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第二章

2-50 ドワーフの子供達は

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 エルフ達に関しては私と改めて話をして行動の方向性が決まった。

まだまだ私達の家族には慣れないのが残念だが彼らなりに家族に慣れようと努力をしてくれている。

ドワーフの子供達は思っていた以上にタフだった。

まぁ~似た境遇で年頃も近い子達が周りにいたから互いに励ましあってこれたからだろうと父さんは話していた。

『彼らが負っている心の傷は我々が考えているより深いと思う。それはエルフ達とは違う傷だね。
 大事な家族から引き離されているんだよ。中には目の前で両親や兄弟を殺されている子達もいるだろう。
でも一人ではないからここまで来れたんだろうね。
一人だったらすでに心は壊れていただろうね。』

そうあの日子供達を連れてきた日の夜に父さんは私達に話してくれた。

その話を聞くだけで彼らをそんな目に合わせた人間を見つけ出して痛めつけたい気になる。

しかしそれはギルマス達がしてくれるというので任せるしかなかった。

「お前達に任せたら下手したら国が吹っ飛ぶかもしれんからな。」

その言葉に否定が直ぐにできなかったので仕方がない。

私だけでなく兄達も返事をしなかったので私と気持ちは同じなのだと分かっただけで良しとした。

ドワーフの子供達は幼い分私達家族に慣れるのは早かった。

母さんの後ろや父さんの後ろをママやパパと言ってテコテコとついて回ったりするのでもう皆メロメロとなっている。

大きな子達も、もう家族には会えない事を誰よりも理解しているので対してわがままも言わずに大人しくしている。

逆にそれがおかしいと言ってブルーム兄さんはあえて機嫌を損ねさせて押し込めていた感情を吐き出させた。

『ほらほら、クソガキ。無理すんなって!』

《なんなんだよ!俺たちが何しったって言うんだよ!大人しくしてるだろう!》

『かわいげがないなぁー。ほら素直になれよ!』

《やめろよ!大人しくしていて何が悪い!》

会話は通じてないはずなのに何故か噛み合っているのがすごい。

結局ブルーム兄さんの粘り勝ちとなり年長組の子供達は初めて我が家にきて怒って、喚いて、泣いた。

ようやく子供らしくなった。

年齢が下の子供達のために相当我慢していたのだから良かった。
変に大人ぶっていたのが兄さんも気になっていた様で、彼らが幼子の様にワンワン泣いているのを見てホッとしていた。

泣く彼らを優しく包み込み慰める兄さんの姿を見ると兄さんも成長してるんだなぁーとしみじみ感じたのは内緒だ。

泣くだけ泣いた子供達は翌日から素直に自分達の意見を言う様になった。

未だに互いの言語で会話をしているのに話が通じあっているのには感心する。

ブルーム兄さんに質問してみたら感覚でなんとなく相手の言っていることが分かるらしい...。
凄くない?







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