異世界親父騒動記

第五章 親父たちと砂漠

親父たちVS階層担当魔物２

前回までのあらすじ
ナーワの手によって落とし穴に落ちた親父たち。
その運命は……。

　トラッパー（罠師）ナーワの手によって落とし穴に落ちた親父たちは……。
「尻が痛い！」
「あの高さから落ちてお尻が痛いだけなのら幸運でござる！」
「肯定であります！」
「うむ、確かにそうだね！」
「わしらは、運がいいようだ！」
　かなり高い所から落ちたのに、親父たちは無事だった。
「しかし、ここは何処だ？」
「うむ、落とし穴の深さからかなり下の階に落とされたようだね！」
「次は落とし穴に気をつけた方がいいでござる！」
「肯定であります！」
「だが、それより問題な事がある！」
「村正！問題なことって？」
「簡単だ！腹が減った！」
「「「「確かに!!」」」」
　村正の答えに納得する親父たち。
「言われてみれば、飲まず食わずに壁を破壊していたな！」
「うむ、かなりのカロリーを消費したからね！」
「肯定であります！」
「だけど、ここには動物はおろか植物もないでござる！」
　そう親父たちが言っていると魔物が現れた。
　魔物は牛の化け物またの名をミノタウロス。
　ミノタウロスは親父たちの前で雄たけびをあげた。
「牛？どう見ても牛だよな！ならステーキだ！」
「いや焼き肉だ！」
「うむ、シュラスコも悪くはないよ！」
「とにかく目の前に肉があるでござる！」
「肯定であります！」
　腹の減った親父たちは、目の前の存在を牛の形をした知的生命体ではなく、単なる肉としか見ていなかった。
　その証拠に親父たちは口から唾液の滝を流し、目は捕食者の目になっていた。
　親父たちとミノタウロスの文字通り喰うか食われるかの戦いは…………始まらなかった。
　ミノタウロスが突然、親父たちに背を見せて逃亡した。
　このミノタウロスは歴戦の勇者。
　その為、親父たちが危険だと、本能的に理解した。
　最初に発声した雄たけびも恐怖による悲鳴でしかなかった。
　ミノタウロスの判断は正しかった。
　あのまま戦っていれば、生きたまま喰われていたからだ。
　だが、それはミノタウロス個人が助かっただけで、他の魔物たちはミノタウロスを追って来た親父たちと遭遇した途端、捕食される運命であった。