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第四章

4-109 発光する不審人物と遭遇して ④

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 とんでもない発言を聞いて私達兄弟の頭はキャパオーバー仕掛けていたが、その中でも兄弟の頭脳であるラース兄さんは別格だった。

一瞬は戸惑いを見せたが、直ぐに頭をフル回転しだす。
そして、自分の中である一つの仮説を導き出す。

『ちょっといいかい?ある仮説を導き出してみたんだが...それで合っているかスノー確認してもらえるか?』

そう言ってラース兄さんは自分が考えだした仮説を話し出す。
それが...

『これから話す事は君の話を聞いた上で自分なりに考えを纏めたことだから違うところは違うとはっきり言ってくれたら助かる。
 とりあえず、なんだけど...ここがあの戦いで焼き飛んで、"死の土地"になる前は"ダンジョン"があったので間違い無いんですよね?
 それなら...私が知る限り該当する"ダンジョン"はゴースト・デイモン系の魔物が多い【不死のダンジョン】だと思う。
で、君は"元"は不死者の王(リッチ)だった。
 だけど...戦いの余波にてダンジョンごと壊されて君の存在すら一度は消し飛んだ。でも、君は元々死人だから記憶となる核はそのまま存在して"死の土地"となったこの地に埋まっていた。
 そこに、妹のスノーが雷魔法を放ってその影響が君の核に何らかの影響を受けてしまい、不死者の王(リッチ)とはまた違う生き物に生まれ変わって、目覚めて活動していた...でどうなんだろうか?
 ちなみに目覚めた君自身、何者か、名前も分からない。と言ったところだろうか?』

ラース兄さんの話を皆で黙って聞いた。

すると...

《すごい凄い!この中で君が一番頭の回転が速いとみた!
うん!間違いがないよ。私の記憶にある部分しか分からないからそんなもんだろうね。
    ちなみに、この土地自体も新しく生まれ変わっているよ。昔あった"ダンジョン"の特性を引き継ぎつつ、環境に適した新しいものに生まれ変わったんだ。だから、ここはダンジョンのようで...ダンジョンではないね。》

明るく話す不審者...いわく元不死者の王(リッチ)が答えてくれた。

彼の言葉を私はそのまま兄さん達に話をする。
この話はブルーム兄さん以外皆理解ができていた。

『じゃーさぁー、もしかしたらそのダンジョンにいた魔物もこの人みたいに別のモノに生まれ変わってここに居るってこと??ヤバくない??』

ローダンが少し嫌そうな顔をしながら呟くと、フレアも同感と言わんばかりに頷く。

『でも、ダンジョンの魔物はダンジョンから出て活動する事はできないよね?
じゃー...君もこの森からでれないの??』

ふと気になった事を質問すると目の前の人物は首を傾げる。

《うーん、分かんない。試した事ないからね。目覚めてから直ぐにこの森を散策して色々できる事を試してたからね...。
やってみようか?》

そう言って目の前の人物は握っていた私の手を離して、森の外に出ようと動いた。

すると...森との境界線に張った私達の結界に触れた瞬間...フッと姿を消した。
えっ?!消えた?!!と思ったら先ほど小屋を作っていた場所に戻っていた。

これは...結界によって阻まれたのか..."ダンジョンのルール"が働いたのかは分からないが...この森から出る事ができない事が、これで一応分かった。


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