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第三章 発展〜街から小さな国へ〜

3-20 街で初めての結婚式

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 お母さん達が交代でご飯を配達し出して約3週間がたった。
彼らも毎日3食、栄養満点の食事を食べて、栄養状態もかなり改善されてきた。
来た時のボロボロだった姿が嘘のようにね。

 傷を私が完全に治したのもあり、目が見えなくなっていたカブさんの奥さんのモアさんは、また目が見える様になったり、一生傷を背負って生きていかなければと思っていた人もいた為、傷がない事で、少しずつだが彼らの心の傷も癒えつつあった。

それに。この約3週間の間で、嬉しい事が色々あった。

まず、ドラしゃんが王様に連絡した返事が返ってきた。
王様が調べていた内容とドラしゃんが伝えた内容が一致したそうだ。
その為、彼らの身柄を私達に委ねると返事が来たのだ。
そのうえ、必要なものは全て王様が手配するというのだ。

その為、この街のギルドに彼らの住民登録を行う事にした。
その際、ララムさんとココさんが夫婦に。そして、ヤカさんとサラさんが夫婦になって、アサくん、ナナちゃん、サナちゃんを引き取って育てると言ったのだった。

 この街で療養を行なっているうちに、ララムさんとココさんは良い感じになりつつあった。
お互い伴侶を亡くした身。以前の伴侶の事を忘れた訳ではないが、前を向いて生きて行くために、互いの手を取り合ったのだった。

それを見て、ヤカさんもサラさんも決意したのだった。
元々、好きあっていた2人だった。いずれは、結婚するつもりだった。
しかし、親を亡くしたアサくん達を見捨てる事ができなかった。
そこで、自分達が彼らの親代わりをする事を考えたそうだ。

最初、その話を聞いた時は皆が反対した。
まだ若い2人だ。これから自分達の子供も産み育てる事だってあるのにって。

それに、私達も驚いたのだが、お父さんとお母さんがアサくん達を引き取るつもりでもいたのだ。
こちらの方が子育てベテランにはなるのだが...。

でも、周りがどんな事を言っても2人の気持ちは変わらなかった。
まずアサくん達が2人から離れようとしないのもあるが、唯一彼らの両親の事を知るのも2人だ。
しかも、赤ん坊の頃から知る仲だ。

頑張って育て行きたい!!って言う、ヤカさんとサラさんの思いに大人達が根負けしたのだ。

その代わり、困った事はすぐ相談する事をお母さんとお父さんが条件にだした。

「この街で住むって事は、もう私達の家族よ。身内なんだから、助け合うのは当然よ。
しかも、ここには子育てのベテランが沢山いるわ。なんでも相談して。
自分達だけで抱え込むのは、ダメよ!」


「そうだぞ!子育ては、甘くない。
しかも、彼らは心に深い傷を負っている。おいそれと直る様な物じゃない。根気のいる事だ。
 支える自分達がへばる事があるだろう。そうなる前に、助けを出すんだ。
それは、決して恥ずかしい事じゃない。
皆が通る道だ。
なかには、助けを出せずに辛い道を歩む人も少なからずいる。
しかし、どうだい?ここは、無条件で手を差し伸べる人達ばかりだ。
だから安心して、いつでも頼ってくれよ。
それに、うちならスペシャリスト、ドラしゃんが居るからね。」

お母さんとお父さんの言葉に、皆は頷いた。
その件もあり、お母さんとお父さんは影で、《ビックマム》《ビックダディ》と呼ばれるように。

もちろんそのことは、2人は知らないのだけどね...。

そんなこんながあり、街で初めての結婚式を開催する事にした。
お母さんとルミばぁーちゃんが、花嫁と花婿の衣装を腕によりをかけて作成し、ドムじぃーちゃんとお父さんで、教会を作ったのだ。
シンボルはもちろん私達の"神様"の像にした。
(誰が作ったって?もちろん、私とお兄ちゃんと【大聖霊】達とドラしゃんでだ)

 教会を作る際に、中に飾る像と中の飾りについてお父さんとドムじぃーちゃんが話しているのをドラしゃんに手伝って貰って盗み聞きしたのがはじまり。

「私達の世界では、色々ありますが、私の知る中で多いのは、"キリスト"と"聖母マリア"を飾っているのが多いですね。あとは、天使の像なんかを置いてます。中心のこの部分にガラス細工をして、色ガラスを使用して光が当たったらこう、綺麗に輝くようにしてるんです。」

お父さんは絵を描きながら自分の工房で、ドムじぃーちゃんに説明していた。

「なんだ?その"キリスト"と"聖母マリア"って言うのは?」

ドムじぃーちゃんの疑問は最もだった。話を聞いていた、ドラしゃんも同じ疑問を抱いていた。
その問いにお父さんは、簡潔に説明する。

「私もあまり詳しくはないんですが...教会は、キリスト教っていう宗教を信仰している人達の為に建てられたものなんです。
その彼らの神様がイエス・キリストとその方の母親である聖母マリア様なんですよ。」

その答えに、ドムじぃーちゃんがなるほどって頷いていた。
勿論だが、ドラしゃんもだ。

「それなら、この世界ではあのチャランポランな神と【大聖霊】達だな。あと、【聖獣】も当てはまるんだが、見たことねぇ~からなぁー。」

ドムじぃーちゃんの言葉に、お父さんは考えた。
そして、ある事を思いついた。

「では、メインのシンボルの像は、神様にしましょう。天井に飾る像は、【大聖霊】様にしませんか?
像が途中から増えていくのも、この街らしくっていいじゃないですか?」

お父さんの提案にドムじぃーちゃんは、それは面白い!って乗り気になった。

その話を聞いて、私とお兄ちゃんはある提案をドラしゃんにした。

「ドラしゃん。そのぞうさん、わたしたちで、つくらない?」

「いいね。リン!僕も協力するよ。ダメかなぁ?ドラしゃん。」

私とお兄ちゃんの申し出に、ドラしゃんは困っていた。
ドラしゃんは、極力私達に力を使わせたくないのは、日々気付いていた。
しかし、私もお兄ちゃんも何かをしてあげたいのだ。

私とお兄ちゃんのお願い攻撃に勝てるドラしゃんではなかった。
自分も協力する事で手を打ってくれた。

そこで、お父さん達が教会の建物を建設の合間にこっそり像の制作をする事にした。

教会の場所は、噴水広場と私達の住居区がある中間に建てることになった。
ますます街ぽくなって来てお母さんは大喜びだった。

ルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃん達は、何故か複雑そうな顔をしていたのが気になったが、今は無視しておく。

お父さん達が教会の建物の建設の合間に私とお兄ちゃん、ドラしゃんと【大聖霊】達で、像を来る事にしたのだが場所に困った。

外ですると絶対誰かに見つかってしまうし、これといって作業できそうな場所が思いつかなった。

そこで、ドラしゃんが地下の自分の部屋を提供してくれた。
【大聖霊】達は腕輪の中で話を聞いていたので話す手間が省けたのでたすかった。

自分達で自分達の像を作ってもらい、私とお兄ちゃんとドラしゃんで神様の像を作る事にした。

「材料は何にするんだ?」

お兄ちゃんの質問に、私は困った。
像ってそもそも何で造られるのか知らないからだ。

そんな私達の様子を見かねたドラしゃんが、一本の樹の塊を出してくれた。

『これを使うと良いですよ。』

それは、見た目は古そうな樹だが暖かい神秘的なモノを感じた。

「これなーに?」

私がドラしゃんに聞くと、ドラしゃんは丁寧に答えてくれた。

『これは、"世界樹"って呼ばれるまぁー、御神木みたいな樹の古樹です。役目を終えたモノですが、まだまだ、何かには使えるかと思って取っておいたのです。』

そんな凄い樹を使っても良いものか悩んでいると、ドライアドが声をかけてくれた。

『世界樹の古樹とは、また珍しいですね。役目を終えて燃え尽きるか、朽ちる事が多いので私達も滅多にお目にかからないわ。
主人殿。もしよかったら使って下さい。
もしかしたら、...いいえ。これも何かの縁です。きっと良い事がありますよ。』

【大聖霊】であるドライアド達ですら、見た事もない樹。
躊躇してしまうが、せっかくのご好意だ。
大事に使わせて貰おうと思い、この樹を使う事にした。

私は、古樹に手を添えて言葉をかけた。

「だいじにつかうね。よろしくね。」

するとどうだろう。古樹から淡い光が発せられたと思ったら、ぼろぼろの古樹から真新しい若樹に変化したではないか。

これには、ドラしゃんも【大聖霊】達もかなり驚く。

『こんな事ってあるですね。』

『凄いわ。さすが、私たちの主人殿だわ。どうやらこの樹。主人の思いを受け取って、進化したみたいですわ。
さすが、世界樹って言うべきなのか、主人殿の褒めるべきか...。』

ドラしゃんとドライアドの言葉に、私とお兄ちゃんは、目をパチクリするしかできなかった。

『これだと、丈夫な像ができますね。どんな像をつくられんですか?
イメージがあれば、そのイメージを浮かべて樹に手を添えてみて下さい。
そうすれば、イメージ通りの像ができますよ。もちろん、私も手伝いますから、樹に触れる前に私にイメージを教えて下さいね。』

ドラしゃんの言葉に、私とお兄ちゃんは目を合わせた。
お父さん達の話を盗み聞きしていた時から、既にイメージは出来ていたのだ。

私とお兄ちゃんは、悪戯っ子の笑顔をしてドラしゃんに向きあった。
そして、ドラしゃんの手をそれぞれ握ってイメージを受け渡したのだ。

私達からイメージを受け取ったドラしゃんは、真っ赤な顔をした。
それには、【大聖霊】達も驚いていた。

『えっ!ちょっ!コレを造られるんですか?えっ?っ!変更は...。しませんよね?』

ドラしゃんのあまりにも慌てた様子に、【大聖霊】達も興味津々だった。

私達は、てこでもこのイメージを変える気はなかった。
ドラしゃんは、渋々協力して像を作ってくれる事に。

私達が世界樹に手を当ててイメージを流していく。それに、ドラしゃんも一緒になって魔力を流し込んでいった。

その様子を【大聖霊】達は、興味津々の顔で見守る。

私達が手を添えた世界樹は、私達がイメージした通りに形を変化させていった。
世界樹を覆っていた光が消えると、そこには私とお兄ちゃんがイメージした像が出来上がっていた。

それを見た【大聖霊】達は、なぜか爆笑する。
ドラしゃんは、【大聖霊】達を睨みつけると、彼らは自分達で作った自分達の像を置いて腕輪の中にそそくさと逃げた。

「そんなに笑う事あるかなぁ?」

「カッコいいのにね?」

私とお兄ちゃんは、そう言って完成した像を笑顔で見つめた。
その私達の後ろでは、赤面したドラしゃんがいた。

とりあえず、完成した像を全てドラしゃんの持つ鞄にしまって貰って、お父さん達が作っている教会へ向かった。

教会に行くと、外装も内装もほぼ完成しており、後は飾りと像を造るだけになっていた。

そこへ私達は急いで駆け込んだ。

「お父さん!ドムじぃーちゃん!」

私とお兄ちゃんの声に気付いた2人は、作業の手を止めて待ってくれた。

「おっ!どうしたんだ?2人だけか?」

「いや?ドラしゃんも一緒みたいですよ。」

私達の後ろから複雑そうな表情をしたドラしゃんがやって来た。
私達とは、正反対の表情をするドラしゃんに違和感を感じた2人は、恐る恐る私達に質問をなげかける。

「お前さん達。今度は何をしたんだ?」

「リン?アキラ?怒らないから正直に話してごらん?」

お父さんとドムじぃーちゃんの言い分に、少しムッとしながら私とお兄ちゃんはふたりに報告した。

「あのね、リンとお兄ちゃんで、像を作ったの!」

「それを飾って欲しいんです。いいですか?」

私とお兄ちゃんの言葉に、お父さんとドムじぃーちゃんは別の意味で驚く。
まさか、自分達の話を聞かれてるとは思わなかったからだ。

私とお兄ちゃんの申し出を確認するかの様に、ドラしゃんに視線を送るふたり。
ドラしゃんは、ふたりの視線を受け頷き返事をした。

『おふたりも、何か自分達ができる事をしたいそうです。
そこで、【大聖霊】達と私も協力して像を作成したと言う事です。』

ドラしゃんの言葉を聞いて、お父さんとドムじぃーちゃんは、驚きつつも喜んでくれた。

「ありがたいじゃないか。お前さん達と【大聖霊】達が作ってくれたんだったら、ご利益は十分ありそうだ。」

「リン、アキラ。ありがとう。」

お父さん達に御礼を言われて、私とお兄ちゃんは嬉しかった。
そして、ドラしゃんに作った像を出してもらう事にした。

「ドラしゃんだして!」

「ドラしゃん!お願い!」

私とお兄ちゃんの言葉にドラしゃんは、渋々鞄から先程作った像を出して、像を飾るのであろう場所に設置していく。

まずは、【大聖霊】達の像を天井部分と正面の台座に一体ずつ。
そして、最後に私とお兄ちゃんがイメージして作成したメインの像が置かれた。
それには、お父さんもドムじぃーちゃんも言葉を失っていた。

【大聖霊】達の像は、天井部分のはミニマム姿で可愛らしい像だ。
正面に設置した像は、本来の頭身姿の像を作って貰ったのだが...。
本人達に造らせたので、少し美化されている部分があるが、まぁ~いいかなぁ?

で、メインの像だ。
私達の出会った神様に、寄り添う様に巻きつくドラゴン姿のドラしゃんの姿の像にしたのだ。

私とお兄ちゃんにとって、ふたりが神様だからね。

私とお兄ちゃんは、イメージ通りの像が出来てご満悦だが、ドラしゃんはどうも嫌そうだった。

像を見たお父さんは感激していた。
その反面、ドムじぃーちゃんは【大聖霊】達と同じ反応をとる。

「おまっ。...くっっつ。本当にコレつくったのか?ふっはっ。ハッハッハー!
傑作だなぁー!よくやったよ。ふたり共!イヤァーこんな像が拝めるなんざぁー、長生きするもんだなぁー!」

ドムじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃんは不貞腐れる。

その様子を見て、私とお兄ちゃんはドラしゃんのズボンを引っ張り上目遣いをして声をかけた。

「ドラしゃん?いや?リンのこときらいになった?」

「ドラしゃん?ごめんなさい。嫌いにならないで。」

私とお兄ちゃんの言葉に、ドラしゃんは言葉に詰まっていた。
そして、大きな溜息をついたと思ったら私とお兄ちゃんを抱き上げ

『大丈夫ですよ。おふたりとも。御心配をおかけしました。余りにも素敵な像なので、少しヤキモチを焼いただけですよ。おふたりを嫌う事なんて絶対ありませんから、大丈夫ですよ。』

ドラしゃんの言葉に私とお兄ちゃんは嬉しくなり、しっかりと抱きつく。

そんな私達の様子を何処からか見ていた神様から素敵なプレゼントを貰った。

像が飾られた正面の窓部に、綺麗なガラス飾りがはめられたではないか。

そこには、私とお兄ちゃん。そして、小さなドラゴン姿のドラしゃんと【大聖霊】達が描かれている。

そして、その場にいる皆に声が聞こえた。

『とても素敵な像をありがとう。コレは、私からの君達へのプレゼントだ。
喜んでくれると嬉しいね。
コレからも、楽しく生活しておくれ。
私はずっと見守っているからね。』

その声は、私達がこの世界に来る時に会った神様の声だった。

ちゃんと見てくれていたんだ。
私とお兄ちゃん、そしてお父さんは神様に心の中で御礼をいう。

"こちらこそありがとうございます。
素敵な世界へ連れて来てくれて。
素敵な家族と会わせてくれて。"と。

こうして、無事に完成した教会で2組のカップルのガーデニングウエディングが行われた。

それはとても素敵な式になった。

そして、それを機に彼ら全員の家をそれぞれ建てていくことにした。

カブさんと奥さんは、仮に住居にそのまま住むと言ったので、中を少し改装し直した。

カブさんの家を中心にして、兵舎近隣に家を増築して行った。

ホイさん夫婦の家。
モチさんの家。
ココさん夫婦の家。
ヤカさん一家の家を建て行ったのだった。

益々、この街は大きく賑やかなものになっていったのだった。











リン:
花嫁さん素敵だったよね?
教会も綺麗だったよね!(≧∀≦)

アキラ:
うん!凄かったよね!

リン:
私も大きくなったら、あんな綺麗な服着てあそこで式あげたいなぁー!

アキラ:
リンだったら可愛いだろうなぁ~^ ^

ユウダイ:
∑(゚Д゚)_| ̄|○リンが...花嫁...(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

ドラしゃん:
お嬢様の花嫁姿はそれはそれは、素敵でしょうが...(相手は殺○)

ムキじぃーちゃん:
リンの花嫁姿か...めんこいだろうなぁ~
(相手は殺○)

ロドじぃーちゃん:
とっても可愛いだろうなぁ~(相手は殺○)

ラミィお兄ちゃん:
リンですから、それはとても素敵でしょうね^ ^(相手○ね。)

王子①:
リンの花嫁姿か..(*´◒`*)
(相手は僕だな)

王子②:
女神様の様なすがたですよ!(相手は僕です)

ユイカ:
コレは...(; ̄ェ ̄)なんか、大変そうね

ルミばぁーちゃん:
花嫁衣装は私らで作ってやるよ。
(まぁー相手は気の毒だがね。)

リン:
わぁーい♪楽しみだね。
次回もよろしく^ ^
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