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第三章

3-28 彼らもまた犠牲者の一人だった

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 ラース兄さんの案内で私達は突然来訪した人里の住民であった彼らとギルドの会議室兼応接室にて話し合いをする事に。

気を利かせた従業員が人数分のお茶とお茶菓子を用意するとそそくさと去って行った。

従業員が完全に側から離れるのを確認して部屋に遮音結界を張り、会話内容が外に漏れない様にした。

その方がこれから彼らが話すであろう内容を考慮したら得策だと思えたからだ。

案の定彼らの口から出てきた内容は私達が喉から手が出るほど欲しがっていた情報の一部だった。

話のあらましだけ聞いた段階でギルマスや王様をこの場に呼んだ方がいいと判断した私達兄弟は彼らの身の安全の保証をする事を条件としてこの場にギルマスと王様を呼ぶ事を承諾させた。

彼らからの承諾を得るとローダンが自ら呼びに行くと言って部屋を出た。

今日は運のいい事にお城に行けば二人が揃っているのだ。

(これも...何かの啓示なのかしら?ここまで私達に対して有利に事が進むなんて怖いわ...。)

そんな事を私は思いながらローダンが二人を連れ戻るまで彼らとはたわいもない話をしての場を過ごした。

今彼らはあの人里から離れてた所にある廃村近くの洞窟に身を潜めていると言う。

そんなの(廃村と洞窟)があった事を知って驚く私達。

「あの里から三キロほど離れた所にあるんです...。元々俺たちそこに住んでたので。」

そう話す男性はヤマトさんといい、あの人里の代表的な存在の男の愛人との間にできた息子さんだ。

なんか複雑だなぁーと思いながら私達は話を聞いていたんだが、どうやら彼の父親は代々裏家業的な事をしている一族だったらしい。

それこそ、ドワーフやエルフ族の人身売買や臓器売買、希少種の植物や魔物の売買などバレたら即死刑になりそうな悪どい事をしていたそうだ。

彼を産んだ母親も彼の父親が手下に指示して拐ってきたエルフ族の女性だと言う。

「俺の母親はそれこそ見目が良かったのが運の尽きだった様で...人に売りに出される前に親父の目に止まってしまい愛人の一人として囲われて俺を身籠りました。
 俺は...人間とエルフの間に珍しくも産まれた存在なんです。俺だけではないです。ここにいる何人かも似たような境遇で産まれてきた奴らです。」

見た目は"普通の人"なのだが...確かに鑑定にかけるとハーフエルフ希少種やらハーフドワーフ希少種なんかが表示される。

「俺たちは親父がしている仕事がなんなのか知らずずっと育ってきました。
親父は裏家業以外にも表向きの商売をいくつもしていたので...。」

『お前らは親父さんの表向きの仕事しか知らなかったと?』

ブルーム兄さんが質問すると彼らは頷く。

「ならなんでそんな話をお前たちは知っているんだ?」

不審に思ったフレアが私の代わりに彼らに質問を投げかけたのだ。

すると...

「...母親が死ぬ前に俺に親父との出会いや...親父の仕事について話してくれたんです。それで...」

『自分達で確かめようとして調べたら...ってやつね?』

ヤマトさんの言葉に私が覆いかぶせるように話すと...私の言葉を肯定する様に頷くのだった。
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