異世界親父騒動記

第六章 親父たち、追う者と追われる者

親父たち、聖女になる?

前回までのあらすじ
親父たちは不気味な女装で町を脱出した。

　ここは元の世界で言う所のパキスタンとインドの国境付近の村。
　親父たちはここで立ち往生していた。
「困ったな！」
「困った事になったな！」
「うむ、困ったね！」
「困ったでござる！」
　不気味な女装をしたまま親父たちは悩んでいた。
「「「「軍曹が！聖女になった（でござる）!！」」」」
　なぜこんなことになったのかというと、物資調達の為に立ち寄った村が、聖女選定の儀式をしていた。
　そんな儀式が行われていることも知らずに、立ち寄った親父たちは不気味な女装した状態であったが参加者だと思われて、係りの人に誘導され、選定の水晶に触れる列に並ばされてしまった。
「普通に考えれば、拙者達は無関係なのだが……」
「こんな不気味な化粧をしたわしらに……」
「うむ、係りの人は躊躇することなく……」
「列に並ばせたでござる！」
　親父たちは知らなかったことだが、聖女選定の儀式の時には必ずと言っていいほど、下手な化粧をする者が一人か二人いる。
　その為、係りの人は親父たちが「男」であることに気づかず、「またか！」とくらいにしか思わなった。
「それよりも拙者達の前の娘さん！大丈夫か？」
「うむ、かなりヒステリックになっていたようだね！」
「聖女に選ばれなかったからって、選定の水晶を壊そうとしたからな！」
「でも、そのせいでややこしくなったでござる！」
　全ての発端は親父たちの前に並んでいたうら若き乙女（?）。
　自分が聖女に選ばれるという自信に満ちた顔をしていたのだが、選定の水晶は反応しなかった。
　その事により、選定の水晶を地面に叩き割ろうとしたのだが、地面に落ちる前に軍曹がスライディングキャッチした途端に選定の水晶は光った。
「水晶は光ったが……軍曹が聖女ではないんじゃないのか？」
「うむ、光ったは光ったが、七色に光って……」
「パチンコ屋のテーマソングが流れた！」
「軍艦マーチでござる！」
　親父たちの疑問に答えてくれる者は誰もいなかった。
　選定の水晶を叩き割ろうとした張本人は自分が聖女だと主張し、関係者たちに取り押さえられ、それ以外の人たちは混乱していた。