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第一章
1-73 我が家の食卓事情
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食料調達して家に戻った。
たくさん収穫してきた物を見て皆んな大喜びしていた。
採ってきたキノコと保存していた干し肉などを使ってお母さんが料理を開始した。
料理ができるまでの間、私はお父さんと話をした。
お父さんはドラゴン族の中でも飛竜の長をしている。
それなのにこんなに長い間、里を開けても問題ないのか?と不安になったからだ。
すると意外な言葉がお父さんから帰ってきた。
「そんな事を心配してたのか?大丈夫だ。お前達が寝た後や街や森に行っている隙に里に戻って様子は見てきていたからね。
私1人なら往復してもどればもかからないからね。」
とあっけらかんに言い放ったのだった。
里に戻っては長老や兄弟達に私達の近況をそれなりに話していたそうだ。
元気に過ごしている事を聞いて安心していたと話してくれた。
「あいつらも、自分達の行動でお前を苦しめていたのをかなり後悔していた様だ。だから里のことは心配しなくて大丈夫だ。
また、元気になったら顔を出したらいいからな。」
お父さんのその言葉に私の心はかなり救われた。
話を聞きながら涙が溢れてきた。
お父さんに抱きしめられながら、里への想いを募らせたのだった。
泣けるだけ泣いて落ち着いた頃にはちゃんとご飯の用意がされていた。
色々吹っ切る事ができて、清々しい気持ちで食事を食べた。
その様子を見てホッとする両親と大人達。
あまり色々言わない彼らだが、それなりに心配してくれていたのだった。
そんな事もつゆと知らず、目の前の食事に食らいつく私。
幾つになっても花より団子な私ですからね。
それにお母さんの作った料理は全て美味しいから、手が止まらないのだった。
"あっ!スノーそれ、俺が狙ってた奴!返せよ!"
"ふーんだ。早い者勝ちよ!"
"兄さん。行儀が悪いですよ。"
"おねぇーちゃん。僕もそれ食べたい...。"
「僕も!」
"いいわよ!分けてあげるわ!"
"あっ!ソレ!俺のだって!!"
"汚いです!兄さん!"
私持った肉を奪い取ろと兄がテーブルに足をかけた瞬間...。
ゴーッン!!っていい音がしたと同時に、兄が蹲った。
あまりにも行儀の悪い兄の頭にお母さんが拳を振りかざしたのだった。
"いっ!"
"テーブルに足を乗せない!!行儀が悪いでしょう!それに、お肉はまだあります!自分より幼い子から奪わない!"
お母さんの拳を受けながらも兄はまだ抵抗を示した。
"だって、母さん!アレ!俺が狙ってた奴!!"
"お前は...あの肉に名前でも書いてたの?違うでしょう?それにお前の皿にはまだ肉の塊があるでしょう?そんなに欲張ってどうするの?"
"だって、取っておかないとスノーに食べ尽くされるのに!"
"意地汚い事言わないの!あの子は、ほら見てご覧なさい。自分より下の子にちゃんと分けてあげてるじゃない!
図体のでかいお前達が占領すると、体の小さな子達では武が悪いでしょう?
だから、代わりにあの子がとってあげてるのよ?ちゃんと状況を見なさい。
それにまだまだお肉は沢山あるから。"
お母さんの言葉にブー垂れる兄。
渋々といった感じで、食事の続きをし出したのだった。
我が家の食卓は、基本皆んなで食べるのだ。
子供達が先にお腹を満たしてから大人達が食べるって感じのスタイルをとっていた。
食べ盛りで育ち盛りの子供である私達のお腹を先に満たしておかないと、大人達もゆっくり食事を取る事ができないからだ。
そんなこんなでいつも食卓を賑やかにする私達兄弟なのだけど、食卓の上でも弱肉強食の世界だ。
体が大きい1番上の兄が大概いい物を1番先に掻っ攫っていく。
その残りを2番目の兄と私と弟とフレアで分けるのだった。
しかし皆んな食べ盛りなので、1番上の兄にいいものばかり取られては困るのだ。
そこでいつも対抗するのが私だ。
力では私も負けないだ。
何より弟やフレアの分も取ってあげないと飢えてしまうのが可哀想だからだ。
何せ私はお姉ちゃんだからだ。
たくさん収穫してきた物を見て皆んな大喜びしていた。
採ってきたキノコと保存していた干し肉などを使ってお母さんが料理を開始した。
料理ができるまでの間、私はお父さんと話をした。
お父さんはドラゴン族の中でも飛竜の長をしている。
それなのにこんなに長い間、里を開けても問題ないのか?と不安になったからだ。
すると意外な言葉がお父さんから帰ってきた。
「そんな事を心配してたのか?大丈夫だ。お前達が寝た後や街や森に行っている隙に里に戻って様子は見てきていたからね。
私1人なら往復してもどればもかからないからね。」
とあっけらかんに言い放ったのだった。
里に戻っては長老や兄弟達に私達の近況をそれなりに話していたそうだ。
元気に過ごしている事を聞いて安心していたと話してくれた。
「あいつらも、自分達の行動でお前を苦しめていたのをかなり後悔していた様だ。だから里のことは心配しなくて大丈夫だ。
また、元気になったら顔を出したらいいからな。」
お父さんのその言葉に私の心はかなり救われた。
話を聞きながら涙が溢れてきた。
お父さんに抱きしめられながら、里への想いを募らせたのだった。
泣けるだけ泣いて落ち着いた頃にはちゃんとご飯の用意がされていた。
色々吹っ切る事ができて、清々しい気持ちで食事を食べた。
その様子を見てホッとする両親と大人達。
あまり色々言わない彼らだが、それなりに心配してくれていたのだった。
そんな事もつゆと知らず、目の前の食事に食らいつく私。
幾つになっても花より団子な私ですからね。
それにお母さんの作った料理は全て美味しいから、手が止まらないのだった。
"あっ!スノーそれ、俺が狙ってた奴!返せよ!"
"ふーんだ。早い者勝ちよ!"
"兄さん。行儀が悪いですよ。"
"おねぇーちゃん。僕もそれ食べたい...。"
「僕も!」
"いいわよ!分けてあげるわ!"
"あっ!ソレ!俺のだって!!"
"汚いです!兄さん!"
私持った肉を奪い取ろと兄がテーブルに足をかけた瞬間...。
ゴーッン!!っていい音がしたと同時に、兄が蹲った。
あまりにも行儀の悪い兄の頭にお母さんが拳を振りかざしたのだった。
"いっ!"
"テーブルに足を乗せない!!行儀が悪いでしょう!それに、お肉はまだあります!自分より幼い子から奪わない!"
お母さんの拳を受けながらも兄はまだ抵抗を示した。
"だって、母さん!アレ!俺が狙ってた奴!!"
"お前は...あの肉に名前でも書いてたの?違うでしょう?それにお前の皿にはまだ肉の塊があるでしょう?そんなに欲張ってどうするの?"
"だって、取っておかないとスノーに食べ尽くされるのに!"
"意地汚い事言わないの!あの子は、ほら見てご覧なさい。自分より下の子にちゃんと分けてあげてるじゃない!
図体のでかいお前達が占領すると、体の小さな子達では武が悪いでしょう?
だから、代わりにあの子がとってあげてるのよ?ちゃんと状況を見なさい。
それにまだまだお肉は沢山あるから。"
お母さんの言葉にブー垂れる兄。
渋々といった感じで、食事の続きをし出したのだった。
我が家の食卓は、基本皆んなで食べるのだ。
子供達が先にお腹を満たしてから大人達が食べるって感じのスタイルをとっていた。
食べ盛りで育ち盛りの子供である私達のお腹を先に満たしておかないと、大人達もゆっくり食事を取る事ができないからだ。
そんなこんなでいつも食卓を賑やかにする私達兄弟なのだけど、食卓の上でも弱肉強食の世界だ。
体が大きい1番上の兄が大概いい物を1番先に掻っ攫っていく。
その残りを2番目の兄と私と弟とフレアで分けるのだった。
しかし皆んな食べ盛りなので、1番上の兄にいいものばかり取られては困るのだ。
そこでいつも対抗するのが私だ。
力では私も負けないだ。
何より弟やフレアの分も取ってあげないと飢えてしまうのが可哀想だからだ。
何せ私はお姉ちゃんだからだ。
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