異世界親父騒動記

第五章 親父たちと砂漠

親父たちVS（バーサス）サイクロプス

前回までのあらすじ
親父たちは門番であるサイクロプスと対決する。

　親父たちとサイクロプスの戦いはひどかった。
　サイクロプスがその剛腕で親父たちを攻撃するのに対して親父たちは、サイクロプスが裸足であることを理解した上で足の小指、弁慶の泣き所（向こうずね）、アキレス腱に骨棍棒で打撃攻撃した。
　親父たちの攻撃の前にサイクロプスは倒れ、その隙に親父たちはどこからともなく、とりだしたロープでサイクロプスの動きを封じていく。
「うむ、ガリバー旅行記だね！」
「どちらかといえば○ンレスハムでござる！」
「猿轡をセットしたぞ！」
「始めるか！」
「肯定であります！」
　いつの間にか、親父たちはカタカナのカタコトではなく、普通に喋っている。
　しかし、身動きの取れないサイクロプスを骨棍棒で袋叩きにする凶暴性は変わらず、サイクロプスは声にならない悲鳴を上げていた。
　その光景をマジックアイテム「遠見の水晶（大型）」で見ていたダンジョン一族は、
「む、酷い！あいつらは人間じゃない！」と声を出して言いたい。
「く、腐ってやがる！」と声を出して呟きたい。
「どこから出したんだ！そのロープ！」と声を出してツッコミをいれたい。
　と心の中で叫んでいた。
　なぜ？口に出して言わないのか？
　言った途端、親父たちの相手を押し付けられることを明白だからだ。
　そんなダンジョン一族の思いなど、親父たちは気づくわけもなく、サイクロプスをミンチにして、下の階へと進む。
　ダンジョン一族の命運は刻一刻と終わりに近づいて行った。