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第四章

4-93 魔法の思わぬ副作用とその効果によって ⑧

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 ロコリス達が話をしている頃、私とローダンとフレアはというと...何がなんなんなのか分からず、目の前の光景を見つめて固まっている。

だって、ほんの数分?数時間前だったっけ??見にきた時は、装備も必要だったし、視界も汚染された空気で濁っていたし、大地も変色してたし、まず...こんな光景はなかったはず!!

パニックに陥る脳内を私は必死に整理しようとするが...いつものように頭が働かない。

慌てれば慌てるほど、脳内の働きがバグを起こす。

いつもの調子がでない私に反して、普段よくパニックになりがちな弟のローダンの方が意外と冷静だった。
もちろんフレアもだ。

『これって凄い...ことだよね。』

「ああ。土壌変化だけでなく、大気も変化させているしな。」

『それだけに止まらずに、植物や川や滝まで作り上げてるんだよね?もう生命の誕生じゃん!』

「いや...もしかしたら、元々ここにあった物を"蘇らせた"だけかもしれない。
 一度この世界は滅んでいるからな。何回かの地殻変動を起こして、今の状況に落ち着いているから...怪しい部分はあるかもしれないが...。まったくなかった物を作り上げているわけではなさそうだ。」

『えっ?そうなの??』

静かに現状を凝視している私の横で、ローダンとフレアはお互いの意見を口に出して議論している。

その声もこの時の私の耳にはきちんと届いてなかったんだけどね...。

そんな私の事なんかお構いなくふたりはなおも議論を重ねる。

「以前からここらの汚染された土地の調査はしているだろう?」

『うん。短時間ずつだけどね。』

「俺たちの装備が持たないのもあるけど、それでもそれなりには調査ができてた。その調査結果には、ここらには元々大きな川か滝があり、それを中心にして森や草原が広がっていた可能性があると言ってなかったか?」

フレアの言葉にローダンは首を傾げながら今までの調査内容を思い出していく。

全ての土地を調査しきれてなかったからどこまで正確な結果がでているかは怪しいが、そんな内容の話を聞いた記憶があることを思いだす。

するとローダンはいまだに固まっている私の肩を掴み揺らしながら声をかけてくる。

『姉さん!これは凄い事だよ!新しく生み出したのもあるかもしれないけど、元々あった物を蘇らせた可能性が高いよ!!』

目をキラキラ輝かせて力任せに私の肩を揺らしながら繰り返し訴えてくるローダン。

すると...今まで思考回路が停止していた私の感覚機能たちが反応しだす。

『えっ?!な、何?!どういう事?!』

ようやく弟の声が耳に、脳に到着して私はハッとした表情を浮かべて目の前の弟の顔を見つめる。



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