ドラゴンなのに飛べません！〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜

第四章

4-36 この世界の成り立ちについて 2

　父さんの話に全員が聞き入っていた。
まるでその話の光景が目に浮かぶかのような感じで...。

父さんは一通り語りきるとお茶を一口啜り、話を続けた。

『それから父は更に話をしてくれた。
しばらくはこの世界はドラゴン、エルフ、ドワーフの三つの種族で納められていたが...神様は他の生き物を生み出したくなり次々と生き物を生み出していった。
　
　ドラゴン族をモデルにして鳥類や爬虫類や魚介類、海洋生物などを。
　エルフ族をモデルにして妖精、蝶々などの昆虫類、植物などを。
　ドワーフ族をモデルにして哺乳類を中心とした動物などを次々と生み出していった。

そこまでは良かったんだ。』

父さんはそう言うとすこし辛そうな表情をして話を続ける。

父さんが話をしている間誰一人として言葉を発する事はなかった。

『神様は次々と産まれて生活していく生き物達に囲まれてとても幸せな日々を送った。
しかし...ある事に気付いてしまったんだ。

他の生き物には仲間が、家族がいるのに対して自分は一人なんだと...。

それに気付いた神様は寂しいという感情が芽生えて"禁忌の行動"に出てしまったんだ。』

父さんの言葉に思わず自分は質問した。

『父さん。禁忌の行動ってなに？？』

私の質問に父さんは溜息を吐きながら国王陛下達を見つめる。

国王陛下達はなぜ自分達が見つめられるのかは分からず焦っていた。
しかし...私とラース兄さん、フレアは父さんの視線の意味がピンときた。

『もしかして...。』

ラース兄さんが呟くと父さんは頷きながら話を続けた。

『ああ、お前達の予想通りだ。
神様は寂しいと気持ちが芽生えてしまい、母親の女神しか許されてない行為...自分の血肉を使って自分にそっくりな生き物を生み出してしまったのだ。それが..."人間"だ。』

父さんの言葉にその場にいた人達は絶句する。

私とラース兄さん、フレアは気付いていたからそうでもないが...他の人達は違っていた。

話題を振ってきたキリル姐さんですら絶句していたので、ここからの話は姐さん達ですら知らない話なんだと理解した。

皆が絶句している中ラース兄さんは父さんに質問する。

『なぜ母親である女神以外が自分の血肉を使って生き物を生み出す事が禁忌なんですか？他の生き物はどうやって生み出したんですか？』

ラース兄さんの質問に父さんは穏やかに答えていく。

『神様は他の生き物達を生み出す時、母親が置いていった羽衣を使ったんだ。
母親の羽衣は子供が成長した後もかなりの力を保有していたんだ。
　そして"子供"である神様が望む様に次々と力を使って生き物を生み出して消えていったんだ。
だから神様にはその時点で生き物を生み出す術がなかった。自分の血肉を犠牲にする方法しか。
　しかしそれは、生まれる前から母親から知識として埋め込まれており...母親である女神の許可なくしてしてはならない禁忌の行為であるとね。
　でも寂しいという気持ちが芽生えた神様にはその母親の言葉の本当の意味が伝わらなかったんだよ。』

『本当の意味？？』

ラース兄さんの呟きに父さんは頷くのだった。