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第二章

2-89 ギルマスの苦労は絶えることがない

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 私とフレアが帰って行った後、ギルマスはちゃんと尻拭いをしてれていた。

採用された人達に明日何時に何処に行けば良いのか詳しく説明して帰宅させたあと、ギルドに連絡して事の詳細を伝えて老害達を連れて王様の所へと急いで向かったのだった。

ギルマスに連れられた老害達はお城に着く頃には幻影も解け、事情をギルマスから聞いた王様に徹底的に絞られたそうだ。

ギルマスはちゃんと私からの伝言を王様に伝えてくれたみたいで、

「早速色々とやってくれているではないか。本来なら我々の様な先駆者がしないといけないことを代わりにしてくれているのだなぁ...。
 今回の件も了承した。すまんが頑張ってくれよ。」

と笑顔でギルマスにトドメを刺してくれたのだった。

「国王陛下...。ギルマスの域を超えてますぞ!」

「仕方がないさ。人生長く生きてたらそんなこともあるさ!
そのうちお前は英雄として語り継がれるぞ!」

「そんなの良いですよ。以前の様な平和な日常が欲しいですよ...。」

「何を言っている。それこそ、そんな日常に戻ると言うことは、人知れず理不尽な理由で命を奪われている者がいると言うことだぞ?!」

「そ、それは...。」

「本来なら我やお主がせんだってしないと行けないことばかりなのだぞ?
これから先長く生きる彼らに悪態つかれない様にしなくてはならないぞ。
でないと、死んでも追いかけてくるぞあいつらなら。」

「はははっ。確かにアイツらならあり得ますね。
下手したら俺たちは一番良い時代に産まれてきたんでしょうね。
 分かりましたよ。老骨に鞭打ってでも頑張りますから助けて下さいよ!」

「分かっておる。今度美味い酒を馳走するさ。」

そんな会話をお城でしてきたギルマスは凹んでいる老害共と話をしながら街に戻って来ていた。

以前の自分も彼らと似た様な考えをしていたこと。
人以外の種族に対して劣等感を持っていたこと。

その言葉を聞いて彼らは驚いた。
なら何故?俺たちの味方をしないのかと言い出したのだ。

その言葉を聞いてギルマスは溜息をつきながら話をする。

「お前らは人の話を聞いてたか?以前の俺はって言っただろう?!今の俺はお前たちの考えに賛同できんのだよ。」

そう言って何故自分の考え方が変わったのかを彼らに語り聞かせた。

きっかけはやはり私達との出会いだったのだ。

私達と出会って私達と過ごす様になって自分の考えがいかに小さく情けないものかと気付かされたと話すギルマス。

「アイツらは...今日お前達も会ったドラゴンの娘は、兄弟ドラゴンの中でも桁外れの力を持っている。
本気を出さなくても世界を滅ぼすことなんて簡単なことなんだ。
 そんなアイツらが力も弱いのに親の様に慕ってくれてよ...。
今回だってお前らを殺す事もできたんだ。でも、俺の知人であるからと言って
グッと我慢してくれたんだ。
この程度ですんだことが奇跡なんだ。
アイツらは俺を一個人として認めてくれているんだ。
昔っからな...。それを大人である俺が裏切るわけがないだろう?」

そんなギルマスの言葉に彼らは項垂れてそこからは黙って歩いていたそうだ。
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