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第三章 発展〜街から小さな国へ〜

3-22 皆んなの本音

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 会議室中にどこからともなく突然と現れた私。
そして、いきなり光に包まれて大きくなったり、小さくなったり...。
挙げ句の果てには...疲れてその場で眠ってしまう。
... ... ...。

会議室では、何が起こったか分からず困り果てた大人達が机の上で可愛い寝顔をして眠る私の姿を複雑な表情を浮かべて眺めている。
(可愛い寝顔を見れて嬉しい反面...いきなりの出来事盛りだくさんで困惑中...といった感じ)

ドラしゃんなんか固まったまま、瞬きもせずに私を見つめていた。


 そんな中噴水広場でも、お兄ちゃんと王子達。そして...【大聖霊】達が驚いた表情をして水面を凝視していた。

どうやら一連の騒動には、【大聖霊】達は関係していない様子。
いや。今私と契約している【大聖霊】達は、が正解だったみたい。

ドライアドとシルフ。そして、ウンディーナが、私が水面に吸い込まれる時にある【大聖霊】の力を僅かに感じたみたいだから。
しかし、僅かな気配だったので確信が持てなかったと後に教えてくれた。


 とりあえず会議室では、私の出現により話は中断したまま。
会議室周囲を隈なく探ったが、私以外の存在は確認されず、どうしたものかと悩んでいた。

机の上で微動しない私を心配して、お父さんとお母さんは私を覗き込もうとしたら、ドラしゃんに何故か止められた。

『ただ力を無理に使ったため、寝ているだけです。生きてます。
今は、そっとしておきましょう。』

そうお母さん達に告げると、ドラしゃんは私をそっと持ち上げ抱き抱える。

まるで、私の存在を確かめる様な仕草に、誰も止める事ができなかった。

このまま、話を続けるのは無理だと判断したセバしゃんと王様は、話し合いを後日にして、今日は解散する事に決めた。

「とりあえず、この話は中断して後日にしましょう。こちらでも、もう一度どうするか案を考えておきます。
 皆様もそのつもりでお願いします。
話し合いの日時は、改めてこちらから連絡します。」

セバしゃんの言葉に、その場にいた一同は頷く。

そして、私の事が気になりながらも王様とセバしゃんは、王宮に帰って行った。

 ギルドの会議室に残されたメンバーは、ドラしゃんの出方を待つ事に。
その間、先程の私の言葉を各々考えていた。

"「ありがとうね。わたしたちをまもってくれてたもんね。
へいわにくらせるように。
このせかいのことに。とくに、このくにのめんどうごとに、まきこまないようにしてくれてたんもね。
でもね。わたしやお兄ちゃんはともかく、お父さんとお母さんには教えてあげてね。
でないと、わたしとお兄ちゃんが大きくなったときにこまるのよね。」"

と言った、小さな私の言葉。
そして...。

"「私はまだまだ子供だけど、いずれは大人になるのよ?
その時は、今皆が護ってくれた分、私が皆を護ってあげるわ。
だからね?ドラしゃん。私達をこの世界の住人にして。
ちゃんとこの世界の揉め事に、巻き込んでくれて大丈夫よ。
だって、私達はこの街で、この世界で生活する事を覚悟して生活してるんだよ。
ちゃんと私もお兄ちゃんも成長するんだから。」"

と言った、成長した私が言った言葉。
どちらも私の言った言葉。
それは、幼いながらも感じていた私の本当の思い。

それは、私だけの思いでもなかった。
お兄ちゃんも、お母さんも、お父さんも同じ思いを抱えていた。

本来なら、親であるお父さん達が言わないといけない事を、子供である私に先を越されてしまったようだ。

ドラしゃんの腕の中で、幸せそうに眠る私の姿を見て、お父さんとお母さんは腹を括る。

そして、小声でまだ会議室に居るメンバーに、話しかける。

「恥ずかしながら、幼い我が子に先を越されたのは辛いですね。」

「でも、リンの言った事は私達も思っている事です。いいえ...前から感じている事です。」

お父さんとお母さんの発言に、ムキじぃーちゃん達は真剣な表情で話を聞く。
お父さん達は彼らの反応をしっかり感じとり、なおも言葉を続けた。

「私達は、戦争のない平和な国に産まれて、数十年過ごして来ました。
戦争がどんなものかは、実際は知りません。昔の人の話や資料でしか知りません。
 正直...、この世界で生活していても不安な部分はあります。
戦った事ない自分達が、この世界で本当に生きていけるのかって。」

お父さんはそう言ってドラしゃんの腕の中ですやすやと眠る私をチラッと見つめる。

そんなお父さんの横でお母さんも

「でも、日々成長していく子供達やこの世界で知り合った人達を見ていたら、他人事で済ます訳にはいかない気がして来たの。
 特に、カブさん達を見た時はね。彼らの事を知って...本当に"他人事"じゃないって確信を得たと言ってもいいわ。」

お父さんとお母さんの言葉に、誰も返事を返さない。
それでも、お父さんもお母さんも自分達の思いを言葉に出し続けた。

今伝えないと、いつ伝えるんだって思いで。

「カブさん達を見て、いかに自分達が恵まれているのか。皆さんに大事にされているのかがはっきりわかりました。
 下手をすれば、自分達もカブさん達みたいな目に会う事があるのだと、改めて実感しました。」

お父さんは自分の両手を胸の前で握りしめながら、家族の顔を脳裏に浮かべ話をする。

無意識なのだろう...身体が僅かに震えていた。

「別に自ら危険に飛び込む様な真似はしませんわ。せっかくもう一度、神様から授かった命、人生ですから。
 でも、少なからずも自分達の置かれている状況や周囲の状況を教えて欲しいんです。
 そして、対応すべき手段があるなら教えて欲しいんです。」

お母さんも私やお兄ちゃんの事を脳裏に浮かべながら熱く語る。

お父さんとお母さんは、心の底から皆に訴えかけたのだ。

「皆さんから見たら、頼りない存在です。でも、この世界で、この街で生活する事を決めたのは自分達です。
 もちろん、平和に安全に生活するのが1番です。
でも、それに必要な事があるなら私達も頑張ります。」

「私達をこの世界の"住人"にして下さい。」

そう言って、皆に向かって頭を下げるお父さんとお母さん。

お父さん達の態度に、皆は困惑した。
自分達の対応が、ここまで私達を追い詰めていたのかと思ったからだ。

どう返事をしようかと悩んでいると、先程まで王様が座っていた場所に、人影が現れた。

『君達にそんな思いをさせる為に、この世界に連れて来たわけではないんだよ。
申し訳ない事をしたね。』

その人影は、私達を連れて来た張本人。神様だった。

突然の神様の出現に、一同慌てふためく。
まさか、現れるとは誰一人思っていなかったからだ。

『どの時代になっても、欲深い人というものは現れるものだ。
今回の件も、そう言う奴らがでしゃばっているんだよね。
 まぁ~、君達が私達の予想に反してこの世界で適応し過ぎたのと、子供達の能力が良すぎたのが裏目に出た感じだね。
 君達には最初に話した様に、この世界で平和に過ごしてほしいんだ。
その為に、フレアやムキファー、ロドムカ達を君達の側に置いたんだよ。
彼等は、この世界で私が最も信頼できる人物であり、腕利きであるからね。
 だから、君達が自ら剣を持って手を汚す必要はないよ。
君達の気持ちはしっかり受け取ったから。それにね、君達はもう既にこの世界の"住人"だよ。
君達がいたからこそ、救われた人達がいる事を忘れないでおくれ。
 今回の件に関しては、私からお仕置きしておくよ。
あと、必要最小限だけだよ。君達に関する事柄を話しする様にするから。
彼等を恨まないでおくれよ。
私からの指示に従ったまでだから。
君達を思う親心ってやつだよ。』

そう言って、神様は微笑んで来た時と同じで、突然消えて行った。

神様のいた所をぼーっと見るお父さん達に、ムキじぃーちゃんが声をかけた。

「あの人の言う事は、本当だ。決してワシらは、お前さん達を蔑ろにしたわけではないぞ。
 関わらなくていい事、知らなくてもいい事を教えてなかっただけだ。
お前さん達には、常に笑顔で生活して欲しいからなぁ。」

そう言うムキじぃーちゃんの台詞に続けて、ロドじぃーちゃん達もそれぞれ自分達の気持ちを打ち明けていく。

「俺たちは、本当にお前さん達が好きなんだよ。無条件で誰かれ受け入れるお前さん達に、心配もするが有り難くもあるんだ。
 何より、お前さん達が笑顔で元気に過ごしている姿を見るだけで、俺達も元気になれるだよ。」

ロドじぃーちゃんは、照れ臭そうに話してくれた。

「ムキファーや、ロドムカの言う通りだね。私達老ぼれが出来ることがあるなら率先してやるよ。
それで、あんたら若い者が平和に生活出来るなら安いもんだよ。
それを苦労と思った事もないしね。
何より、あんた達が笑顔でいてくれる事が、私らにとっては大事な事なんだよ。」

ルミばぁーちゃんは、そう優しく微笑みかけながら話してくれた。

「俺たちは、戦争を体験してる。だから、その過酷さは十分すぎるぐらい知ってるさ。
 だからって言うわけでもないんだが、戦争を知らないなら、知らないまま過ごして欲しいだよなぁー。
平和で何が悪い?
平和こそが大事な事だろう?」

ドムじぃーちゃんは、そう話してくれた。

「私も皆さんと同じ気持ちです。醜いものをあえて見ようとされなくて、いいかと思いますよ。
まぁ~、危機感を持つ事も大事ですので、必要だと判断した事は保護者であるお2人にはお話する様には、努力しますね。」

ラミィお兄ちゃんは、苦笑いしながら話した。

「ワテもや。あんさんらには、常に笑顔でおって欲しいで。
別に、この世界の事にこだわらんでええと思うんですわ。
あんさんらは、...あんさんららしく、この世界で生活したらえんですで。
 ワテらと同じ様に生きなあかんってルールはないんでっせ!」

モッケしゃんは、真剣な表情でそう話してくれた。

「俺たちは、後から来た者だからよ。
どうこう口出しするのは、控えるけどよ。
 コイツらの言う通りだぜ。無理に剣を握って戦うだけが、この世界の住人としての生活じゃーねぇ~ぞ。
 疲れて返ってくる奴らを、美味い飯でもてなしたり。
辛そうにしている奴がいたらよ、そっと寄り添ってやったりよ。
人によって、生き方は色々あんだぜ?」

ラディじぃーちゃんが、無い知恵を働かせながら話してくれた。

「俺も、どうこう言える程、あんたらと付き合いが長いわけでないからよ...、でも、日が浅い俺たちですら、あんたらのそのおおらかさっのか?優しさにはよ、救われてるぜ?」

カシムじぃーちゃんも、遠慮がちにそう話してくれた。
そして...。

『私は、一度家族を失ってます。あの戦争で...。正直、神が嫌いです。
この世界が嫌いです。憎くて憎くて仕方がないです。
 正直な所、私は生きるのを放棄してました。』

ドラしゃんは、自分の腕の中で眠っている私の顔を見ながら、ポツリポツリと語り出す。

それをその場にいる全員が静かに耳を傾ける。

『そんな中、神が気まぐれに私の元へ来ました。話を聞いて、...あなた方の事故の映像を見せられ...ふと昔の記憶が蘇ったのです。
 それもあってか、一目だけあなた方を見て、また眠りに着くつもりでした。』

ドラしゃんのあまりの話に、周りの人達は静かに聞き入っていた。
そんな事も気にせずドラしゃんは、私の頬を撫でると少し口元に笑みを浮かべる。

その姿は父親...そう...。子を思う親の表情に見えたのだ。

『するとどうでしょう?このお嬢様とふと目があった瞬間...なんとも言えない気持ちが湧き上がったのですよ。
 死んでいた私の"生きる"と言う意志に火をつけられてしまったんですよね。』

そう言って、ドラしゃんは顔を上げてお父さん達に微笑みかけた。

『皆様は、私の最後の家族です。もう...失うのは嫌なんです。
ですから、私は何を犠牲にしてもあなた方を御守りします。
 ですので、今まで通り。安心して生活をして下さい。
笑顔で生活をして下さい。
それが、私の...何よりの願いです。』

ドラしゃんの本音が、聞けた気がした。
嫌...これが本音なんだろう。
ドラしゃんの目に、薄らと涙が浮かんでいたからね。

お父さん、お母さん。そして、ムキじぃーちゃん達も、ドラしゃんの意外な言葉に静かに涙する。

それは、噴水広場で見ていたお兄ちゃんや王子達。そして、【大聖霊】達もだった。

世界最強のドラゴン。無敵のドラゴン。
そして、最古で最後のドラゴンのドラしゃんの本音はその場にいる人...人以外の者の心に刺激を与えたのだった。


 








ドラしゃん:
本当は、お話するつもりはなかったのですけどね...

ムキじぃーちゃん:
お前よ...(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

ロドじぃーちゃん:
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

ドムじぃーちゃん:
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

ルミばぁーちゃん:
(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

ユウダイ:
。゚(゚´Д`゚)゚。

ユイカ:
。゚(゚´Д`゚)゚。

モッケしゃん:
。・°°・(>_<)・°°・。

ドラしゃん:
皆さん...目が溶けますよ?
湿ったくなりましたね
次回は、明るいといいですね
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