異世界親父騒動記

第五章 親父たちと砂漠

親父たちを監視されるする者たち!

前回までのあらすじ
ダンジョンに迷い込んだ親父たち。
そんな親父たちを監視するダンジョン一族は困惑していた。

　ダンジョンの最下層。
　ここに親父たちをマジックアイテム「遠見の水晶（大型）」で監視する者たちがいた。
　監視者の正体はこのダンジョンを根城にしてるダンジョン一族。
　全員が人の形をした魔物で、民族衣装やマントを身に纏っている。
　衣服を纏うことで知的で文化人だと主張する彼らでも、親父たちの行動には困惑していた。
「なぜだー！迷路にもなっていない道でどう歩いたら、落ちてきた場所に戻るんだ！」
「わからん！あいつら……本当に人間か？」
「今度はツルハシを持ち出したぞ！」
「まさか！アレを使って……」
「壁を壊した！」
　その光景をダンジョン一族は唖然とした。
　なぜなら、親父たちが壁を壊しながら進んで少しずつＵターンをしたからだ。
「あいつら……狂ってやがる！」
「本当に冒険者なのか？」
「破壊工作と言う名のダンジョン攻略が目的か！」
「あ！下に降りる階段を発見した！」
「下に降りていったぞ！」
「すぐに階層担当者に連絡しろ！」
「イエッサー！」
　そう言って伝令は部屋を飛び出した。
「店子（現地住民）の連絡では老いた冒険者と言っていたが……」
「奴らの死にざまを酒の肴にしようと思ったが、大誤算だ！」
「これ以上、ダンジョンを破壊されないようにしなければなりませんな！」
「予算が……予算が……」
　ダンジョン一族はこの土地の大家で、現地住民は店子のような関係になっていた。
　現地住民は家賃代わりにダンジョンを維持する為に必要な生贄を捧げることによって、生活の場を与えられていたが、親父たちを生贄にしたことによって、ダンジョンが崩壊することに誰も気づいていなかった。