異世界親父騒動記

第五章 親父たちと砂漠

親父たちVSトラッパー・ナーワ３（ダンジョン一族視点）

途中で視点が変わります。

前回までのあらすじ
罠を解除しながら進む親父たち。
辿り着いた部屋には変態（ナーワ）が倒れていた。

　親父たちは倒れたナーワの遺体からトラバサミやワイヤーを回収という名の窃盗を行っていた。
「思ったより使える物があるな！」
「うむ、これから何が起こるかわからない以上、物資は多ければ多いほどいいよ！特にワイヤーは色々と応用がきくからね！」
「肯定であります！」
「前方通路異常なしでござる！」
「後方も大丈夫だ！」
「うむ、では出発しよう！」
「「「「異議なし（でござる）!!」」」」
　こうして、親父たちは通路を亀の歩みで進む。
◇
　そんな親父たちをマジックアイテム「遠見の水晶（大型）」で監視するダンジョン一族。
「あいつら…………戦わずして、ナーワを倒したぞ！」
「倒したのか？むしろ自滅と言った方が正しいと思うんだが……」
「これがサスペンス劇場なら完全犯罪が成立していた！」
「まさか！あいつらの歩みがあんなに遅いなんて思いもしなかった！」
「ナーワの奴！立つのに疲れて、椅子に座って同じ姿勢で何時間も待っていたからな！なんとか症候群になったんだろうな！」
「エコノミークラス症候群だ！」
　ダンジョン一族が言いたいこと言うだけ言った後、無言になった。
　それは、誰が親父たちの相手をするのか？
　原因であるナーワがいなくなった以上、親父たちに進撃を止める者が必要なのは誰もがわかっていた。
　だが、あの親父たちの相手するのは本能が拒否している。
　お互いに目で「お前がやれよ！」と押し付け合っているだけで、誰も動こうとしない。
　この状況にダンジョン一族の長はあきれ果てながらも、クジによる選抜を行うのだった。
　親父たちに差し出す生贄にするために。
　ダンジョン一族の破滅は刻一刻と近付いていた。