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第一章 運命のはじまりと新たな出会い

1-0 終わりとはじまり

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 『お嬢様!!お坊ちゃま!危ないですって!!お戻り下さい!!』

「あら?あの子達また何かしたのかしら?」

「やれやれ、我が家のお姫様と王子様は相変わらず元気なんだね。」

広い広い大地に青々と茂った緑の絨毯の上を天井から舞い降りたかとおもわんばかりの可愛らしい天使達が互いの手を取り合って走り回っている。

その姿を見てイケメン執事が慌てて後を追いかけており、それを年若い夫婦が楽しそうに眺めている。

周囲にいる人達もその光景を微笑みながら見守っている。
まるでそれが常の光景のように...。

今は平和で穏やかな日々が続くこの世界。
笑い声が絶えず、いろんな種族の老若男女が互いに手を取り合って助け合い生活をしている世界。

でもその光景はほんの数年前までは当たり前の光景ではなかったのだ。

(まさかこんな世界にまた戻れるとは...。彼らをここに呼んで本当に良かった...。)

それはこの世界を作った神様ですら予想外のできごとだったのだ。




 この世界は数年前まで大地も空も荒れ果ててしまい、命の息吹すら感じ取れないような荒んだ世界だった。

いろんな種族や色んな国を巻き込んだ【大きな戦争】がもたらした結果なのだが...その代償はあまりにも大きかった...。

罪なき命が多く消え去り、世界で生きる人々から生きる希望や笑顔を奪っていった。

かつては色んな種族が互いに協力しあって、互いの両部をわきまえて生活してるいのだが...文明や生活が発展していくことにより色んな歪みが生まれていった。

最初こそは小さな歪みだった...。
しかし...それはいつしか大きな歪みとなり、争いが絶えないものとなっていったのだ。

(こんなはずではなかったんだ...。何を間違えた?!どうすれば...。このままではこの世界は滅んでしまう...。しかし...ワタシにはどうにもできない...。誰か...誰かの手を借りねば...。)

愛情を注ぎ育ててきた世界が自分が生み出した者たちによって壊されていくのを見て神様は嘆き悲しんだ。

神様は万能といえど...一度生み出した者達に干渉することは許されてない。
それは神様達の中にある"ルール"のせいだ。

だから...例えこの先の結果が見えていても神様が直接手を貸したり、手を下す事はできないのだった...。

(ただ私はこの世界が滅ぶのを見守るしかないのか?そんなはずはない!!何か...何か方法があるはず!!)

神様はそう考え自分の世界を見守りつつ救いを探していた...。

すると...遠くの惑星(ほし)から何やら声が聞こえてきた。
小さいけど...温かみがあり優しい声が...。

神様はその声をしっかり聞くために耳を澄ませた。
そして...神様はが 耳にした声に一筋の光を...希望を感じ取りその声が消える前にと急ぎ駆け寄っていった。

神様が聞きつけた声はなんと今にも消えかかりそうだったから。



 そのな事が他で起きているなんてこの当時の私達は知る由もなく、ただ与えられた幸せな日々を家族と過ごしていた。

"運命の日"が訪れるその日まで...。

これは、私が"ある世界"で家族と歩んだ道のり...正しくは人生そのもの。

普通ではあり得ないことが普通にあり、自分達の"常識"がどんだけちっぽけだったかを感じさせられた出来事が次々と起こる日常がもたらされた。

あの当時の私やお兄ちゃん、両親にとっては毎日が夢物語の様な日常だった。

その中でも両親にとっては普通の親が経験するより何倍の試練だったに違いないのに弱音を吐かずに慣れない環境や世界で私達を育ててくれた。
そして、色んなことを体験させてくれた。

それは私やお兄ちゃんにとってはとても大切な宝物だ。
けっしてお金で買える様なものではない。

そんな、私の私達家族の物語を良かったら見て行って欲しい...。
そして、一緒に感じて欲しい...。

こんな、人生がある事を...。
こんな世界が、ある事を...。

そこには、素敵な出会いと別れ。
そして、素敵な人々がいる事を知って欲しい...。


 まずは、その"世界"に行く事になった経緯を話さないといけないね。
実はね...私...というか、私達家族は二度人生を経験しているの。

普通ではないでしょ?
二度の人生の中でも最初の人生について教えてあげるわ。

私達家族は、地球という惑星(ほし)にある"日本"と言う国で生まれ育ったの。生粋の日本人よ。

 その"日本"で私達家族は最初の人生を無残な事故で終えてしまったの...しかも幸せの絶頂期にね。

ただ問題はここからよ。
その事故で"終わるはず"だった私達家族の人生はある神様によって大きく変わることになるの。

大きく変わるといっても悲観的になるような悪い展開にはならなかったのよ。
普通に生きていたら味わう事のない素晴らしいものに変わったの!
じゃーぁ、詳しく話していくわね。


~日本から異世界へ~

 私にとって、日本での最後の記憶は悲惨なものだった。

『キィーーーガッシャン!!』

凄まじい機械音と共に私の小さな小さな身体に激しい振動が加わりその瞬間地獄とかした。

先程も紹介したように私は普通の世界に生まれ育った。
文明が発達して電化製品に溢れた世界。日本と言う国で。

でも私はどうやら少し他の子と違ったみたいなの。
何が違うって?それは...産まれた時からテレビに映る"動物の姿"にしかなかなか反応しなかったらしいの。

普通の子供って色んな音や光に反応するじゃない?
まぁ~私も多少はそれなりに反応してたみたいなんだけど..."動物"だけには過敏に反応してたみたいなのよぉ~。

おかげで私の周りには色んな動物のぬいぐるみが溢れていたわ。
猫、犬はもちろんのこと、ペンギン、アザラシ、ライオン、トラ、ドラゴンにハシビロコウなんかもあったわね。

ありとあゆる動物のぬいぐるみを両親は見つけては私にプレゼントしてくれたり、作ってくれたりしてたの。

外に私を連れて散歩に行けば何もしなくても猫や鳥達が自然に集まって来たりもしたの。
別に餌やお香を焚いたりはしてないわよ。
本当に自然に集まって来るもんだから最初の頃は家族は皆驚いていたわ。

最終的にはあーって感じで諦めていたみたいだけどね。

そんなのもあってか誕生日や祝い事のたびに両親は私を動物園や水族館へと連れて行ってくれたわ。

あの日もそうだったわね。

あの運命の日。
私の3歳の誕生日の日よ。
3歳の誕生日を祝うために朝からよく行く動物園に向かったの。家族4人で...。

いつもと変わらない日になると思ってね。

お父さんに、肩車されながら動物園を回り、その側にはお母さんが笑顔で寄り添っていた。
お兄ちゃんもずっと笑顔だった。
楽しい時間がずっと続くはずだった。

しかし、楽しい時間ほど早く終わるものだった。

 動物園からの帰り道。
車の後部座席に私はお母さんとお兄ちゃんの間で座って寝ていた。

チャイルドシートに座って、揺られながら...。

どのくらい経っただろうか、お母さんの叫ぶ声と激しい振動、そして何かが壊れる音がした。

後は、重くて苦しい感覚が襲ってきた。
そこで、一度私の意識は途切れた。

一度、途切れたはずの私の意識は、何者かによって呼ばれた。

目が覚めたらそこは、まったく知らない場所だった。

視界一面に真っ白な空間が無限に広がっていた。

キョロキョロと顔を動かすと、私の側にお父さんとお母さんとお兄ちゃんが倒れている事に気づいた。

私は、周りをキョロキョロ見回した。
他には誰もいない様子だった。

私は側に倒れている家族の元に這って行き、それぞれの体に触れて声をかけた。

「パーパ。おちて」

「マーマ。おっちして」

「にぃーに。」

誰も起きてくれなかった。
不安になり泣きそうになった。

そんな私の前に1羽の大きな鳥さんが現れた。

それは、動物園でもみたことがない大きな鳥さんだった。

そしてとても綺麗だった。

『やぁー。御免なさいね。
こんな所に呼び寄せてしまって。
君達一家を救うには、こうするしかなかったんだ。』

どこともなく優しい声がした。
しかも人の声だ。

しかし、私の家族は皆寝ているし私以外の人はいなかった。

私は、ひたすらその鳥さんをみた。

『私の声が聞こえるかい?
 聞こえたら、頷いてくれるかな?
 小さなお嬢さん。』

目の前の鳥さんが、どうやら私に声をかけているようだった。

私は鳥さんに向かって頷いた。

『良かった。聞こえていたんだね。』

そう話すと、鳥さんは宙に浮いていたのに、私の前まで降りてきて座ってくれた。

『まだ、お嬢さんは幼いね。
これから私が話す内容は、難しいだろうなぁー。
側に連れてきたのは、お嬢さんの家族だね?』

鳥さんの問いに私は頷いた。

『大好きかい?
ずっと側にいて欲しいかい?』

鳥さんの言葉に再度私は頷いた。

鳥さんは、私の反応に優しく微笑んだ気がした。
すると、鳥さんは大きな羽根で私達を囲んだ。

羽根からは、暖かい光が降り注いできた。
すると、呼んでも起きなかった家族が、目を覚ました。

「パーパ、マーマ、にぃーに」

私は、家族を呼んだ。
目を覚ました家族は私の声に反応した。
家族は起き上がり私を抱きしめてくれた。

「麟、大丈夫か?怪我は?」

「麟、良かったわ。」

「麟!」

そんな私達の様子をひたすら黙って鳥さんは見守っていた。

「あんね、とりさんがね、たちけてくれたの」

私は一生懸命に家族に伝えた。

「鳥さん?なの事だ?」

私の言葉に家族は不思議そうな顔をした。

『もう、話をしても大丈夫かね?』

ひたすら待っててくれた鳥さんは、優しく家族に声をかけた。

「えっ?鳥?喋った?」

「嘘?!鳥?」

「カッコいい!」

家族は、声のする方を向いてそれぞれ声を上げた。

『では、お嬢さんたち家族に起こった事を今から話しをするよ。』

 鳥さんは、ゆっくり話しだした。
私達家族は、交通事故に巻き込まれて死んだのだった。

しかし、その事故がおきた原因は神様のせいだった。

本来なら私達家族は事故に合わずに自宅に戻れた。
そして、それぞれの天寿をまっとうするはずだったのだ。

だが事故が起きてしまった。
そこで、急ぎ死に絶える前に私達家族を救い出す予定だった。

が、事故の惨状が酷すぎて私以外の家族は、完全に死んでいたのだった。

かろうじて、私は瀕死の状態だった。

『本当は、この兄妹だけ生き返らせる予定だった。
私達神が管理するもう一つの世界で生きてもらうかと思ってたんだ。
 でもね、あまりにも幼な子のため保護者が必要だ。
お嬢さんが、家族が大好きだっと言う事で一家を全員生き返らせて貰った。』

お父さん達は、あまりの話に言葉もでず鳥さんの話を黙って聞いていた。

私は、あまりにも長い話に眠たくなってきた。

『特にお嬢さんは、動物に愛されしもの。死なれたら困る存在なのだ。
君達家族に、問題がなければ私達神が管理するもう一つの世界で新しい生活をしてみないかい?』

鳥さんは、そう家族に話伝えた。

その頃には、私はお母さんの腕の中でウトウト寝かけていた。

お父さん達は、鳥さんの話を自分達なりに纏めていた。

「あの確認させて頂きますね。
1、私達は本来は死ぬ予定ではなかった。
2、あなた方のせいで事故で死んだ。
3、死なれたら困るので生き返らせた。
4、私達の住んでいる世界では、もう死んだ事になっている。だから別の世界で生き直して欲しいと言う事でしょうか?」

お父さんが、鳥さんに話しかけた。

『まあーそんな所だ。よろしいかなぁ?』

お父さんとお母さんは顔を見合わせて、腕の中で寝かけている私を見つめた。

そんな中、お兄ちゃんが興奮した声で鳥さんに話しかけた。

「そこって、家族みんなで行けるんですか?どんな所ですか?どんな事が、できるんですか?魔法とか、使えたりするんですか?」

お兄ちゃんの、言葉にお父さんは怒ろうとした。
そんなお父さんが、行動を起こす前に鳥さんはお兄ちゃんに返事をした。

『勿論。家族皆んなで、新しい世界で住んでもらうよ。
君達の住んでた世界よりは文明科学の発展はしてないけどね。
自給自足の生活になるね。
冒険者や妖精とかいる世界だよ。
君達が移り住んでくれるなら、魔法とかを使える様にするよ。」

その鳥さんの言葉にお兄ちゃんは、さらに興奮した。
お父さんとお母さんは、驚いた。

「父さん、母さん行こうよ。僕行きたい。また、麟とも遊びたいよ!」

お兄ちゃんのその言葉を聞いて、お父さん達は覚悟を決めた。

「わかった。私達一家はその提案を受け入れるよ。
また、家族一緒に生活ができるなら頼む。
ただ、新しい世界でもある程度生活が出来るようにして欲しい。構わないだろうか?」

お父さんの言葉に、鳥さんは快く返事をした。

『勿論だよ。ありがとう。そして申し訳なかったね。
新しい人生を楽しんでくれ。

 君達が行く世界の名前は、【ディステニー・ウォール】。異世界だ。

新しい世界での言葉は、理解出来る様にしてある。
直ぐに生活が、出来る様に住居等も用意しておく。

 細かいことは、そうだね...説明書を家の本棚に置いておくから、目を通してくれたら嬉しいかなぁ?

 魔法も、使えるようにする。神の加護も付けるよ。
最後に、お眠になっているお嬢さんは、新しい世界でも特別で貴重な存在だ。
大変だろうけど頼むよ。
何かあれば、私の使いを君達一家の為に派遣してあるから、聴くといいよ。
では楽しい人生を。』

鳥さんは話し終えると、また翼を広げた。
そして、鳥さんの体からまた暖かい光が放たれた。
その光は、私達家族を溶かすように包み込んだのだった。






初投稿作品をリニューアルしてみました!!誤字や脱字が多いかと思います_:(´ཀ`」 ∠):
少し、内容も手直ししました
よろしくお願いします(>人<;)

これから色んな人物が登場します。
読み進めて頂けたら嬉しいです\(//∇//)\
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