。

道中は、ドラしゃんの魔法で移動をさせられ、ヘロヘロになりながらも街をしっかり観察していた国王様一行。

北側と西側の街を見て回わり、中心の街へ戻ってくると、有無も言わさずギルドの会議室へと向かう。

すると、呼んでもいないのにいつメンが集まっていた。

とりあえず顔色の悪い国王様一行に、ルミばぁーちゃんとお母さんがお茶を配ると、涙を流しながら受け取る国王様一行。

水分もとり、酔いも落ち着いた所で話し合いとなった。

話し合いと言っても、国王様一行が見てきた街の感想と、国王様一行からの要望をとりあえず"聞く"と言うものだった。

とりあえず...ね。

国王様達の感想は、意外なものからえっ?!と言うものまであった。

「あれだけの街をたった数日で完成させるとはありえない!
しかも、街と街を繋ぐ街道もしっかりしている。
【大聖霊】や【聖獣】の力を借りたと言ってもありえない出来栄えだ。」

「それより、【大聖霊】や【聖獣】が建築をするなど聞いた事がない!!
本当は、他の者がやったのでは?」

「一つの街にしては、完成度が高すぎる。まるで、王族の住む都みたいな出来栄えだ!本当に一般市民が住むのか?
他の街もあんな風にするのか?」

「あんな立派な街に住むとなると、税金等は幾らぐらい徴収する気なのですか?!
まさか、徴収しないとかはいいませんよね?」

などなど多数の感想や意見を喋るだけ喋り通した国王様御一行。

国王様達の感想を聞いて、皆がハッとした事が...。
それは、"税金"ってワードだった。

私やお兄ちゃんは??だったが、働く大人達にとっては馴染み深いものだった。

どうやら、この世界にも税金を納めるって言う制度はあるようだ。

ただ、私達異世界から来た人間のみが免除されているだけで、他の人達は納めているというのだ。

そんな事はつゆ知らず...。

お父さんとお母さんがドラしゃんに聞くと、ドラしゃんも特例の一部に入る様で、税金に関しては気にしてなかったのですっかり忘れていたそうだ。

その為、ロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃんに聞くと、しっかり"税金"は納めているとの事だった。

この世界の"税金"は、[住民税]と[商業税(販売&買取税)]のみだ。

私達の世界では、他にも色々払わないといけない"税金"があるが、この世界ではこの2種類のみの様だ。

[住民税]は、私達の世界と同じで住むにあたって払う税金だ。
それは、住む場所によって金額が違うという。

[商業税(販売&買取税)]は、素材や収穫した物を売り買いした金額の3%を税金として納めるという。

納めた税金は何使われるのかと言うと、失業した時の給付金や街や村の修繕費用等に使われるのだという事だった。

ちなみに税金が免除されるのは、異世界からの転移者と転生者のみだとルミばぁーちゃんが教えてくれた。

それ以外の者は、まともな収入が得られる歳になる15歳になると全員(王族、貴族も)納めるのが、この世界の決まりだという。

なぜ、異世界から転移者と転生者は免除されるのかと言うと...。

能力値が高い為、ランクの高い魔物や素材の採取等を率先して行って貰う様になるし、それ以外にも国や世界にもたらす恩恵が高いからだと王様が教えてくれた。

教えてくれた王様自体も、異世界から来た人間なので税金は免除されているが、免除されている分、普通の冒険者では扱えない内容のクエストを今でもこなしているとの事だった。

ただ、王様はそれで得る収入は必要最小限だけもらって、あとはギルドの運営資金に回したり、孤児院の運営資金等に回しているのだとか。

何でそこまで?と思うが、ムキじぃーちゃんや王様がこの世界に来る前までは、この世界で収入を得ようと思ったら、冒険者か商業を行うぐらいしかなかったのだった。

それ以外で収入を得る手段を知らないのだとか...。

それを知って、ムキじぃーちゃんと王様が他の方法も提案して、ドムじぃーちゃんみたいな建築系やモッケしゃんのような移動式商業者が増えたのだった。

それでも、まだまだ発展の余地があるのでは?と思ったお父さんとお母さん。

しかし、その時は自分達の胸にしまっておいて、話題には出さないでおいた。

なぜかと言うと、もう少しこの国が発展してからの方がいいと思ったからだと後になって知るのだった。

王様達の話から"税金"の話が出たが、まだ造らないといけない街があと2つあるので、それが完成してから考える事にした。

ちなみに、この街ですでに住んでいる人達の住民税はどうなっているの?ってお母さんが確認してら、ルミばぁーちゃんがちゃんと対応してくれていた。

とりあえず、以前住んでいた街や村で納めていた金額で一応構わないと言ってギルドの方で徴収してくれていたのだ。

今回の件で、お父さんとお母さんはこの世界での税金に関しても勉強が必要かだと知って、ルミばぁーちゃんに教えを乞うことにした。

おっと...。
話を戻さないとね。
えーと...そうそう。国王様達の完成した街を見ての感想を聞いてのでしたね。

税金以外に...、そうそう、他の街の造りについて指摘があったっけ?

それに関しては、ドムじぃーちゃんが答えてくれた。

「街に関しては、残りの2つもこの子達の判断に任せるつもりだ。」

そう言って、私とお兄ちゃんを見る。

私達と目が合ったドムじぃーちゃんは、いつもと変わらない笑顔だった。

「この子達の気持ちに合わせて、【大聖霊】や【聖獣】が力を貸してくれてるんだろう?なら、この子達に任せるまでだ。
だって、この国の代表は実質この子達みたいなもんだろう?
 俺達は、それに合わせるだけだ。
北側の街にしても、西側の街にしても、この子らがいなかったらあんないい街にならなかったからな。」

その言葉に、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも頷き、王様達は唖然としていた。

「それによ。この一家の発想は俺達にない物を持っているからなぁー。
それがまた良いんだよ。
俺たちもまだまだだと思える、いい物を持ってるんだ。」

ドムじぃーちゃんのその言葉にお父さんとお母さんは、照れた表情をする。

「それでお前たちは良いのか?」

王様の言葉に、その場に居るいつメンは当たり前だろう?と言わんばかりの表情で頷く。

どうやら王様達の負けの様だった。

「あっ。皆様の国にもお力になれることがあるなら、こちらが落ち着いてから協力しますよ。」

そう言い出したのはお父さんだった。

その言葉に会議室に居た全員が驚く。

「私達がこうやって生活できるのは、皆さんの協力あっての事ですから。
 この国がある程度落ち着いたら、今度は私達がそちらに赴いて、手助けさせて頂きたいと思います。」

「そうね。他の国にも興味ありますし。この子達の社会勉強も兼ねてお願いできますか?」

お父さんとお母さんの言葉に、国王様一行は嬉しそうな表情を浮かべる。
どうやらその言葉が狙いの様だった。

それに気付いたドラしゃんは、国王様一行を軽く睨んだが時すでに遅しの状態だ。

「その言葉、ここにいる王族皆で聞いたからな。」

「期待していぞ!」

「歓迎するぞ。」

「楽しみにしてますからね。」

満面の笑顔の国王様達。

国王様一行の意図を理解していないお父さんとお母さんは、笑顔でお願いしますと返事をする。

そんなお父さんとお母さんを見て、いつメンはやれやれと言った表情を浮かべる。

 国王様一行が帰ったあと、お父さんとお母さんは何やら話し合っていた。

いつもより真剣な表情で話しているため、国王様一行を見送ったいつメンは、解散するにも解散できずにいて、様子を伺っていた。

お父さんとお母さんは、皆に見られている事にも気づかないぐらい真剣に話し合っていた。

しかし、その空気を壊したのは...グーックルるる、キュルルって音を立てた私とお兄ちゃんのお腹の虫だ。

さすが私達の親と言うべきか...私達のお腹の音が煩かったのか...(できたら前者であって欲しい)私達のお腹の音に反応して、お父さんとお母さんは話し合いを中断して、ご飯の支度に取り掛かってくれた。

その日のお昼ご飯は少し遅めになったが、いつメンと一緒に食べる事になった。

お母さん達がご飯の支度をしてくれている間も、私達の相手をしてくれていたのもあるが、皆がお父さん達が何を話し合っていたのかが気になって、帰らなかった。

私とお兄ちゃんは、いつも通り目の前のご馳走に夢中になって、ニコニコ笑顔で食べていた。

それを片目で見ながらもお父さんとお母さんは、先程中断した話の続きを小声でしていたのだ。

「おい。フレア。お前聞いてみてくれんか?」

「そうだ。これができるのはお前さんしかおらんぞ。」

「気になって、私らはご飯どころでない!」

「たのんますわ!フレアはん!」

と、皆にお願いされるドラしゃん。

ドラしゃんは、渋々ながらも自分も気になるので、お父さん達にそれとなく声をかけてみる事にした。

『...旦那様?..奥様?少しよろしいでしょうか?
 先程から何の話を...されてるのでしょうか?』

恐る恐る声をかけるドラしゃん。

そのドラしゃんの声にハッとして、お父さんとお母さんは苦笑いしていた。

「えっ!あ...すみません。いや...そこまで込み入った内容では...ないんですが...。」

少し歯切れが悪く話すお父さん。
それを"そうなのよ"と言いながら、こちらも歯切れの悪そうな様子で反応するお母さん。

だが、相手が悪かった。
そんな歯切れ悪く話すと、より気になって心配するのが、このいつメンなのだ。

皆の視線が、"話してくれ!!"と訴えているのがわかり、儚い抵抗も虚しく正直に話出した。

まぁ~このメンバーに、隠し事をするのは至難の技だと思う...。

「実は、王様達の話を...自分達なりに考えていて...。」

「ふと、ある事を思いついたんです。」

そう話をしだすお父さんとお母さん。

いつメンは、静かにお父さん達の話が終わるまで聞き手に徹する事にした様だった。

視線で続きをと促されて、お父さんとお母さんはゆっくり話出した。

「別に自分達の発想や...技術が褒められるほど素晴らしいものではないんですよ。」

「私達...レベルでしたら、私達のいた世界では素人に毛の生えたレベルなんです。」

お父さんとお母さんの言葉に、目を見開いて驚くいつメン。

それでも、お父さん達は話を続けた。
きっと、自分達の考えを全て話さないと駄目なのは、学習済みなので...。

「私達の知識や技術は、学生時代に学校で学んだ事。社会に出て実地で学んだ事ばかりです。
もちろん、自分達で調べたり経験して培ったものもありますが...。」

「それでも、専門の知識を持った人から教わる。そして、体験して学ぶって言う事は大事だと思うんです。」

そう話すお父さんとお母さん。

「実は、ドムじぃーちゃん達が旅に出ている間に、孤児の子達と色々話す機会があって、それをきっかけにずっと考えていたんです。」

「リンやアキラと対して歳も変わらない子から、それ以上の歳の子もいるのに、自分の名前すら書けない子がいる事に驚いたわ。
 働かないと食べていけない...それは...わかるけど、...でも子供のうちにたくさん学ぶ事は必要よ。
子供の頃に身につけた事、学んだ事は大人になっとも役立つもの。」

「だから、せめてこの街...この国では、ある一定の年齢になるまで、子供達に学ぶ機会を与えてあげたいんです。
 この世界にも、学ぶ機関はあると聞きました。しかし、そこはお金にゆとりのある富裕層しか通えないと聞きました。」

「それでは意味がないわ。お金がなくても、無償で学ぶ所があってもいいと思うの。だから...。」

そこまで言って、お父さんとお母さんは口をつぐんでしまった。

ここまでの話を聞いて、お父さん達が何を言わんとするかは、私とお兄ちゃん以外はわかった様だ。

『もしかして、無償の学舎みたいなのを造りたいのでしょうか?』

ドラしゃんがそう言うと、お父さんとお母さんは頷いた。

その反応に、いつメンは苦笑いを浮かべていた。

「根のいいお前さん達の事だから...そんな事だろうとは思っていたが...。」

「学舎...しかも、無償かぁー...。」

「アイデアとしては、いいと思いますが...。」

「運営が...でっしゃろ?」

皆の反応に、肩を落とすお父さんとお母さん。

すると、ずっと黙っていたルミばぁーちゃんが口を開いた。

「できるかもしれないね。しかし、もしかしたらあんたらが考えているものと、異なるかもしれないがね。」

その言葉に、私とお兄ちゃん以外が食いついた。

私とお兄ちゃんは、皆の話はそっちのけで、空腹を満たす事に専念しているからだ。

ルミばぁーちゃんは、自分の中の考えを纏めながら話出した。

「全てが無償でって、言うのはちと難しいが、ほぼ可能だろうね。
 冒険者登録ができる歳になるまで無償にして、登録したらある程度の仕事ができるから、多少なりの収入は得る。
しかし、収入はまちまちだ。
そこでだ。最低限の金額の支払いで可能にするのさ。」

ルミばぁーちゃんの話の内容に、私とお兄ちゃん以外の人は手を止めて、真剣に話を聞き出す。

ルミばぁーちゃんもそれに合わせて、真剣な表情で話を続ける。

「例えばだけど、ユウダイとユイカがどの程度の内容を教えてやりたいのかは、今の時点でわからないから何とも言えないけど、学びの基礎基本。文字、計算、最低限の礼儀作法、冒険者登録時に必要な基礎的な事までなら、無料にする。
 それ以上の専門的な事。そうだね、ドムの様な建築的な事やムキファーみたいな一端の冒険者として生計を建てるに必要な事。私みたいに、商売で生計を建てるノウハウなんかを学びたいと言う事になると、有料とかね。
そうすれば、年齢問わず学べるんでないかい?
 教える人間に関しては、この街で暇してそうなのが居るんだし、これから職を求めてくる連中だっているんだ。
そんな連中にやらしゃーいいのさ。
まぁ~、最低限の見定めは私らでするとしてさ。
 確かに、冒険者になっても学がある奴と無いやつでは、収入面でも損をするからね。
生存率も違うし。貧困は、子供らのせいでもない。好きで貧困を選ぶ奴はいないさ。そう言う事だろう?」

そう言ってルミばぁーちゃんは、お父さん達を見た。

ルミばぁーちゃんの言った内容は、どうやらお父さん達が考えていた内容と同じだった様で、嬉しそうに頷いていた。

「金額、年齢、学ぶ内容などは、後々考えを纏めていけばいいさ。
ようは、学べるうちに学ばせてやりゃ~いいのさ。」

「なる程なぁ~。それなら、賛成だ。少しでも、子供の冒険者の生存率が上がるならいい話だ。」

「それなら、孤児でも安心して学べそうですね。」

「まだまだ、考えないといけない事がありそうだがなぁー。」

「場所はどうしますの?」

「ギルドを増築して、ギルド内に設けたらいいじゃねぇか?
ギルド程、安全な場所はないぜ。」

『脳筋の割には、しっかり考えているたんですね?意外です。』

どうやら、話は纏まりつつあった。

私とお兄ちゃんがお腹を満たして、ご馳走さまをした時、お父さんとお母さんに声をかけられた。

「リン。アキラ。次の街づくりには、お父さんとお母さんは不参加だ。」

「リンとアキラが頑張っているから、お父さんもお母さんも、ここでやらないといけない事をして、貴方達の帰りを待つ事にしたわ。」

お父さんとお母さんの急な話に、私とお兄ちゃんはキョトンとしてしまった。

「えっ?お父さん、お母さん来てくれないの?」

お兄ちゃんがそう話すと、お父さんとお母さんは頷いた。

それでようやく話の内容が理解でき、私は思わず駄々をこねてしまった。

「やだ!お父さんとお母さんもいっしょがいい!!」

普段我が儘を言わない私が、そう言うものだから皆が驚いた。

もちろんお兄ちゃんもだ。

「やだぁーーー!」

そう言って思わず泣き出してしまった。

慌てて私をあやすドラしゃん。
それでも私は中々泣き止まなかった。

すると、お母さんがドラしゃんから私を受け取り、優しい背中をトントンしながら私に話しかけてきた。

「今回の街づくりには、リンとアキラの存在は欠かせないの。
それと同じで今度この街で、この国でしようと思っている事は、お父さんとお母さんが必要なの。
 大丈夫。早く終わったら必ずリンとアキラの所に行くから。
そりゃ~、お母さんもお父さんもリンやアキラから離れるのは寂しいわ。
本音を言うと、リン達とはいっときも離れたくはないわ。
 でも、私達家族はこの世界に、ここにいる人達に返しても返しきれない恩があるのよ。だから、ね。」

優しく、諭す様に話しかけるお母さん。
周りは幼い私にそこまで言わなくてもって、言う声が上がっていたがお母さんはそうはしなかった。

幼いけど1人の人として、話してくれた。

なら...。私もそれに答えるしかなかった。

「リン。いい子にしてたら...いい子してくれる?ちゃんとあいにきてくれる?」

私の言葉にお母さんは、笑顔で頷いてくれた。

こうして、次の予定がそれぞれ決まった。

私とお兄ちゃん。ドラしゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、街づくりの旅に。

お父さんとお母さんは、ここに残って学校作りと税金に関しての対応をする事となった。











ルミばぁーちゃん:
あんたらと居たら、私ら暇なしだね...。

ロドじぃーちゃん:
ボケ防止になっていいじゃねぇーか。

モッケしゃん:
刺激が尽きなくて、いいじゃないでっか?
楽しみですなぁ~♪

ルミばぁーちゃん:
はぁー。呑気な連中ばかりだね...。

ロドじぃーちゃん:
これから人が増えるんだし、この街らしくっていいだろう。
ありきたりなのは、俺もお前も飽きてたろ?

ルミばぁーちゃん:
まぁーねぇー...。

ラミィお兄ちゃん:
親があんな感じですから、リンやアキラが大きくなったらもっと大変そうですね^ ^

ルミばぁーちゃん
ロドじぃーちゃん
ドムじぃーちゃん
ムキじぃーちゃん
モッケしゃん
ドラしゃん:
....(ーー;)












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辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

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机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
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異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
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高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

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