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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-22 街の灯火となる街灯造りに大苦戦
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翌日、明るいうちに船着場へ向かうことにした。
明るい場所で、昨日作った船着場に不備がないかの確認と、どこに街灯と灯台を作るかを確認するためにだ。
船着場に関しては、再度ウンディーナに協力してもらい、海水を除けもらって確認をした。
一晩海水に浸かってた割には、かなり状態は良好だったので、問題はなさそうだ。
張られた結界の周りに、イソギンチャクなどがくっついていたがこれも特に問題にはならなかったみたい。
海底からの高さも十分にあり、今の所は沈んだりする事もない。
「まぁー余程海が荒れない限りは大丈夫そうだな。」
ドムじぃーちゃんは満足そうに言い放ち、ウンディーナに海水を元に戻す様にお願いする。
海が元に戻っても問題はないことをちゃんと確認するドムじぃーちゃん。
色んなことをある程度想定してこの船着場は作られている。
通常の船着場より高さがある上に、かなり頑丈に作られているので問題はないと傍目から見ても思うのだけど...やはりドムじぃーちゃんは職人だ。
大丈夫だと分かっていてもちゃんと"本当に問題がないか"を自分の目で必ず確認する。
なぜそこまでするのか昨日質問したら、
「俺は一応職人だ。船着場となると、荷物だけじゃねぇー、船乗りやそこで働く人達の命も預かるんだ。軽い気持ちで取り組むべき物じゃーねぇー。特に海や山となると相手は自然だろう?
どう足掻いても太刀打ちできる相手じゃ~ない。だからと言って妥協するべき相手でもない。自分の手で、目でちゃんと確認して納得しておかねぇーとなぁ...。人が作るもんだ。完璧とはいかねぇー。しかも自然相手となりゃ~なおさらだ。
だけどよ?相手が自然だからって適当な仕事をしたらそこで働く人達に迷惑をかけることになる。それじゃー意味がねぇ~。だから、俺はいっさい手をぬかねぇーだ!」
と熱く語ってくれた。
言っていることが難しくって内容の半分も意味が理解できなかったけど、そう話すドムじぃーちゃんの姿がかっこいいのは伝わった。
船着場の確認を無事に終えると、今度は街灯と灯台をどうするかになった。
一応あれからも幾つか案を出し合ったのだが...そこで使えそうな案が出たのは以下の3つだ。
1つ目は、船着場は外壁の外にあるため、船着場の外壁のみに灯りをつけるのはどうかというものだ。
灯台に関しては、船着場から少し離れた場所にある丘に、灯台を設置するという意見がでた。
2つ目は、外壁と船着場近くの両方に灯りをつけるのはどうだろうかと言う意見だ。
灯台に関しては一つ目の意見と同じ内容の案がでた。
3つ目は、外壁全体に夜になったら灯りを灯す様にし、船着場近くにも頑丈でより一際大きめの街灯を設置するという案だ。
灯台に関しては、一つ目と二つ目の案と同じ意見となった。
そのため、灯台の場所はどの案も共通だったので、船着場から少し離れた場所にある丘の上に灯台を設置することが確定した。
問題は街灯だ。
そこで、ムキじぃーちゃんに決めてもらう事になった。
ドムじぃーちゃん以外で唯一この中で冒険者経験があり、色んな観点から見て答えてくれるだろうと、言うドムじぃーちゃんの意見を元にして、ムキじぃーちゃんに決定権を託したのだ。
ドムじぃーちゃんの無茶振りに焦るムキじぃーちゃんだったが、皆の期待の目に根負けして渋々承諾し街を見ながら考える。
どの案が最適か。
それ以前に他にいい案がないかをだ。
皆の視線を浴びながら、ムキじぃーちゃんはいつになく真剣な表情をして考えている。
頭の中で、それぞれの条件で作られた光景を浮かべながら、実際に作られるだろう場所に赴いて思考を巡らせる。
自分の中でどれがしっくりくるか?
側から見て、どれがこの国らしいか?
かなり悩んで、ようやく答えを導き出したようで、眉間に寄っていた皺が伸びていく。
そして、皆の顔を一通り見渡し...ニカッと笑う。そして...ゆっくりと口を開き
「よーく、考えたけどよ。わからん。」
笑顔と共にそんな事を口走るムキじぃーちゃん。
ムキじぃーちゃんの言葉を待っていた皆は、はぁーー!!と大きな声をだす。
そんな私達にムキじぃーちゃんはちゃんと真剣に答える。
「どれもよ。悪かぁーないんだ。しかしよ、雪が積もった時の事を考えると、どれもリスクが高い気がするだ。
まぁ~、実際にここにどれだけの雪が積もるかなんてわからんしよー??
丘の上に灯台を建てるのは問題ないが、灯りの方だ。
普通の街灯だと、雪の重みに耐えれるのか?って話さ。
あと、下手な鉱石とかを使うと錆がきたり、朽ちるのが早かったりするだろう?
そんな事を考えるとなぁー。
それに道中の街灯は、【大聖霊】達が作ってくれたからよ。
俺達に同じだけの技量でそれが作れるかってのがなぁー...。」
ムキじぃーちゃんの言葉に、皆の顔が曇り出す。
そんな様子を見ていた【大聖霊】達が、ムキじぃーちゃん達に声をかける。
『なんで悩む必要があるんだ?』
『道中に作ったやつでいいんだったら、作れるぜ?』
ノーム達の言葉にドムじぃーちゃんが首を横に振る。
「いや。なんもかんもお前さん達に頼るのは気が引ける。
それに、自分達でも造れるようになってないと、修繕や増築する時に困るんだ。
お前さん達は、建築がメインでないだからよ。
ましてや、お前さん達が常にこの街にいるならいいんだが、そうでもないしな。
お嬢ちゃんの相手がメインの筈だろ?だったら俺たちで作るのがベストなのさ。」
ドムじぃーちゃんの言葉に、【大聖霊】達はどことなく不服そうな表情を浮かべるが、ドムじぃーちゃんの気持ちを察して無碍にはしなかった。
今回は、彼らも手伝うのだから作ってもいいのでは?と思うが、もし私がこの街にいない時、【大聖霊】達がいない時に何かあったら、造ってないから知りませんって言うのは職人として許せない!と言うのが、ドムじぃーちゃんの本心なのだろうとなんとなく察しがついたので、何も言えなかった。
でもその考えをしていたのは、ドムじぃーちゃんだけではなかったみたい。
ドムじぃーちゃんと一緒にこの街の建築に関わった人達も同じ考えをしていた。
今回の旅で、どうやら皆さんドムじぃーちゃんに弟子入りしたとのこと。
作業時の的確な指示、初見の人でも気さくに接する度量の深さ、何より漢前な考え方に皆は惚れ込んだそうだ。
ちなみに、弟子入りしたのは20人。
今回北部の街開拓部隊のメンバー全員となる。
私とお兄ちゃんは知らなかったが、東西南北の街を作るにあたって、大人達を2組に分けたそうだ。
北と西チームと南と東チームの2組だ。
そうする事により、体力の温存や同盟国との連携も図りやすいだろうと言うロドじぃーちゃんの提案が採用されたという。
その為今回の部隊は、オーガハーフのカカン、カシン、タイカ、タロン、サフマの5人と、ロフィード王国から来た15人だ。
ロフィード王国から来た15人のうち5にが30歳で、カリン、キリリの女性2名。
マイタ、サブサ、コサの男性3名だ。
残りの10人が20代で、ララハ、ライム、モココ、ササハ、アイアの女性5名。
ハリー、バット、アカホ、アサマ、ナパの男性5名だ。
女性もいるが、皆さん逞しい人達ばかり。
何より自分達の手でどうにかしようと言う気持ちが子供である私やお兄ちゃんですらわかるほど、しっかりした人達だ。
その為、ドムじぃーちゃんも自分が世話するなら徹底的に教えてやる!自分がいなくなった後でも困らない様にしてやろうと言う思いで、彼らと関わっていたのだった。
だからこそ、必要以上に【大聖霊】達の力を借りるのが半ば辛かったと後になってそっと教えてくれた。
人間の、"職人魂"みたいな考え方や感じ方は【大聖霊】達ではわからない。
それは仕方がないことだから文句は言えない。
でも...少しでもドムじぃーちゃん達の気持ちを理解してもらえる様にドラしゃんが【大聖霊】達に、わかりやすい様に説明していた。
その内容もどうかと思うが...。
『【大聖霊】であるお前達に人間の繊細な気持ちの部分まで理解するのは難しいのは百も承知だ。
私ですらまだ、わからん事があるからな。
まぁ~そうだなぁー...例えばだ。
お前達はお嬢様と契約を結んでいるだろう?なら、お嬢様の力になるのも、見守るのも自分達が1番でいたいだろう?』
ドラしゃんの言葉に【大聖霊】達は、一死乱れぬ動きで頷く。
『それなのに...頼られるはずの自分達より、身も、名前も知らん輩にその役割を奪われたらどうだ?』
そうドラしゃんが言うと...。
『ふざけんな!』
『冗談ではないですわ!』
『絶嫌だ!!』
『そんなの許せるカァー!!』
と、【大聖霊】達からヤジが飛び交う。
『そうだ。お前達のその気持ちと、ドム達が感じた気持ちが一緒だと思ってくれたらいい。』
そう誇らしげに語るドラしゃんに対して、"なるほど"と納得する【大聖霊】達。
えっ?!マジで?
なんか違うような...。
そう思ったのは、私だけではなかった。
聞いていたお兄ちゃんやドムじぃーちゃん達も同じ意見のようで、複雑な表情でドラしゃん達の会話を聞いていた。
しかし、ドラしゃんの言葉で【大聖霊】達が納得してくれたので、街灯造りに関しては、ドムじぃーちゃん達に任せると言ってくれた。
困った部分はもちろん手助けはすると約束してだけどね。
なんとか、話は纏まりつつあったが、根本的な問題は解決してなかった。
そうなんです。
街灯をどうやって造るかってことがまだまだ課題として残っている。
そこで、その場には色んな国出身の人達がいるので、それぞれの国ではどの様に街灯を造っているのかをまず聞き出して話し合いする事にした。
そして、それぞれの話を聞いて良いところとを取り入れ、悪い所を改良してこの国の、この国でしか造れない"街灯"を造る事となったのだった。
ドムじぃーちゃん:
一気に弟子が増えたわい^ ^
ムキじぃーちゃん:
ユウダイもそうだろう?
アイツはどうなんだ?弟子としては?
ドムじぃーちゃん:
アイツか?アイツは弟子卒業しとるぞ。
ムキじぃーちゃん:
はっ?!いつだ?!(OvO)
ドムじぃーちゃん:
いつだったかのう?忘れたわ。
一通り造り方は教えたぞ。
剣、刀、刃物、大剣、斧などの金物系から、虎バサミなどの罠系、盾や防具などから俺が知っている知識と技術は一通り全てな。
ムキじぃーちゃん:
で?
ドムじぃーちゃん:
でっ?と言われてもよ。
全て、一発で作り出すんだわ。
しかも、俺が作ったのより精度も質もいいだせ。
卒業だろう。
ムキじぃーちゃん:
そりゃ~卒業だな。
ドムじぃーちゃん:
何よりアイツは、手先が器用な上に飲み込みもいい。
筋もピカイチだし、発想力も断然いい。
今までとった弟子の中で優秀株だ。
逆に最近は、俺がアイツから教わってるぞww
ムキじぃーちゃん:
まじかい...~_~;
ドムじぃーちゃん:
最初はよう、悔しかったぜ。
何年もあずって会得した技を一発でこなせるんだからよ。
しかしよぉ~、アイツは成功してもよぉ~何回も何回も繰り返し復習するんだわ。
あーでもない。こーでもない。って言いながら...。
それを見てたらよぉ~、恥ずかしくなってさ。
ムキじぃーちゃん:
ほぅ~
ドムじぃーちゃん:
俺は、慢心し過ぎてたんだなぁーって思っちまったんだよ。
アイツを教えながら、職人とはどんなものかを改めて学ばせてもらったさ。
アイツは弟子であって、俺の師匠でもあるんだよ。
ムキじぃーちゃん:
良かったじゃねぇ~か。
なら、今回はお前は頑張らんといかんなぁー^ ^
ドムじぃーちゃん:
あー。もちろんだ。
帰ってアイツに自慢しないといけないからな^ ^
ムキじぃーちゃん:
なら、次回には世界初の"街灯"を作ってくれよ^ ^
ドムじぃーちゃん:
任せとけ♪( ´θ`)
明るい場所で、昨日作った船着場に不備がないかの確認と、どこに街灯と灯台を作るかを確認するためにだ。
船着場に関しては、再度ウンディーナに協力してもらい、海水を除けもらって確認をした。
一晩海水に浸かってた割には、かなり状態は良好だったので、問題はなさそうだ。
張られた結界の周りに、イソギンチャクなどがくっついていたがこれも特に問題にはならなかったみたい。
海底からの高さも十分にあり、今の所は沈んだりする事もない。
「まぁー余程海が荒れない限りは大丈夫そうだな。」
ドムじぃーちゃんは満足そうに言い放ち、ウンディーナに海水を元に戻す様にお願いする。
海が元に戻っても問題はないことをちゃんと確認するドムじぃーちゃん。
色んなことをある程度想定してこの船着場は作られている。
通常の船着場より高さがある上に、かなり頑丈に作られているので問題はないと傍目から見ても思うのだけど...やはりドムじぃーちゃんは職人だ。
大丈夫だと分かっていてもちゃんと"本当に問題がないか"を自分の目で必ず確認する。
なぜそこまでするのか昨日質問したら、
「俺は一応職人だ。船着場となると、荷物だけじゃねぇー、船乗りやそこで働く人達の命も預かるんだ。軽い気持ちで取り組むべき物じゃーねぇー。特に海や山となると相手は自然だろう?
どう足掻いても太刀打ちできる相手じゃ~ない。だからと言って妥協するべき相手でもない。自分の手で、目でちゃんと確認して納得しておかねぇーとなぁ...。人が作るもんだ。完璧とはいかねぇー。しかも自然相手となりゃ~なおさらだ。
だけどよ?相手が自然だからって適当な仕事をしたらそこで働く人達に迷惑をかけることになる。それじゃー意味がねぇ~。だから、俺はいっさい手をぬかねぇーだ!」
と熱く語ってくれた。
言っていることが難しくって内容の半分も意味が理解できなかったけど、そう話すドムじぃーちゃんの姿がかっこいいのは伝わった。
船着場の確認を無事に終えると、今度は街灯と灯台をどうするかになった。
一応あれからも幾つか案を出し合ったのだが...そこで使えそうな案が出たのは以下の3つだ。
1つ目は、船着場は外壁の外にあるため、船着場の外壁のみに灯りをつけるのはどうかというものだ。
灯台に関しては、船着場から少し離れた場所にある丘に、灯台を設置するという意見がでた。
2つ目は、外壁と船着場近くの両方に灯りをつけるのはどうだろうかと言う意見だ。
灯台に関しては一つ目の意見と同じ内容の案がでた。
3つ目は、外壁全体に夜になったら灯りを灯す様にし、船着場近くにも頑丈でより一際大きめの街灯を設置するという案だ。
灯台に関しては、一つ目と二つ目の案と同じ意見となった。
そのため、灯台の場所はどの案も共通だったので、船着場から少し離れた場所にある丘の上に灯台を設置することが確定した。
問題は街灯だ。
そこで、ムキじぃーちゃんに決めてもらう事になった。
ドムじぃーちゃん以外で唯一この中で冒険者経験があり、色んな観点から見て答えてくれるだろうと、言うドムじぃーちゃんの意見を元にして、ムキじぃーちゃんに決定権を託したのだ。
ドムじぃーちゃんの無茶振りに焦るムキじぃーちゃんだったが、皆の期待の目に根負けして渋々承諾し街を見ながら考える。
どの案が最適か。
それ以前に他にいい案がないかをだ。
皆の視線を浴びながら、ムキじぃーちゃんはいつになく真剣な表情をして考えている。
頭の中で、それぞれの条件で作られた光景を浮かべながら、実際に作られるだろう場所に赴いて思考を巡らせる。
自分の中でどれがしっくりくるか?
側から見て、どれがこの国らしいか?
かなり悩んで、ようやく答えを導き出したようで、眉間に寄っていた皺が伸びていく。
そして、皆の顔を一通り見渡し...ニカッと笑う。そして...ゆっくりと口を開き
「よーく、考えたけどよ。わからん。」
笑顔と共にそんな事を口走るムキじぃーちゃん。
ムキじぃーちゃんの言葉を待っていた皆は、はぁーー!!と大きな声をだす。
そんな私達にムキじぃーちゃんはちゃんと真剣に答える。
「どれもよ。悪かぁーないんだ。しかしよ、雪が積もった時の事を考えると、どれもリスクが高い気がするだ。
まぁ~、実際にここにどれだけの雪が積もるかなんてわからんしよー??
丘の上に灯台を建てるのは問題ないが、灯りの方だ。
普通の街灯だと、雪の重みに耐えれるのか?って話さ。
あと、下手な鉱石とかを使うと錆がきたり、朽ちるのが早かったりするだろう?
そんな事を考えるとなぁー。
それに道中の街灯は、【大聖霊】達が作ってくれたからよ。
俺達に同じだけの技量でそれが作れるかってのがなぁー...。」
ムキじぃーちゃんの言葉に、皆の顔が曇り出す。
そんな様子を見ていた【大聖霊】達が、ムキじぃーちゃん達に声をかける。
『なんで悩む必要があるんだ?』
『道中に作ったやつでいいんだったら、作れるぜ?』
ノーム達の言葉にドムじぃーちゃんが首を横に振る。
「いや。なんもかんもお前さん達に頼るのは気が引ける。
それに、自分達でも造れるようになってないと、修繕や増築する時に困るんだ。
お前さん達は、建築がメインでないだからよ。
ましてや、お前さん達が常にこの街にいるならいいんだが、そうでもないしな。
お嬢ちゃんの相手がメインの筈だろ?だったら俺たちで作るのがベストなのさ。」
ドムじぃーちゃんの言葉に、【大聖霊】達はどことなく不服そうな表情を浮かべるが、ドムじぃーちゃんの気持ちを察して無碍にはしなかった。
今回は、彼らも手伝うのだから作ってもいいのでは?と思うが、もし私がこの街にいない時、【大聖霊】達がいない時に何かあったら、造ってないから知りませんって言うのは職人として許せない!と言うのが、ドムじぃーちゃんの本心なのだろうとなんとなく察しがついたので、何も言えなかった。
でもその考えをしていたのは、ドムじぃーちゃんだけではなかったみたい。
ドムじぃーちゃんと一緒にこの街の建築に関わった人達も同じ考えをしていた。
今回の旅で、どうやら皆さんドムじぃーちゃんに弟子入りしたとのこと。
作業時の的確な指示、初見の人でも気さくに接する度量の深さ、何より漢前な考え方に皆は惚れ込んだそうだ。
ちなみに、弟子入りしたのは20人。
今回北部の街開拓部隊のメンバー全員となる。
私とお兄ちゃんは知らなかったが、東西南北の街を作るにあたって、大人達を2組に分けたそうだ。
北と西チームと南と東チームの2組だ。
そうする事により、体力の温存や同盟国との連携も図りやすいだろうと言うロドじぃーちゃんの提案が採用されたという。
その為今回の部隊は、オーガハーフのカカン、カシン、タイカ、タロン、サフマの5人と、ロフィード王国から来た15人だ。
ロフィード王国から来た15人のうち5にが30歳で、カリン、キリリの女性2名。
マイタ、サブサ、コサの男性3名だ。
残りの10人が20代で、ララハ、ライム、モココ、ササハ、アイアの女性5名。
ハリー、バット、アカホ、アサマ、ナパの男性5名だ。
女性もいるが、皆さん逞しい人達ばかり。
何より自分達の手でどうにかしようと言う気持ちが子供である私やお兄ちゃんですらわかるほど、しっかりした人達だ。
その為、ドムじぃーちゃんも自分が世話するなら徹底的に教えてやる!自分がいなくなった後でも困らない様にしてやろうと言う思いで、彼らと関わっていたのだった。
だからこそ、必要以上に【大聖霊】達の力を借りるのが半ば辛かったと後になってそっと教えてくれた。
人間の、"職人魂"みたいな考え方や感じ方は【大聖霊】達ではわからない。
それは仕方がないことだから文句は言えない。
でも...少しでもドムじぃーちゃん達の気持ちを理解してもらえる様にドラしゃんが【大聖霊】達に、わかりやすい様に説明していた。
その内容もどうかと思うが...。
『【大聖霊】であるお前達に人間の繊細な気持ちの部分まで理解するのは難しいのは百も承知だ。
私ですらまだ、わからん事があるからな。
まぁ~そうだなぁー...例えばだ。
お前達はお嬢様と契約を結んでいるだろう?なら、お嬢様の力になるのも、見守るのも自分達が1番でいたいだろう?』
ドラしゃんの言葉に【大聖霊】達は、一死乱れぬ動きで頷く。
『それなのに...頼られるはずの自分達より、身も、名前も知らん輩にその役割を奪われたらどうだ?』
そうドラしゃんが言うと...。
『ふざけんな!』
『冗談ではないですわ!』
『絶嫌だ!!』
『そんなの許せるカァー!!』
と、【大聖霊】達からヤジが飛び交う。
『そうだ。お前達のその気持ちと、ドム達が感じた気持ちが一緒だと思ってくれたらいい。』
そう誇らしげに語るドラしゃんに対して、"なるほど"と納得する【大聖霊】達。
えっ?!マジで?
なんか違うような...。
そう思ったのは、私だけではなかった。
聞いていたお兄ちゃんやドムじぃーちゃん達も同じ意見のようで、複雑な表情でドラしゃん達の会話を聞いていた。
しかし、ドラしゃんの言葉で【大聖霊】達が納得してくれたので、街灯造りに関しては、ドムじぃーちゃん達に任せると言ってくれた。
困った部分はもちろん手助けはすると約束してだけどね。
なんとか、話は纏まりつつあったが、根本的な問題は解決してなかった。
そうなんです。
街灯をどうやって造るかってことがまだまだ課題として残っている。
そこで、その場には色んな国出身の人達がいるので、それぞれの国ではどの様に街灯を造っているのかをまず聞き出して話し合いする事にした。
そして、それぞれの話を聞いて良いところとを取り入れ、悪い所を改良してこの国の、この国でしか造れない"街灯"を造る事となったのだった。
ドムじぃーちゃん:
一気に弟子が増えたわい^ ^
ムキじぃーちゃん:
ユウダイもそうだろう?
アイツはどうなんだ?弟子としては?
ドムじぃーちゃん:
アイツか?アイツは弟子卒業しとるぞ。
ムキじぃーちゃん:
はっ?!いつだ?!(OvO)
ドムじぃーちゃん:
いつだったかのう?忘れたわ。
一通り造り方は教えたぞ。
剣、刀、刃物、大剣、斧などの金物系から、虎バサミなどの罠系、盾や防具などから俺が知っている知識と技術は一通り全てな。
ムキじぃーちゃん:
で?
ドムじぃーちゃん:
でっ?と言われてもよ。
全て、一発で作り出すんだわ。
しかも、俺が作ったのより精度も質もいいだせ。
卒業だろう。
ムキじぃーちゃん:
そりゃ~卒業だな。
ドムじぃーちゃん:
何よりアイツは、手先が器用な上に飲み込みもいい。
筋もピカイチだし、発想力も断然いい。
今までとった弟子の中で優秀株だ。
逆に最近は、俺がアイツから教わってるぞww
ムキじぃーちゃん:
まじかい...~_~;
ドムじぃーちゃん:
最初はよう、悔しかったぜ。
何年もあずって会得した技を一発でこなせるんだからよ。
しかしよぉ~、アイツは成功してもよぉ~何回も何回も繰り返し復習するんだわ。
あーでもない。こーでもない。って言いながら...。
それを見てたらよぉ~、恥ずかしくなってさ。
ムキじぃーちゃん:
ほぅ~
ドムじぃーちゃん:
俺は、慢心し過ぎてたんだなぁーって思っちまったんだよ。
アイツを教えながら、職人とはどんなものかを改めて学ばせてもらったさ。
アイツは弟子であって、俺の師匠でもあるんだよ。
ムキじぃーちゃん:
良かったじゃねぇ~か。
なら、今回はお前は頑張らんといかんなぁー^ ^
ドムじぃーちゃん:
あー。もちろんだ。
帰ってアイツに自慢しないといけないからな^ ^
ムキじぃーちゃん:
なら、次回には世界初の"街灯"を作ってくれよ^ ^
ドムじぃーちゃん:
任せとけ♪( ´θ`)
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2020年6月 ※ノベルアップ+ 第2回小説大賞「異世界ファンタジー」二次選考通過作品(24作品)
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2021年9月 9/26完結、エブリスタ、ファンタジー4位
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