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第三章 発展〜街から小さな国へ〜
3-0 街として新しい取り組みを
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新しい住人に王子様がふたりも加わり、私達の住む街はまた少し賑やかになった。
数日後には予定通りに兵舎の横へライオンさんのお爺ちゃんとクマさんのお爺ちゃんの家も無事に完成。
同時に街の人限定の週に数回開店する食料品売り場も完成した。
ここに売り出されるのものは、お父さんが世話している家庭菜園で採れた物がメインで置かれることがきまっている。
もちろんそれ以外のもの置いて販売していいことにはなっている。
売り上げについてはルミばぁーちゃん率いる商業ギルドの管轄だ。
基本無人の販売店で、朝の6時頃から晩の8時まで営業だ。
朝早くと夕方前の2回に分けてお父さん達が家庭菜園で収穫したお野菜達を並べ、夜に残ったものを回収。
売り上げは賽銭入れに各自で入れる事になっており、釣り銭が出ないようにと義務付けられている。
お釣りがどうしてもいる場合は商業ギルドに申し出る形をとっている。
夜にお父さん達が売れ残りを回収しに来るのと同時に商業ギルドの職員さんが売り上げ金の回収にくる。
週末に合計から商業ギルドの手間賃代を引いた金額がお父さんの口座に振り込まれる仕組みとなっているのだ。
ちなみに異世界でもちゃんと口座があるのにはかなり驚いたみたい。
ギルドカードが口座のカードも担っているらしく、口座自体は冒険ギルドでも商業ギルドでもつくれるというか。
ただ、窓口で申請すれば手数料無しで引き出しなどができるのだ。
「えっ?!手数料無料なんですか?!」
口座の話を聞いた時お父さんとお母さんはそれに驚いてルミばぁーちゃんに質問したら
「ああ、そうさね。手数料は無料だよ。その分かり、口座管理費として年間で手間賃は徴収してるさね。もちろん、人によって徴収する金額は違うがね。」
「えっ?一括で??」
「うん?まぁ~大体は年末に徴収させてもらってるさね。駆け出しの奴らは得る収入も少ないだろう?そんなやつからごそっともらっても仕方がない。単なる虐めだ。金のある奴からしっかり頂いて、金のない奴からは雀の涙程度か...ほぼ無償でしてる事もあるさね。」
苦笑いを浮かべながら話ルミばぁーちゃんの言葉にロドじぃーちゃんも頷く。
こういうところは、自分達の知っている世界とは違うんだなぁーと思うのだった。
そんなこんなありながらも少しずつだが、街として成り立って来ている今日この頃。
住人の皆も与えられた役割を少しずつこなしこの街に馴染みつつある。
最も街も変わってきたが...ギルドとお兄ちゃん達だ。
王子達が来てその日にムキじぃーちゃんは、ライオンさんのお爺ちゃん達と話し合っていた。
そして、数週間後。
少し早いが王子様ふたりとお兄ちゃんの冒険者登録をした。
街のギルドを稼働させるにはそこに依頼をこなす冒険者が居ないと意味がない。
だからといって外から冒険者を入れるにはまだまだ問題がある。
そこでだ!ムキじぃーちゃん達はお父さん達も含めて何回も話し合いをして...
「この街を活性化さすにはギルドが稼働してない事には意味がない。
しかし外から冒険者を呼ぶにはまだ早すぎるんだ。」
ムキじぃーちゃんは一度言葉を区切り腹も括りなおして次の言葉を言う。
「そこで...ワシとロドムカ、元近衛隊隊長と副隊長が引率して見習い兵士達と王子2人。
そして、アキラを連れて外に素材集めや狩に行こうと思っている。」
ムキじぃーちゃんの言葉にお父さんとお母さんは驚き即座に反対をする。
見習い兵士達はともかく王子ふたりとお兄ちゃんはまだ子供だ。
いくらムキじぃーちゃん達がいるからといってもって言う気持ちが強かった。
「心配な気持ちも分からんでない。しかしこの世界で生きて行くなら必ず通る道だ。
場所はこの街の近くしか行かない事を誓う。」
ロドじぃーちゃんがお父さんとお母さんの説得を図る。
「絶対に私らも目を離さない。しかもこの街の魔物は殆どが低級だ。ドラゴンの加護も付いているんだ。命の危険はないな。」
ライオンさんのお爺ちゃんがそう言うとお父さんとお母さんは少しほっとした顔をするが...。
外に出る時は必ず誰が付き添う事を条件にお父さん達はムキじぃーちゃん達の提案を渋々受け入れた。
この世界で生きていくならこの世界のルールというものにも自分達も慣れていくしかないからね...。
それからはムキじぃーちゃんとライオンさんのお爺ちゃんとクマさんのお爺ちゃんが手分けして、若手の兵士達と王子達そしてお兄ちゃんを連れて街の外に出かけるようになった。
行き先は低級魔物が居る森や草原に出向いたり、お父さんの菜園やお母さんの工房に必要な素材を集めに泉や近くの村近くまで行ったりしていた。
冒険者登録をしてから私とお兄ちゃんは別行動が増えていった。
お兄ちゃんと王子達は午前中は街の外に出かけて素材集めや魔物狩りをする。
そして昼前には一度街に戻りご飯を食べたら訓練場に篭って訓練の日々を過ごす。
お陰で私には1人で過ごす時間がぐっと増えてしまった。
1人で過ごす時間が増えてから私の周りも色々変わってきた。
いつも側にいたお兄ちゃんの代わりに大聖霊の皆が常に側に出てきてくれるようになり、遊びを通して言葉の勉強をするように。
あとドラしゃんも以前よりずっと側に常に付くようになった。
どうやら私に魔力のコントロールについて指導をするようなのだ。
これも大人達が話し合った結果の一つ。
お父さんやお母さんは仕事を通して魔力や魔法のコントロールが上達していき特に指導や訓練もいらなくなり普通に生活しても問題ないレベルになった。
お兄ちゃんは王子達と一緒に訓練や狩をしながら学んでいるので今のところは特に問題はない。
そうなると...1番の問題は"私"。
無意識に魔力を流すし魔法も使う。
魔力量が1番多いので下手に制御すると私の身体に負担がかかるという。
かと言って何もしない訳にもいかない。
そこで白羽の矢が当たったのが【大聖霊】とドラしゃんという。
ドラしゃんから【大聖霊】達に話を振ると意外にもあっさり協力許可を得ることができた。
【大聖霊】とドラしゃんで教えるにしても、方法が難しかった。
幼い私に難しい事を言っても到底理解する事は出来ないのは分かっている。
かといってちゃんと教えておかないと色々と危険を伴う。
そこで考え出されたのが、遊びを通して学ぶと言う仕組み。
しかしそう簡単にはいかなかった。
私は遊びに夢中になればなるほど制御が全く効かない。
街の外で水遊びをすれば小さな池や湖がポンとできるし、土遊びをすれば新しい山や丘、森や林ができる。
その都度王様を含めた大人達が慌てて、対応に追われるハメに...。
これも何度目のやり取りだろうか?
いつもの様にドラしゃんが伝言ドラゴンを飛ばすとものの数分で王様がやってくる。
王様はドラしゃんから報告を受ける度に我が家に乗り込んで来る。
そして...
「おい!一体何をしてるんだ?!」
という台詞から
「今度はなんだ!なにをしたんだ?!」
に変わり...最終的には...
「もう...勘弁してくれ...。」
と言う言葉が聞かれるようになるまでにはそう時間はかからなかった。
『毎回同じ言葉...。聴き飽きたぞ。
魔力と魔法のコントロールをしているだけだ。悪意があってしている訳ではない。
そうめくじらを立てても仕方がないだろうが。』
その都度、ドラしゃんが王様を嗜めるという光景も見慣れたものとなってくる。
その光景を毎回私はドラしゃんの膝の上で聞いていた。
今回は私もその会話に参加してみることに。
「リンね。皆で遊んでるの。そしたらね、今回は"どうくちゅ"ができたの。あとね、言葉の練習もしてるのよ。しゅごいでしょう?」
私は笑顔で王様に話しかける。
皆でたくさん話の練習をしたのでお披露目もしたかったからね。
今回は前回作った山の中で土遊びしていたら小さな洞窟を作ってしまった。
しかもちゃんと魔力をギンギンに漲らせた洞窟がね...。
その為、今回も王様が速攻来た。
私が笑顔で話すので王様も怒りをグッと抑え込み、私にひきった顔で話しかけて来た。
「そうなのか?本当に"土遊び"したのだな?
それにしても、確かに喋りが上手くなって来ているなぁー。凄いぞ!」
王様の言葉に私は益々笑顔になる。
私との会話を終えると王様はドラしゃんとの会話を再開させる。
「で。本当の所はどうなんだ?」
王様はドラしゃんに顔を近づけて再確認するとドラしゃんは近寄って来た王様の顔を片手で押し除けながら返事をする。
『ムサイ男の顔を近づけるな!お嬢様の言う通りだ。【大聖霊】達も一緒にその場に居た。疑うなら彼等にも聞いてみろ!
魔力コントロールの練習のはずが結果的にそうなっただけだ。
一応念のためにムキファーとロドムカとラミィーが洞窟の中を確認済だ。
魔物もいない浄化された場所だったそうだ。そして、幼い精霊が誕生日して住み着いているそうだ。』
ドラしゃんの言葉で王様はドラしゃんに掴まれて赤くなった顔を摩りながら嘆く。
「またか?今回もなのか?勘弁してくれ...。
また、セバスに怒られるじゃないか...。」
どうやら毎回私達の所に来ては事実確認して帰るとセバしゃんに怒られているみたい。
『諦めろ。今回で最後になるからな。』
ドラしゃんは王様に静かに声をかける。
そうなのです。今回で【大聖霊】さん達もドラしゃんも私に魔力コントロールと魔法の訓練をするのを一時中止にする事にした。
やっている本人は一切の悪意がない上に、周りの土地が地味に浄化されていることが分かったからね。
それは国とって不利な事どころか有益な事らしい。
しかし規模が一気に広がり過ぎると色々と対応する方が追いつかないというか、実際に追いついていないので一時休息を取る事に。
それを聞いた王様は感激の涙を流しながらセバしゃんの待つ王宮に帰って行った。
王様を見送った私はドラしゃんに質問する。
「しばらく遊ばないの?」
私の質問にドラしゃんが苦笑いしながら答えてくれた。
『えぇ。暫くはお休みです。出ないとセバスが倒れる恐れがありますかね。』
私はドラしゃんの言葉を聞いてかなり焦った。
そう言えば、最初の頃は王様と一緒にセバしゃんも来ていたのに最近全然来ていなかったのを思い出したから。
「やだ!セバしゃん!倒れるのダメ!
リン。遊ぶのおやしゅみする!」
セバしゃんに会いたい私はドラしゃんの提案を受け入れた。
『遊びは暫くお休みして皆さんのお手伝いをしましょうか?
まずは、旦那様の菜園の手入れとかをお手伝いしていきましょうね。』
最近、お父さんはギルドの仕事を覚えるために、菜園の手入れが手薄になりがち。
ノームの加護が付いていると言ってもある程度手入れは必要となる。
『旦那様には私からお伝えしておきますので、彼等と一緒に菜園の方へ向かっていて下さい。』
王様も帰ってお父さん達が帰って来るまで時間があるので、私は腕輪から彼等を呼び菜園へ向かった。
私を見送りドラしゃんはお父さんの居るギルドへ瞬時に移動する。
ドラしゃんが来るまで私はドライアド、ノーム、ウンディーナ、イフリートと菜園で草抜きや水やりをして過ごす。
「あんね?リンね、あるくもいいけど、みんなみたいに、ふかふかうきたいなぁー。」
私は自分の足で歩いて移動しているが、ドライアド達は可愛いミニミニ姿で宙をふかふか浮いて移動している。
「みんなばっか、じゅるい!」
私は頬をぷくっと膨らませて皆に抗議をするとどこからか声が...。
『僕が力を貸してあげようか?』
その声はどこかで聞いた事がある声だった。
私がキョロキョロ周りを見回していたら、ドライアド達がニアニアしながら私を見つめているのに気付いた。
皆が私に悪戯をしていると思って怒ろうとしたらまた同じ声が聞こえて来た。
『ふふっ。キミって可愛いね。僕の力を貸してあげるから僕の友達になってくれる?』
その言葉が聞こえたと同時に胸ポケットが光った。
私の胸ポケットにはずっとあのガラス玉がはいっていた。
そう...胸ポケットが光っているのではなく、胸ポケットの中にあるガラス玉が光ったのだ。
私は胸ポケットから光るガラス玉を取り出して見つめる。
すると、ガラス玉が一回り大きくなり割れたではないか。
ガラス玉が割れると風が吹きどことなく霧が湧いて来た。
私がその状況に驚いていると霧の中から2人の人?が出てきた。
『やぁー!初めまして。僕は【風の大聖霊 シルフ】だよ。よろしくね。』
『...。はじめまして。私...【霧の大聖霊 ミスト】よろしく...。』
霧の中から出て来たのは旋風にのり、緑色のワンピースみたいな服を着た男の子と、青系のグラデーション色の着物をきた女の子の姿が。
リン:
わぁーい♪仲間増えたよ!
作者:
増えましたね(・Д・)
リン:
これってまずい?
作者:
大丈夫...かなぁ?:(;゙゚'ω゚'):
リン:
ドラしゃん帰ってきたら教えてあげよう^ ^
作者:
Σ(゚д゚lll)ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
リン:
あっ!逃げた!
次回も見てね^ ^
数日後には予定通りに兵舎の横へライオンさんのお爺ちゃんとクマさんのお爺ちゃんの家も無事に完成。
同時に街の人限定の週に数回開店する食料品売り場も完成した。
ここに売り出されるのものは、お父さんが世話している家庭菜園で採れた物がメインで置かれることがきまっている。
もちろんそれ以外のもの置いて販売していいことにはなっている。
売り上げについてはルミばぁーちゃん率いる商業ギルドの管轄だ。
基本無人の販売店で、朝の6時頃から晩の8時まで営業だ。
朝早くと夕方前の2回に分けてお父さん達が家庭菜園で収穫したお野菜達を並べ、夜に残ったものを回収。
売り上げは賽銭入れに各自で入れる事になっており、釣り銭が出ないようにと義務付けられている。
お釣りがどうしてもいる場合は商業ギルドに申し出る形をとっている。
夜にお父さん達が売れ残りを回収しに来るのと同時に商業ギルドの職員さんが売り上げ金の回収にくる。
週末に合計から商業ギルドの手間賃代を引いた金額がお父さんの口座に振り込まれる仕組みとなっているのだ。
ちなみに異世界でもちゃんと口座があるのにはかなり驚いたみたい。
ギルドカードが口座のカードも担っているらしく、口座自体は冒険ギルドでも商業ギルドでもつくれるというか。
ただ、窓口で申請すれば手数料無しで引き出しなどができるのだ。
「えっ?!手数料無料なんですか?!」
口座の話を聞いた時お父さんとお母さんはそれに驚いてルミばぁーちゃんに質問したら
「ああ、そうさね。手数料は無料だよ。その分かり、口座管理費として年間で手間賃は徴収してるさね。もちろん、人によって徴収する金額は違うがね。」
「えっ?一括で??」
「うん?まぁ~大体は年末に徴収させてもらってるさね。駆け出しの奴らは得る収入も少ないだろう?そんなやつからごそっともらっても仕方がない。単なる虐めだ。金のある奴からしっかり頂いて、金のない奴からは雀の涙程度か...ほぼ無償でしてる事もあるさね。」
苦笑いを浮かべながら話ルミばぁーちゃんの言葉にロドじぃーちゃんも頷く。
こういうところは、自分達の知っている世界とは違うんだなぁーと思うのだった。
そんなこんなありながらも少しずつだが、街として成り立って来ている今日この頃。
住人の皆も与えられた役割を少しずつこなしこの街に馴染みつつある。
最も街も変わってきたが...ギルドとお兄ちゃん達だ。
王子達が来てその日にムキじぃーちゃんは、ライオンさんのお爺ちゃん達と話し合っていた。
そして、数週間後。
少し早いが王子様ふたりとお兄ちゃんの冒険者登録をした。
街のギルドを稼働させるにはそこに依頼をこなす冒険者が居ないと意味がない。
だからといって外から冒険者を入れるにはまだまだ問題がある。
そこでだ!ムキじぃーちゃん達はお父さん達も含めて何回も話し合いをして...
「この街を活性化さすにはギルドが稼働してない事には意味がない。
しかし外から冒険者を呼ぶにはまだ早すぎるんだ。」
ムキじぃーちゃんは一度言葉を区切り腹も括りなおして次の言葉を言う。
「そこで...ワシとロドムカ、元近衛隊隊長と副隊長が引率して見習い兵士達と王子2人。
そして、アキラを連れて外に素材集めや狩に行こうと思っている。」
ムキじぃーちゃんの言葉にお父さんとお母さんは驚き即座に反対をする。
見習い兵士達はともかく王子ふたりとお兄ちゃんはまだ子供だ。
いくらムキじぃーちゃん達がいるからといってもって言う気持ちが強かった。
「心配な気持ちも分からんでない。しかしこの世界で生きて行くなら必ず通る道だ。
場所はこの街の近くしか行かない事を誓う。」
ロドじぃーちゃんがお父さんとお母さんの説得を図る。
「絶対に私らも目を離さない。しかもこの街の魔物は殆どが低級だ。ドラゴンの加護も付いているんだ。命の危険はないな。」
ライオンさんのお爺ちゃんがそう言うとお父さんとお母さんは少しほっとした顔をするが...。
外に出る時は必ず誰が付き添う事を条件にお父さん達はムキじぃーちゃん達の提案を渋々受け入れた。
この世界で生きていくならこの世界のルールというものにも自分達も慣れていくしかないからね...。
それからはムキじぃーちゃんとライオンさんのお爺ちゃんとクマさんのお爺ちゃんが手分けして、若手の兵士達と王子達そしてお兄ちゃんを連れて街の外に出かけるようになった。
行き先は低級魔物が居る森や草原に出向いたり、お父さんの菜園やお母さんの工房に必要な素材を集めに泉や近くの村近くまで行ったりしていた。
冒険者登録をしてから私とお兄ちゃんは別行動が増えていった。
お兄ちゃんと王子達は午前中は街の外に出かけて素材集めや魔物狩りをする。
そして昼前には一度街に戻りご飯を食べたら訓練場に篭って訓練の日々を過ごす。
お陰で私には1人で過ごす時間がぐっと増えてしまった。
1人で過ごす時間が増えてから私の周りも色々変わってきた。
いつも側にいたお兄ちゃんの代わりに大聖霊の皆が常に側に出てきてくれるようになり、遊びを通して言葉の勉強をするように。
あとドラしゃんも以前よりずっと側に常に付くようになった。
どうやら私に魔力のコントロールについて指導をするようなのだ。
これも大人達が話し合った結果の一つ。
お父さんやお母さんは仕事を通して魔力や魔法のコントロールが上達していき特に指導や訓練もいらなくなり普通に生活しても問題ないレベルになった。
お兄ちゃんは王子達と一緒に訓練や狩をしながら学んでいるので今のところは特に問題はない。
そうなると...1番の問題は"私"。
無意識に魔力を流すし魔法も使う。
魔力量が1番多いので下手に制御すると私の身体に負担がかかるという。
かと言って何もしない訳にもいかない。
そこで白羽の矢が当たったのが【大聖霊】とドラしゃんという。
ドラしゃんから【大聖霊】達に話を振ると意外にもあっさり協力許可を得ることができた。
【大聖霊】とドラしゃんで教えるにしても、方法が難しかった。
幼い私に難しい事を言っても到底理解する事は出来ないのは分かっている。
かといってちゃんと教えておかないと色々と危険を伴う。
そこで考え出されたのが、遊びを通して学ぶと言う仕組み。
しかしそう簡単にはいかなかった。
私は遊びに夢中になればなるほど制御が全く効かない。
街の外で水遊びをすれば小さな池や湖がポンとできるし、土遊びをすれば新しい山や丘、森や林ができる。
その都度王様を含めた大人達が慌てて、対応に追われるハメに...。
これも何度目のやり取りだろうか?
いつもの様にドラしゃんが伝言ドラゴンを飛ばすとものの数分で王様がやってくる。
王様はドラしゃんから報告を受ける度に我が家に乗り込んで来る。
そして...
「おい!一体何をしてるんだ?!」
という台詞から
「今度はなんだ!なにをしたんだ?!」
に変わり...最終的には...
「もう...勘弁してくれ...。」
と言う言葉が聞かれるようになるまでにはそう時間はかからなかった。
『毎回同じ言葉...。聴き飽きたぞ。
魔力と魔法のコントロールをしているだけだ。悪意があってしている訳ではない。
そうめくじらを立てても仕方がないだろうが。』
その都度、ドラしゃんが王様を嗜めるという光景も見慣れたものとなってくる。
その光景を毎回私はドラしゃんの膝の上で聞いていた。
今回は私もその会話に参加してみることに。
「リンね。皆で遊んでるの。そしたらね、今回は"どうくちゅ"ができたの。あとね、言葉の練習もしてるのよ。しゅごいでしょう?」
私は笑顔で王様に話しかける。
皆でたくさん話の練習をしたのでお披露目もしたかったからね。
今回は前回作った山の中で土遊びしていたら小さな洞窟を作ってしまった。
しかもちゃんと魔力をギンギンに漲らせた洞窟がね...。
その為、今回も王様が速攻来た。
私が笑顔で話すので王様も怒りをグッと抑え込み、私にひきった顔で話しかけて来た。
「そうなのか?本当に"土遊び"したのだな?
それにしても、確かに喋りが上手くなって来ているなぁー。凄いぞ!」
王様の言葉に私は益々笑顔になる。
私との会話を終えると王様はドラしゃんとの会話を再開させる。
「で。本当の所はどうなんだ?」
王様はドラしゃんに顔を近づけて再確認するとドラしゃんは近寄って来た王様の顔を片手で押し除けながら返事をする。
『ムサイ男の顔を近づけるな!お嬢様の言う通りだ。【大聖霊】達も一緒にその場に居た。疑うなら彼等にも聞いてみろ!
魔力コントロールの練習のはずが結果的にそうなっただけだ。
一応念のためにムキファーとロドムカとラミィーが洞窟の中を確認済だ。
魔物もいない浄化された場所だったそうだ。そして、幼い精霊が誕生日して住み着いているそうだ。』
ドラしゃんの言葉で王様はドラしゃんに掴まれて赤くなった顔を摩りながら嘆く。
「またか?今回もなのか?勘弁してくれ...。
また、セバスに怒られるじゃないか...。」
どうやら毎回私達の所に来ては事実確認して帰るとセバしゃんに怒られているみたい。
『諦めろ。今回で最後になるからな。』
ドラしゃんは王様に静かに声をかける。
そうなのです。今回で【大聖霊】さん達もドラしゃんも私に魔力コントロールと魔法の訓練をするのを一時中止にする事にした。
やっている本人は一切の悪意がない上に、周りの土地が地味に浄化されていることが分かったからね。
それは国とって不利な事どころか有益な事らしい。
しかし規模が一気に広がり過ぎると色々と対応する方が追いつかないというか、実際に追いついていないので一時休息を取る事に。
それを聞いた王様は感激の涙を流しながらセバしゃんの待つ王宮に帰って行った。
王様を見送った私はドラしゃんに質問する。
「しばらく遊ばないの?」
私の質問にドラしゃんが苦笑いしながら答えてくれた。
『えぇ。暫くはお休みです。出ないとセバスが倒れる恐れがありますかね。』
私はドラしゃんの言葉を聞いてかなり焦った。
そう言えば、最初の頃は王様と一緒にセバしゃんも来ていたのに最近全然来ていなかったのを思い出したから。
「やだ!セバしゃん!倒れるのダメ!
リン。遊ぶのおやしゅみする!」
セバしゃんに会いたい私はドラしゃんの提案を受け入れた。
『遊びは暫くお休みして皆さんのお手伝いをしましょうか?
まずは、旦那様の菜園の手入れとかをお手伝いしていきましょうね。』
最近、お父さんはギルドの仕事を覚えるために、菜園の手入れが手薄になりがち。
ノームの加護が付いていると言ってもある程度手入れは必要となる。
『旦那様には私からお伝えしておきますので、彼等と一緒に菜園の方へ向かっていて下さい。』
王様も帰ってお父さん達が帰って来るまで時間があるので、私は腕輪から彼等を呼び菜園へ向かった。
私を見送りドラしゃんはお父さんの居るギルドへ瞬時に移動する。
ドラしゃんが来るまで私はドライアド、ノーム、ウンディーナ、イフリートと菜園で草抜きや水やりをして過ごす。
「あんね?リンね、あるくもいいけど、みんなみたいに、ふかふかうきたいなぁー。」
私は自分の足で歩いて移動しているが、ドライアド達は可愛いミニミニ姿で宙をふかふか浮いて移動している。
「みんなばっか、じゅるい!」
私は頬をぷくっと膨らませて皆に抗議をするとどこからか声が...。
『僕が力を貸してあげようか?』
その声はどこかで聞いた事がある声だった。
私がキョロキョロ周りを見回していたら、ドライアド達がニアニアしながら私を見つめているのに気付いた。
皆が私に悪戯をしていると思って怒ろうとしたらまた同じ声が聞こえて来た。
『ふふっ。キミって可愛いね。僕の力を貸してあげるから僕の友達になってくれる?』
その言葉が聞こえたと同時に胸ポケットが光った。
私の胸ポケットにはずっとあのガラス玉がはいっていた。
そう...胸ポケットが光っているのではなく、胸ポケットの中にあるガラス玉が光ったのだ。
私は胸ポケットから光るガラス玉を取り出して見つめる。
すると、ガラス玉が一回り大きくなり割れたではないか。
ガラス玉が割れると風が吹きどことなく霧が湧いて来た。
私がその状況に驚いていると霧の中から2人の人?が出てきた。
『やぁー!初めまして。僕は【風の大聖霊 シルフ】だよ。よろしくね。』
『...。はじめまして。私...【霧の大聖霊 ミスト】よろしく...。』
霧の中から出て来たのは旋風にのり、緑色のワンピースみたいな服を着た男の子と、青系のグラデーション色の着物をきた女の子の姿が。
リン:
わぁーい♪仲間増えたよ!
作者:
増えましたね(・Д・)
リン:
これってまずい?
作者:
大丈夫...かなぁ?:(;゙゚'ω゚'):
リン:
ドラしゃん帰ってきたら教えてあげよう^ ^
作者:
Σ(゚д゚lll)ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
リン:
あっ!逃げた!
次回も見てね^ ^
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気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
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