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第三章

3-92 人選は成功?

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 今回選んだ五組の冒険者パーティーは他の冒険者達も一目置くメンバーばかりで、パーティーとしても有名だが個人としてもそれなりに有名な人達ばかり。

特にグルテンスのリーダーであるダリスタは今現存する冒険者の中では一番の年長者で、本来なら引退している歳を超えても現役の冒険者をしている。

歳を得たら判断力や体力、記憶力が衰えてくるので大きな事故や死人が出る前に早々に引退するのだが...彼はどんなに歳をとっても全然体力も判断力なども衰えずに現役変わらず動くことができるので引退せずに冒険者をしているのだ。

と言ってもそれはダリスタが表向きの言い訳として使っているないようなのだけど...本当は自分が拾って育ててきた子供達の成長ぶりを自分の目で見ておきたいのだろう。

彼自身がそう言ったわけではないのだが、彼を古くから知るギルマスが言うのだから間違いはないだろう。

ギルマスの話ではダリスタは家族で冒険者をしていたそうだ。
しかし...ダリスタが十歳の頃魔物の群れに襲われてしまい幼い自分を助けるため両親が犠牲になったというのだ。

ダリスタ自身もかなりヤバい状況だったそうだが、運良く高ランクの冒険者が襲われている現場に遭遇して助かった。

その高ランクの冒険者が現場に来た時には父親は魔物に身体半分食われており、母親も下半身を食いちぎられており上半身だけ必死にダリスタが隠れていた樹の穴を塞ぐようにしがみついていたのだという。

ダリスタを助けた冒険者は彼の両親を殺した魔物を退治しただけでなく、両親を埋葬までしてくれ孤児となってしまった彼を引き取り一人前の冒険者になるまで面倒を見てくれたのだった。

そんな経緯もあって彼は冒険で行く先々で孤児となっている子供達を引き取っては自分で育てて、自分の力で生きていける力を身に付けさせているというのだ。

「かつて自分が手を差し伸べてもらったからな...その恩返しみたいなものだ。
俺が手を差し伸べることにより生きていける未来があるならいいじゃないか。」

とダリスタはギルマスに話をしたことがあるそうだ。

彼は孤児だけなく困っている人がいたら損得抜きで手を差し伸べるお人好しでもある。

が...誰一人として彼の悪口を言っているのを聞いたことがない。

それだけ彼の人間性がいいのだと思う。
だから今回のこの特殊な依頼も一番先に誰かに頼もうと思った時彼の姿が思い浮かんだのだ。

だが、私達は彼を選んだ事は間違いでないことをこれから身をもって知るのだった。





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