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第四章

4-76 汚染された土地の調査開始 ⑤

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 ローダンの代わりに街向かったラース兄さん。
ラース兄さんが街に着く頃には私達の元へと向かうため大勢の人達が準備をしていた。

それを見てラース兄さんは溜息を吐きながら上空から苦言を落とす。

『落ち着いて行動をとることができる人間はこの街にいなかった様だな。嘆かわしい。』

黙々と準備をしていた人達はラース兄さんの声を聞いて動きを止めて上空を見つめる。

その中にはもちろんギルマスや王様達もいる。

王様達とギルマスが上空にいるラース兄さんの姿を見て作業の手を止めて声をかける。

「どういうことだ!聞き捨てならんぞ!」

「そうだ!いったいどういう意味だ!」

王様達とギルマスは少しだけ怒りを露わにしてラース兄さんに問いかけるとラース兄さんはやれやれといった表情を浮かべゆっくりと地上に降り立つ。

地上に降り立つと人の姿に戻りゆっくりと王様達の元へ歩み寄りながら話しだす。

『私より先に弟のローダンが報告をしに戻って来たはずですよね?それでこの行動ですか?
歳をとりすぎて頭が老化しましたか?』

ラース兄さんの言葉に王様達は睨みを効かせるが、ラース兄さんはものともせずに言葉を続ける。

『ローダンが何のためにここに報告しに来たと思ってるんですか?』

物言いは穏やかに喋っているがラース兄さんの目はかなり怒りを露わにしていた。

それにようやく気付いた王様達とギルマスは慌てだす。

「いっ、いったい何がそんなに不満なんだ?」

最初より感情を抑え気味に答えるギルマス。

ギルマスの言葉にラース兄さんは歩みを止め、服のポケットより二種類のサンプルを取り出して王様達の視界に入る様に掲げて話を続ける。

『私達が何のために少人数であの場所に行ったのか少しは理解できてますか?
環境に危険を伴うために少人数で動いたことが分からないんですか?
確かに今回あの地に行って、この様に"土地"に変化が訪れていることは分かりました。
 でも、今の段階では"土地"に変化が起きたということだけが分かり、どの様な変化が起きたかはまだ分かってはいません。』

そのラース兄さんの言葉に街の人達は不安そうな顔を浮かべだす。

いったいローダンの報告をどんな風に解釈したのか一瞬で読み取ったラース兄さん。

ラース兄さんは怒りを解かずそのまま話を続ける。

『土地の変化だけで、空気やその他の変化がどの様に起きているのか分からないところに街の住人全員で押しかけようとする様な馬鹿な行動をとる人達は居ませんよね?いるわけないですよね?
だって、ローダンには必要な人手と調査器具等だけでと言ってなかったですか?』

最終的には言葉にも怒気を含み言い放つラース兄さん。
ラース兄さんの言葉と雰囲気に王様達とギルマス、そして街の人達は体を縮めて顔を俯かせる。
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