ドラゴンなのに飛べません！〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜

第一章

1-71 里帰りも難しい？！

　私は両親とその他の大人達にある決心を伝えた。

自分の気持ちで兄弟達の運命も左右されるのは気の毒だったが...。

それでも兄弟達は私に任せると言ってくれたから、その言葉に勇気をもらって気持ちを伝えた。

"私、人間の世界の巣立ちまでここで生活したい。
もちろんドラゴンとして生活もしたい気持ちもある...。
だけど...まだ怖いの...。"

私の言葉に両親は優しく抱きしめてくれた。

"大丈夫よ。ここに来る事は、長老には伝えてあるから...。"

"えっ？"

"長老はね仲間である自分達のせいで里で生活できなくなった事をかなり嘆いていた。
だから人間の世界にて安心して生活するならそうしてくれと。"

"以前使っていた住処はそのままあるわ。時々長老が手入れをしてくれてるの。いつ帰ってきてもいい様にね。"

"だから本当に気にしなくていいんだ。
君が、里へ戻りたいと思った時に帰ったらいいだけだからね。"

"それまでちゃんと私達は協力するから。"

両親の言葉にポロポロ涙を流す私。

そこまで対応していてくれていたとは思いもしなかった。

「人間の世界で住んでいてもトラブルは常につきものさ。」

「そうそう。色んな人が住んでるんだから。」

「考え方も人それぞれだしね。」

「だから、常に争いは絶えないんだ。」

「人間の世界でもある事なんだから気にするなよ。俺たちは自由のきく身だから、いつまでも付き合うぜ。」

そう言われてなお涙が止まらなくなった。

私が泣き続けるためか他の兄弟もつられて泣き出したのだった。

なんとも言えないカオス状態となったが、今日は泣けるだけ泣いてみることにした。

気付いたら疲れて寝落ちしていた。
一度目を覚ますと寝室に寝かされていた。

兄弟達も側で寝ていたのでホッとした。
そして、また眠りについた。

私達が寝ている間、大人達は大人達で話し合いをしていた。

まだ私の中でドラゴンの里での出来事がトラウマになっている事を再確認したからだ。

本当はもう少ししたら一度長老だけにでも会いに里へとこっそり戻るつもりでいた両親。

しかし今日の私の反応を見てその考えを取りやめにしようと思ったのだった。

"あの子の中でまだまだ、根強く残っているとは思わなかったわ。"

"だいぶ時もだったしね...。もう少し時期を遅らせた方がいいのかもね。"

「でもよ、そんなにズルズル伸ばしたって仕方がねぇーだろう？」

「そうね。いつかはぶち当たる壁よ？」

「一度戻ってみて、途中で無理そうなら引き返して来たらいいのよ。」

「それいいなぁー！！そうしろよ！」

"そうは言ってもなぁー。道中ドラゴンの姿で移動しないといけないんだぞ？
かなり目立つだろう？"

「「「あっ！！」」」

皆んなの反応からして、どうやらその事を忘れていた様だった。

普通の人間が里帰りするのとは訳が違っていた。

私達が里帰りするには本来の姿に戻らないといけないのだった。

そう。ドラゴンの姿に...。
でもそれは、かなりリスクの高い行為なので何回も繰り返しする事はできないのだった。

下手したら里の場所がバレる恐れもある上に、自分達が命を落とす可能性が高まるからだ。