異世界親父騒動記

第六章 親父たち、追う者と追われる者

閑話 切り裂き鎧ブラックウォリアー！

　ここは元の世界で言う所のフランス・パリ。
　今この町では、世間を騒がす者がいた。
　その名は切り裂き鎧。
「で、そいつがアレで間違いないのか？」
　クラッシュレンジャー一号ことシトロエン
「ああ……間違いない！」
　クラッシュレンジャー二号ことプジャー。
「ドクター・Cのお墨付きだ！」
　クラッシュレンジャー三号ことルノー。
「「「またドクター・Cの改造人間が暴れているとは……」」」
　切りつけジャックの正体は、ドクター・Cによって改造された異能者だった。
「ドクター・Cが改造した人物の特徴は全身が黒で……」
「異国の鎧で身を固めていて………」
「名前がブラックウォリアー……」
　クラッシュレンジャー達はため息をついた。
「何で異国の鎧を身にまとっているんだ？」
「ドクター・Cがとある博物館で見た展示品からインスピレーションを得たそうだ！」
「何でブラックウォリアーという名前なんだ？」
「ドクター・C曰くかっこいいから！」
「どこを突っ込めばいいか？わからないな！」
「突っ込む所が多すぎる！」
「これ以上被害者を出さないためにも行動あるのみだな！」
　そう言ってクラッシュレンジャー達が向かった先は、飲食店が多い場所だった。
「これまでの情報から奴が出現する場所は飲食店だ！」
「そこで問題を起こして……風のように去っていく！」
「被害店は十店舗以上！」
「キャァァァァァ――――!!」
　突然悲鳴が聞こえてきた。
「奴だ！」
「クラッシュレンジャー！」
「アタック！」
　そう言って、悲鳴が聞こえた店舗のドアを突き破って、突入するクラッシュレンジャー。
　そこで見たモノはキャベツを千切りにしているブラックウォリアー。
「また新たなる被害が……」
「なんでアイツは野菜ばかり切っているんだ？」
「元料理人か？」
　ブラックウォリアーが切り裂き鎧と呼ばれるのは、鎧姿で野菜だけを切り裂くからであった。
　見た目からは野菜をただ切っているだけだが、ポトフを作ろうとしていた料理人からすれば、キャベツを千切りにされたり、子供の苦手なニンジンをどうにか食べさせよとする主婦からすれば、ニンジンをカンナで削ったように薄く輪切りにされたりと、迷惑以外の何も出もなかった。
「未確認の情報だが、オヤジピックの選手村の食堂に侵入して野菜を切りまくっていたそうだ！」
「あの野菜サラダ！三ツ星シェフが作ったんじゃないのか？」
「あいつのせいで、野菜生活をしいられたのか！」
　怒り狂うクラッシュレンジャー。
　だが、その情報はブラックウォリアーの犯人に仕立て上げよとしたオヤジピック関係者の仕業なのだが、クラッシュレンジャーがその事を知る由もなかった。