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第三章 発展〜街から小さな国へ〜

3-6 日常生活の一幕

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 花園館で新しく生えた植物を見てしばらく過ごしていた。
私が植物の前から動こうとしないのでドラしゃんは【大聖霊】達に私の見守りを頼み一度外に出て王宮へ伝言ドラゴンを飛ばす。

『これ以上トラブルが増えないといいんだが...。』

ドラしゃんは王宮へ向かって飛んでいった伝言ドラゴンを見送りながら呟く。
が、きっとその願いも虚しくかき消されるのだろうとなんとなく感じていたドラしゃん。

そんなドラしゃんの姿を館の中で見ていた【大聖霊】達はまだ話し合っていた。

『どうしますの?もし変わった方が産まれたら困りますわ?』

『主人を選んで産まれてくるんだから、大丈夫じゃない?』

『もしかしたら、アイツの能力を持って姿を変えて産まれてくるのかもよ。』

『それってありなのか?』

『ありなんじゃない?君だっていつの間にか進化なんかしてるぐらいだからさ。』

『...あり...なのかなぁー...。だったら...なおのこと...慎重に...しないと...危ないよ...。』

彼等が知る【大聖霊】なら問題はさほどないのだが、別人として産まれて来るなら色んなリスクがあるのだった。

産まれ持ってくる能力の有無や性格。
何より他の【大聖霊】達との相性の有無によって、この世界に及ぼす影響は大きく異なるのだった。

その事についてはドラしゃんは管轄外なので知らなかった。
知っているのは【大聖霊】と神様だけ。
だからこそ"新しい"ものが産まれるのは彼らにとっても一大事の出来事になる。

楽しそうに植物に話しかけている私の姿を見て【大聖霊】達は私に全てを賭ける事に決めたみたい。

『主人の魔力と魅力に任せましょう。それしかありませんわ。』

ドライアドの言葉に他の【大聖霊】達は頷く。

私はそんな彼等の思いを気づいてか.....いや無意識だろう。
新しく生えた植物に向かって心の中で呟いていた。

"可愛くて、優しい、お姉ちゃんみたいな子がいいな。皆んなと仲良くしてくれて、ふわふわした感じがイイなぁー。"

その呟きに応えるかのように植物が淡くピンクに光だす。

それは私にしか見えておらず側にいる他の【大聖霊】達は気付いていないようす。

しばらくして外に出ていたドラしゃんが戻ってきたので、私はその植物に"また来るね"と伝えてドラしゃんの元へ走っていく。

走ってきた私をドラしゃんはいつものように抱き抱えてくれた。

『何もしてませんか?』

ドラしゃんは真顔で私に質問してきた。
(失礼ね。まるで私が問題は起こしマシーンみたいじゃないですか!)

その思いがどうやら周りにも伝わったのか、【大聖霊】達から哀れみの眼差しを向けられていた。

私はほっぺをぷくっと膨らませてドラしゃんに返事をする。

「何もちてないです!ただ、可愛いこに産まれて来てね。ってお願いしただけ。しちゅれいしちゃうわ。」

私の言葉に皆は驚いた表情をしたかと思うと【大聖霊】達は喜んで、ドラしゃんは微笑していたのだ。

"本当に失礼な人達です。"と私は心の中で文句を言いつつも、喜ぶ皆を見て嬉しかった。

再度、花園館を一通り見回してから外に出て菜園に実っているお野菜類を収穫して家に戻る。



 私達が菜園に向かった頃、訓練場でのびていたお兄ちゃん達はなんとか復活して動けるようになっていた。

お腹もだいぶ凹んできて身軽になりつつあったが、まだ本格的に動くには無理な感じだった。
それはお兄ちゃん達だけでなくムキじぃーちゃんも同じ状況だったみたいで、いつもの覇気がなかった。

ムキじぃーちゃんは歳も考えずにラディじぃーちゃん達に張り合って終始食べ続けていたのでダメージはかなり大きかったようす。
(ルミばぁーちゃんがいたらきっとボロボロに言われてたと思う...。)

「ムキじぃーちゃん。大丈夫?僕達はだいぶ楽になったよ。」

お兄ちゃんは壁にもたれて動かないムキじぃーちゃんの側に行って声をかけると、お兄ちゃんの声に力なく顔を向けるムキじぃーちゃん。
まだ少しくるしそうな表情を浮かべる。

「ワシはもう少しかかるわい。動けそうなら基礎練習をできる範囲でしといてくれるか?」

ムキじぃーちゃんの言葉にお兄ちゃん達は頷いて、少し側を離れた場所で訓練をする。

お兄ちゃん達が冒険者登録をしてから、この訓練場では基礎体力の向上訓練、体術、剣術、攻撃魔法、防御魔法、撤退の仕方など、外で冒険活動するにあたって必要最小限の事を学んでいた。

そのおかげか訓練し始めてからお兄ちゃんや王子達は最初に比べて体格や纏う気配もしっかりしてきたみたい。

ムキじぃーちゃんがのびているため、お兄ちゃんは王子達と基礎体力の向上訓練から開始する。

まずは全身の筋肉を解すため柔軟体操から始めた。
この柔軟体操が意外に大事でするのとしないのでは、後々の訓練に大きく響いて来るのだった。

しかし最初の頃はこの柔軟体操を馬鹿にして王子2人は一切しなかった。
お兄ちゃんはと言うと全てが初めての事なので、嫌がりもせず言われた事を全て行なっていた。

そのおかげで体力面や身体機能面では既に王子達との差が大きくでていた。

(それを知ってから王子達も柔軟体操を馬鹿にせずに行うようになったんだって。ほんとお子ちゃまよね。)

柔軟体操中に第一王子のユウキがお兄ちゃんに話しかけてきた。

「なぁー、アキラ。リンって好きな人いるのかなぁー?」

その言葉に弟のユウタと壁でのびているムキじぃーちゃんの耳がダンボになっていた。

お兄ちゃんは柔軟体操しながらユウキの質問に不思議そうに答えた。

「急にどうして?そんな事聞いてどうするの?」

質問した本人は顔を真っ赤にしながら一生懸命何かを訴えた。

「だっ、だって気になるだろう!あっ、あんなに可愛いから...その...あれ。アレだよ!」

ユウキの反応にお兄ちゃんの中の何かのセンサーが反応した。
お兄ちゃんは一瞬にして無表情になりユウキに返事をした。

「リン。好きな人いるよ。」

お兄ちゃんの言葉にユウキとユウトが凹み、ムキじぃーちゃんの耳が益々大きくなった。

「リンの好きな人はユウキでは勝てないね。誰よりも強くてカッコいいからね。僕ですら勝てないよ。」

お兄ちゃんの言葉に益々凹むユウキとユウトに反して、ムキじぃーちゃんは何かに気付いて密かに笑っていた。

「まぁ~。基礎練習を真面目にしないヒ人は嫌いだろうし、人を見下した様に物を言う人は嫌いだろうね。あと、...。」

お兄ちゃんは続きを言おうとしてチラッとユウキの方を見ると、ユウキとユウトが灰になって消えかけていた。

「え?!ちょっ、ちょっとふたりともどうしたの???」

何かのセンサーに反応したので少し意地悪をしようと思って話をしたが、ふたりの状態をみて、ちょっと意地悪をし過ぎたと反省した。

「リンは、頑張る人は大好きだぞ。」

お兄ちゃんが小声で呟くと灰化が止まった。

おっ?これはいける?と感じたお兄ちゃんは、もう一踏ん張りする事にした。

「あと、リンは家族や仲間を大事にする人好きだよ。あと、一度決めた事を最後までやり遂げる人も好きだよ。」

その言葉を聞いてふたりは一気に復活した。

「よし!頑張るぞ!」

「はい!兄上!」

ふたりはは最初より元気になり、柔軟体操をいつもの倍のスピードでこなしだす。
お兄ちゃんはそんなふたりを見て励まし過ぎたと少し後悔した。

そんな彼らの姿を必死に笑いを堪えて見守るムキじぃーちゃん。

 夕方までそれぞれ分かれて過ごしてお父さんとお母さんの待つ家に戻ってきた。

家に帰るとお兄ちゃん達が先に戻っていた。
私は皆で収穫した菜園の野菜類をお母さんに見せた。

収穫してきた野菜はお父さんとムキじぃーちゃんが地下の食糧庫へ持って行った。

その間私はお兄ちゃんと王子達でプレイスペースで今日の出来事を話し合っていた。
もちろんドラしゃんの監視付きだ。

「あれからお兄ちゃん達は何してたの?」

私はお兄ちゃんに話しかけたのになぜかユウキとユウトが笑顔で答えた。

「僕達は訓練場で基礎訓練をしたんだ。きちんと最後までしたんだぞ!」

「そうです。僕も、兄上も最後までしました。」

「....。へぇー。」

私はふたりの気迫に押されて少し引いた。
私に語りかけてくるふたりの目は、何故か輝いている上に何かを期待している目をしていたからね。

なんなんだろうと不思議そうにふたりを見つめる私にお兄ちゃんがそっと耳打ちをした。

「このふたりはね、リンに褒められたいんだって。なんか褒めてあげて。」

(えーーーー?!私にですか?)
私は思わず、耳打ちするお兄ちゃんを見つめると頷いていた。

そして目の前の王子達を横目でみると、目を輝かせてまだ私を見つめているではないか。
再度お兄ちゃんに目線を送ると諦めろと言わんばかりの表情をされた。

仕方がなく私は覚悟を決めて王子達の方に向き直して、若干引き気味の笑顔でふたりに声を掛けた。

「すごいですね。でも、最後までこなすのはとうぜんなのでしょう?なぜそれをじまんされるのでしゅか?」

私の言葉にふたりの王子、お兄ちゃんにドラしゃん、お母さんにお父さん、ムキじぃーちゃんも固まった。

私は逆に周りの反応に驚いた。
何か間違った事言ったのかと。
不思議そうにキョロキョロする私にドラしゃんが代表で声を掛けてきた。

『お嬢様。なぜそのような御言葉を?』

どうやらドラしゃんの言葉はその場に居た私以外の全員が思っていたみたいで、視線が集まっていた。

だから私は自分の思った事を素直にドラしゃんに伝えた。

「だってね、お兄ちゃんいつも言ってるよ。ムキじぃーちゃんやロドじぃーちゃんが、おしえてくれることはやって当たり前ですって。それができない自分がなしゃけないって。
はやく、ムキじぃーちゃん達みたいになんにゃくこなせるように、なりたいって。
 だからね...。」

わたしがそこまで言うとドラしゃんは何かわかったようすで、満面の笑みを浮かべる。

『だから、与えられた訓練を最後までこなすのは当たり前。それができたからと言って自慢するのはおかしいと思われたのですね。』

ドラしゃんの言葉に私は頷く。
ドラしゃんのいった言葉通りのことを思っていたからね。

それを聞いてお兄ちゃんのお顔は真っ赤っかに。
王子達は悔しそうな顔に。
お父さん達は呆れた顔になっていた。

『お嬢様はしっかりされてますね。それはお兄様である坊っちゃまや御両親の育て方がよろしかったのですね。』

私はドラしゃんの言葉に家族が褒められて素直に嬉しかったので笑顔になる。

それを見たふたりの王子達はなぜかお兄ちゃんに宣戦布告をする。

「くそー!アキラ。今日からお前は僕達の友であってライバルだ!
絶対にお前には負けないぞ!」

「僕もです!負けませんから!」

そうふたりはお兄ちゃんに伝えると、私に向き直って私にも何かを宣言した。

「きっと立派な男になります。見てて下さい!」

「ぼっ、僕もです!」

そうふたりは言うだけ言って、私の返事を聞かずに家を出て兵舎の方に向かって行った。

しばらくその光景に呆気に取られた私達。
しかし、外はもう日が沈んで暗くなっている事に気付いたムキじぃーちゃんが、急いでふたりの後を追って行く。

「なんだったの?」

私は王子達とムキじぃーちゃんが去った先を見つめながらドラしゃんに尋ねた。

するとドラしゃんからは苦笑いが返ってきた。

『さぁーなんでしょうね。お嬢様は変わらずお過ごし頂けたら大丈夫ですよ。』

ドラしゃんがそう言うのでまぁーいっかと思い私は気持ちを切り替えた。

その様子を後ろで黙って見守っていたお父さんとお母さん。
ふたりは何やら私に聞こえないように、つぶやいていた。

「リンって末恐ろしい子ね。まぁー、当分大丈夫でしょう。しかし、リンに惚れるなんてあの子達は無謀ね。ライバルは強いし、当の本人も手強いからよっぽど頑張らないと無理よ。」

「そうだね。あれだったら今の所は大丈夫だね。しかし、リンも凄いけどあの王子ふたりも凄いね。全然めげないね。
 まぁ~、そう簡単にはうちの娘はあげないよ。私達の前に倒さないといけない人達がいるから心配ないけどね。」

(ふたりの会話はしっかりドラしゃんには聞こえていたけどね。それは内緒だよ。)

この後は皆で仲良く夕食を食べて、ムキじぃーちゃんも一緒にお風呂に入って就寝することに。

私達が寝静まった後、一階ではドラしゃんの防音結界が張られた中でいつものメンバーに、ラディミールとカシムを加えて緊急会議が開かれることになった。












アキラ:
無事に1日終わって良かった^ ^
しかし、基礎訓練はしんどいです。

リン:
お兄ちゃんお疲れ様。
でもお兄ちゃん、訓練する様になって格好良さが増したよね(๑˃̵ᴗ˂̵)
前のお兄ちゃんも良かったけど、今のお兄ちゃんも好き♡

アキラ:
(//∇//)照れるじゃないかぁ~。

ユウキ・ユウタ:
クソッ!アキラばっかりズルい!

リン:
ちょっと!私のお兄ちゃんに何か文句でも?

ユウキ・ユウタ:
Σ(゚д゚lll)い、いいや。そうじゃなくて、....。

リン:
何よ?男でしょう?はっきり言いなさいよ!

ユウキ・ユウタ:
僕達にも、...その...優しくして欲しいです!

リン:
????意味わかんない。
優しくも何も、私はあなた達のこと何にも知らないのにどうしろと?
それに、私の大好きなお兄ちゃんを敵視する人とは仲良くできません。

ユウキ・ユウタ:
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

アキラ:
リン!ダメだよ。そんな事を言ったら。
2人は、箱入り息子って奴だから、優しくしないとダメだってお母さんが言ってたでしょう?

リン:
そうだけど...。お兄ちゃんいじめる人は、リン嫌い。

アキラ:
僕は虐められてないよ。それどころか、いい友達だよ^ ^

リン:
そうなの?

ユウキ・ユウタ:
アキラ!(T_T)お前って奴は。゚(゚´Д`゚)゚。

アキラ:
ちょっと2人とも泣かないでよ∑(゚Д゚)

リン:
まぁ~お兄ちゃんがそう言うなら許してあげる。

ドラしゃん:
永遠に許さなくてもよろしいですよ^ ^
おっと、コレは本音が^ ^
皆様、ここまで読んで頂きありがとうございます^ ^
次回もよろしくお願いします












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