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一章 異世界へようこそ 新たな人生の幕開け
1-10 僕達の名前は
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母上と父上に促されて恐る恐ると言った感じで僕の側にくる兄上。
兄上の顔を見るのは僕が産まれたあの日いらいだ。
だから兄上ってこんな顔をしていたんだと改めて感じた。
兄上は父上そっくり。父上を幼くした感じで、髪の色、目の色、目の形、眉毛の形、というか顔の造形全てが父上そっくりなのだ。
兄上は母上の腕の中にいる僕の顔にそっと優しく触れる。
僕は久しぶりに兄上に会えた事が純粋に嬉しかったので声をあげて笑った。
すると...兄上が静かに涙を流しながら泣いてしまったのだ。
これには母上も父上も側に控えていた人達全員が驚く。
もちろん僕もだ。
僕の顔に触れたまま静かに泣く兄上。
母上はどうしたものかと困惑していると兄上がボソボソと話し出した。
「ぼ、僕...あの日以来この部屋に来れなかったから...。嫌われたのかと思った...。」
兄上の言葉に母上と父上はなんとなく兄上の心情を察したようだ。
もちろん側に控えている大人達も。
父上は腰を眺めて兄上の肩を抱きしめながら声をかける。
「誰もお前の事を嫌ってなんかない。」
父上の言葉に兄上は首を横に振り呟く。
「だって...父上は...毎日この部屋にこれた...じゃないですか...。」
どうやら兄上は同じ家族でも自分だけこの部屋に来れないことに不満を抱いていたようだ。
それなら祖父母もこの部屋にこれてないから彼らも不満を抱いているのでは?そんな事を密かに僕が思っていると父上は優しく兄上に説明をする。
「そうか...お前にはちゃんと話をしていなかったな。父上と母上には説明をしていたが、幼いお前にはまだ難しいかと思って説明しなかった父が悪い。」
そう言って父上はなぜこの部屋に"制限"がかかっていたのかを話し出した。
実は姉上と僕は双子というのもあり、普通の赤子より小さく生まれていた。
そのため、病気に罹患しやすいとメレーセ様から忠告を受けた医師が、メレーセ様と相談してある程度、姉上と僕が"大きく"なるまで接触する人を制限した方が良いとなったのだ。
そのため、僕達の成長と母上の健康管理上一定の侍女と侍女頭、そして伴侶であり僕達の親でもある父上のみ毎日接触を可として、他の人達は医師が許可するまで接触を禁じていたと言うのだ。
「まだまだ小さすぎたこの子達の命を守るための方法だったんだ。
父上と母上の方は専属医師とメレーセ様から説明を受けて、渋々だか納得してくれて会うのを我慢してくれている。
まぁ~あの二人は大人だからね、我慢して頂かないと。
でも、君には幼いからどう説明しようかと...ちゃんと説明しなかった父が悪かったよ。」
その話を聞いて僕もだが、兄上もちゃんと納得したようで、あれだけ流れていた涙が嘘のように止まった。
(だからか。でも、未熟児というほど僕も姉上も小さくはなかったけどね。)
僕はそんな事を思いながらまだ僕の顔に触れている兄上の指を自分の手で握ってみた。
すると、兄上は驚きつつも嬉しそうに笑顔になる。
(兄上可愛い!!絶対僕!この兄上の笑顔を守るぞ!)
兄上の笑顔を見て変なスイッチが入った僕。
笑顔になった兄上の姿を見て嬉しそうにする母上と父上。
親子四人が笑顔で過ごしていると、ベビーベッドで寝ていた姉上が泣き声をあげた。
《ちょっと!私をのけものにしてるわね!お腹もすいたし!!ずるい!!!》
これでもかと声を上げる姉上。
泣きじゃくる姉上の元へ侍女が駆け寄ろうとしたのを父上が制する。
そして...
「小さなお姫様。どうしたんだい?パパでちゅよ?」
デレデレの顔をして姉上を抱き起こす。
姉上はますます声のボリュームを上げる。
父上はあまりの声に顔を顰める。
母上は呆れ顔をして、兄上にソファーに座るように促し、兄上がソファーに座ると僕を兄上に預けた。
「お兄ちゃんだから少しの間お願いできるかしら?」
「はい!母上。」
嬉しそうに僕を母上から預かり抱きしめる兄上。
母上は微笑みながら僕を兄上に預けると父上の元へと向かい姉上を父上から預かりあやす。
兄上はソファーに座り僕を抱きながらふと何かを思い出だしたようで、父上と母上に声をかける。
「父上、母上。妹達の名前はなんでいうんですか?」
兄上の言葉に僕もハッとする。
そう言えば生まれてこの方僕達名前を呼ばれていない事に気づいたのだ。
僕もチラッと父上達の方に視線を送る。
すると父上は待ってましたと言わんばかりの表情をして僕と兄上を見つめる。
「よくぞ聞いてくれた。あれから父上と母上、執事長と侍女長と話し合ったんだよ。もちろん愛しい妻ともね。」
そう言って父上は母上にウインクする。
(やべー。見た目いいとこんなダサい事もカッコよく見えるだ。でも、僕はこんな大人にはなりなくないなぁー...。でも、僕は男の子だから父上ににるのかなぁ?まぁ~見た目は似てもいいけど、中身は似たくないなぁー。)
思わずそんな事を思っていると父上は胸ポケットから何やら紙切れを取り出す。
そして、向かいのソファーに移動して腰掛けて姉上に乳をあげる母上の側に移動して紙を見ながら話し出す。
兄上の顔を見るのは僕が産まれたあの日いらいだ。
だから兄上ってこんな顔をしていたんだと改めて感じた。
兄上は父上そっくり。父上を幼くした感じで、髪の色、目の色、目の形、眉毛の形、というか顔の造形全てが父上そっくりなのだ。
兄上は母上の腕の中にいる僕の顔にそっと優しく触れる。
僕は久しぶりに兄上に会えた事が純粋に嬉しかったので声をあげて笑った。
すると...兄上が静かに涙を流しながら泣いてしまったのだ。
これには母上も父上も側に控えていた人達全員が驚く。
もちろん僕もだ。
僕の顔に触れたまま静かに泣く兄上。
母上はどうしたものかと困惑していると兄上がボソボソと話し出した。
「ぼ、僕...あの日以来この部屋に来れなかったから...。嫌われたのかと思った...。」
兄上の言葉に母上と父上はなんとなく兄上の心情を察したようだ。
もちろん側に控えている大人達も。
父上は腰を眺めて兄上の肩を抱きしめながら声をかける。
「誰もお前の事を嫌ってなんかない。」
父上の言葉に兄上は首を横に振り呟く。
「だって...父上は...毎日この部屋にこれた...じゃないですか...。」
どうやら兄上は同じ家族でも自分だけこの部屋に来れないことに不満を抱いていたようだ。
それなら祖父母もこの部屋にこれてないから彼らも不満を抱いているのでは?そんな事を密かに僕が思っていると父上は優しく兄上に説明をする。
「そうか...お前にはちゃんと話をしていなかったな。父上と母上には説明をしていたが、幼いお前にはまだ難しいかと思って説明しなかった父が悪い。」
そう言って父上はなぜこの部屋に"制限"がかかっていたのかを話し出した。
実は姉上と僕は双子というのもあり、普通の赤子より小さく生まれていた。
そのため、病気に罹患しやすいとメレーセ様から忠告を受けた医師が、メレーセ様と相談してある程度、姉上と僕が"大きく"なるまで接触する人を制限した方が良いとなったのだ。
そのため、僕達の成長と母上の健康管理上一定の侍女と侍女頭、そして伴侶であり僕達の親でもある父上のみ毎日接触を可として、他の人達は医師が許可するまで接触を禁じていたと言うのだ。
「まだまだ小さすぎたこの子達の命を守るための方法だったんだ。
父上と母上の方は専属医師とメレーセ様から説明を受けて、渋々だか納得してくれて会うのを我慢してくれている。
まぁ~あの二人は大人だからね、我慢して頂かないと。
でも、君には幼いからどう説明しようかと...ちゃんと説明しなかった父が悪かったよ。」
その話を聞いて僕もだが、兄上もちゃんと納得したようで、あれだけ流れていた涙が嘘のように止まった。
(だからか。でも、未熟児というほど僕も姉上も小さくはなかったけどね。)
僕はそんな事を思いながらまだ僕の顔に触れている兄上の指を自分の手で握ってみた。
すると、兄上は驚きつつも嬉しそうに笑顔になる。
(兄上可愛い!!絶対僕!この兄上の笑顔を守るぞ!)
兄上の笑顔を見て変なスイッチが入った僕。
笑顔になった兄上の姿を見て嬉しそうにする母上と父上。
親子四人が笑顔で過ごしていると、ベビーベッドで寝ていた姉上が泣き声をあげた。
《ちょっと!私をのけものにしてるわね!お腹もすいたし!!ずるい!!!》
これでもかと声を上げる姉上。
泣きじゃくる姉上の元へ侍女が駆け寄ろうとしたのを父上が制する。
そして...
「小さなお姫様。どうしたんだい?パパでちゅよ?」
デレデレの顔をして姉上を抱き起こす。
姉上はますます声のボリュームを上げる。
父上はあまりの声に顔を顰める。
母上は呆れ顔をして、兄上にソファーに座るように促し、兄上がソファーに座ると僕を兄上に預けた。
「お兄ちゃんだから少しの間お願いできるかしら?」
「はい!母上。」
嬉しそうに僕を母上から預かり抱きしめる兄上。
母上は微笑みながら僕を兄上に預けると父上の元へと向かい姉上を父上から預かりあやす。
兄上はソファーに座り僕を抱きながらふと何かを思い出だしたようで、父上と母上に声をかける。
「父上、母上。妹達の名前はなんでいうんですか?」
兄上の言葉に僕もハッとする。
そう言えば生まれてこの方僕達名前を呼ばれていない事に気づいたのだ。
僕もチラッと父上達の方に視線を送る。
すると父上は待ってましたと言わんばかりの表情をして僕と兄上を見つめる。
「よくぞ聞いてくれた。あれから父上と母上、執事長と侍女長と話し合ったんだよ。もちろん愛しい妻ともね。」
そう言って父上は母上にウインクする。
(やべー。見た目いいとこんなダサい事もカッコよく見えるだ。でも、僕はこんな大人にはなりなくないなぁー...。でも、僕は男の子だから父上ににるのかなぁ?まぁ~見た目は似てもいいけど、中身は似たくないなぁー。)
思わずそんな事を思っていると父上は胸ポケットから何やら紙切れを取り出す。
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