異世界親父騒動記

第三章 親父たちの航悔（航海？）

親父たちの航海四日目 昼５

前回までのあらすじ
クラーケンを偶然にも倒したおやじたち。
しかし、ピンチはまだ続いていた。

「「船長と船員が逃げたーーー！」」
　デッキの上で教授たちの話を聞いた村正とブドウの声が響いた。
「普通、船長は船と運命を共にするじゃなのか？」
「村正どの！落ち着くでござる！」
「落ち着けるか！この状況！」
「うむ、ブドウ君も落ち着いた方がいいよ！」
「肯定であります！」
　慌てる村正とブドウ。
　宥める影、教授、軍曹。
　クラーケンを倒して、やっと一息つけると思った村正とブドウだったが、教授たちの発言でパニックを起こした。
　十分後。
　村正とブドウのパニックは治まった。
　ただし冷静になったのではなく、クラーケンとの死闘による疲労で、倒れただけである。
　そんな中、教授、影、軍曹だけで今後の事を話し合った。
「うむ、二人の気持ちはわからなくもないが、こうなっては仕方がない」
「何か？策でもあるんでござるか？」
「うむ、我々で乗客たちを避難させるしかない！」
「肯定であります！」
「できるんでござるか？」
「やるしかないであります！」
「「…………」」
「どうしたんでありますか？」
「「軍曹が「肯定であります」以外の言葉をしゃべった（でござる）!!」」
　軍曹に対して別の意味で驚く教授と影。
　村正とブドウが倒れている間に話は、まとまっていくのであった。
　
やっと体力が回復した村正とブドウは教授たちの案を聞いて、「できるのか？」と疑問に感じた。
「うむ、二人の心配もわかるが、このまま何もしないよりは救える命なら救える方がはるかにましだよ！」
「肯定であります！」
「文字通り乗りかかった船でござる！」
　教授、軍曹、影の説得に村正とブドウはあきらめの境地に達していた。
「わかった乗客たちを避難させる」
「右に同じ」
　こうしてダメダニック号の乗客たちを避難させることになった親父たち。
「ちょっと待て！」
「うむ、どうしたのかね？村正君！」
「乗客を避難させるのはいいが、ボートはどうするんだ？」
「「「ボート？」」」
「ボートの数足りないと言っていたじゃないか！」
「うむ、それに関しては全く問題ないよ！」
「何か方法があるのか？」
「うむ、なければ作ればいいだけさ！」
　あまりにもシンプルな答えであった。