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第三章

3-53 ようやく

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 もう何十回、何百回目の挑戦だろうか。
何十回と何百回とやりとりした相手なのに今日初めて取り組むかのような新鮮な感じがする。

それは私だけでなく神様達も同じ気持ちなのだろう。
私達も相手をしてくれている神様達も表情はいつになく良かった。

きっと...顔を合わせた瞬間から...いや、朝起きた時からもう運命は決まっていたのだろう。
今思えばそう感じる。

この日は朝からいつもと違っていた。
気持ちもそうだが、身体の奥底から何やら湧き上がってくるものがあった。

それが密かに...知らず知らずのうちに私達兄弟はそれを感じ取っていたみたいだ。

食事を済ませて寝ているローダンの顔をみてそれぞれ頑張ってくると声をかけてそれぞれの門へ向かった。

門をくぐると神様達が待っていた。

いつもならあーしようとかこうしようとか頭の中に駆け巡るのだが...なぜかこの日はそれが全くなかった。

私もブルーム兄さんもラース兄さんも同じだった。
しかしなぜかヤル気には満ちていた。

《いい顔付きだわね。いいわ、いいわね。何かいいことが起きそうね。》

《ああ。いい気迫が感じられるわ。じゃーやるわよ。》

『ああ。』

『そうね。』

《うん。いつになくいい顔つきだ。今日は面白い手が見れるかなぁ?》

『さぁーどうだろうかね。でも負ける気はしない。』

それぞれいつもの様に挨拶を交わして本日の修行をこなしていく。

私とブルーム兄さんは特に作戦も立てずに合図を送り合うこともなくただ互いの呼吸と身体の動きを感じとりスムーズに動けた。

今までなかった感じだが...この時ほど気持ちよく動けたのにはかなり驚いた。

驚いたが...なんともいえない心地を感じたので私達はそのまま動く。

そんな私達の動きに神様達はかなり驚いて少しずつだが私達の動きに押されている感じがした。

いや...確実に私達の動きに翻弄されて神様達は押されていた。

それを感じても私達は冷静かつその場の空気と一体になったかの様に動き続けた。

《えっ?!嘘ぉ~ん!この子達こんな動きがとれるの?!》

《クッ!い、いつのまに!!我らが押されるとは...。しかも動きの先が全く読めないなんて...。》

いつになく険しい表情を浮かべる二人に対して私達は乱れることなく動き続けた。
疲れも感じずお互いの呼吸と動きの波動だけを感じて。

気付いた時には...

《ま、まいったわぁー!!》

《降参だ。我々の負けだ。》

初めて私とブルーム兄さんは神様達に勝てたのだ。

私達は一切呼吸も乱れてないのに対して、神様達は大汗をかいている上にかなり息も乱れていた。

それは今までの私達の立場が逆転した瞬間だった。

私とブルーム兄さんが神様達に勝った瞬間、ラース兄さんもちゃんとやってのけていたのだ。














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