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第四章

4-110 発光する不審人物と遭遇して ⑤

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 元の位置に戻った元不死者の王(リッチ)は残念そうな表情を浮かべて、また一瞬にして私の前に移動してきて私の手を握る。

《あー、残念。ダンジョンそのものはもうなくなっているんだけど...どうやらこの森自体が"新たなダンジョン"となっているみたいだね。
 ちゃんと"ダンジョンルール"が働いてるよ。》

『えっ?!この森全体が"新たなダンジョン"ですって?!!嘘でしょう?!』

彼の言葉を聞いて思わず驚きの声を上げる私の言葉に兄弟達も驚く。

『えっ?!嘘だろう?!スノー!マジか?!』

『えっ!ダンジョン?!ここが?!!』

『困りましたね...。』

「規模がデカすぎだろう...。」

兄弟それぞれの言葉を聞いて私も困惑するしかなかった。

基本ダンジョンは地下にできた洞窟か、しっかり結界で守られた遺跡がダンジョン化するのだが、ここまで大規模で堂々としたダンジョンは初めてだ。

いや、本当にここが"ダンジョン"ならこの森全体に張った結界を外すことはできないし、即刻国王達に報告しないといけない。

どうしたものかと悩んでいると、自分の存在を忘れられたと思って元不死者の王(リッチ)が私の服を引っ張り出す。

《ねぇ~私を無視しないでくれる?私、君達のこと、特に君の事が好きになったから契約しない?君の使い魔になる!》

またまた、とんでもない事を言い出す元不死者の王(リッチ)。

流石に気軽に"いいよ!"と言って契約できる相手でないし、状況でもないので慌てる私に対して元不死者の王(リッチ)は笑顔で自分のステータスを見せ出した。

《ほらほらこれ見て!こんな感じだから私と契約すると、君や君達にもいい条件だと思うよ。》

そう言って見せてくれたステータスを見ると...これまた私達は固まる。

そのステータスは私達のステータス並みにめちゃくちゃだった。

名前:名無し、元不死者の王(リッチ)
性別:多分...男?
種族:ゴースト系(だと思う)
能力値:不明 魔力値:不明
身体能力:不明 器用さ:残念 
称号:新たなダンジョンの主人兼管理人
  ドラゴン好き(特に白龍大好き)
  新たなダンジョンを生み出した者に一目惚れ ✖︎✖︎✖︎

... ... .......。
色々と問題ありのステータスだが...何だか少し不安な内容もちらほらと...。

特に称号の欄が一番気になるが...あえて言うのを控えていたら、空気を読まない人がひとり...。

『うわぁ~、お前相変わらず変わったモノに好かれるな。絶対、"新たなダンジョンを生み出した者に一目惚れ"ってお前のことだろう?スノーwww。』

そう言って笑い出すブルーム兄さん。
一発殴ってやりたいが、ステータスを表示している人物が私の片手を握ったまま離さないので今回は諦めた。

どうしたものか悩んでいるとラース兄さんが私の肩を軽く叩いて

『スノー。これは契約するしかない。ダンジョンに存在する魔物で、一定の能力を所有するものと契約するとその魔物は契約主と自由に行動が取れるといわれるからね。やってみる価値があるね。
 あと、彼がこちらの味方でいてくれると、今後のこの森...ダンジョンの捜索に役立ちそうだしね。』

ラース兄さんがそう言うなら...その通りにした方がいいのだろうと思い、目の前の元不死者の王(リッチ)と契約してみる事にした。


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