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第二章

2-5 大きな壁

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 『今までしてなかった事をするのにはかなりの勇気と覚悟がいるのは私達が身をもって知ってるわ!
それでもこうやって私達は今まで生きていけてるわ。』

『それにさぁー、差別している奴らの力を借りないと生活できてないのは人間の方だぜ?知ってるのか?』

ブルーム兄さんの言葉に王様と皇太子は愕然としていた。
それに気付いてもなお私達は言葉を止めなかった。

『私達が狩や戦闘で使っている武器誰が作ってると思ってますか?
住んでいる家や使っている家具は誰が作ってると思ってますか?
人間?いいえ。全てあなた方人間達が差別、偏見の目で見ているエルフやドワーフ達が作ってるものですよ。』

ラース兄さんの声に皇太子が異議を申し立てようとしたのを国王が止めた。
そして私達に話を続ける様に促した。

『冒険者ギルドや商業ギルドで一生懸命雑用をこなしているのもエルフやドワーフ達ですよ。あと、獣人の人達もです。
人間に擬態する薬を飲んで人間に化けて仕事をしたり、中にはそのままの姿で奴隷の様に扱われて手柄は全て人間に持ってかれている人達もいますよ。』

「そんな事を俺たちみたいなガキが知らないと思ってたか?ガキほどそう言うのに気付くんだよ。
情けなくって反吐が出るわ。」

『それでもね。彼らは文句一つ言わずに働くのよ。なんでか分かる?守らないといけない家族がいるから。養わないといけない家族や仲間がいるから皆んな歯を食いしばって頑張るのよ。』

『俺たちなんかよりよっぽど人間に恨言を言いたい奴らなのによ。雇ってもらえるだけまっしだとか、少なくても賃金が貰えるからってな...。』

『そんな彼らがいるから、頑張ってくれてるからこそ皆んなは頑丈な家で生活ができたり、してるんですよ?
恥ずかしくないですか?私はそれを知って恥ずかしくなりましたよ。』

『父さん達に質問したらそれは僕達が産まれるまえからある事だって言ってた。
だからドラゴン族の里に逃げて来たエルフ族やドワーフ族なんかをそっと匿ってたりもしてるってこともおそわったよ。』

「だから俺たちはこの建物の話ができた時、完成したら従業員についてどうするかまえから話し合ってたんだ。
まぁ~ある事を体験してこの考えを押し通してやるって最近になって本決めはしたんだけどな。」

『私達は恥ずかしくない世界で生きたいの。胸を張って誇れる場所で。』

『世界全体が無理でもよ、せめて俺たちがいる所だけでもそうでありたいんだ。』

私達の言葉を聞いて両親と保護者達は静かに涙を流していた。
何故ならそれは彼ら自身が若き日に思い描いていた事でもあるからだ。

フレアのじぃーさんが若き頃冒険者していた頃の最初のパティーメンバーにはドワーフやエルフがいた。

皆んな仲が良く互いに手を取り合って頑張って来た。
しかし、パーティを解散したあと仲間だったドワーフやエルフ達は意味もわからない何癖をつけられ奴隷落ちを余儀なくされて、ボロボロになってこの世をさったそうだ。

原因は人間である他の冒険者よりランクが良かったからだ。
たったそれだけの理由でだ。

それからじぃーさんは仲間にドワーフやエルフを迎える事を諦めた。
しかし、次に組んだパーティメンバー。
そう今の保護者達だ。
彼は一見人間に見えるが、ドワーフやエルフ、獣人の血を引いたハーフの種族だ。

上手に素性を隠して今まで生きて来たのだった。
だから彼らにとっても私達の意見は心強い話だったのだ。

ただ、この意見に難色を示すのは王様、皇太子、ギルマスと言った人間側だった。
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