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第四章
4-69 今日から実験調査開始
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たまたま汚染された土地の調査中に起きた出来事を報告したらとんでもない結末を迎えることになった私。
私としてもたまたま放った雷魔法で汚染された土地にあんな作用をもたらすとは思ってもいなかったから、念のための報告のつもりが...はぁー。
報告会議後私だけ重たい気分で会議室から出ていつも気分転換をしにいく場所に足を向けた。
会議後兄弟達が明日からの予定を確認するために私を呼び止めようとしていたことにも気づかずに。
私が向かったのは子供の頃から良く行っていた場所。
森の中で一番年寄りのくせして丈夫で背の高い安心感のある巨木のてっぺんだ。
そこから見える景色はなんとも言えない。
遮るものが何一つなく気持ちを落ち着かせるのには一番適した場所で良く考え事や反省する時に利用している場所の一つ。
不思議とあの戦いの中でも私達が住んでいた場所だけは被害は全くなく昔のまま残っている。
だけど、森に入れるのは決まった人達だけのようで、王様ですら入れない。
完全に森に拒絶されていて、無理に入ろうものなら普段森の奥に引っ込んでいる魔物達が押し寄せてくる。
森自体が意思を持っているようにさえ思えるぐらいにハッキリとしている。
今のこの状況下でさえこの豊かな森に入れるのは私達家族とフレア一家のみ。
だから定期的に私達家族が森に入って食料調達を行って、街の人達に提供しているからギリギリの環境下でも荒れ狂うことなく生活ができていた。
私はいつものように巨木の幹に背を預けて瞑想する。
私自身あの報告をした事でかなり不安になっているからだ。
本当にあの出来事はたまたまの可能性がある。
翌日に同じ場所に行ったら一部浄化された土地も元に戻っているかもしれない。
そうなれば...。
ひたすらぐるぐるといやな考えばかり浮かんできて気が滅入ってくる。
この日何度目か分からない溜息をついていると気分を和らげるかのような良い香りが背後から漂ってきた。
『あ...とてもいい香り。私、この香り大好きなのよね。』
大好きな香りを嗅いで思わずそう言いながら微笑すると...
【それはよかったわい。お前さんは昔っから変わっとらんなぁ~。成長したのは見た目だけのようだな。】
ゆったりとした口調で誰かが話しかけてきた。
この場にいるのは私だけ。
私だけなんだけど...私はこの声の主のことを知っているので特に驚きもせずに声に応える。
『あら、翁は目も耄碌してきたのかしら?失礼しちゃうわ。』
私がそう応えると私の周りの枝が楽しそうに揺れだす。
そう...この声の主は今私が背中を預けている巨木なのだ。
しかしこの声は私だけしか聞くことができない。
他の兄弟達もこの巨木に昔から通っているが、私以外誰一人でして彼の声を聞いたことがない。
どうやら私はこの巨木に唯一認められた人なのだと自負している。
私としてもたまたま放った雷魔法で汚染された土地にあんな作用をもたらすとは思ってもいなかったから、念のための報告のつもりが...はぁー。
報告会議後私だけ重たい気分で会議室から出ていつも気分転換をしにいく場所に足を向けた。
会議後兄弟達が明日からの予定を確認するために私を呼び止めようとしていたことにも気づかずに。
私が向かったのは子供の頃から良く行っていた場所。
森の中で一番年寄りのくせして丈夫で背の高い安心感のある巨木のてっぺんだ。
そこから見える景色はなんとも言えない。
遮るものが何一つなく気持ちを落ち着かせるのには一番適した場所で良く考え事や反省する時に利用している場所の一つ。
不思議とあの戦いの中でも私達が住んでいた場所だけは被害は全くなく昔のまま残っている。
だけど、森に入れるのは決まった人達だけのようで、王様ですら入れない。
完全に森に拒絶されていて、無理に入ろうものなら普段森の奥に引っ込んでいる魔物達が押し寄せてくる。
森自体が意思を持っているようにさえ思えるぐらいにハッキリとしている。
今のこの状況下でさえこの豊かな森に入れるのは私達家族とフレア一家のみ。
だから定期的に私達家族が森に入って食料調達を行って、街の人達に提供しているからギリギリの環境下でも荒れ狂うことなく生活ができていた。
私はいつものように巨木の幹に背を預けて瞑想する。
私自身あの報告をした事でかなり不安になっているからだ。
本当にあの出来事はたまたまの可能性がある。
翌日に同じ場所に行ったら一部浄化された土地も元に戻っているかもしれない。
そうなれば...。
ひたすらぐるぐるといやな考えばかり浮かんできて気が滅入ってくる。
この日何度目か分からない溜息をついていると気分を和らげるかのような良い香りが背後から漂ってきた。
『あ...とてもいい香り。私、この香り大好きなのよね。』
大好きな香りを嗅いで思わずそう言いながら微笑すると...
【それはよかったわい。お前さんは昔っから変わっとらんなぁ~。成長したのは見た目だけのようだな。】
ゆったりとした口調で誰かが話しかけてきた。
この場にいるのは私だけ。
私だけなんだけど...私はこの声の主のことを知っているので特に驚きもせずに声に応える。
『あら、翁は目も耄碌してきたのかしら?失礼しちゃうわ。』
私がそう応えると私の周りの枝が楽しそうに揺れだす。
そう...この声の主は今私が背中を預けている巨木なのだ。
しかしこの声は私だけしか聞くことができない。
他の兄弟達もこの巨木に昔から通っているが、私以外誰一人でして彼の声を聞いたことがない。
どうやら私はこの巨木に唯一認められた人なのだと自負している。
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