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第三章

3-56 フレアとドラしゃん

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 無理矢理呼び出されたドラしゃんは不機嫌さを隠さずフレアを訓練場所へと案内する。

ドラしゃんはこの神様の空間に来るのは慣れているので勝って知ったるなんとやらの様に全く迷う事なく移動して行く。

その後ろを必死に追いかけるフレア。

すると...歩きながらドラしゃんが声をかけて来た。

『貴方はご自分の家系について何かご両親なり祖父母からお話は聞いているのですか?』

急に不思議なことを聞いて来たので戸惑いながらもフレアは答える。

「俺、祖母はいないんでわからないです。でも、祖父からは少しだけ聞いたことがあります。」

フレアの言葉にドラしゃんは足を止めフレアの方を見つめる。
視線だけでフレアに言葉を促せる。

フレアはドラしゃんの視線の意図を感じ取り言葉を続けた。

「じぃーさん...祖父の両親のそのまた両親の話を...。じぃーさんの父さんの母さんは...人間でその旦那さんは...ドラゴンだったと。
しかし、旦那さんはドラゴンの里でかなり立場的に位の高い地位にいるため中々母さんの元へは来れなかったと。会えても...半年に一回とかだったとか。
そんな生活をしている時、家の周囲に異変が起きたんだとか。急に天気が悪くなり空間が捻れ辺り一面に濃い霧が立ち込めて来たんだそうです。困り果てた母さんは自分が使える魔法を使い辺りを照らすと人影が見えたと。声をかけようとしたら雷が天から降ってきて一瞬気を失っていたんだとか。次に目を覚ますと天気はよくなっており、霧も晴れていたのだが...自分の側には見知らぬ男性がいたと。しかも傷だらけだったので、自分の屋敷にその男性を連れて帰り介抱したと言うんです。連れ帰ってから三日経ったある日、その人は目を覚ましたのだけど全く記憶がなく自分の名前が"フレア"と言うのだけしか分からなかったのだそうです。怪我も酷かったので暫くここで過ごす様に伝えて献身的に介抱したそうです。
 最初こそは親切心だったのだけど...気付けば恋心をその人に抱いてしまい、いつの間にか男女の仲に...。しかし、旦那さんが屋敷に戻ってくると分かった前日ぐらいにそのフレアと言う人も自分の失っていた記憶が急に蘇ったそうなんです。
 彼には奥さんがいて近々子供が産まれるのだとか。子供を育てる環境を探すために飛び回っていたら嵐に巻き込まれて気付いたらここに居たというんです。
しかも...彼は違う世界から来ていてドラゴンだと言うんです。
記憶が戻ったからにはこの世界にはいられないといい、別れを告げて消えたそうです。
 それからはその人には全く会えなくて...しかも、その人の子供を身籠もってしまっていたんだそうです。
しかもそれに気付いたのは半年ぶりに戻って来た旦那さんだったそうです。日数的には合わないが、ドラゴンと人間の間に初めてできた子供だから予想外のことがあっても不思議ではないと言う事で旦那さんは奥さんの中に宿った子供が自分の子供であると疑わずにいたそうです。
 しかも産まれたのは運良く旦那さんに似たドラゴンの男の子だったそうです。しかし...その子は産まれて間も無くして亡くなったと聞きました。それから一年後に旦那さんとの間に娘が産まれたそうです。
 そしてじぃーさんが死んだ両親から受け継いだペンダントが。その中にはその"フレア"と言う人の似顔絵が入ってます。保護魔法が掛けてあり朽ちることなくずっとあるのですが、それが俺とそっくりなのだとか。」

その話を聞いてドラしゃんはハァーと大きな溜息をついたのだった。






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