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第一章 

1-31 言いつけ守れなくてごめんなさい!

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 お父さんとお母さんは2人で、説得の段取りをしていた。

私と兄弟は、その光景をじっと見守っていた。

そんな中、1番上の兄が私に声をかけてきた。

"なぁーどうするんだ?元はと言えば、お前があんな魔法を披露するからいけないんだぞ。
僕だって使えないのに...ずるするからこんな事になったんだからな!"

意味不明な事を言い出す兄に対して、2番目の兄が、呆れ気味に話出した。

"兄さん。それは、"嫉妬"ってやつですね。自分ができない事を、自分より小さい兄妹がしたからそんな風に言うんでしょう?子供ですね。"

いやいや貴方も子供ですやん!
って、心の中で思わずツッコミを入れてしまった。

しかし、兄の言うことは事実。

いくらお母さんに言われたからと言って、あんな大勢の前であんな魔法を使うのではなかったと後悔半分、してやった感半分で少し複雑だった。

私達が...というか、兄が一方的に私に文句を言っている間にも、両親の話し合いは済んだようだ。

お父さんが、私達に大人しく巣でいる様に伝えて、お母さんを連れて仲間の元へ。

私は、飛び立つ両親を見送ったものの、不安になり魔法を使って飛んで住処入り口付近まで様子を見に行く事にした。

それに気付いた兄達が後を追って来た。
もちろん、末の弟もだ。

住処入り口の岩の出っ張り部分に降り立ち、そこから外の様子を見ていると案の定揉めていた。

お父さんは、人間の住処とここが近いため、ドラゴンの集団が居ると格好の的になってしまい、襲われる危険性があると。

巣には、巣立ち前の子供達がいるので出来たら、もう少し側を離れて欲しいと訴えていたが...。

血の気の多い身内だったのだろうか?

"そんな弱腰でどうする!"

"人間なんぞ返り討ちにしてくれるわ!"

"そんなに不安なら、お前達も住処を変えろ"

など、批判の嵐だった。

お父さんはどうにか踏ん張ろうとしていたが、相手の数が多すぎて押されていた。

お母さんはと言うと、張り付いた笑顔をしながらも、背後にとてつもない"悪のオーラ"が見え隠れしていた。

"このままでは、お母さんがキレてお父さんの身内は全滅するかも...。"

と顔面蒼白の兄2人が言うものだから、末の弟は泣き出す始末。

私もお母さんがキレる前にどうにかしないと...。

両親には止められたが、あの方法しか無い!と思い、兄達に弟を任せて例の魔法を使う事にした。

どうかお母さんがキレる前に間に合いますように!!

そんな願いを込めて、イメージを固めてあの魔法を発動させた。

今私達が居る住処。
そして、お父さんの兄弟一家の住処を魔法を使ってサーチ。

魔法で隠蔽する範囲を確定させて、いざ隠蔽魔法を!

私の身体が異常に光出した事を言い合いしていた、お父さんの身内の1人が気付き、お父さん達に伝えた。

お父さんとお母さんは、自分達の背後を確認し、住処入り口で兄達の姿と魔法を使おうとしている私を見つけた。

お母さんは、ハッとして止めに入ろうとしたが時すでに遅し。

お母さんが私の元に来る前に、私の放った魔法は発動した。

その場にいたドラゴン全員。
そして、住処をもろとも私の魔法がかかったのだった。

多少の違和感を感じた様だが、見た目的に変化なし。

お父さんの身内達は、不思議そうにしていたが、話し合いの前に私の魔法を見ていた両親は顔面蒼白だった。

私を包んでいた光は、魔法発動と共に消えて、私は力尽きて落下していった。

それを私の元へ駆け寄っていたお母さんが無事にキャッチした。

私は大量の魔力を一気に失ったため、オーバーヒートして、眠りについたのだった。

目が覚めたとき、とんでもない目に遭うとはその時は夢にも思わなかった...。

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