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第三章 発展〜街から小さな国へ〜
3-15 文字の勉強より絵の方が難しい?!
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訓練場から出たらドラしゃんはテレパシーを使っていた。
その場に居ないルミばぁーちゃん、ロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃん、ラミィお兄ちゃん、お父さん、お母さんにムキじぃーちゃんからの伝言を伝えていた。
私はドラしゃんの腕の中からさっきまで自分達が居た訓練場を見ていた。
そして...心の中で"お兄ちゃん頑張れ!"と応援を送ってみた。
その声はなんとしっかりお兄ちゃんに届いていた。
でもその時の私もお兄ちゃんも気付いていない。
お兄ちゃんに至っては空耳程度の認識しかなかったしね。
伝言を伝え終えたドラしゃんは私に向かって声をかける。
『お嬢様。少しお願いがあります。よろしいでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に私は視線を訓練場からドラしゃんへ移した。
「どうしたの?」
私は首を傾げながらドラしゃんに返事をする。
『明日お嬢様とお嬢様の腕輪で眠っている方々の力をお借りしないといけないと思います。よろしいでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に私は嬉しくて首を何回も縦に振った。
それを見てドラしゃんは微笑した。
『では今日はゆっくり過ごしましょうね。今から家に戻って文字と言葉の練習をしましょう。』
と笑顔で話すドラしゃん。
えっ?私は思わずしょんぼりする。
もう少し何かさせて貰えるものと思っていたからね。
だが...悲しいことに今日の残りの私の予定は決まってしまった...。
私はドラしゃんに抱えられて家へと向う。
家に着くといつもの場所には行かずに2階へと上がって行くドラしゃん。
私はとりあえず静かにしてドラしゃんにお任せ状態。
2階に着くとベランダ側のソファーの所へ連れて行かれ、そこにあるソファーに私を降ろすドラしゃん。
私をソファーに降ろすとドラしゃんは少し離れて私の目の前に円形のテーブルを出す。
出されたテーブルの上に何やら色々な物を並べていくドラしゃん。
何を並べているのかとじっくりみると...何か模様や文字が描かれた木の板に黒い薄い板に筆?の様なモノ。
あとは、絵の描かれた本に何かの辞書かの様な厚みのある古びた本がおかれているではないか。
「ドラしゃん?これ何?」
私は目の前に置かれたものとドラしゃんの顔を交互に見比べ質問する。
ドラしゃんはいつもの笑顔とは違った表情で私に声をかけてくる。
『お嬢様。私はお嬢様が大好きです。可愛らしいしこれからも御守りします。
しかしお嬢様にはこれから先には色んな未来がお待ちしております。
どんな未来がお待ちしているかは...私もわかりません。
ですが、お嬢様がこれから先進む未来へのお手伝いはできます。
お嬢様が大きくなってから困らない様に、しっかり教養や知識を身に付けて頂きたいと思います。
お嬢様が本来お持ちの素敵な部分はそのままで大丈夫です。
そんなお嬢様にもまだ足りないモノがありますので今からしっかり学んでいきましょうね。』
ドラしゃんの言葉は何やら難しいことを言っていたのだが...その時何故かすんなり自分の中に入って来た。
ドラしゃんが私のためを思って言ってくれているのもあるし、さっき訓練場で見たお兄ちゃんの姿がまだ自分の中に残ってたからだろう。
訓練場のお兄ちゃんの姿は違う人の様に感じた。自分だけが取り残された感じがなぜかするほとに。
そんな私の気持ちをドラしゃんは感じ取ってくれたのだった。
だからこの"お勉強"を提案してくれたようだ。
魔力コントロールに関しては周りの大人達は諦めてくれた。
変な暴走はしないので成り行きに身を任せる事にしたみたい。
だったらこの世界での言葉や歴史、文化に礼儀作法などの必要最低限の教養を身につける事を優先すべき事項とみなされたみたい。
まぁー必要なことだからね。
お父さんやお母さんはギルドや工房の仕事をしながらロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃんから先に学んでいた。
私やお兄ちゃんに比べて大人なので、必要最低限の事は身に付いてるから細かく教えなくても良かったのもある。
お兄ちゃんは訓練場で王子達やムキじぃーちゃんから教わっていた。
じゃー残るのは私だけ。
皆の中で1番幼く、厳しく指導?するのが皆が無理と判断したそう。
本来ならお父さんがお母さんがすべき事なのだが、自分達も覚えないといけない事があるので私まで手が伸びない状況だったみたい。
そこで白羽の矢が刺さったのがドラしゃん。
(まぁ~、矢が刺さらなくてもドラしゃんしか居ないのだけどね。)
『一気に覚えるのは無理ですので、一つ一つこなしていきましょう。
時間は沢山ありますから空いた時間は全てお勉強に費やしましょうね。』
本音は嫌だがお兄ちゃんも頑張ってるし、お父さんやお母さんやロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃん達もそれぞれ自分が出来る事をしているのは毎日見てるから知っている。
自分だけ何もしないのなにか悪いし、たぶんまだしばらくは仲間もお休み中だと思うから、今自分が出来ることをするしかなかった。
「うん。リンもがんばる!」
私は笑顔でドラしゃんに返事をした。
ドラしゃんは私の返事を聞いてまず初めに、文字の描かれた板を私の前に置く。
「ドラしゃんこれは?」
私は目の前に置かれた板を1枚手に取り聞いてみた。
1枚の板に文字と絵が裏表に書かれていた。
『コレは表には絵を。裏にはその絵の言葉が書かれています。
お嬢様の目には、文字の方はこちらの言葉が"お国"の言葉に変換されて見えるようになってますが残念ながらこの板はそうはなりません。』
ドラしゃんの言葉の通りドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃんが作ってくれた看板の文字や時々ルミばぁーちゃんが見せてくれる本の文字は、この世界の文字で書かれているが私やお兄ちゃん達が見る時は"日本語"に変わって見えるので困った事はなかった。
しかし、この世界での今後住んでいくには、この世界の文字と言葉を学ばないといけない。
お父さんはお母さんに関しては書類事に関しては他の職員がいるからさほど問題にはならないらしいが、私とお兄ちゃんはそうはいかなかった。
『坊っちゃま。アキラ様にも同じ板をご用意して訓練の合間にお勉強されていますよ。
こちらの板は特殊加工されてまして、異世界から来た人にこちらの言葉を覚えてもらうように特別に作られたモノです。
異世界から来た人が見ても、"お国"の言葉には変換されません。
ですので...お勉強には最適です。』
確かにドラしゃんの言葉に偽りはなかった。
何度見ても板に書かれた文字は見慣れた言葉には変わらない。
そのためまず初めは絵で文字を判断するしか今の私には出来なかった。
『アキラ様はもうこの板の半分は覚えられましたよ。お嬢様も頑張りましょうね。』
100枚以上あるこの板の文字をお兄ちゃんはもう半分は覚えている?
習い出したのは私より先なので当然と言えばそうだがなにか悔しかった。
「ドラしゃん。わたち、がんばる!」
変な気合いが入った私はひと味違った。
それを後になってドラしゃんは身を持って知る羽目になるとはこの時は思わなかっただろう。
とりあえず、私がやる気を見せたのでドラしゃんも気合いを入れて私に文字を教えてくれる。
『では、まずお嬢様が手にお持ちのモノからいきますよ。
最初ですので絵を見てから文字を覚えていきましょうか。』
ドラしゃんは私の横に座り直してお勉強がスタートする。
私が握っている板の絵を見ると何かの果物の絵が描かれていた。
なんの果物かわからないから私は直感で答えてみた。
「これは、きのみ?」
私の言葉にドラしゃんは笑顔で"正解"ですと答えてくれた。
私は思わず唖然としてしまった。
(えっ?)
まさか本当に当たるとは思わなかった。
この絵が木のみって...どうかと思うけどと思いながら木の札を見つめた。
そんな私にお構いなくドラしゃんは話を進めていく。
『では、木の札の裏をみて下さい。これが、"木のみ"と言う文字です。』
そこに書かれていた文字は見た事ない形をしていた。
私が普段目にする文字とは全く別物でかなり戸惑ってしまった。
『文字は少しずつ覚えていきましょう。絵と文字の形を意識付けて行くことから始めましょう。』
ドラしゃんは私にそう話すと札の山から次の札を取り出した。
私は手に持った札を机の空いているスペースに置いて次の札を見る。
今度の札に描かれた絵も難解だった。
(お兄ちゃん、本当に凄い。この絵も相当難しいのに)
思ったより私の文字の勉強は難易度が高めだと心の中で思った。
ドラしゃんとの文字の勉強は決して嫌ではないが大変。なぜなら...札に描かれている絵を理解するのがまず難解だからだ。
決して知らない絵ではないと思うのだが...下手...というか...分かりにくいものばかり。
"りんご"にも見える"木のみ"だったり、"木のみ"に見える"りんご"だったりと、何かのクイズ?と思える様な感じ。
文字を覚えるより先に絵を当てるのが問題なの。
絵が決して下手ではない。
絵本に描かれている絵の様に上手だったが、区別がつきにくい描き方をしているため本当にわかりにくい。
だから己の直感頼りになってしまう。
その為に、札1枚を言い当てるまでかなりの時間を要した。
「えーっーーーと。??花?イヤァー?草?ゔんーーーん。」
私は札を手に取り睨めっこ。
文字の方を見ても日本語にならないからわからない。
そんな私を笑顔で見護るドラしゃん。
何かの罰ゲームを受けている気分になる私は、おかしいのでしょうかと誰かに問いかけたくなってきた。
『お嬢様。お勉強熱心ですね。私は嬉しいです。』
札と睨めっこする私を見てドラしゃんはかなり喜んでいた。
(こーなったら、感よ!自分の直感を信じなさい!)
「わかった!コレは薬草ね!」
私は札をドラしゃんの方へ掲げて答えた。
するとドラしゃんは笑顔で拍手までくれた。
『さすがお嬢様!正解です。今の所、50枚全て正解です。』
良かった。正解してホッとした。
まだまだ札はあるが...これはかなり大変だ。
文字と絵の描かれた札は全部で500枚以上はあるだろう。
単語から文章まで含まれていたからね。
単語だけで、200枚前後?
残りの300枚程度は...応用と文章の書かれた札仕様に。
まだまだ札が残っていて、50枚目の札を当て終わった札の山に置いた時だった。
下から私達を呼ぶ声がした。
「リン?!ドラしゃん?!居る?晩御飯の準備できたわよ!」
下からお母さんの声がしたのだ。
えっ?晩御飯?
私とドラしゃんは思わず顔を見合わせた。
2人で後ろのベランダを見ると...なんと外は真っ暗ではないか?!!
私達は慌てて片付けをする。
特にドラしゃんなんてお慌てだ。
私達が勉強を始めてからそんなに時間が経ってるとは思わなかった。
片付けを終えるとドラしゃんは私を抱えて1階に降りて行く。
私達が降りて行くとそこにはお父さんもお兄ちゃんも座っていた。
お母さんがキッチンからコップを持って出てきて
「珍しいじゃない。ドラしゃんが時間も忘れんなんて。」
「上で何をしてたんだ?」
「リン!ドラしゃん!遅いよ!お腹ペコペコだよぉ~。」
お母さん、お父さん、お兄ちゃんにそれぞれ声をかけられて、私とドラしゃんは苦笑いをした。
苦笑いを浮かべながら席に行きご飯を食べる事にした。
皆で夕食を食べ出した頃、お父さんが再度私とドラしゃんに話しかけてきた。
「で。2人は上で何をしてたんだ?」
お父さんの言葉に私とドラしゃんは、顔を見合わせた。
私はドラしゃんに視線を送ると、ドラしゃんが"どうぞ"と返事をくれたのでお父さんに話をした。
「うえで、もじのべんきょうしてたの。」
私の言葉を聞いてお父さんとお母さんは驚いた。
お兄ちゃんはどんな内容か知っているので複雑な顔をしていた。
「凄いなぁー。どんな文字の勉強をしてるんだい?」
お父さんとお母さんは興味津々に聞いてきた。
私はドラしゃんの方を見た。
私の意図を汲み取ったドラしゃんが、お父さん達に説明してくれた。
『1枚の板の表には絵が描かれています。その裏には、その絵を示す文字が書かれてます。勿論文字を見ても、皆様の国の言葉にはなりません。この世界の文字をしっかり覚えてもらう為の専用の練習板です。』
そう説明して1枚の板を取り出してお父さん達に見せた。
お父さんはドラしゃんから板を受け取ると文字の方を見た。
「確かに私達の国の言葉には変わらない。」
「凄いわ!リンはこの文字が分かるの?」
お母さんは板を見ながら私に質問してきたので、私は首を横に振り今日した事を伝える。
「もじは、わからないの。まず、えをみて、そのえがなにかをあてるの。そして、もじをみておぼえるの。」
『今日から始めたばかりです。文字を覚えていくには、時間がかかるかと思います。』
ドラしゃんが私の言葉に補足をしてくれた。
そしてお兄ちゃんも
「僕も訓練場で王子達と一緒に同じ板を使って、ムキじぃーちゃんから教わってるけど...。それ...かなり難しいんだ。」
お兄ちゃんの言葉にお父さんとお母さんは更に驚いた。
「アキラも勉強してたのか?」
「凄いわぁ~。子供の成長って早いのね。」
お父さんとお母さんは少し寂しそうにそして、嬉しそうに呟いた。
『お嬢様もアキラ様も覚えは早いです。勉強も一生懸命に取り組まれてます。教える方もやりがいがあります。』
ドラしゃんも嬉しそうにお父さんとお母さんに話をした。
私とお兄ちゃんは心中複雑。
なんせ文字より絵の方が難しいからだ。
でもそれは口が裂けても言えなかった。
「覚える事が沢山あって1日が楽しいよ。訓練も楽しいし。」
「リンも、できることがあって嬉しい。
」
私とお兄ちゃんはとりあえず笑顔でそう話をする。
私とお兄ちゃんの言葉を聞いてお父さん達もドラしゃんも嬉しそうな表情に。
「子供達もそれぞれ頑張ってるから、私達も頑張らないとね。」
「そうね。子供達に負けられないわね。」
お父さんとお母さんはそう言うと気合いをいれる。
「無理はしないでね?」
「しょうよ!むりだめよ!」
お父さんとお母さんは少し無理する傾向があるから私とお兄ちゃんは心配になった。
「大丈夫だよ。周りに沢山助けてくれる人がいるから。」
「無理するとすぐ怒られるしね。」
お父さんとお母さんの言葉を聞いて少しホッとした。
『私としてはお嬢様とアキラ様も無茶をされない事を願いますね。』
横からドラしゃんから注意を受けた。
....藪蛇だった。
私とお兄ちゃんは苦笑いしながらとりあえず"はーい"と返事をするのだった。
リン:
ドラしゃん。絵は上手いのに、なんだろう?
アキラ:
わかる。
絵は上手いよね。でも、難しいんだよね。
ムキじぃーちゃん:
おっ?なんの話をしてるんだ?
リン:
ドラしゃんの絵の事なの。
ムキじぃーちゃん:
あーー。あれか。
諦めろ。
アキラ:
あの板。文字より絵が難しいから大変だよ。
ムキじぃーちゃん:
そのままアイツに言えばいいじゃないか?
リン:
ダメよ!ドラしゃんないちゃうわ!
アキラ:
ドラしゃんには、言えないよ。
ドラしゃん:
私に何が言えないんですか?
リン・アキラ:
何でもないよ!!
ドラしゃん:
???
ムキじぃーちゃん:
まぁ~お前は、2人に愛されてるな。
ドラしゃん:
当たり前じゃないですか?
何を言ってるんですか?
ムキじぃーちゃん:
( ゚д゚)
リン:
とりあえず、次回も見てください^ ^
その場に居ないルミばぁーちゃん、ロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃん、ラミィお兄ちゃん、お父さん、お母さんにムキじぃーちゃんからの伝言を伝えていた。
私はドラしゃんの腕の中からさっきまで自分達が居た訓練場を見ていた。
そして...心の中で"お兄ちゃん頑張れ!"と応援を送ってみた。
その声はなんとしっかりお兄ちゃんに届いていた。
でもその時の私もお兄ちゃんも気付いていない。
お兄ちゃんに至っては空耳程度の認識しかなかったしね。
伝言を伝え終えたドラしゃんは私に向かって声をかける。
『お嬢様。少しお願いがあります。よろしいでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に私は視線を訓練場からドラしゃんへ移した。
「どうしたの?」
私は首を傾げながらドラしゃんに返事をする。
『明日お嬢様とお嬢様の腕輪で眠っている方々の力をお借りしないといけないと思います。よろしいでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に私は嬉しくて首を何回も縦に振った。
それを見てドラしゃんは微笑した。
『では今日はゆっくり過ごしましょうね。今から家に戻って文字と言葉の練習をしましょう。』
と笑顔で話すドラしゃん。
えっ?私は思わずしょんぼりする。
もう少し何かさせて貰えるものと思っていたからね。
だが...悲しいことに今日の残りの私の予定は決まってしまった...。
私はドラしゃんに抱えられて家へと向う。
家に着くといつもの場所には行かずに2階へと上がって行くドラしゃん。
私はとりあえず静かにしてドラしゃんにお任せ状態。
2階に着くとベランダ側のソファーの所へ連れて行かれ、そこにあるソファーに私を降ろすドラしゃん。
私をソファーに降ろすとドラしゃんは少し離れて私の目の前に円形のテーブルを出す。
出されたテーブルの上に何やら色々な物を並べていくドラしゃん。
何を並べているのかとじっくりみると...何か模様や文字が描かれた木の板に黒い薄い板に筆?の様なモノ。
あとは、絵の描かれた本に何かの辞書かの様な厚みのある古びた本がおかれているではないか。
「ドラしゃん?これ何?」
私は目の前に置かれたものとドラしゃんの顔を交互に見比べ質問する。
ドラしゃんはいつもの笑顔とは違った表情で私に声をかけてくる。
『お嬢様。私はお嬢様が大好きです。可愛らしいしこれからも御守りします。
しかしお嬢様にはこれから先には色んな未来がお待ちしております。
どんな未来がお待ちしているかは...私もわかりません。
ですが、お嬢様がこれから先進む未来へのお手伝いはできます。
お嬢様が大きくなってから困らない様に、しっかり教養や知識を身に付けて頂きたいと思います。
お嬢様が本来お持ちの素敵な部分はそのままで大丈夫です。
そんなお嬢様にもまだ足りないモノがありますので今からしっかり学んでいきましょうね。』
ドラしゃんの言葉は何やら難しいことを言っていたのだが...その時何故かすんなり自分の中に入って来た。
ドラしゃんが私のためを思って言ってくれているのもあるし、さっき訓練場で見たお兄ちゃんの姿がまだ自分の中に残ってたからだろう。
訓練場のお兄ちゃんの姿は違う人の様に感じた。自分だけが取り残された感じがなぜかするほとに。
そんな私の気持ちをドラしゃんは感じ取ってくれたのだった。
だからこの"お勉強"を提案してくれたようだ。
魔力コントロールに関しては周りの大人達は諦めてくれた。
変な暴走はしないので成り行きに身を任せる事にしたみたい。
だったらこの世界での言葉や歴史、文化に礼儀作法などの必要最低限の教養を身につける事を優先すべき事項とみなされたみたい。
まぁー必要なことだからね。
お父さんやお母さんはギルドや工房の仕事をしながらロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃんから先に学んでいた。
私やお兄ちゃんに比べて大人なので、必要最低限の事は身に付いてるから細かく教えなくても良かったのもある。
お兄ちゃんは訓練場で王子達やムキじぃーちゃんから教わっていた。
じゃー残るのは私だけ。
皆の中で1番幼く、厳しく指導?するのが皆が無理と判断したそう。
本来ならお父さんがお母さんがすべき事なのだが、自分達も覚えないといけない事があるので私まで手が伸びない状況だったみたい。
そこで白羽の矢が刺さったのがドラしゃん。
(まぁ~、矢が刺さらなくてもドラしゃんしか居ないのだけどね。)
『一気に覚えるのは無理ですので、一つ一つこなしていきましょう。
時間は沢山ありますから空いた時間は全てお勉強に費やしましょうね。』
本音は嫌だがお兄ちゃんも頑張ってるし、お父さんやお母さんやロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃん達もそれぞれ自分が出来る事をしているのは毎日見てるから知っている。
自分だけ何もしないのなにか悪いし、たぶんまだしばらくは仲間もお休み中だと思うから、今自分が出来ることをするしかなかった。
「うん。リンもがんばる!」
私は笑顔でドラしゃんに返事をした。
ドラしゃんは私の返事を聞いてまず初めに、文字の描かれた板を私の前に置く。
「ドラしゃんこれは?」
私は目の前に置かれた板を1枚手に取り聞いてみた。
1枚の板に文字と絵が裏表に書かれていた。
『コレは表には絵を。裏にはその絵の言葉が書かれています。
お嬢様の目には、文字の方はこちらの言葉が"お国"の言葉に変換されて見えるようになってますが残念ながらこの板はそうはなりません。』
ドラしゃんの言葉の通りドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃんが作ってくれた看板の文字や時々ルミばぁーちゃんが見せてくれる本の文字は、この世界の文字で書かれているが私やお兄ちゃん達が見る時は"日本語"に変わって見えるので困った事はなかった。
しかし、この世界での今後住んでいくには、この世界の文字と言葉を学ばないといけない。
お父さんはお母さんに関しては書類事に関しては他の職員がいるからさほど問題にはならないらしいが、私とお兄ちゃんはそうはいかなかった。
『坊っちゃま。アキラ様にも同じ板をご用意して訓練の合間にお勉強されていますよ。
こちらの板は特殊加工されてまして、異世界から来た人にこちらの言葉を覚えてもらうように特別に作られたモノです。
異世界から来た人が見ても、"お国"の言葉には変換されません。
ですので...お勉強には最適です。』
確かにドラしゃんの言葉に偽りはなかった。
何度見ても板に書かれた文字は見慣れた言葉には変わらない。
そのためまず初めは絵で文字を判断するしか今の私には出来なかった。
『アキラ様はもうこの板の半分は覚えられましたよ。お嬢様も頑張りましょうね。』
100枚以上あるこの板の文字をお兄ちゃんはもう半分は覚えている?
習い出したのは私より先なので当然と言えばそうだがなにか悔しかった。
「ドラしゃん。わたち、がんばる!」
変な気合いが入った私はひと味違った。
それを後になってドラしゃんは身を持って知る羽目になるとはこの時は思わなかっただろう。
とりあえず、私がやる気を見せたのでドラしゃんも気合いを入れて私に文字を教えてくれる。
『では、まずお嬢様が手にお持ちのモノからいきますよ。
最初ですので絵を見てから文字を覚えていきましょうか。』
ドラしゃんは私の横に座り直してお勉強がスタートする。
私が握っている板の絵を見ると何かの果物の絵が描かれていた。
なんの果物かわからないから私は直感で答えてみた。
「これは、きのみ?」
私の言葉にドラしゃんは笑顔で"正解"ですと答えてくれた。
私は思わず唖然としてしまった。
(えっ?)
まさか本当に当たるとは思わなかった。
この絵が木のみって...どうかと思うけどと思いながら木の札を見つめた。
そんな私にお構いなくドラしゃんは話を進めていく。
『では、木の札の裏をみて下さい。これが、"木のみ"と言う文字です。』
そこに書かれていた文字は見た事ない形をしていた。
私が普段目にする文字とは全く別物でかなり戸惑ってしまった。
『文字は少しずつ覚えていきましょう。絵と文字の形を意識付けて行くことから始めましょう。』
ドラしゃんは私にそう話すと札の山から次の札を取り出した。
私は手に持った札を机の空いているスペースに置いて次の札を見る。
今度の札に描かれた絵も難解だった。
(お兄ちゃん、本当に凄い。この絵も相当難しいのに)
思ったより私の文字の勉強は難易度が高めだと心の中で思った。
ドラしゃんとの文字の勉強は決して嫌ではないが大変。なぜなら...札に描かれている絵を理解するのがまず難解だからだ。
決して知らない絵ではないと思うのだが...下手...というか...分かりにくいものばかり。
"りんご"にも見える"木のみ"だったり、"木のみ"に見える"りんご"だったりと、何かのクイズ?と思える様な感じ。
文字を覚えるより先に絵を当てるのが問題なの。
絵が決して下手ではない。
絵本に描かれている絵の様に上手だったが、区別がつきにくい描き方をしているため本当にわかりにくい。
だから己の直感頼りになってしまう。
その為に、札1枚を言い当てるまでかなりの時間を要した。
「えーっーーーと。??花?イヤァー?草?ゔんーーーん。」
私は札を手に取り睨めっこ。
文字の方を見ても日本語にならないからわからない。
そんな私を笑顔で見護るドラしゃん。
何かの罰ゲームを受けている気分になる私は、おかしいのでしょうかと誰かに問いかけたくなってきた。
『お嬢様。お勉強熱心ですね。私は嬉しいです。』
札と睨めっこする私を見てドラしゃんはかなり喜んでいた。
(こーなったら、感よ!自分の直感を信じなさい!)
「わかった!コレは薬草ね!」
私は札をドラしゃんの方へ掲げて答えた。
するとドラしゃんは笑顔で拍手までくれた。
『さすがお嬢様!正解です。今の所、50枚全て正解です。』
良かった。正解してホッとした。
まだまだ札はあるが...これはかなり大変だ。
文字と絵の描かれた札は全部で500枚以上はあるだろう。
単語から文章まで含まれていたからね。
単語だけで、200枚前後?
残りの300枚程度は...応用と文章の書かれた札仕様に。
まだまだ札が残っていて、50枚目の札を当て終わった札の山に置いた時だった。
下から私達を呼ぶ声がした。
「リン?!ドラしゃん?!居る?晩御飯の準備できたわよ!」
下からお母さんの声がしたのだ。
えっ?晩御飯?
私とドラしゃんは思わず顔を見合わせた。
2人で後ろのベランダを見ると...なんと外は真っ暗ではないか?!!
私達は慌てて片付けをする。
特にドラしゃんなんてお慌てだ。
私達が勉強を始めてからそんなに時間が経ってるとは思わなかった。
片付けを終えるとドラしゃんは私を抱えて1階に降りて行く。
私達が降りて行くとそこにはお父さんもお兄ちゃんも座っていた。
お母さんがキッチンからコップを持って出てきて
「珍しいじゃない。ドラしゃんが時間も忘れんなんて。」
「上で何をしてたんだ?」
「リン!ドラしゃん!遅いよ!お腹ペコペコだよぉ~。」
お母さん、お父さん、お兄ちゃんにそれぞれ声をかけられて、私とドラしゃんは苦笑いをした。
苦笑いを浮かべながら席に行きご飯を食べる事にした。
皆で夕食を食べ出した頃、お父さんが再度私とドラしゃんに話しかけてきた。
「で。2人は上で何をしてたんだ?」
お父さんの言葉に私とドラしゃんは、顔を見合わせた。
私はドラしゃんに視線を送ると、ドラしゃんが"どうぞ"と返事をくれたのでお父さんに話をした。
「うえで、もじのべんきょうしてたの。」
私の言葉を聞いてお父さんとお母さんは驚いた。
お兄ちゃんはどんな内容か知っているので複雑な顔をしていた。
「凄いなぁー。どんな文字の勉強をしてるんだい?」
お父さんとお母さんは興味津々に聞いてきた。
私はドラしゃんの方を見た。
私の意図を汲み取ったドラしゃんが、お父さん達に説明してくれた。
『1枚の板の表には絵が描かれています。その裏には、その絵を示す文字が書かれてます。勿論文字を見ても、皆様の国の言葉にはなりません。この世界の文字をしっかり覚えてもらう為の専用の練習板です。』
そう説明して1枚の板を取り出してお父さん達に見せた。
お父さんはドラしゃんから板を受け取ると文字の方を見た。
「確かに私達の国の言葉には変わらない。」
「凄いわ!リンはこの文字が分かるの?」
お母さんは板を見ながら私に質問してきたので、私は首を横に振り今日した事を伝える。
「もじは、わからないの。まず、えをみて、そのえがなにかをあてるの。そして、もじをみておぼえるの。」
『今日から始めたばかりです。文字を覚えていくには、時間がかかるかと思います。』
ドラしゃんが私の言葉に補足をしてくれた。
そしてお兄ちゃんも
「僕も訓練場で王子達と一緒に同じ板を使って、ムキじぃーちゃんから教わってるけど...。それ...かなり難しいんだ。」
お兄ちゃんの言葉にお父さんとお母さんは更に驚いた。
「アキラも勉強してたのか?」
「凄いわぁ~。子供の成長って早いのね。」
お父さんとお母さんは少し寂しそうにそして、嬉しそうに呟いた。
『お嬢様もアキラ様も覚えは早いです。勉強も一生懸命に取り組まれてます。教える方もやりがいがあります。』
ドラしゃんも嬉しそうにお父さんとお母さんに話をした。
私とお兄ちゃんは心中複雑。
なんせ文字より絵の方が難しいからだ。
でもそれは口が裂けても言えなかった。
「覚える事が沢山あって1日が楽しいよ。訓練も楽しいし。」
「リンも、できることがあって嬉しい。
」
私とお兄ちゃんはとりあえず笑顔でそう話をする。
私とお兄ちゃんの言葉を聞いてお父さん達もドラしゃんも嬉しそうな表情に。
「子供達もそれぞれ頑張ってるから、私達も頑張らないとね。」
「そうね。子供達に負けられないわね。」
お父さんとお母さんはそう言うと気合いをいれる。
「無理はしないでね?」
「しょうよ!むりだめよ!」
お父さんとお母さんは少し無理する傾向があるから私とお兄ちゃんは心配になった。
「大丈夫だよ。周りに沢山助けてくれる人がいるから。」
「無理するとすぐ怒られるしね。」
お父さんとお母さんの言葉を聞いて少しホッとした。
『私としてはお嬢様とアキラ様も無茶をされない事を願いますね。』
横からドラしゃんから注意を受けた。
....藪蛇だった。
私とお兄ちゃんは苦笑いしながらとりあえず"はーい"と返事をするのだった。
リン:
ドラしゃん。絵は上手いのに、なんだろう?
アキラ:
わかる。
絵は上手いよね。でも、難しいんだよね。
ムキじぃーちゃん:
おっ?なんの話をしてるんだ?
リン:
ドラしゃんの絵の事なの。
ムキじぃーちゃん:
あーー。あれか。
諦めろ。
アキラ:
あの板。文字より絵が難しいから大変だよ。
ムキじぃーちゃん:
そのままアイツに言えばいいじゃないか?
リン:
ダメよ!ドラしゃんないちゃうわ!
アキラ:
ドラしゃんには、言えないよ。
ドラしゃん:
私に何が言えないんですか?
リン・アキラ:
何でもないよ!!
ドラしゃん:
???
ムキじぃーちゃん:
まぁ~お前は、2人に愛されてるな。
ドラしゃん:
当たり前じゃないですか?
何を言ってるんですか?
ムキじぃーちゃん:
( ゚д゚)
リン:
とりあえず、次回も見てください^ ^
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事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
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