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第三章 発展〜街から小さな国へ〜

3-38 王様達を連れて街の案内②

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 カブさん達と王様達は和やかな雰囲気で暫く過ごせた。

放牧地の状況に関しては、実際に王様とセバしゃんも確認でき、このまま世話はカブさん達に任せて、生産された物はまず街の皆で消費。

生産量が増えたら城や他の国にも献上する話に纏まった。

カブさん達もその話を聞いて、ほっとした表情を浮かべる。

"次はどこを見せてくれるんだ?"と言う王様達の言葉で私とお兄ちゃんは、カブさん達に別れを告げて、次の目的地へと向かって行った。

次に向かったのは、噴水広場だ。

ギルド裏にあり、街のほぼ中心にある噴水広場の方へ向かっていた。

ここは、どうやら街に入ってきた時から王様達も気にしていた様だ。

噴水広場に案内すると、王様達はそれぞれ噴水広場を見て回った。

王様達は、まるで子供の様に目を輝かせていた。

"この彫刻はどうやって彫ったのか?"

"デザインが斬新だなぁ~!"

"水が綺麗ですね。噴水の水量調節はどうしているのでしょうか?"

"相変わらず、お前の街は凄いなぁー。
来る度に変わっていくから、感心するわ"

等、それぞれ楽しそうだった。

私とお兄ちゃんは、その様子を笑顔で見ていた。

そんな私達に、ドラしゃんと【大聖霊】、【聖獣】達が私とお兄ちゃんの元へやって来た。

纏っている雰囲気は、いつもと違っていた。

そして、私とお兄ちゃんに小声で聞いて来た。

『お嬢様。アキラ様。少しよろしいでしょうか?先程のお話を詳しくお聞きしたいのですが...いいですよね?』

有無を言わせない雰囲気で、私とお兄ちゃんはただ頷くしかなかった。

どうやら、王子達が私にしたスカート捲り等の行為について詳しく確認するようだ。

「あれはね、悪気があったんじゃない...と思います。」

「そうなの。あれからぜんぜんしないしね。」

私とお兄ちゃんは、一緒懸命そう伝えた。

実際にそうだから、それしか言えなかった。

私とお兄ちゃんの反応をしばらく見て、それが本当の事だと理解したドラしゃん達は、纏っていた雰囲気を元に戻してくれた。

丁度その時、噴水広場を見て回って満足した王様達が戻って来た。

そして、私達に声をかけて来た。

「この噴水広場は、誰が作ったんだ?」

「デザインは、誰が考えたんだ?素材もいい物だろう?」

「噴水の水量の調節や水はどこから?」

王様達は自分達が気になる事を聞いてくるので、その問いには私達の代わりに【大聖霊】達が答えてくれた。

『それは、私達が作りましたの。』

『素材?この街の周囲で採れるものを使ってるよ。』

『水は、俺とノームが管理してる。水質に関しては、この世界1番いいぜ。』

『デザインは、主人の母君のアイデアを頂いたな。』

その言葉に、王様達は驚く。

「では、見返りは?いったいなにを?」

ファイン国王の言葉に、【大聖霊】達は笑い出した。

『私たちと主人の間柄で、見返りなど存在しません。』

『僕たちが作りたかったから作った。それだけだよ。』

『俺たちは、別に見返りが欲しくてしてるんじゃないぜ。』

『主人とその家族が喜んでくれる姿を見るのが楽しいし、嬉しいからしてるんだ。』

【大聖霊】達の言葉に、王様達だけでなく、私とお兄ちゃんも驚いた。

基本、【聖霊】や【大聖霊】の力を借りるのには、対価が必要らしい。

それは、その【聖霊】や【大聖霊】によって違うし、借りる力の内容によっても異るのだ。

それなのに、私と【大聖霊】達の間にそのようなやり取りは一度もなかった。

その為、対価もなく力を提供するこの関係が異例との事だった。

『主人って、欲がないのよね。』

『その上、優しい。身分や性別、種族なんて関係なく、分け隔てなく優しいんだよね。』

『ついついやらかしてしまうんだよなぁ~。』

『主人だけでなく、その家族もだ。』

『ちょっとした事で喜んでくれるしな。』

『そう~なんだよなぁー。この前なんか、畑仕事手伝っただけで喜んでくれるしね。』

『...水やり...手伝った...だけなのに...』

『お花の種類を増やしたら喜んでくれるし。』

『突然現れた私たちも普通に迎えてくれるしね。』

『不安さえ覚える優しさよね。』

【大聖霊】達は、自然と笑みを浮かべながら私達の事を話していた。
その姿は、私とお兄ちゃんの保護者の様な感じだった。

【大聖霊】達がこんな表情をするのか?

王様達はそう思いながら【大聖霊】達の会話を聞いていた...。


 しばらく噴水広場で話をしてから、次の場所を案内する。

次の場所は、お父さんとお母さんの工房とモッケしゃん達の家や私達の家がある場所。

勿論だが、王様達が泊まるために建てた建造物もある場所だ。

建物の中には入らず、外から見て回った。

建物の見る度に王様達は、それぞれ驚きと感心をしていた。

その反面何やら考え込む姿も見られた。

勿論だが、建物の説明はドラしゃんや私とお兄ちゃんでした。

一通り見て回り終わった頃には、丁度お昼時になっていた。

私とお兄ちゃんのお腹の虫が素直にご飯を催促しだす。

その音を聞いて、とりあえず王様達が今日泊まる建物へと皆で向かった。

中に入ると王様達はまたもや驚いていた。

さすがに、建物内に入る時は【大聖霊】達は腕輪の中へ戻っていた。

【聖獣】達は、そのまま私の側にべったり。

感激している王様達を私とお兄ちゃんのお腹の虫が催促するので、皆は慌てて食堂へ向かった。

食堂も食堂で立派だった。

食堂って言うより、宴会場だ。

一面畳が敷き詰められていて、温泉旅館の大宴会場そのものがそこにあった。

王様はともかく、セバしゃんやファイン国王達にとって、畳なんてものは初めて見るものだったので、今日いちの驚きの声をあげていた。

そんな王様達をよそに、ドラしゃんはせっせとお昼ご飯の準備をしていた。

私とお兄ちゃんは、安定の移動式ドラしゃん特性椅子に座らされご飯ができるのを待つ。

ドラしゃんは腰に付けてある鞄より机などを取り出し、セッティングしていった。

あっという間にそこには、お昼ご飯の準備が完了していた。

『こんな事もあろうかと、奥様とナナ殿、ロナ殿がご飯の準備をして下さってます。
惚けて居るのもよろしいですが、こちらへ来てご飯をどうぞ。』

ドラしゃんの言葉に、王様達は準備された場所へそれぞれ向かって行った。

そして、皆揃ってご飯を食べる。

今日のお昼ご飯は、手早く食べれる様にお母さんのアイデアで作られていた。

おにぎり、厚焼き卵、茹で卵、野菜とお肉たっぷりのサンドイッチ、唐揚げ、カットフルーツ、ジュース、紅茶、お茶が用意され、メニューも見た事も食べた事もないものばかりで、王様達は一つ一つのリアクションが面白かった。

 なんとか、お昼ご飯も食べ終えてのんびりしていると王様達から私達とドラしやんに"提案"があると話を持ちかけられた。

私とお兄ちゃんは、移動式の椅子に座ったままドラしゃんの側で話を聞く事にした。

「後で、お前たちの親御さんにも話はするが、まずお前たちに話をするぞ。
俺達からしたら、この街の主人的存在がお前たちの方だと思ったから。
あの【大聖霊】達との関係性を見てそう感じた。
しかし、まだお前たちは幼い。
だからといって、存在を無視するわけにはいかないからな。」

そうファイン国王は、話を切り出した。

ドラしゃんはとりあえず静かに見守る形で聞いていて、私とお兄ちゃんは目をパチクリさせながら首を傾げながら聞いた。

そんな私達を見て、微笑しながらも言葉を続ける。

「俺達は、正直な所お前さん達の様な存在を信じてなかった。
そう言うと語弊が出るから正直に話すぞ。
異世界から来たと言うのは、信じていた。今までも、異世界から来た人間を見ているからな。
身近にも居たから、"どうせいつもの感じだろう"と思っていた。」

そう言うファイン国王の言葉に、ほかの国王達は頷く。

どうやら彼らもそんな感じに思っていたようだ。

「コイツら、お前さん達の国の王であるユウトや側近のセバスから聞く話があまりにもありえな過ぎてな。
聞けば聞くほど、今までの異世界からの人間達とは違いすぎて、信じられなかったんだよな。」

まぁー確かにそう思うのが普通の人の反応だろう。
ファイン国王の言葉に、その場に居る人達が頷いていたし。

「しかしよ、無理を言ってここに、この街に来て実際に自分の目で見て、聞いて、話をして、ユウトやセバスから聞いた話が嘘ではなく真実だと言う事がわかった。
 そして、自分達があんたらにしようとした事がどれだけ最低な事かと身に染みたよ。本当に申し訳なかった。」

そういうと、ファイン国王は頭を深々と下げる。

側近の人は驚いたが、ファイン国王の様に、他の国王2人も同じ様に頭を下げる。

それには、さすがのドラしゃんも驚いていた。

側近の人達は、口々に"王が気安く平民に頭を下げるなど"と言っていたが、国王達は頭を下げたままだった。

そしてそのまま言葉を続ける。

「正直な話、この世界の人間はお前さん達一家と違って"人間"が、"人"ができた奴はそうそういない。
すぐ、階級や身分。人種などで見下す態度を取ったり、発言をする奴が大半だ。」

そう言うファイン国王の言葉に、側近さん達は言葉を詰まらせた。
そんな側近さん達のことなどお構いなく国王は話を続ける。

「この街は、ここに居る国王である誰もが夢に描く"理想の国"の姿だ。
街にしておくのは勿体ないぐらいな...。自分達の手で、こんな街が、国が築けたらと本気で思うよ。」

「ワシも長年国を治めて来たが、この街の様な国や街を見た事がない。羨ましいわ。ワシはただ歳をとっていて、王という位を貰っただけの器の小さな人間だと思ったわい。」

「私もです。王として名乗るのが恥ずかしいくらいです。
 王という位についた以上、安易な判断や行動を取る事はできません。すればどのような結果を招くかを考えてしまうからです。
しかし、そうする事により国として、街としての正しい、理想の姿からかけ離れていきます。情け無い話です。」

それぞれの国を統治する者の本音なのだろう。

3人の言葉に、王様も頷いていた。

「身勝手なお願いだとはわかっている。だが、頼む。俺達の国と同盟を結んで欲しいんだ。」

「ユウトと同じような恩恵を分けて欲しい。もちろん、平等とは贅沢はいわねぇー。助けてくれた分、いやそれ以上に足りない物は援助する。」

「私からもお願いします。助けに慣れる事はします。お願いします。」

大の大人。しかも国を背負うものが、幼い子供2人にお願いする内容ではない気がするが...。

でも、それが彼らの本当の願いなのだった。
私とお兄ちゃんは、どうしたものかと思ってドラしゃんを見た。

ドラしゃんは、溜息を吐きながら王様達に話しかけた。

『揃いも揃って情け無い。子供相手にする話ではないでしょうが。
ほら、見て下さい。お嬢様とアキラ様が困っていますよ。』

ドラしゃんの言葉に反応して、国王3人が頭を上げた。

ウルウル目をして、困った表情をした私とお兄ちゃんを見て焦っていた。

「あー!悪かった。すまない!」

ファイン国王達は焦りながらも、私とお兄ちゃんを泣かせないように必死だった。

「僕達では、分からないので、お父さんとお母さんに話して下さい。」

お兄ちゃんが、そう言うと王様達は"わかった"と返事してくれた。

この時はまだ、王様達の言葉の意味がわからなかったが、後になって気付いた事があった。

それは、私の腕輪の中の人達にも自分達の思いを伝えたかったのではないのか?
そう思えば、しっくりきた。

『しかも、貴方達はどうせしばらくこの街に滞在する気ですよね。
でしたら、今晩か明日にでも旦那様達に時間を作って頂いて、話し合いの場を儲けましょう。
 それでよろしいですか?もちろんその場には、お嬢様達も連れて来ますから。』

ドラしゃんの提案に国王達は喜んでいた。

今は、昼ご飯を食べ終えたばかりなので、それぞれゆっくりする事にした。

怯えさせてしまったお詫びに、王様達から自分達の国がどんな所か話を沢山気かけてもらった。










リン:
王様達びっくりするね

アキラ:
そうだね。僕達子供なのに...。

ドラしゃん:
いいじゃないですか。あんな光景見れる子供はそうそういませんよ^ ^
いい体験をしたと思っていましょう^ ^

王様:
お前...最低だな。

セバしゃん:
いえいえ。足りないぐらいでしょう^ ^

王様:
∑(゚Д゚)

ドラしゃん:
そうだな。この際だから、それぞれに色々ふっかけときましょうか。

セバしゃん:
そうですね^ ^
それがよろしいかと。

王様:
:(;゙゚'ω゚'):

ドラしゃん:
もちろんお前も対象だぞ!

王様:
Σ(゚д゚lll)なんでだ?!

ドラしゃん:
お前の息子2人。お嬢様にえらく失礼な対応をしてくれたそうだな。

王様:
いやそれは...ほら、子供のした事だしよ...な?

セバしゃん:
何を言ってんですか?子供が悪い事をしたら、保護者が責任を取らないといけませんよ。
もちろん、ご本人にも後でそれなりの積をおっていただきますがね。

王様:
そっ、そんなぁー(ノД`)

ドラしゃん:
覚悟しておいて下さい^ ^
では、次回もよろしくお願いします^ ^
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