異世界親父騒動記

第四章 親父たちと仮面

親父たち、脱出した後のパリス

前回までのあらすじ
鉄仮面を出し抜いて、パリスを脱出した親父たち。
親父たちがいなくなったが、パリスの混乱は続いていた。
　
　パリスは燃えていた。
　親父たちが燃えるパリスから飛行船で脱出した後、パリスではさまざまな事件に悩まされていた。

ケース１　街路樹に刺さったオヤジレンジャー人形
　丑三つ時（午前二時頃）。
　街路樹にオヤジレンジャーの形をした人形が釘で打ちつけられていた者がいた。
　鉄仮面ではなく、その手下A、B、C（仮名）であった。
「あの！クソオヤジどもがーーーー!!」
「コノウラミハラサズニオクベキカーーー！」
「貴様らも不幸になれーーーー！」
　なぜ？鉄仮面の手下が親父たちに恨みの言葉を呟いているかと言うと、オヤジレンジャーの偽物をやっていたからに他ならない。
　どこからオヤジレンジャーの偽物をやっていた事がばれて、ご近所から白い目で睨まれ、妻帯者は奥さんに逃げられ、ふんだりけったりであった。
　第三者が本人たちに何でこんなことしているんだと聞けば、「こんなことでもしていないとやっていけない」と叫ぶだろう。
　こうしてA、B、Cの三人は夜な夜なオヤジレンジャーを模した人形を街路樹に打ちつけていた。

ケース２　治安の悪化
　パリスでは様々な犯罪が多発していた。
　理由はガニマタが特徴のガニマタ警部がオヤジレンジャーを追跡する為に国際警察機関の試験を受けに行ったからだ。
　なぜガニマタ警部がいないだけで治安が悪化したのか？
　それはガニマタ警部は万引き犯や食い逃げなどの軽犯罪者をプロレス技で逮捕（?）していたからに他ならない。
　パリスで犯罪を犯す者は、軽犯罪でプロレス技を食らうのなら、重犯罪ならどんな目にあうか、想像し恐怖していた。
　しかし抑止力であるガニマタ警部がいなくなった為に犯罪を犯す者が増えたのだった。

ケース3　謎の五人組
　パリスでは最近になってオヤジレンジャーに代わって、ある五人組が暴れていた。
　親父たちに復讐を燃やすスペクター・リベンジャーズの面々だ。
　「親父たちに復讐する」ただそれだけの為に、　彼らも海を渡って、この地にやってきた。
　しかし、親父たちに関する情報は何も手に入らなかった。
　代わりに犯罪者及び犯罪者予備軍に絡まれていた。
「ボーリング・ストライク！」
　全裸の肉達磨である全裸騎士。
「バインド・ハンマー！」
　全身黒ずくめのブラックパイソン伯爵。
「マシンガン・アロー！」
　鷹のような鋭い目つきのホーク将軍。
「手錠乱れ打ち！」
　元保安官のウォーギャレット。
「デストロイ・クラッシャー！」
　謎の人物デストロイ。
　彼ら五人は自分達に向かってくる相手を全て撃退していた。
　そう全て。
撃退した相手の中には警官も混じっていた。
結果、新聞に「ついに素顔を見せるオヤジレンジャーたち！」と書かれることになるのだが、スペクター・リベンジャーズの面々はそんな世間の風評も気にせず、暴れ回っていた。
「くそ親父どもはどこだーーーー!!」
「あのバカたちは何所に隠れているんだ!!」
「隠れてないで出て来い!!くそ親父ども!!」
「KILL」
「オヤ…ジ……コロ…ス！」
　今日もスペクター・リベンジャーズの面々はアドレナリン全開でパリス中を暴れ回っていた。

　そんな事件が起こっているパリスに鉄仮面の姿はなかった。
　なぜから、鉄仮面は飛行船に乗った親父たちを追って、イカダで元の世界で言うところの地中海を縦断していた。
　この後、鉄仮面はスペクター・リベンジャーズと出会い、仲間に加わるのだが、それはまた別のお話。