異世界親父騒動記

第五章 親父たちと砂漠

親父たちVSトラッパー・ナーワ2

前回までのあらすじ
ナーワの罠を解除しながらダンジョンを進む親父たち。

　今、親父たちの目の前にはナーワが待ち構えている部屋の扉があった。
「やっと、ここまで来たな！」
「この部屋に辿り着くのに丸一日かかったぞ！」
「うむ、牛歩戦術もびっくりだね！」
「こっちは命がかかっているでござる！」
「肯定であります！」
　そんな会話をしながら親父たちは扉を開けた。
　ついにナーワとの対決が開始され…………なかった。
「人が倒れているぞ！」
「助けるか？」
「罠の可能性もあるでござる！」
「うむ、ここは慎重に行った方がいいよ！」
「肯定であります！」
　そう言って親父たちは部屋の中にある罠を解除しながらら、亀の歩みで進んで行った。
　三十分後。
「どうなんだ？教授！」
「うむ、死んでいるよ！原因はおそらくエコノミークラス症候群だね！」
「確かに心音も呼吸も聞こえないでござる！」
「なぜ？こんな所に死体があるんだ！」
「生贄にされた人でありますか？」
「生贄の人には見えない装飾品をしているな！」
「確かに体中ロープが巻かれている！」
「トラバサミを身に付けているでござる！！」
「ワイヤーもあります！」
「うむ、その他いろいろな物を付けているな！」
　親父たちは互いに見つめ合って、一つの結論に至った。
「「「「「変態だ（でござる）!!」」」」」
　ナーワを敵ではなく変態と認識する親父たち。
　マジックアイテム「遠見の水晶（大型）」を通して、ダンジョン一族は「違う！」と叫ぶ声は親父たちの耳には届かなかった。

※牛歩戦術
国会議会内での投票の際、呼名された議員が故意に投票箱までの移動に時間をかける行為である。牛の歩みのようにゆっくりと移動することからこの呼び名がある。

※エコノミークラス症候群
別名静脈血栓塞栓。足や下半身などにできた血液のかたまり（血栓）が、血流に乗って肺の血管（肺動脈）につまり、胸の痛み・呼吸困難・循環不全などをきたす病気。
「エコノミークラス症候群」という呼び名は、飛行機などの座席で長時間じっとしていて急に立ち上がったときなどに発生しやすいことに由来する。