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第四章

4-24 おもりが取れた瞬間...

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 それに気付いたのか...気付いていないのかは分からないが彼らは私達の顔を見ながら更に話し出す。

「俺たちは本当は今は生きてなかった存在ですよね?それが隊長タのお陰で今もこうして変わらず...いや、前よりいい暮らしをさせてもらっている事に日々感謝してるんです。」

「俺たちだけではないですよ。隊長達に感謝をしているのは...。この国で今も生活している人達全てが俺たちと同じ気持ちです。」

「本来なら生きてなかった命が救われたんです。感謝をすれば恨む事なんてないです。」

「そりゃー俺たちみたいに知り合いや家族が全員生き残っていた奴らばかりではないです。中には助からなかった奴らがいるのも事実です。」

「割り切れない気持ちを感じるのは...仕方がないと思います。でも...それは隊長達だけのせいではないんです。」

「この世界に住んでいる俺たち全員のせいなんです。」

「当たり前に生活ができる。そう思ってのうのうと生きてきた全ての者達にも責任があります。」

「今回は隊長達のおかげで俺たちは生きる選択肢をもらえました。」

「そして生きる喜び、ありがたさを改めて感じて...そのありがたみを感じる機会を貰えました。」

「だから...だから...。」

「隊長達が責任を感じる事はないんです!」

「そうです!!頼りないかも知れまん!いや!確実に頼りないのは自覚してます!」

「それでも...話を聞いたり、愚痴を言い合う事ぐらいは俺たちでもできます!」

必死な形相で...それでも不安そうに...何かを伝えようとする彼らの姿を見て私達兄弟は何も感じないほど鈍くはできてなかった様だ。

彼らの思いは...言葉はちゃんと私達兄弟の心に届いていた。
私だけでなく兄達もずっと感じていた思い...。

ずっとモヤモヤと私達兄弟に纏わりついていたものがすーっと取れるような思いが...いや本当にずっーと取れていったのだ。

それと同時に目からすーっと涙が流れていた。

そんな私達の姿を見て部下達は焦りだした。
あんなに寸前まで強気で話していたのに...ワタワタと慌てる彼らの姿を見て私も兄達も思わず微笑んだ。

そして...そんな彼らの姿を見て私と私達兄弟は心の底から感謝の言葉を伝えて彼らに抱擁をしていた。

私達の行動に慌てふためく彼らにかまわず

『ありがとう...。本当にありがとう...。』

私と兄達は心の底からその言葉を目の前にいる部下達と本来なら今もからず生活をしていたであろう人達に向けて伝えたのだった。










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