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第四章

4-158 ギルマスを連れて森のダンジョンの再調査〜昆虫類エリア⑨〜

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 野営地を構えてもっと伸び伸びするのかと思ったら私達の予想を裏切ってギルマスは急に大人しくなった。

ギルマスが大人しくなったのもあり、ブルーム兄さんとローダンも大人しくしており、私達的には凄く助かるのでそっとして夜に備えて色々と準備を進めていく。

遅くなったが、昼ごはんを食べた後だったが、動けるうちにと思い夕飯の準備を私とフレアで行い、その間ラース兄さんとキュリッチで地図を見ながら明日からの移動ルートを考えだす。

そんな私達の姿を見ながら野営地に設置したハンモッグに揺られながらギルマスがブルーム兄さんとローダンに話しかける。

「なぁー、お前達は一度このダンジョンに入ってるんだよな?」

改まってそんな事を聞くギルマスに怪訝な視線を送りつつも素直に頷くブルーム兄さんとローダン。

ギルマスは溜息をついた後に二人に真剣な表情で話を続ける。

「だったら夜の状況も知ってるって事だよなぁ??なぁー、夜ってどんなんだ??」

ギルマスの問いかけに意図が読み取れたのだろう、ブルーム兄さんがニヤニヤしながらギルマスの真横に行き答える。

『何だよぉ~、ギルマス。そんなに気になるのか?じゃーねぇーなぁー俺様が教えてやるよ。
 どのエリアもそうだが、野営地から動かぬ事が命を守る第一手段だ。
俺たちだって、スノーとキュリッチがいなかったらお陀仏になってたぐらい、夜の魔物達はタチが悪い。』

ブルーム兄さんは最初こそはギルマスを揶揄うように話していたが、段々と真面目な顔つきと声のトーンで話をするので、ギルマスも真剣に聞き入る。

そして、どことなく顔色が...。

でもブルーム兄さんが話をした内容に間違いはない。
比較的に最初のエリアの夜は安全な方なのだが、それは他のエリアと比べて安全な方だけであって、本当に安全な場所はセーフティーエリア以外ないのだ。

この場所もこのエリアの中で比較的に安全な場所の一つだが、一歩でると命の保証は全くできない。

腕に自信がある私達兄弟ですら危ないのだから一般の冒険者なら...。

『特にこのエリアの夜の魔物は肉食な上に、素早くて腕を切り落とされそうになったからな。
 だからギルマス、夜はマジでここから動かない方がいいぜ。』

ブルーム兄さんが念押しにギルマスに注意を促すとギルマスは少し残念さを滲ませながら頷く。

そんなギルマスの心中を察したローダンが悪戯っ子の表情をしてギルマスに助言をする。

『大丈夫!この野営地には、夜にしか会えない虫が出てくるから。それで我慢してよ。』

ローダンの言葉にギルマスはめちゃくちゃ嬉しそうな顔をする。

それもそうだろう、夜の昆虫観察ができないと思っていたのだから。

「マジか?それは安全なのか?」

『ああ、あいつらか。アイツらなら大丈夫だせ。ただ、攻撃したらやり返されるから気をつけろよ。』

『そうそう。大きさも結構大きいからね。』

「???」

三人のやり取りを気にしつつも私達は次々と準備を整えていく。

ラース兄さんとキュリッチは六種類のルートを考えだした。

日中と夜の安全性を考えて選び出したので、ギルマスが一緒でも大丈夫だろうと思われる所を選び抜いた。

私とラースも何が起きても食事がとれるようにと、携帯食を何種類か用意していた。

今日の夜は安全に食べれるだろうと想定はしているが、それ以降は怪しいからね。

『ふぅー、とりあえずこれだけ用意してたらなんとかなるかなぁ?』

「そうだな。後は...今晩がどうなるかなだな。」

『まぁーね、今晩、このエリアの洗礼を受けるんだろうけど...嫌だわ。』

私がげんなりしながら話をするとラース兄さんは苦笑いを浮かべて三人を見つめる。

 
 日が沈みかけて来て、いよいよ念願(?)の夜を迎えようとしている私達。

誰一人野営地を設置してから、その場所から動こうとはしなかった。

ダンジョンだが、エリアによっては日が暮れたり、一日中昼間のところもあれば、日が全く登らず夜の場所もあるのがこの森ならではの仕組みみたいで、一度来たことがある私達ですから今だに慣れない環境下で過ごしているが、このダンジョン初回のギルマスがいることによって不思議と心にゆとりができているので、落ち着いて過ごせている。
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