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第三章 発展〜街から小さな国へ〜

3-23 これは...夢?ドラしゃんの過去?!

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 ドラしゃん達の隠されていた本音。
私達に対する思いを聞いて、お父さんとお母さん。そして、その場に居た皆は静かに涙を流す。

自分達がどれほど大事に思われているのか...。
そして、どれほど大事にしたいのか...。
この世界に来て初めて、本音で語り合えたのではないだろうか...。
そう思える瞬間だった。

お父さんもお母さんも。
私もお兄ちゃんも。
ドラしゃんもムキじぃーちゃんも。
ロドじぃーちゃんもドムじぃーちゃんも。
ラミィお兄ちゃんもルミばぁーちゃんも。
モッケしゃんも。
そして、この街で生活する全ての人達が、自分達が思っている以上に、感じている以上に、"家族"となっていた。

そして、ドラしゃんにとって"家族"がどれほど大事なものか知る事が出来た。


 私は皆が涙を流している中、ドラしゃんの腕の中で寝ながらある夢を見ていた。
その夢はとてもリアルな夢だった。

どうやら...昔のこの世界での出来事のようだった。
それも、私達が来る前の遥か昔??なのかな??雰囲気がどことなく違って感じられたからそうなのだと思う。

私はなぜか宙に浮いていて、その光景をただ見ているかたちだった。
まるで、宙に浮きながら映画を観ているような感覚にちかいだろう。

こちらの意思とは関係なく、目の前に繰り広げられる場面場面が次々と勝手に映し出される。

その中で...私はある山のを見下ろしていた。
そこには、ドラゴン姿のドラしゃん姿が。
ドラしゃんの他にもドラしゃんに似た沢山のドラゴンが周りにいる。

それはとても壮観な光景だった。

とても楽しそうで、平和そうな雰囲気。
ドラしゃんの側には、ひときわ綺麗なドラゴンが寄り添っていて、そのドラゴンとドラしゃんの間には、白い小さなドラゴンの姿が。

その姿を見て、直感でドラしゃんの"家族"だと私は感じた。
だって雰囲気は私とお兄ちゃんがお父さん達と一緒にいるのと似ているからね。

とても楽しそうだし、凄く幸せそう。
私が見たこともないいい笑顔も浮かべている。

こんな表情をするんだ...。思わずそう思ってしまうほどに。

黄昏ていると場面が急に変わった。
今度は暗く重苦しい空気が漂いなぜか、遠くの方から何かが焼けるような臭いがする。

そして...悲鳴や怒声もあちらこちらから聞こえてくる。

ドラしゃんがいた場所もかなり雰囲気がやばそうで。仲間のドラゴンは怯えていた。
そんな中、神様がドラしゃん達の前に来て、助けを求めている。

どうやら、戦争が起こっているようだ。
しかも、ドラしゃん達の住む場所の近くまで、戦争の火の粉が近寄って来ていた。

ドラしゃんは、神様となんらかの"契約"をしているみたいで、後ろ髪を引かれる様な感じで、神様の頼みをきいていた。

ドラしゃんは"家族"を守る為に、住処に"家族"を置いて、神様と一緒に戦争に出向くことに。

するとどうだろうか。
ドラしゃんが神様と去ってしばらくした後に、見かけない格好をした人間や獣人。そして、魔獣までもがドラゴンの棲家へ大群で押し寄せて来た。

まるでそこにドラしゃんがいないことを知っていたかのような振る舞いにみえた。

彼らは数で押し進めてドラしゃんの"家族"を襲って皆殺しにしていくではないか。

ドラしゃんは神様の加護を受けているから、太刀打ちできないために普通のドラゴンである"家族"を狙ったのだ。

あまりにも酷い状況。
攻め入る前に棲家へ眠り薬を撒き、ドラゴン達が動けなくなったところを一気に襲った。
とても卑怯なやり方で、無抵抗のまま殺されていくドラゴン達の姿を見て涙が止まらなかった。

私は思わず叫び、助けようとした。
しかし、私の声も、力も通じなかったのだ。

私はただただ、ドラしゃんの家族や仲間が殺されていく所を見ているしかなかった。

戦争が終わり、ドラしゃんが住処にもどってくるとそこには血溜まりの海が広がっていた。
居るはずの"家族"の姿や仲間の姿はどこにもない。

ドラしゃんは、雄叫びを上げながら必死に探しまわる。
叫び。飛び回っていた。

沢山の国を飛び回り、必死に探して見つけた先は、戦争相手の国だった。

"家族"や仲間の亡骸は無惨にも斬り刻まれたり、餌となっていた。

それを見たドラしゃんは、我を忘れて暴れだす。
何の罪のない人達も巻き込み、他の国も巻き込み暴れていく。
そして...気付いた時にはその国を滅ぼしていて、他の国も同じように...。

次々と我を忘れたドラしゃんによって、滅ぼされていく。
一面が火の海に。
人々は逃げ惑いながら焼かれたり、瓦礫の下敷きになっていく。

神様が状況に気付いて駆けつけた時には、国がほとんど滅んでいた。

状況を察した神様は、【大聖霊】達や【聖獣】達の力を借りてドラしゃんの動きを封じた。
そして、怒りに我を忘れたドラしゃんに眠りの魔法をかけ動きを封じることにした。

動きを封じられたドラしゃんは、しばらくして深い眠りへと落ち、ドラしゃんが眠りにつくのと同時に、力を使い果たした【大聖霊】達や【聖獣】は姿を消した。

「わたしが、みてるのは...ドラしゃんのかこ?」

私はそう呟く。
誰に向かって呟いたのかは、わからないが自然とその言葉がでた。
そして、涙がぜんぜん止まらなかった。
夢なのに...。

すると、また場面が変わった。
それは、私とドラしゃんが初めて会った時のシーンだ。

思わず目を見開くとどこともなく声がした。

『見えたかい?アレが、君が慕うドラゴンの本性さ。怖いだろう?
あんなドラゴンと一緒にいる必要はないよ。』

悪意を感じる声がした。
その声に、私は毅然と立ち向かった。

「しつれいしちゃうわね!アレは、ドラしゃんがわるいんじゃないもん!
かぞくをキズつけられたら、だれだってあーなるもん!」

私の返答に、声の主は苛立ちを露わにする。

『うるさい!小娘が!後悔するぞ!泣いて、懇願しても助けてやらないからなぁ!』

私は、涙を拭きながらどこにいるかわからない声の主に向かって叫んだ。

「そのことば。そっくりかえしゅわ!
わたしはコウカイなんかしないもん!
ドラしゃんは、すごいんだから!
ちなみに、わたしのかぞくもすごいんだからね!
わたしのかぞくキズつけたら、わたしもようしゃはしないんだか!」

そう叫ぶと、眩い光を私を包み込んだと同時に悪意のある気配はいつの間にか消え去っていった。

しばらくして、私を包み込む光が消えて、目を開けるとそこには卵が数個台座に乗って並べられていた。

「えっ?ゆめよね?」

私は自分のほっぺたをつねったが、痛くなかった。
まだ、夢の中で正解なのだろう。
私が卵の方へ近寄って行くと奥から何かが飛んできた。

最初、何か飛んでいるのか分からなかったが、じっーと見つめているとだんだんその姿がはっきりした。

私の方へ向かって飛んで来たのは、真っ白なドラゴンだった。
それも小さなドラゴンだ。

あれ?どこかで見たことあるようなぁ?
私は首を傾げると、その小さなドラゴンが私に向かって話しかけて来た。

『初めまして。あなたにお願いがあって、ここに連れて来てもらったんです。
先程は、ありがとうございます。
父を信じてくれて嬉しかったです。』

そう言って、目の前ドラゴンは私に丁寧なお辞儀をする。
私は、何の事かさっぱりわかなかったが、丁寧なお辞儀に対してちゃんとお辞儀で返した。
そんな私に気付いて、小さなドラゴンは笑いかける。

『失礼しました。私は、あなたの側で保護者をしているドラゴンの娘です。
"ドラしゃん"の娘って言った方がわかりやすいですか?』

そうだ!あの夢で見た子だ!
ドラしゃんの側に居た小さな白いドラゴンだ。
私は、先程まで見ていた夢を思い出した。

「ドラしゃんのこどもだ!」

私の言葉に、目の前の小さなドラゴンは頷く。
しかし、ドラしゃんの家族は...。

私の目が一瞬曇った事に気付いて、小さなドラゴンは微笑する。

『はい。私はもうすでに死んでます。
しかし、父の私を思う気持ちが強くって思念だけが残ってしまったのです。
 ですが、父が...心を固く閉ざしていたので、私の姿や声は届かないのです。最近になって父の固く閉ざされた心が柔らかくなっていくのを感じたんです。
 不思議に思って見ていたら、あなた方の姿が見えまして。
特に貴方の側に居る父は、昔の父そのものなので驚きました。』

小さなドラゴンは、嬉しそうな表情をして話をしてくれた。
それを聞いて、私も嬉しくなった。

『先程の悪意のある声は、昔の戦争を起こして、私達を死に追いやった敵です。
アイツは油断ならない相手です。
 でも、貴方がはっきり進言してアイツに立ち向かってくれたから、助ける事ができたの。これからも父を信じてあげてね。大好きでいてあげてね。』

小さなドラゴンの言葉に私は笑顔で答えた。

「もちろんよ!ドラしゃんはだいじなかぞくなんだよ!それに、だいすきなんだから!」

私の言葉に、小さなドラゴンは嬉しそうに微笑んだ。
そして、私にあるものをくれた。

『そんな貴方に、私からのプレゼントよ。これをあげる。今は小さな光の卵だけど、貴方が今のままで居てくれたらそれは大きく育つわ。
大事にしてね。そして、このプレゼントの事は父に内緒よ!サプライズしないとね。』

小さなドラゴンの言葉に私は素直に頷いた。
私の反応を見て、更に言葉を続ける。

『ここにある卵も時期が来れば、貴方の元へ行くわ。卵の中身はお楽しみよ。
 貴方の強い味方になってくれるから。
貴方が、貴方らしく。今のまま大きくなってくれたら...。』

そう、話の途中で小さなドラゴンは消えていった。
えっ?!まって、最後まで話して行ってよ!
私がそう言おうとしたら、私も体が消えて行ったのだった。

私は思わず手を伸ばして、何かに捕まろうとした。
慌てて手を動かすと、手に何か触れたのでソレを掴んだ。
そして、思わず叫んだのだ。

「ドラしゃん!助けて!」

そうすると、私を誰かが強く抱きしめてくれた。
私は閉じていた目を開けた。

すると、視界にドラしゃんの服が見えた。
顔をゆっくり動かすと、心配そうな顔をしたドラしゃんとムキじぃーちゃん。
そして、お父さんにお母さん、ルミばぁーちゃん達の顔が次々と目にはいってくる。

"あっ。夢から醒めたんだ。"
そう思った私は思わず心の中で呟いた。

「ドラしゃん。あのね、ゆめをみたの。ドラしゃん、わたしねドラしゃんがしゅきなの。かぞくなの。ずっといっしょなの。」

私は涙を流しながら、一生懸命ドラしゃんに訴えた。
私の剣幕にドラしゃんをはじめ、周りの人達は驚く。

『お嬢様?落ち着いて下さい。まずは、涙を拭きましょうね?』

そう言って、ドラしゃんは私の顔を拭きながら慰めてくれる。
ドラしゃんの声と仕草を感じて、私は少しずつ落ち着きを取り戻した。

涙を一通り拭き終えると、ドラしゃんは私に話しかけて来た。

『お嬢様。落ち着きました?いったいどうしたのですか?』

ドラしゃんの言葉に私は頷く。

「あのね、ゆめをみたの。
むかしの?ゆめ。たぶんドラしゃんのゆめ。ドラしゃんとドラしゃんのまわりにね、たくさんのドラゴンがいっぱいいたの。
 ドラしゃんのそばに小さな白いドラゴンもいたの。ドラしゃん、神様によばれてせんそうにいったら...かぞくが...。」

そう言っているうちに、私の目からまた涙が出た。
私の言葉を聞いて、お父さん達は驚いていた。

1番驚いたのは、ドラしゃんだろうか。
私が泣き出すまで、ドラしゃんは固まっていたからね。

私はまた、ドラしゃんに涙を拭いて貰いながら話の続きを話しだす。

「そしたらね、きもちわるいこえがして、ドラしゃんのわるぐちいったの。
わたし、いいかえしたらひかりにつつまれたの。
 したら、タマゴがたくさんならんでたの。おくから小さな白いドラゴンがね、とんできたの。お父さんを、ドラしゃんをよろしくねっていってたよ。」

私の言葉に、ドラしゃんの目がこれでもかってほど、見開かれる。

「小さなドラゴンさん、ずっとドラしゃんのそばにいたんだって。
ドラしゃん、かなしんでたからこえもとどかなかったんだって。
 わたしたちにであって、ドラしゃんがげんきになってよかったって、いってたよ。」

私が涙を流しながらも笑顔でそう話すと、ドラしゃんの目から涙が溢れて来た。
そして、私をゆっくりと...だけどしっかりと抱きしめる。

そのまま、私にそっと呟くドラしゃん?

『ありがとう...ございます...。』

私はドラしゃんと一緒に泣いた。
そして、お互いに泣き止むまで、私はドラしゃんの腕の中でじっとしていた。

周りも、じっと見守っていた。
だって、あのドラしゃんよ?
泣いているのは。
誰もどうする事もできなかったのだ。


 ドラしゃんが落ち着いて、一息ついてから話し合いを再開した。
互いの本音をあらかた話し合ったので、何とかスムーズに纏っていった。

1、私達一家に関わる事は、なるべくお父さんとお母さんに話をする。

2、私達は、無理に戦いや争いに首を突っ込まずに、平和に生活するようにする。

3、私達一家は、今まで通り前の生活スタイルで生活するようにする。

4、たまには、本音で話し合いをする。

この4つの決まり事が、新たなこの街のルールに加えられたのだった。

今、私達に降り掛かろうとしている問題に関しては、周りの人達に任せる方向で行く事になったのだった。

話し合いが終わり、皆で会議室を後にした。

この話し合いの後から、ますますドラしゃんの私の依存度は深まったのは目を瞑る事にした。


 噴水広場で、会議室の様子を見ていたお兄ちゃん達は、私達が会議室から出るのを確認すると、噴水広場から離れてギルドの方へ向かって来た。
【大聖霊】達もだ。

【大聖霊】達は、ギルド前に私達の気配を感じると私の腕輪の中へ戻って来た。

私達が、ギルド前に出るとお兄ちゃん達が走って来た。
走って来たお兄ちゃん達の目には、涙が溢れていた。

泣きながら、走ってくるお兄ちゃん達にムキじぃーちゃん達は驚いていた。
そして、周りを警戒するが特に怪しい気配等はなかった。

ますます何故泣いているのかが不明だった。

お兄ちゃんは泣きながらドラしゃんへ。
王子達は、ラディじぃーちゃんへしがみついたのだった。

とりあえず、泣きじゃくるお兄ちゃん達をあやすドラしゃんとラディじぃーちゃん。

そんなお兄ちゃん達の姿を見て、お父さんとお母さんは微笑んでいた。

「今日はなんだか、皆の涙腺が壊れてるわね。」

「たまには、思いっきり泣くのも大事だよ。」

お母さんとお父さんの言葉に、ムキじぃーちゃん達は、やれやれっと言った表情をするしかなかったのだった。












リン:
泣きすぎた。゚(゚´Д`゚)゚。
目が腫れたよ

アキラ:
。゚(゚´Д`゚)゚。
ドラしゃんーーー!

ドラしゃん:
困りましたね(๑•ૅㅁ•๑)
何がありました?

アキラ:
(絶対言えない。盗み見してたなんて)
。゚(゚´Д`゚)゚。

リン:
お兄ちゃんだって泣きたい時あるよ!
(絶対言えない。盗み見してた事)

ドラしゃん:
そうですね。たまにはいいでしょう^ ^
でも、次は素敵な笑顔を見せて下さいね。

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