異世界親父騒動記

第六章 親父たち、追う者と追われる者

親父たち、援軍が来る。

前回までのあらすじ
選定の水晶はモンスターだった。

　教授と影は絶体絶命のピンチに陥っていた。
「うむ、前門の水晶のモンスター！」
「後門の怒り狂う乙女達でござる！」
「うむ、水晶が光った原因はわかったが……」
「水晶モンスターの仕業だったでござるが、いつ暴動が起きても、おかしくない状況でござる！」
　影の言うとおり、聖女候補の乙女達の負のオーラは肉眼で確認できるほどに極限にまで高まっていた。
「うむ、ニトロ並に些細な切っ掛けで爆発するのは間違いないね！」
「文字通り手も足も出ないでござる！」
　この状況に対して打開策が浮かばない教授と影は、詰んだと思われたが、思わぬ所から救いの手が伸びてきた。
「何をやっているんでありますか？」
「「軍曹（どの）!!」」
　気絶していた軍曹が戻ってきた。
　やっと現れた援軍に喜ぶ教授と影…………ではなかった。
　なぜなら軍曹の顔はおちた化粧でおぞましい顔になっていた。
「うむ、化粧がおちると、あそこまで不気味になるとは……」
「恐怖しかないでござる！」
　親父たちは、軍曹の姿を見た誰もが心の中で思う事を代弁していた。
　事実、親父たちの後ろにいる群衆たちは首を縦に振っていた。
「うむ、今がチャンスではないのか？」
「速攻で決めるでござる！」
　そう言って、影は懐から棒手裏剣モドキを群衆に見えない形で選定の水晶に向けて投げた。
　棒手裏剣モドキは真っ直ぐ選定の水晶に当たる………はずだった。
　選定の水晶は不自然な動き方で棒手裏剣モドキを回避した。
「うむ、回避されたね！」
「回避されたでござる！」
「何がどうなっているんでありますか？」
「うむ、選定の水晶はモンスターだったのだよ！」
「本当でありますか？」
「軍曹どの！鑑定を使うでござる！」
「了解であります！」
　軍曹は鑑定を使った。
「本当であります！」
　軍曹は驚いたが、親父たちの周りにいる群衆は軍曹の顔、選定の水晶がモンスターだった事など、あまりの情報の多さに思考がフリーズしていた。