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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-16 住民登録と健康診断

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 ドラしゃんの許しも出たことなので、今回連れ来た人達は全員、一旦この街で預かり受ける事になった。

もちろん、後日追加を連れてくる事にもなり、その人達も一旦はこの街で預かり、それぞれ住みやすい環境下に街をつくり、住居を構えて生活していくという事となった。

私達の国はできたばかりなので未開の地は沢山あるので、土地的には何の問題もなかったからだ。

「それなら、それぞれの国。故郷と行き来が出来る様にしてあげらいいんじゃないかい?
 それなら一家ごと来ても安心だろうしね。」

ルミばぁーちゃんの提案にて、全員から賛同が得られたので、翌日からそれぞれの方角に街を作る事になった。

それまでは、この街で過ごしてもらう事で話をまとめた。

「リン、がんばるよ!」

私がそう言うと、ドラしゃん達は焦りだす。

そんな様子を見て国王達は、不思議そうな表情を浮かべる。

とりあえず、一旦国王達は自国に戻り更に移住したい者、出稼ぎに期待者を募るように促し、属国帰国して頂いた。

その間に、私達で3箇所に街を作る話し合いをしたり、作業に取り組む事にした。

といっても、直ぐには動けないので...今日は街の宿泊施設で全員お泊まりしてもらう事に。

宿泊施設は、広くかつ多めに作っているので問題なく対応がとれた。

それぞれ泊まる場所に案内して、名前や年などの個人情報を聞き出していき、住民登録しつつ、この国のギルドにも登録していくことに。

この国での身分証を発行しないと彼らも身動きがとれないからね。

皆は比較的協力的で、自ら色々と話をしてくれた。

なにせ、自国の身分証が無い者も居たからね、身分証を発行してもらえると知ったら大喜びしていたよ。

ギルド職員以外の人達も協力して対応にあたることにした。

個人情報以外にも、身体チェック、この国で永住するかの確認等諸々しないといけないからだ。

カブさん達で一度やっているので、街の皆馬慣れたものだった。

大人達がワタワタしている中、私達子供組は皆がゆっくり休める様にお風呂の準備やナナばぁーちゃん達の料理の手伝い等を手分けして行った。

そんな私達の姿を見て、他国から来た人達は口々に

「あんな小さな子達までここは働かせているのか?」

と、不信感の混じった声でロドじぃーちゃん達に聞いていた。

その声に皆は苦笑いしながら答える。

「じっとしとけと言って、この国では、じっとが出来る子供はいないんだよ。
 本当、できたら大人しくしていて欲しいんだけどよ、小さいなりでも自分達も誰かの為に何かをしたいって気持ちで、動くんだよ。
 お陰でコッチは、目が離せないんだよなぁー。」

と、答える。

その言葉に、他国から来た人たち皆が驚いていた。

強制的で無く、自主的に?
嫌々でなくて、自ら進んで?
そんな子供がいのるか?

皆の顔にそう書いてあったみたい。

それを見て、ルミばぁーちゃん達は笑っていた。

「特に、あの1番小さい子。あの子は、リンって言うんだけど、この国で1番凄い子だよ。
 なんだってあの、"伝説の最強のドラゴン"が負けを認めるぐらいの強者だよ。
無自覚で、無鉄砲での上に、1番無防備ときたもんだよ。で、誰より心が広いんだわ。
純粋無垢で、笑顔は可愛いしね。
癒しも備えた、この街、この国のシンボルさ。」

そんな風に自慢しながら話を聞かせる。

そんな言葉が本当なのか?と疑問ばかり。そりゃそうだよね。

「一緒に生活してみたら分かるでよ。
俺達も最初は半信半疑だったからなぁー。
でもよ、時間が経つにつれてよ疑っていた自分が馬鹿らしくなったわ。」

そうモチさんが笑いながら話していた。

私の話をしているとは思わず、私はお兄ちゃんと一緒にいつも通りに過ごしていた。

そして、話をしながらも皆の登録と健康診断は着実に進んでいく。

 まず健康診断に関しては、最初は孤児の子達から行われた。

大人達の方は、自国でギルド登録済みの人が多いため、情報が偽りないかの確認とこの国で永住するかの確認を先にする事にしたからトラブルなく進めれていた。

孤児達の健康診断には、ルミばぁーちゃん、お母さん、モアさん、サイさん、サラさん、アサくん、ナナちゃん、サナちゃんが対応してくれた。

そして調べた情報を纏めるのが、ラムさんとハリィーさんだ。

ルミばぁーちゃんが健康診断をして、ラムさんとハリィーさんが記録する。

健康診断が終わったら、お母さんとモアさんがお風呂へ。

サイさんとサラさんでお着替えを。
アサくん兄妹が、順番待ちの孤児の子達の話し相手をと役割を振って対応している。

 まずは、ファールト王国から移住して来た25人の孤児院の子からだ。

 最年長は、今年20歳になったばかりの男の子。名前は、シリフ。
家族で行商をしていて、3歳の頃行商中野盗に襲われたんだそうだ。

その時、両親は惨殺されたが、たまたま通りかかった冒険者に救われて自分だけ生き残ったと語る。
そして、冒険者に孤児院まで連れて行って貰ってそのまま...。

今年20歳になったので、孤児院を出て行かなくてはいけなかった。
しかし、行くあてもなく困っていた所、国王から移住の話の知らせが孤児院に来て、自ら志願したそうだ。

シリフが行くならと仲良かった仲間や面倒を見ていた子供達がついて来たのだと言う。

シリフは、歳のわりにかなり細身だ。
ルミばぁーちゃんの見立ては、お馴染みの"栄養失調"。

 次の子は、19歳。女の子が2人。
ラムネとモネの双子の姉妹だ。

シリフが孤児院に来た翌年に来たそうで、孤児院に来たのは、2歳の頃。

口減らしの為に、親に捨てられたそうだ。こちらも、"栄養失調"。

髪がボサボサだったので、お風呂後に別室でお母さんが散髪をする事に。

 次が、17歳。5人。
トオル、トトの男の子2人。
ササネ、ホシ、サネミの女の子3人。

3歳の頃、父親が仕事を探してくるっていって出て行ってから戻ってこなかったという。

母親1人では育てるのが困難との事で、孤児院に預けられてそのまま。

歳のわりには、小柄。もちろんこちらも"栄養失調"だ。

 次が、15歳組。6人だ。
ハガネ、ハヤト、ライマの男の子3人。
モモハ、ルリネ、リリの女の子3人。

1歳の頃、親が病死して村の人達によって孤児院に連れて来られたという。

15歳という歳のわりには、小柄で痩せ細っていた。
見た目は、どう見ても10歳前後だ。
もちろん、"栄養失調"だ。

 次が、10歳組。11人だ。
男の子5人。女の子6人。
10歳と言うが、本当の歳は6歳だった。

6歳と言っても、幼すぎる外見だから直ぐに年齢が違うとバレた。
私と同じぐらいの大きさだったしね。

しかも皆名前がつけられてなかった。
孤児院の中でも、劣悪な環境下でいたのだう。

同じ孤児院のメンバーの中でも、1番痩せ細っていた。

赤子の頃に孤児院に捨てられていた子達だと、シリフがルミばぁーちゃんに話をしていた。

「この子達を見つけたのは、僕とラムネとモネです。1日違いで、それぞれ孤児院の門の所に...。
 私達がいた孤児院は、既に限界に来ていました。
幼いこの子達まで食事が行き届かないぐらい...。
 僕達の...年長組の食事を少しずつ分けて対応していました。」

シリフのその言葉に、ラムネとモネが頷いていた。

「院長先生も頑張ってくれたんだよ。
自分のご飯もまともに食べずに...。
でも、無理だったんだ。
国からの支援もなかなか来ないし...。」

トオルがそうルミばぁーちゃんに伝える。

皆の話を聞いていたお母さんが、最年少組の方へ近づいて行った。

皆は怯えるような仕草をみせるが、それも痩せ細っているために上手く体を動かせていなかった。

お母さんは身体を屈めて目線を合わせて微笑んで話しかける。

「初めまして。私にもあなた達と同じ年頃の子供がいるの。良かったら仲良くしてね。
 あと、名前がないんだって?
じぁー"お姉さん"が名前をつけてあげるわ。」

そう言って、お母さんは一人一人手を取って目を合わせて、名前を付けて行った。

「あなたは...そうね...私の息子にそっくりね。あら?男の子?じゃー"アキ"って言う名前はどう?」

「あなたも男の子?なら、"ナツ"はどう?」

「あなたは女の子ね。色白ね。"フユ"って名前はどう?」

「あなたも女の子?"ハルネ"って名前はどう?」

「あなたは、男の子?"タカ"って名前はどう?」

「あなたも男の子?"コガネ"って名前はどう?」

「あなたは女の子?"フユカ"って名前はどう?」

「あら?あなたも女の子?"ナツミ"って名前はどう?」

「君も男の子なのね?"サツマ"って名前はどう?」

「あなたは女の子?"ルルネ"って名前はどう?」

「あなたも女の子?"ナナホ"って名前はどう?」

そう言って、名前を11人分付けて行った。

名前を付けられた子供達は、最初は何を言っているのかわからず不思議そうな顔をしていたが、お母さんが繰り返し"名前"って伝えると、理解した様で嬉しそうな顔をする。

「しかし、こいつらは...アサ達に比べたらまっしだが...それでもね。
今の所は、身綺麗にしてきな。
それが終わってから食事だね。
ユイカ、あとは頼んだよ。」

25人の名前と歳、健康状態も把握出来たので、ルミばぁーちゃんの指示でお母さん達はお風呂へ連れていく。

彼らがお風呂に入っている間に、ルファロル王国から来た、20人の健康診断をしていく。

 ファールト王国から来た孤児の子供達25人の健康診断が終わったので、次はルファロル王国から来た、20人の健康診断に取りかかった。

ルファロル王国からの孤児院の子達は、皆んな15歳以上の子ばかりだ。
と言っても、最年長が16歳だ。

どの子も行く宛がなく、国王の移住の話が孤児院に来た時に名乗り出た子ばかりだった。

20人の振り分けとして、男の子10人、女の子10人だった。
15、16歳のわりには、どの子も小柄で痩せ細っていて、とても15、6歳には見えなかった。

どう見ても"栄養失調"だ。
それ以外は特に病気はなかった。

健康状態を把握したので、それぞれの名前を確認していく事に。

「さてと、お前さん達もどう見ても栄養が足りてないね。それ以外は特に問題なしだよ。
次は、名前を教えてくれるかい?」

ルミばぁーちゃんがそう呟くと、1人の男の子が名乗り出た。

「僕が...僕が皆の名前を教えます。」

その子は、淡い水色の瞳をしていて、髪も海のように碧くクルクルと巻き髪の可愛いらしい風貌だ。
しかも、震えながらルミばぁーちゃんに話しかけていた。

「じぁー教えてくれるかい?」

ルミばぁーちゃんがそう呟くと、男の子は自分の名前を含めて、全員の名前と歳を伝えて行った。

「まずは..僕です。僕は、ヤヤハで16歳。男の子で、16歳なのは...ココタとタコタです。
ココタとタコタは、..はっ、はず..かしがりや...です。」

そうヤヤハが言うと、ココタとタコタは、頷いた。

「で...あとは、15歳で男の子なら、ハヤ、ヤワタ、ワラカ、ワカ、...カチモ、カチタ、ハラです。
 そして、ヤヤハとハヤ、...ココタとヤワタ、タコタとハラは...兄弟です。」

ヤヤハは、一生懸命ルミばぁーちゃんに仲間の事を紹介をする。

時々息切れも見られたが、栄養不足によるものだった。

そんなヤヤハの言葉をしっかり聞き逃さないようにルミばぁーちゃんは聞いた。

「よくわかったよ。ありがとうよ。お前は、皆のこと詳しいんだね。よく覚えてるね。」

そう言ってヤヤハを褒めると、ヤヤハは顔を真っ赤にする。

そして、そんなヤヤハの姿を見て、虐められたと勘違いして1人の女の子がルミばぁーちゃんにくってかかった。

「ちょっと!ヤヤハを虐めないでよ!
ヤヤハは、見た目なよっちいけど、一度聞いた事は全て記憶できるんだよ!
聞いたことだけでないよ!
見た事も全てだよ!
ヤヤハだけだよ。孤児院の人間全て顔と名前を覚えてるのわ!
 そんなヤヤハを虐めたら、私が許さないからね!」

そう女の子は一気に捲し立て、顔を真っ赤にして肩で息をする。

ルミばぁーちゃんは一瞬面食らったが、思わず大声を出して笑い出す。

「あーははははっ。これはこれは、勇ましいじゃないかい。いいね。あんた気に入ったよ。
名前はなんて言うんだい?」

笑いながら女の子に話しかけるルミばぁーちゃん。

女の子は、更に顔を赤くしてルミばぁーちゃんの質問に答えた。

「私はアカサよ!16歳。ヤヤハと同じ時期に孤児院にきたのよ!何か文句でも?」

アカサと名乗る女の子。
両目は淡い紅色で、髪はエメラルドグリーンのロングヘアー。

体は小さく痩せ細っているが、意地で踏ん張って虚勢を放っている姿が、自分の若い頃の姿に重なって見えたと、ルミばぁーちゃんが後になってこっそり教えてくれた。

ルミばぁーちゃんは、ふっと笑いアカサに向き合った。

「私はね、この子を誉めたんだよ。しっかり名前と歳を覚えて伝えられたからね。
 じぁー今度は、あんたに残りの子を私に教えてくれるかい?」

少し意地悪気に言うと、売られた喧嘩は買う姿勢なのか、"当たり前よ!"と言って残りのメンバーの子を紹介し出した。

「私の横にいるのが、アサヒ、カラサ、ハナハ、ハネモよ。
皆んな、私と同じ16歳。
 で、ハモネ達の後ろに隠れてるのが、ワチ、ココネ、サリネ、ラリン、ナナワの15歳よ。
ちなみに、皆私の妹分よ。下手な事したら私が許さないから!!」

アカサは、警戒心MAXだった。

よっぽど大人が信用できないとみた。

「あんたらのいた場所は、どうしようもない所だったんだね...。
安心しな。ここで、子供に手を出す奴は1人もいないよ。
もしいたら、生きてはいないね。」

不敵な笑みをこぼしながら、ルミばぁーちゃんが呟く。

その言葉に、アサくん兄妹やラムさんやハリィーさんは頷いていた。

「ルミばぁーちゃんのいう事は、本当だぜ。」

アサくんは、そう言いながら言葉を続けた。

「俺達兄妹もこの人達に助けられた人間だからよ、あんたらの気持ちはわかるよ。しかし、ここは凄い所だぜ。
ボロボロになった俺たちに親身になって、あったかい風呂や飯までご馳走してくれる。
それなのに、いっさい金品は要求しないんだぜ。
それどころか、住む所や仕事なんかも与えてくれたんだ。」

アサくんの言葉に、皆は驚きの呟きを放っていた。

「私達もね、他所からきたくちよ。
働き手を募集してたから一家で来たの。
そしたら、もう住むところから当面の食料も無償で提供してくれたの。」

「ここの国の主人達はね、人を疑う事を知らないのか、性根が綺麗な人達なの。偉ぶった姿なんか見た事ないし、庶民の私達に腰が低いのよ。」

アサくんに続いて、ラムさんとハリィーさんも彼らにそう話した。

「ここにはね、困った人がいるのに見捨てるような人は居ないんだよ。
それどころか、自ら貧乏くじを引きに行くような奴らしかいないさ。
 まぁーここで、暮らしていたら自然とわかるさ。
ただし、むやみやたらと敵意を出して怪我でもさせるようなら、ガキだとしてもわたしゃぁー容赦はしないよ!
 それは、覚えときな。虚勢を張るのも大事だけどね、時と場、そして相手を見てはりな。」

そうルミばぁーちゃんは言うと、彼らを風呂場へ案内した。

結局、孤児院から来た子達は全員この国で永住する事となった。

そして、しばらくは孤児院の子達は我が家で引き取る事になった。
と言うか、お母さんが面倒をみたいと名乗りでたからだ。

孤児院からきた子達の情報を登録し終えると、今度は大人達の健康診断する事にした。

大人達は、ギルドでするのでルミばぁーちゃんとラムさん、ハリィーさんはギルドへ向かった。


 その頃風呂場は戦場と化していた。
お母さんとモアさん、サイさん、がお風呂の中で子供達の洗身をしつつ、外傷がないか最終確認していた。

脱衣所では、アサくんとナナちゃん、サナちゃんが孤児院の子達が着ていた服を集めて洗濯場へ。
そして、ルミばぁーちゃんが用意した新しい服をそれぞれの籠に用意していた。

ちなみに、お風呂場は我が家の大浴場だ。

ドラしゃんの魔法で、今日だけ特別に宿場と空間を繋げてくれたのだ。

人数が多いので、我が家の大浴場の方が便利が良かったしね。

皆どれほど風呂に入ってなかったのか...。でるわ出るわ垢のうみ!

洗っても洗っても中々泡立たなかったしね。

泡も最初は真っ黒で、白の泡になるのにかなり時間がかかった。

孤児院の子達も、初めて見るお風呂場に隅の方で固まるし、

一人一人を説得して、洗って湯船に浸けて...。

"リンやアキラを風呂に入れるよりハードだわ。でも、楽しいわね。"

お母さんは思わず心の中で呟いていた。

なんとか全員洗い終えて、湯船に浸けた頃には、皆ヘトヘトだった。

でも子供達は綺麗になって嬉しそうな表情を浮かべている。

最初は、色黒って埃ぽかったけど今や...垢も汚れも落ちて、本来の肌色が見えていた。

「どう?お風呂は気持ちいいかしら?」

お母さんは、風呂場の椅子に腰掛けながら質問した。

子供達は、湯船に浸かったまま笑顔で答えた。

「はい。気持ちいいです。」

その言葉と表情で、これまでの疲労感が吹っ飛んでいった。

脱衣所でもアサくん兄妹もその様子を見て、喜んでいたしね。

 孤児院から来た子供達の健康診断と情報登録が済んだので、今度は大人達のをしにギルドへ向かって行くルミばぁーちゃん御一行。

ルミばぁーちゃんがギルドに着く頃には、大人達の健康診断はロドじぃーちゃん達によって終わっていた。

ギルド登録する時に、一緒にしたとギルドに来たルミばぁーちゃんに告げた。

それを聞いたルミばぁーちゃんは、孤児院の子供達の情報をギルドに登録する様にロドじぃーちゃんに伝え、自分の目で大人達の健康診断の結果を見直す。

もちろん不備が無いかを確認するために。

孤児院から来た子供達に比べて、大人達は比較的栄誉状態が良かった。

しかし、それはあくまでも孤児院から来た子供達に比べてだ。

どう見ても、"栄養失調"傾向にあった。

この結果を踏まえて、どうも同盟国全てが思っていた以上に経済的にも、環境的にもまだまだ不備があるようだ。

それか...。

ルミばぁーちゃんが書類を真剣な眼差しで見ていると、ラミィお兄ちゃんが声をかけた。

「書類を真剣に読まれているところ申し訳ないです。少しお時間を頂いても?」

ラミィお兄ちゃんの言葉に、ハッとして書類から顔を上げて、頷くルミばぁーちゃん。

そして、持っていた書類をロドじぃーちゃんに返して、ラミィお兄ちゃんと一緒に会議室に。

一緒について来たハリィーさん達は、ロドじぃーちゃん達の手伝いをする様に託けた。

ラミィお兄ちゃんと一緒に会議室に行くと、そこには帰ったはずの国王達と側近が。

そして、かつての自国の王様とセバしゃんにドラしゃんもいた。

そして、怪訝な雰囲気に嫌な予感がして後退りしようとしたら、何かとぶつかった。

なんと背後にロドじぃーちゃんが立っていたのだ。

そして、ルミばぁーちゃんを押すと会議室に入り、皆が揃った事を確認したらドラしゃんが結界を張る。

「すまない。どうしても話しておかないといけない事があってね。
今回は少人数に絞らせて貰った。
スティールミとロドムカは、"一応"この国のギルドマスターだから話を聞いてもらうよ。」

そう言う王様。
王様が自ら話す時は、大抵ロクな事がない。
すこぶる嫌そうな顔をする2人。

それは、ラミィお兄ちゃんもドラしゃんも一緒だった。

「もう彼らの健康状態を確認してくれたから薄々は気付いたと思うが...。」

そう言って話出した王様の言葉を、ファイン国王が遮った。

「実は、孤児院や王都から離れた村や町への食料品や運営資金が何者かによって奪われている事が判明した。
 しかも、どの国もだ。そして、奪われた所を順番に野盗や魔物が襲っている事も判明した。」

ぁ~やっぱりろくでもない話だと思ったルミばぁーちゃん達。

そんなルミばぁーちゃん達をよそに、話は進んでいく。

「しかも、どうやら誰かが裏で手引きをしているようだ。
その誰かがまだ判明していないんだ。」

ガジム国王が、苦虫を噛んだような顔で話す。

「それも今回同盟を結んで、話し合いをする機会が増え判明した事です。
どの国でも共通している部分が多く、もしかしたら同一の人物が関与しているのではないかと...。」

サイスン国王が、哀しみに暮れた表情で語る。

「そこで...。」

王様がやっとの事で、喋ろうとすると今度はセバしゃんに遮られた。

「そこで、皆さんにも協力してもらいたいのです。
この国のみが、現在被害にあっていません。
まぁー、誕生したばかりの国って言うのもありますが。
ですが、被害にあってないからこそ狙われるのではないかと思っているのです。
現在進行形で、調査は各国で続けてます。
もちろんその内容はこの国にもお伝えします。
これ以上被害を増やさない為に、犯人を特定して対処したいのです。」

王様が言おうとした言葉をすべて言われて、王様はがっくりと肩を落とすが、誰も気に留めない。

「気持ちは分かるがよ、俺たちも今から国を作り上げるので手が一杯なんだぜ?どうしろと?」

ロドじぃーちゃんがそう言うと、ファイン国王が返事した。

「国を作っているからこそだ。人もまだ少ない方だろう?
追加部隊は、もう暫く間隔をあけて連れてくるつもりだ。
今いる人間の顔と名前は把握してあるだろう?なら、簡単だ。」

「見知らぬ人を見つけろ?かい?」

ファイン国王の言葉にルミばぁーちゃんがそう言うと、ニヤリと笑うファイン国王とガジム国王。

ロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんは溜息をついた。

「これから手分けして、四方に街を作ろうって話なのによ?
人手が別れるのに...無茶を言うぜ...。」

「いったい私らをなんだと思ってるんだい...。」

ロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんは悪態をつくと、ラミィお兄ちゃんがある提案をして来た。

「では、一つ皆様方にも協力をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」

ラミィお兄ちゃんが、静かに喋りだす。

ラミィお兄ちゃんの言葉に、国王達は何だ?と首を傾げた。

「私が"エルフ"って言う事は、皆さんご存知ですよね?
エルフ族は、各国に分散して生活をしています。
しかし、エルフ族は自然と共に生活をする種族の為、人間と交わる事を避けています。
その為、エルフ族が得ている情報を人間が知る事はほぼ不可能ですよね?
しかし、私は違います。」

ラミィお兄ちゃんの言葉に、その場にいる人達は目を見開いた。

エルフ族は、自然を好み自然と共に生きる種族。
その為、多種族と交わって生活を苦手とし各に散らばって生活をしている。
人数は、人間や獣人より遥かに多い種族だ。

何より独自のネットワークを持っており、得ている情報は人間より遥かに多いのだ。

「今この国にある自然、植物は王様の国のモノのみです。
他の国からも植物を提供して頂けたら...。」

「我々の国住まうエルフ族がこの国も?」

サイスン国王の言葉に、ラミィお兄ちゃんは笑顔を向けた。

「はい。その通りです。話は私の方から通してあります。
"彼ら"の領域にも少しずつですが、被害が出ています。
その為、この件に協力をしてくれるそうです。
しかし、直接人間と関わるのは嫌だと言う事で、"彼ら"との連絡は私が行います。」

ラミィお兄ちゃんの言葉に、他の同盟国の国王も喜び、植物を至急提供するとの事。

「リンちゃんや【大聖霊】様方がいるこの国でしたら、少しの植物でもあっという間に大自然と化します。
今この国は、この街とその周囲に少しの森しかないので、助かります。
 できれば、各街を作る場所に用意をして頂けたら助かります。」

ラミィお兄ちゃんの言葉に、それぞれ国王は頷いた。

そして、ラミィお兄ちゃんの次の言葉でその場の空気は一瞬にして凍りついたのだった。

「あと今からお話しする事は、はっきり確かめたわけではないのでなんとも言えませんが...仲間のエルフ族より野盗や魔物を手引きをしているモノは、かつてこの世界に混沌と戦乱の火種を落としたモノの可能性がある...との事です。」

ラミィお兄ちゃんがその言葉を言い終えた瞬間、その場は無音に。
息する音さえしなくなった。

そして、何よりドラしゃんの身に纏う空気が最悪だった...。



 会議室で、話し合いが行われているのは知らず、その頃私とお兄ちゃん、お母さん達はと言うと...。

孤児院から来た子供達のお風呂が終わり、皆で一息ついていた。

みんな綺麗になり、伸び切った髪もお母さん達が切り揃えて、孤児院の皆は見違える姿に変身していた。

何故か皆ますます若返ったような...?

そんな事を考えながら休憩していると、美味しそうな匂いがして来た。

その匂いには、もちろん皆気付いていた。
中にはお腹が鳴く子も。

今日のご飯はなんだろう?と思っていると、ラディじぃーちゃんが姿を見せた。

「おっ?風呂は終わったのか?なら良かったぜ。メシができたぜ。かぁーちゃん達が美味い飯をたくさん作ってるから、みんな来いよ!」

その言葉に、皆笑顔になりつつも伺うよにお母さん達を見た。

お母さんはその視線に気づき、微笑しながら声をかけた。

「私達もお腹が空いたから皆で食べに行きましょうか?」

お母さんの言葉に皆やったー!って大喜び。

どうやらお風呂の一件で、皆はお母さんに懐いたようだ。

私とお兄ちゃんは、少し複雑。

私達のお母さんなのに...でも...って気持ちがチクチクしていた。

しかし、お腹の虫には勝てなかった。

湧いて来た気持ちを一旦忘れて、美味しい食事にありつく事にしたのだった。












ルミばぁーちゃん:
ありえない~_~;

ロドじぃーちゃん:
老人虐待だな~_~;

ラミィお兄ちゃん:
おや?私よりお若いのに何を言ってるのですか?^ ^

ルミばぁーちゃん:
はっ?(OvO)
あんた基準に考えないでおくれよ。
人間で考えたら、私らも充分年寄りだよ。

ロドじぃーちゃん:
確かに。ラミィーより年上って言うと...?

ドラしゃん:
私だけですね。

ラミィお兄ちゃん:
そうですね^ ^
さすがの私も、フレアさんよりは年下ですね。

ドラしゃん:
スティールミもロドムカもカブに比べたら若い方だろ?
普段年寄り扱いしたらキレるのに。

ルミばぁーちゃん:
カブさんって...そりゃ彼からしたら私もロドムカも子供ぐらいの歳だけどね..

ロドじぃーちゃん:
気持ちは年寄りなんだよ!

リン:
皆んなどうしたの?
じぃーちゃん、ばぁーちゃんじゃ無いの?

アキラ:
えっ?そしたらひぃーじぃーちゃんとひぃーばぁーちゃんって事ですか?!

ルミばぁーちゃん・ロドじぃーちゃん:
(OvO)

ラミィお兄ちゃん・ドラしゃん:
~_~;

ラミィお兄ちゃん:
それだと私達死んでますね...

ドラしゃん:
そうですね...

リン・アキラ:
T^T
それはやだ!

ルミばぁーちゃん:
私らが悪かったよ...
私らは若い方だよ。

ロドじぃーちゃん:
おう。俺らが悪かった...
そうだな。若い方だ!

ラミィお兄ちゃん:
でしたら、私達も大丈夫ですね^ ^

ドラしゃん:
コイツ...

ラミィお兄ちゃん:
??何か?
おや?皆さんも何か?
あー、次回が楽しみですか?
でしたら、次回も読んでくださいね^ ^















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静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

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収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

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